こんにちは!神田です。
香港、ホテルが高すぎて到着早々二人でびびりまくりです!!!!!
ドミトリーでひとり2000円以上とか普通です。
お隣の中国ではプライベートバスルーム付きのダブルルームで1000円だったのにーー!!!!!
なのに中国からお買い物にみんな香港にきてますね。
きっとお金持ちの方々でしょう。
みんな大好きドラッグストアの前にはお買い物したものをすぐさまスーツケースに詰め込んでいる人たちがたくさんいます。
おわり
2018年2月27日(火曜日)
【中国】 凱里(カイリ) ~ 西江(シージャン)
お世話になった駅前の宿を出発。
大理にいる間はあんなに毎日真っ青な空だったのに、ここ3日くらいは曇りが続いている。
今日の目的地はミャオ族の村である西江寨というところ。
なにやら山の斜面に木造伝統家屋がびっしりとへばりついた光景が壮観、ということなんだけど、できればいい天気の下で見たかったなぁ。
まぁ曇りは曇りで秘境感があっていいかもな。
凱里に行くなら絶対行くべきだよってみんな口を揃えてオススメしてくれていたので、期待が高まる。
とりあえずご飯。
中国人の朝は水餃子や面が定番。
しかもめっちゃ安くて、こんだけ食べてふたつで14元(230円)。
まずは駅前から市バスの1番に乗り込み、町中にあるバスターミナルへ。
そこで西江寨行きのバスチケットを購入。
シージャンシージャン言ってれば有名観光地なのでバスも乗り場もすぐ見つかる。
バスのチケットは16元(270円)。
俺たちが乗ったのは10時20分のやつ。
便数はかなりありそう。
バスにはあんまり乗客は乗っておらず、チャイニーズニューイヤーのラッシュもようやく落ち着いたのかな。
座席も動き放題だ。
凱里の町を出るとすぐに田舎の風景へと変わり、ところどころに集落が見える。
日本の山里の風景と本当によく似ていて、岡山の婆ちゃんの家に里帰りしていたころを思い出すな。
でも民家の作りは日本のものとは少し違う。
木造の瓦屋屋根というところは一緒なんだけど、ところどころの装飾や、1ヶ所にギュッと密集して寄り添っている様子が趣の違いを感じさせる。
畑仕事をしているお爺さん。
商店のおばちゃん。
ここは懐かしい日本昔話の世界ではなく、異国の風景なんだよな。
もっとガッタガタの山道を行くのかと思ったらそうでもなく、スムーズに1時間ほど走って大きな駐車場にバスは止まった。
え?ここ?ってのが最初の印象。
もっと山奥の村の中で止まるのかと思ったら、高速のサービスエリアみたいな大駐車場。
周りには一応それっぽい木造の建物があるけど、どれも新しく作られたお土産物屋さんとかトイレとかの建物だ。
バスを降りるとすぐさまホテルの客引きが声をかけてくる。
こりゃ相当な大観光地の雰囲気だぞ?
とにかく人流れに乗って歩いて行くと、向こうのほうから何やら不思議な音が聞こえてきた。
なんだ?
ファ~~………
ファ~~…………
ボー…………
なんだこれ?
雅楽の笙のような音色で、抑揚がなく、なんとも不思議な音。
音につられて歩いて行くと、広場のところでなにやら演奏が行われていた。
おおお!!全員ミャオ族!!!
す、すげぇ…………
男性も女性も伝統衣装を身にまとっており、オーラ半端じゃねぇ。
銀のアクセサリーを身体中につけ、音に合わせてゆらゆら揺れる人たち。
男性が演奏しているのは、確かに笙のような楽器だけど、筒がとても長く、見た目もとても特徴的な形をしている。
この貴州の山奥で、この地で、この人たちによって連綿と受け継がれてきた独特の衣装と音楽。
やべー、めっちゃ感動するやん。
笙の音色が山々に染み入っていく。
そんなミャオ族による歓迎の演奏を聞かせてもらいながら先に歩いていくと、そこには大きな門が立ちはだかっていた。
この先が景観区になっているようで、入村料が必要になってくる。
数少ないネット情報では、村に向かうバスの中にミャオ族の人が乗り込んできてその人が入村料を回収する、という原始的なやりかたが書いてあったんだけど、今はこんな立派な門と駐車場が整備されているんだな。
横にはチケットオフィスがある。
もはや一大観光地。
年々、観光地化が急速に進んでいってるんだろうな。
嬉しい誤算だったのは、チケット1人100元(1700円)と書いてあったのが、冬季料金なのか1人40元(680円)で済んだこと。
ラッキー。
チケットを買ったらゲートをくぐり、さぁ村だぞー!!と思ったら、今度はそこからバスに乗らないといけないみたい。
この駐車場から村までなかなか距離があるらしく、みんなシャトルバスに乗っていくよう。
またバス!?
二度手間じゃない?!
しかもシャトルバス代1人5元(85円)。
まぁそんくらいならいいけども…………
んでバス乗ったら2分くらいで着きました。
1キロくらいなので歩いて20分もあれば行けます。
節約したいかたはどうぞ。
そしてようやく西江千戸苗族寨に到着!!!!!
うおおおおお!!!
こりゃ確かにすげぇ!!!
木造の伝統家屋が川沿いにひしめき、せり上がる山の斜面にもビッシリと建物がへばりついている。
なんか銀山温泉を思い出させる景色だな。
山の中の温泉街って感じだ。
千戸苗族寨という名は、この狭い面積に1000軒の家屋が存在するところからついているらしい。
現在は少し増えて、千と数十軒あるんだそうだ。
そして歩いている人たちはもちろんミャオ族。
結った髪の毛を頭の上に盛り上げ、カラフルな花を指し、黒ベースの伝統衣装を身にまとっている。
男性も、長い髭をたくわえ、日焼けした味のある顔をしており、とても雰囲気がある。
この壮大な村の景観の中にそうした民族の人々が歩いている様子はまさに異世界。
もしくは中国の歴史映画の中にいるみたいな錯覚におちいる。
カンちゃんと2人で荷物を担いでいることも忘れてすげーすげーと写真を撮っていたけど、まずは宿の確保をしよう。
さっきバス乗り場のところで声かをかけてきた大きなホテルの呼び込み兄さんは、最初100元(1700円)って言ってたけど、最終的に80元(1360円)に下がった。
基本、というか中国ではほとんどボッタクリはないと思う。
今のところ途上国でよくあるようなコスい嘘をついてきたり面倒な客引きをしてきたりするようなやつはまずいないし、さっきの兄さんもボッタくりではなく正規料金からまけてくれてたんだと思う。
中国は本当に安全だ。
強盗、暴力、置き引き、引ったくり、スリ、そうした途上国で気をつけないといけないことがほぼない。
たまに国境付近で両替時に偽札を渡されたり、上海あたりで女の子に声をかけられてお茶に誘われてホイホイついて行ったら法外な値段を支払わされた、なんていうのがあるけど、中国で聞くバッグパッカー系の被害はまぁそんなもん。しかもすごく希。
普通はめっちゃ治安いいし、みんな誠実だ。
独自のルールや当たり前の常識の違いがすごいので戸惑うことはあるけど、本当はとても優しい人たち。
だから言葉がわからなくても、お店の支払いのときに安心して大きなお金を渡せる。
お釣りをごまかしてきたりとか絶対しないから。
日本も同じだよな。
外国人だからって値段上乗せするようなお店とか基本的にはないもんな。たまにあるけど。お金持ちに対して。
まぁそんな中国なので安心して宿探しすることができる。
面倒な値段交渉もしなくていいし。
が!!!
西江の宿、全部なかなか高い!!!!
宿は腐るほどあるっていうか、村の建物のほとんど宿じゃないか?ってくらい宿まみれなので困りはしないんだけど、どこもだいたいダブルで130元(2200円)とかする。
数年前のネット情報ではシングルで30元(500円)とか書いてたはずなんだけどなぁ。
やっぱこの数年の観光地化で値上がりしてるんだろうなぁ。
ちょっと前まではただのひなびた村で、ボロい民宿があるだけだったんだろうけど、今じゃ本当宿まみれだ。
なんとか頑張ってメイン通りから外れた地元エリアの坂道を登っていき、これ入っていいの?みたいな生活路地の奥にある1軒の宿に落ち着くことができた。
値段はプライベートバスルーム付きのツインで80元(1360円)。
昔ながらのミャオ族の伝統家屋がそのまま宿になってるような感じで、開け放たれた舞台づくりみたいなリビングスペースからは町を見渡すことができた。
すごい開放的で気持ちいいな。
こんな民家なかなかないよなぁ。面白い作りだ。
建物は全て木造で、歩くたびに床がキィキィときしむ。
歴史を感じさせる民族資料館に泊まってるような感じだ。
いやぁ、それにしてもいい景色。
宿を確保したら早速町歩きに出かけた。
脇道はまだまだ古びた民家や昔ながらのボロい小道があったりするけども、メインストリートはだいぶ小ざっぱりしたお土産物通りになっている。
ミャオ族の個性のひとつである銀細工屋さんが軒を連ね、団体客でも受け入れられる大きい食堂もたくさんある。
どこのお店にももちろん酸湯魚の看板。
ど名物なんだろうなぁ。
このジャンベ屋、どこにでもあるんやな。そして必ず店先で店員さんがかったるそうにボンボン叩いてるパターン。
歩いて行くと無料の博物館があったので入ってみた。
ミャオ族の伝統家屋を使った博物館になっており、なかなか見ごたえがある。
中にはミャオ族についての様々な展示がしてあるんだけど、本当に民族というのは他の文化と隔絶した独自の生活を持っている。
この民族内だけで生きていける、完結できる暮らし。
地域に根ざした食文化、医学、様々な薬草を使った薬学、舞踊、楽器、そして地酒。
自活できる術を彼らは長い年月の中で培ってきて、そして現代文明が押し寄せる中でもそれらを頑なに守ってきたんだろう。
ミャオ族にも様々な村があり、それぞれに分派があるらしく、この西江もひとつのグループによって形成されているとのこと。
もしかしたらひとつの家族から広がった、ひとつの祖先を持つコミュニティだったりするのかな。
少数民族の持つ誇りと排他性はどこに由来するんだろう。この現代社会で。
中国の女の人はよく働く。
こういう仕事の時でも頭の飾りは欠かさないんだなぁ。
小川にかかる立派な橋を渡り、村の端っこまでやってくるとパッと視界がひらけた。
建物が密集しているのはここまでで、先には段々畑の農村風景が広がっている。
中国といえば棚田が有名だけど、やっぱり棚田の風景はいつ見ても美しいな。
日本でも棚田が好きで、日本百名棚田をよく回っていた。
風が吹いてきて、それに誘われてカンちゃんとあぜ道を歩いた。
遠く、畝を馬をひいた人がいく。
「カンちゃんの写真俺好きだなー。カンちゃんが写真上手い子で良かったよ。綺麗な旅の写真を残してもらえるし、俺の路上も撮ってくれるし。それにデッカいカメラでレンズ何個も持ってるっていう子じゃないのも助かるなぁ。荷物少なくて。」
「デカいカメラだとそりゃもっといいの撮れるんだろうけどねー。持ち運び大変だからこれでいいかな。よくカメラマン時代にはカメラマン仲間に、カンちゃんってよくそこで切るよね!?って言われてたなー。写真のセオリー的には絶対切らないような構図で撮ってまうんよね。」
「それがいいわー。俺じゃ絶対切れないところ思いっきり切り抜くよね。」
写真家の友達のショータ君が言ってたけど、写真は思想8割、なんだそうだ。
その風景にどんなものを感じるか。どんな想いを抱きながらシャッターボタンを押すか。
それが8割決めるみたい。
カンちゃんが思いっきり色んなもんを削って被写体を切り抜くのには、カンちゃんにしか見えない感情があるからなんだろうな。
旅する人ってみんな写真にこだわってて、ゴツいカメラ持ってたり、レタッチに力入れてたり色々あるけど、やっぱいい写真を思い出と一緒に残せるのはすごく大事なこと。
俺も前回の一周のこと、すでに色々忘れていってしまってるもんな。
でも写真があれば、人も風景も、鮮明に思い出せる。
ちなみにカンちゃんのカメラはソニーのαの5Sっていうミラーレスで、レンズは35mmのズームレンズ、レタッチ無しです。
僕はiPhoneだけです。
「もう旅も終盤だからさ、カンちゃん写真シリーズでブログに旅のまとめ写真集やったら?いっぺんにやると大変だから3回くらいに分けて。」
「えー、大変そう…………でも、いい写真編集になりそうだね。やってみようかなー。」
「1ヶ国3枚ずつくらいで好きな写真をまとめようよ。あー、帰ったらアルバムも作りたいよなー。」
そんな話をしながら棚田のクネクネとしたあぜ道を登っていく。
しだいに見晴らしがよくなってきて、いいポイントで腰を下ろした。
眼前に広がる幾重もの小さな田んぼ。
ゆるやかな曲線がとても美しく、まるで水面に落ちた波紋のようだ。
今は農閑期なので放置された状態だけど、雨水が溜まった田んぼ、水が枯れた田んぼ、赤い藻のようなものがはった田んぼ、菜の花が黄色く咲いた田んぼがあって、いいコントラストになっている。
借景はミャオ族の千戸集落。
壮大な木造住宅群と柔らかい棚田の曲線がとても印象的な対比。
あんまり綺麗だからたまにしかやらないセルフ撮影をしようということに。
背後の坂の上にカメラをセットし、ボタンを押したら細い畝の上を走ってくるカンちゃん。
しかし間に合わない。
10秒あれば充分だと思うんだけど、ゆっくりしたカンちゃんには無理な距離。
「まったくもー。カンちゃんは動きが遅いからなぁ。」
「じゃあフミ君やってー。ちゃんと人にピント合わせてね。」
「ぬあああああにいいいいいい!?!?!?誰に口きいてんだこのキューピーマヨネーズは!?!?あああん!?!?人にピントを合わせてくれだと!?!?俺なんかいつも信じられないくらい合わせまくってきたわ!!!チンコをな!!!!なんつって!!!よおおおおおおし!!!!行くぞおおおおお!!!シャッターオン!!!!」
愚か者の図。
なんなん………………
クソ泥まみれやん………………
ズボンもぐっちゃぐちゃやん………………
「ひゃあああああああああああああヒャッヒャッヒャ!!!!ウヒー!!!ブヒャアアアアアア!!!!」
大爆笑してる嫁。
その後ろをニコニコしながら通り過ぎていく馬をひくおじさん。
まぁ…………頭からダイブせんくてよかったわ…………
棚田を降りて川で足を洗い、町へと戻る。
さっきのメインストリートの対岸の斜面を登っていき、上へ上へと歩いた。
全景を一望できる角度を考えるとだいたいこの先くらいだと思うんだけどなーと進んでいくと、少しして人がパラパラ集まっているところを発見。
お、やっぱりちゃんと展望台があるんだな。
ていうかミャオ族いっぱいおるやん!!
って、あぁ、これ貸衣装か。
京都でも舞妓さん衣装で町歩きできますよーってのがあるけど、あれと同じやつだ。
観光客たちがミャオ族の衣装を着て記念撮影してる。
景色は確かに綺麗だ。
谷になってる川から山の斜面にかけてびっしりと木造瓦屋根の民家が密集していて、なかなか壮観だ。
遠く山々の織りなす水墨画のような遠景も中国らしくて素晴らしい。
ただど真ん中にバスケットコートがあるのは邪魔だけど…………
色味全然違うし…………
そしてこのあたり、めっちゃくちゃ宿多い。
景色のいい場所にってことで、このあたりの建物はほぼ全てが宿になっており、どこも外にせり出したバルコニーを設置して全景を楽しめるように作ってある。
チラッと値段を聞いてみたんだけど、どこも300元~400元とか。6000円を超えてくる。
中国にしてはかなりいい値段だ。
食堂もカフェもどこもそうした展望テラスを作っており、全部マジで値段が高い。
せっかくなので景色のいいところでご飯食べようかと俺たちも食堂に入ってみたんだけど、酸湯魚が140元(2370円)。
下のメインストリートなら69元(1170円)で食べられる。
景色代ってことでめっちゃ強気な値段設定だなぁ。
気づけばこれだけ建物が密集している斜面なのに、まだ隙間に新しい建物を作ろうとしている。
きっと相当いい商売なんだろうな。
どんどんどんどん新しい宿や食堂が増えて、観光地化が進み、元々の風景はなくなっていってしまうんだろうな。
二度見する看板。
強引に建物がへばりつきまくっている斜面の隙間を降りていき、現地のお婆ちゃんがアクセサリーを売っている屋台をちょっと覗き、町の川沿いに降りてきた。
川沿いにはミャオ族特色の食べ物屋台がズラリと並んでおり、野趣溢れる伝統食は見てるだけで楽しい。
豚?猪?の足をその場で切って串に刺して焼いている。
もち米が有名みたい。
搗き立てのお餅も売ってる。きな粉つけてくれる。懐かしい味だなぁ。
乾かした蜂蜜とか初めて見た。試食させてもらったらすごく美味しかった。
漢字の通り、暖かい梅ジュース。
そうやって食べ物通りを歩いていると、少しして向こうのほうから何かの音楽が聞こえてきた。
近づいていくと、どうやら川沿いにある大きな建物の中から聞こえてきている。
拍手も聞こえてくるので、どうやらショーかなにかが行われているようだ。
入場料とかいるのかな?と思いながらキョロキョロしていると、中国人たちがなにも買わずにスタスタと中に入っていく。
お、タダっぽいぞ。
俺たちも中に入ってみた。
通路を抜けていくと、そこには巨大なステージがあった。
周りを取り囲むせり上がる観客席にはびっしりとお客さんが座っており、中央のステージではミャオ族によるダンスが披露されていた。
背後のステージセットは村の規模では考えられないくらいの巨大さで、まるでユニバーサルスタジオのアトラクションかなにか。
巨大スクリーン、巨大スピーカー、
そこに司会者らしき男が派手なスーツを着こなしてステージに躍り出てきた。
「レディース&ジェントルマン!!世にも珍しき少数民族!!ミャオ族による一大スペクタクルショーをお楽しみいいいぃぃ~~ください!!!フウウウ!!」
カッコつけて手を振りかざし、大げさなマイクパフォーマンス。
まるでサーカス。
すると袖から踊り子たちが出てきて、ゆらゆらと体を揺らしながらステージ上に散らばって動いている。
後ろには男たちの演奏隊が笙を奏でている。
なにも難しいことはない、明日からでもすぐできるような簡単な踊り。
おそらく楽器も。
でもそんなことはまぁ関係ない。
これは少数民族の伝統芸能。
ブレイクダンスではない。
踊りが終わるとまた司会者が出てきて、それでは皆さん!!!ミャオ族のお写真を撮っていだだくフリータイムでございます!!世にも珍しい民族!!ミャオ族をどうぞ間近でご覧ください!!!みたいなことを言うと、一斉に中国人たちが立ち上がってステージに殺到し、写真を撮りまくっている。
ミャオ族たちは整列して並び、撮られるがままに立ち尽くしている。
ボンヤリと、なにを思っているのかわからない表情。
群がる同じ中国国民。
これはなかなか衝撃だった。
俺も観光地には行くし、見世物のショーに感動したりする。
お金を払って伝統芸能を眺めて写真を撮る。
でもこれはやりすぎだろ…………
なにこの一大スペクタクル的なステージと演出は…………?
完っ全にテーマパークやん…………
西江はかなりの観光地、とは聞いていたけど、まさかここまでとは…………
本当中国人って観光地のプロデュースが下手だよなぁ。
とにかくど派手にすればいいと思ってる。
そんで大理みたいなチャラい雰囲気に落ちていく。
まぁ中国人がそういうのが好きなのかもしれんからそれでいいんだろうけど。
外国人旅行者は、飾らない姿が見たくてその土地に行くんだから、こんなエンターテイメントショーはいらないんだよなぁ。
なんだよ、あの後ろのステージセット?
もっと昔ながらの木造舞台とか、原っぱとかでやってくれたほうがはるかに雰囲気あるよ。
なんでこんなわけわからんもんをすげぇ金かけて作ってんだろ。
町の雰囲気はいいのになぁ。
きっと村中にある宿とか大きなレストランとかも、近隣の資産家が買い取って作ったんだろう。
斜面に土地と建物なんか持って細々と暮らしていた爺ちゃん婆ちゃんが土地を売って大金持ちになったかもしれない。
ささやかに暮らしていたミャオ族は、自分たちを見世物にすれば金が稼げることを知り、一気に観光路線になり、文化は薄まる。
俺もその薄めてる一員。
中国の観光地はどこもめっちゃテーマパーク感があるからそれをすごい感じさせられるわ。
いやぁ、萎える。
萎えながらも、とりあえずご飯を食べにいくことに。
酸湯魚を食べないと西江から出られない、という観光客丸出しのやつです。
みんな食べすぎ。
どこも100元(1700円)とかが相場の村の中で、酸湯魚69元(1170円)のところを見つけたのでそこで食べることに。
えーっと、じゃあまずはビールいただきましょうかねー。
凱里の町だと5元(84円)、ちょっといい食堂で7元(120円)くらいだからー、
まぁここは観光地だしー、でもそんなに高いお店でもないからー、10元(170円)くらいかなー、高くてもそれくらいかなー。
「20元だ。」
「お茶ください。」
ソッコーお茶飲みますよね。
高っ!!!
ビール340円て!!!!
町の4倍やん!!!
怖ええ…………
西江では基本ほぼすべてのものが町の2~3倍します。
そして肝心の酸湯魚の味はというと…………
散々色んな人たちから食べなきゃいけないよとオススメされまくってきて期待めっちゃ高まっていますけども…………
あ、美味しい。
確かに酸っぱめの味わいで、トマトが入ったスープの中に鯉のぶつ切りが沈んでいる。
なかなか辛みもあってニンニクも効いてて、こりゃ寒い時にはかなりあったまるなぁ。
具はそんなに入ってないけど、葉っぱと魚がたっぷりなので充分。
酸っぱい食べ物が大好きなカンちゃんには相当ハマったみたいで、これ日本でもウケそうーって言ってる。
確かに都会のOLとかが食べそうな感じやね。
お店によって結構味が違うらしいんだけど、このお店は美味しかった。他の店知らんからこの店がめっちゃ美味しくないほうかもしれんけど。
うん、酸湯魚、満喫。
こっちの毛豆腐ってどんな料理だろう…………怖い…………
それからスーパーでビールを買い、屋台で中華風フライドポテトをゲットして、川沿いの景色のいい場所に陣取って乾杯した。
最近ようやくカンちゃんの体調もよくなってきて、もうすっかりいつものようにお酒を飲めるようになってる。
ていうか中国って外でアルコール飲んでいいのかな?
まぁ多分大丈夫やろ。何でもありの中国だし。
お巡りさんも普通に横を通り過ぎていく。
暗くなってくると、川にかかる立派な橋に明かりが灯り、ライトアップされた。
斜面にひしめく民家群にもささやかな明かりがつき、とても綺麗だ。
麻辣味のフライドポテトを口に入れる。
いいな、テーマパークだけど、もちろん景色は綺麗だ。
でも出来るならもっともっとローカルはところに潜り込んでみたい。
観光地化されていない、素顔の村に行ってみたい。
この広大な中国、そんな村なんかいたるところに存在するんだろうけど、あまりにもありすぎてどこを目指していいかわかんないんだよな。
まだ手つかずの田舎にたどり着きたいな。
あー、気持ちいい夜だ。