こんにちは!神田です。
インドってカレーカレー。何食べてもマサラ味。
てずっと思ってたんですけど、実は麺とかあるんですよね。チャーハンも。
ローカルの屋台とか食堂とかに普通に80円とかであってしかもなんだか中華を思わせる味。
カレーもめちゃ美味しいけど、ちょっとマサラ味に疲れた時にアジア人にぴったりのメニューです♪
おわり
2017年11月15日(水曜日)
【インド】 チェンナイ ~ アラコナム
朝3時半。
飛行機が着陸した。
ここはチェンナイ空港。
つ、ついにインドに戻って来てしまった…………
あのゴミと牛とゴミとインド人とゴミにまみれた地球最強のカオスの中に戻って来てしまった……………
着陸と同時に立ち上がって棚の荷物を取ろうとするインド人たちに客室乗務員の人が座ってください!!!とめっちゃ怒ってるけど、それでもまだ飛行機が走ってる途中に我先にと荷物を取り出し始めるインド人たち。
待つことができない人種、インド人…………
飛行機を降りて通路を歩いて行くと、もうすでに建物がボロくて、暗くて、なんか怪しい空気が漂っている。
ところどころ、乱雑に配置された奇妙なヒンドゥーの神様たちがこっちを見つめている。
まるで日本の田舎の役場みたいな、古いカビ臭いにおい。
空港で扇風機って久しぶりっていうかそんなとこあったっけ?
なんかめっちゃ死にそう。
ふうううう………………
気合い入れていかないと……………
ヨーロッパに長いこといたせいで途上国の感覚をすっかり忘れてしまっている。
しかも相手は世界のラスボス、インド。
ただの途上国じゃない。
極限に貧しい人たちと極限に金持ちたちが共存する世界。
世界のどこにもない、インドだけのルールで回っている国だ。
こ、怖いなぁ…………
で、でもね!!まぁ俺もうインド3回目だからね!!
はっきり言って慣れたもんですよ!!
牛とかゴミとか嘘つきとかボッタクリとか、そんなんでビビったりしませんよね!!
はっ!!俺ほどになったらインドくらいヨユーのバーモントですよね!!
ホラ!!ビザもちゃんと取ってるからイミグレーション2秒で通過!!
ヨユーですね!!
ホラ!!トイレも手で直でウンコ触らないといけないやつになったけど俺くらいになったらヨユーで触りまくり!!!
嘘!!超イヤ!!!
でもそんなん言ってられませんからね!!
手を入念に洗って颯爽と荷物クレーンへ!!!
いやっほおおおおううううう!!!!!
インド楽勝おおおおおお!!!!!
ギターケースの中のハーモニカバッグ、紛失。
キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!
こ、こっ、ころっ、ころっ、こここ、ころろろ、殺すうううううう!!!!
インド人殺すううううう!!!!
鼻ヒゲむしってウンコ塗ってウンコ塗るううううううううううううう!!!!!!
いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!
ソッコーでバゲッジレーンのスタッフに話をしに行く!!!
「すみません!!このギターケースのポケットに入れてたハーモニカバッグがなくなってます!!!ハーモニカホルダーもありません!!ポケットの中がきれいさっぱり空っぽです!!確認してください!!」
「あー?他のバッグの中に入ってるんじゃないですか?」
「100パーないです!!!ここに確実に入れていたのにないんです!!!」
「ふーん、なんでラッピングしてなかったの?」
何も動じないスタッフ。
ていうかラッピングしてなかったお前が悪いよね?そんなことよりウェラーユーフロム?日本?カレー食べる?辛いよ?みたいな顔してやがる。
ちょいちょいちょいちょいちょいちょい!!!!!
なんだその理屈!!!!!
「とにかくレーンの中をもう一度確実してください!!!」
「いや、レーンにはもう何もないよ。ドバイのほうにあるんじゃない?」
「じゃあドバイに電話して確認してください!!」
「それはできない。電話はできない。」
意味不明!!!
同じ航空会社のくせに電話できないという謎の拒否!!!
「なんでですか!?電話かけるだけですよね?!?もしかしたらもう向こうに保管されてるかもしれないじゃないですか!?確認とれたら僕も安心できるのに!!」
「電話はできない。メールを送ってチェックしてもらうから、えーっと、名前と電話番号を教えて。」
そう言っておもむろにポケットからクシャクシャのゴミみたいな紙を取り出してペンをかまえ、さぁどうぞ、みたいな顔をしてるジャワ。
おい、公式な紛失届を持ってこい。
なんだそのヨレヨレの切れっぱしは?
割り箸の袋レベルの紙に書いてそれでお前は何をするつもりだ?なんだそのデコの赤い点は?押すぞ?
なめんなコノヤロウ!!!
が、正式な紛失届みたいなもんもないみたいで、とにかくこれでドバイに確認を取るから名前と電話番号を教えろと言う。
ゴミ紙にちょろちょろとメモを取るコクまろ。
「じゃあドバイからなんか連絡があったら電話するから。連絡なかったら電話もできないけど。ハイさようなら。」
超絶探す気ゼロ。
とっとと帰らせて面倒なこと早く終わらせようというのが見え見えすぎてマジでムカつく。
どうせ連絡は絶対来ない。
帰らせればもう諦めるだろうという考えだ。
「ちょっ待て!!なんだこのテキトーな処理は!!わかった!!じゃああんたのその首から下げてるネームカードの写真撮らせてください。」
「なにするんだ。やめろ。写真は撮ったらいけない。なぜそんなことするんだ。」
「はぁ!?あんたが僕の対応したんだからその名前を覚えておくために撮るんですよ。電話で確認取りたいからここの電話番号も教えてください。」
「ダメだ。」
「だからなんで!?!?そのネームプレートの意味なに!?!?わかりました!!じゃあ写真はいいから名前を教えてください!!」
「教えない。」
意味不明!!!
名前教えてくれないという謎の秘密主義!!!
結局、嘘か本当かわからない名前をパパッと言われ、それで引き下がることに。
後日ドバイから連絡があったらこちから電話するとのこと。
ハーモニカバッグには各キーのハーモニカが7つ、それとカポが入っていた。
あとハーモニカホルダー。
それらが全部消えた。
バッグ自体も前にモロッコで買ったお気に入りのやつ。
ハーモニカは全部ホーナーのいいやつだし、カポもカイザー。
総額3万円の損失………………
それ以上に大事な楽器を失ったショックがパナすぎる………………
ガックリと肩を落とす…………………
もう………なんなの…………
インドこれから頑張ろう!!っていう気合いが2秒で消滅……………
出鼻くじかれるにもほどがある………………
インド、さすがすぎるわ……………
そうして全身の力が抜けて廃人みたいにとぼとぼ歩いてターミナルから出ると、有無を言わさず群がってくるタクシーのドライバーたち。
「ヘイマイフレンド!!!ウェラーユーゴー!!どこに行くんだ!!?」
「マイフレンドー!!さぁ!!レッツゴーだね!!私のタクシーに乗るんだ!!」
「誰か迎えが来るのかい!?よし!!じゃあその迎えの人の電話番号を教えて!!サァ早く!!!」
「ノー……………乗りません…………」
「なぜだい!!なぜタクシーに乗らないんだ!?さぁ僕のタクシーでセントラルに行こうか!!」
「どこのホテルだい!?僕はいいホテルを知ってるよ!?」
「カモンマイフレンドオオオオオオオオオ!!!!!!!」
「…………ノーって言ってるだろがオラアアアアアアアアアア!!!!!!!」
「…………………」
「…………………」
「ワイノット!!さぁカモン!!タクシーに乗って!!!」
3日間ほとんど寝てなくて極限に疲れている上にさっきのショックでボロクソになってる。
そこにタクシードライバーたちのめげない客引き攻撃をくらって、もうマジで頭おかしくなりそうだ………………
やっとこさ客引きたちをかいくぐり、空港の駐車場の端っこまで来て、タバコに火をつける。
煙を吐きながら、ぼんやりと明るくなってきたインドの空を見上げる。
はぁ…………しんどい……………
そろそろ体力限界だ……………
目がかすんできた……………
でも、なんとしてもあそこまで行かないといけない。
あそこまで行けば安心してゆっくり体を休めることができる。
なんとか頑張らないと。
向こうを歩いていた人に駅の場所を聞くと、こっちだよ、連れて行ってあげるよと笑顔で言ってくれた。
ありがとうございます、荷物があるので自分たちで行きますと言うと、そうかい、と頭をフリフリした。
ああ、これだあああ……………
タミルの人々がやる、頭フリフリ……………
イエスとか、どういたしましての時にタミルの人たちは頭を左右にクネクネと振る。
人懐こい笑顔とその可愛いらしい仕草が俺もカンちゃんも大好きだったのをブワッと思い出した。
ああ、タミルに戻ってきたな。
駐車場から奥に歩いて行くと、どう見ても地縛霊が数千体は成仏できずにさまよっていそうな階段がぽっかりと口を開けている。
漏れた水がジャバジャバと流れているボロボロの階段を降り、稲川淳二が喜びそうなトンネルを歩き、地縛霊みたいなおばさんから切符を買ってプラットホームへ。
まぁ当たり前にエレベーターもエスカレーターもない。
ヨーロッパって楽だったよなぁと思いながらハァハァと息をついて階段を上がってプラットホームへ。
サリーを着た女の人が朝もやの中で電車を待っている。
すでに暑くなり始めている風がむわりとサリーを揺らす。
この11月がインドでは1番涼しい季節なんだけど、日中の気温は30℃以上まで上がる。
男の人は当然のごとくTシャツとかシャツの夏服だ。
黒い肌に汗を浮かべている人もいる。
俺も額に汗がにじむ。
しばらくすると遠く線路の向こうからあの懐かしの青い電車が走り込んできた。
ペンキの手書きの車両番号が書かれたボロボロの電車に乗り込む。
あぁ、ドアが閉まらない。
ドアを閉めないまま走り出す電車。
走り始めた電車に軽快に飛び乗るインド人のおじさん。
窓の外を眺めるおばさんの額の赤い点。
まだ首も座っていない赤ちゃんを抱きかかえるお母さん。
仕事に向かうであろう賢そうな兄さん。
みんなみんなインド人だ。
芳醇で、ドロドロしてて、これ以上ないまでの純粋さを持ったカオス。
開け放たれたドアから外を眺めると、ズタボロの町が見える。
戦後の、いや戦前の、いやもっともっと昔のような、とても2017年の現代を感じさせない原始的な人々の暮らしが飛び去っていく。
古代文字のようなタミル語で書かれたコンクリート塀の広告。
剥がれて色あせた政治家のポスター。
ゴミの山の上で、まるで世界の全てを知り尽くしているかのような顔をしたおじさんが、ルンギ1枚で雄々しく歯を磨いている。
治水ができていない汚水の沼が線路脇に広がり、その中を野良豚が歩いている。
懐かしい、あの生ゴミの臭いがふわっと鼻に入ってくる。
酸っぱいこの臭い。
どこにいっても逃れられないこの濃密すぎる生活の腐敗臭。
インドだ。
ていうかハーモニカ……………
パークステーションに到着し、電車を降り、洪水みたいな人の波に乗って道路向かいのセントラルステーションへ歩く。
ゴミゴミゴミゴミゴミゴミ。
信じられんほどのゴミの山。
そのゴミの横で慣れた手つきで小さな露店を開いているおじさん。
その横で物乞いをするお婆さんは、ヨーロッパのジプシーのようにでっぷり太っておらず、本気で痩せこけている。
その横を歩く牛を手で叩いて追い払いながら赤い液体を地面に吐くおじさんの横で兄さんがチャイを飲み干した時にクラクションを鳴らしながらバイクが突進してきて、それをトゥクトゥクが跳ね殺す勢いで押しのけた瞬間に野良犬が道の真ん中でオシッコをする。
の横を、ボロボロで意識も朦朧としながら歩くアジア人2人。
「カンちゃん大丈夫?スリ気をつけて。」
「うん。フミ君も気をつけて。バイク来たよ。」
根性振り絞ってチェンナイのセントラルステーションまでやってくると、駅舎の中にはおびただしい数の人々が地面に座って朝ごはんを食べたり寝転んだりしてる。
マジでアリの巣。
ここ?自宅のリビングですよ?くらいの感じで寝転んで快適にくつろいでいるおじさんの頭をキャリーバッグで踏みそうになりながら乗る電車を探す。
しかしわからん!!!!
チェンナイセントラルステーションはかなりデカく、プラットホームも10個以上ある。
電光掲示板を見たって何がなんだかひとつもわからない。
ヨーロッパの駅みたいに路線図が書かれた看板なんてどこにもないし、時刻表らしきものも全て黒ずんだボロボロの紙。
それ以前に1時間、2時間の遅れなんて当たり前の国なのでまず時刻表なんて意味ない。
周りの人に聞きまくってもみんな要領をえない。
ひ、久しぶりだなぁ、この絶望感…………
疲れ切って、もうこのままここにうずくまってしまいたくなる。
でもとにかく!!!!
行動しなければ先には進めない!!!!
根性だぞおおおおおお!!!!
人をかいくぐって奇跡的にインフォメーションを見つけ出し、なんとか窓口までたどり着いた!!!!
ここでどの電車に乗ればいいか聞けるはず!!!
でもこっからがインド人の真骨頂!!!
割り込み選手権大会の開催です!!!
俺たちが1番前ですでに係りのおじさんにチケットを差し出しているにも関わらず、その横から何本もの手が伸びてきてどんどん先を越されてしまう!!!
ガードしようにもどうしようもない!!!
もはやインド人に順番を守れ、というのはヨーロピアンにウンコ食べろ!!というのと同じくらい無茶な要求。
郷に入っては郷に従え!!!
インドに入っては順番守るな!!!
うおおお!!!と手を伸ばしまくって係りのおじさんの鼻先くらいまでチケットを持って行って、ようやく電車の番号を聞くことができた!!!!
ハァハァ……………
なんの競技だよ……………
なんでこんなとこでこんなに疲れなきゃいけねぇんだよ…………
おでこ塗りすぎやろ…………
係りのおじさんが優しかったことで無事目的の電車を発見。
ラグビーのスクラム大会が開催されているのを後ろから、うわぁ………って眺め、落ち着いてから電車に乗り込む。
ちなみにこの電車はエクスプレス。
切符は空港からも合わせて1人60ルピー、103円。超安い。
普通列車なら13ルピーだったかな。22円。
インド安すぎ。
そうして1時間半ほど走り、やっとのことで懐かしの駅にたどり着いた。
あぁ、アラコナムだ。
もう少しでゴールだぞ。
すでに太陽はギラギラと本領を発揮し始めており、汗がしたたる。
風が吹くと砂埃が舞い上がり、それが顔や首について、もう身体中ドロドロだ。
あぁ、プラットホームで猿が暴れてるなぁ………………
面白いなぁ……………
駅から出ると、2秒でトゥクトゥクのドライバーたちが群がってきた。
でももうここまで来たらヨユーですよ。
ヨユーのタバコを吹かします。
そして吸いながらドライバーと値段交渉。
ここから目的地までの値段、完全に知ってますからね。
もう何度も行ってますから値段完璧に知ってます。
「よし!!そこまでなら120ルピーだね!!」
「いや、100ルピーだよおじちゃん。知ってるから。もう何度も100ルピーで行ってるから。」
「ぬぬぬ………とにかく乗るんだ!!さぁレッツゴー!!」
真ん中がレッツゴーおじちゃん。
そうして久しぶりのトゥクトゥクに乗り込み、久しぶりのアラコナムの町中を走っていく。
砂埃が舞い上がり、熱風が吹く中、クラクションを絶え間なく鳴らしながら走るトゥクトゥク。
あぁ、覚えてるなぁ、この町並み。
あそこのチャイ屋で初めて道を聞いたなぁ。
あそこのスーパーで買い物したよなぁ。
そんな感じで懐かしみながら走っているんだけど、
さっきから脇道を覗き込んでは、あぁ、こっちは道が悪いから行けないよ、向こうから回らないといけない、とめっちゃわざとらしい小芝居を織り込んでくる鼻ヒゲおじさん。
しばらくしてまた脇道を覗きこみ、あぁ、こっちもダメだ、水たまりになってるからね、コマッチャウゼ、クスリ、と顔をしかめてアピールしている。
うわぁ、楽しいなぁ。
そうやって道が悪いから遠回りしないといけないから初めに言った値段に上乗せして請求しますよ、といういつものアレですか。
猿芝居にもほどがあるなぁ。
楽しいなぁ。
でも残念ながら僕目的地までのルート知ってますからね。
今めっちゃ正規ルートで向かってますからね。
あぁ、こっちもダメだ、いやぁ、道が悪いだろ?困ったもんさ!やれやれ!といった顔で苦笑いをするオッさん。
そのヒゲ燃やしましょうか?
まぁでも久しぶりのアラコナムだからね。
これが今日最後の移動。
目的地に到着さえすればゆっくりすることができる。
ここは100ルピーと言ったけどオッさんの言い分の間をとって110ルピーくらい渡しておこうか。
そうそう、ちゃんと俺たちも折れるところは折れないとね。
それに1ルピーは現在1.7円。
10ルピー出したところでたったの17円。
今は前回とは違ってお金もそこそこ持ってる。
ケチらずに少しは多めに払ってあげようか。
あれ、ここチロルかな。
そしてついに目的地に到着!!!!!
うおおおおおおおお!!!!!!
懐かしのセルバムスクールだぞおおおおおおおおおおおおお!!!!!
去年の2月から4月にかけて2ヶ月滞在したこのセルバムスクール!!!
あぁ、ここで生徒たちに音楽を教えていた日々がめっちゃ懐かしく思い出される!!!!
ぬああああ!!!なんかめっちゃ感動する!!!
この広大なインドの片隅に帰ってくる場所があるということがめっちゃ嬉しい!!!!
「カンちゃん着いたね!!!」
「うん!!懐かしい!!ここでフミ君の髪の毛切ったりしたね!!!」
「そうだねー!!!よし!!行こう!!じゃあ運転手さん、これ110ルピー。サンキュー!!」
「なんだこれは?料金は200ルピーだ。」
無視して荷物持って歩く俺たち。
「おい!!200ルピーだ!!あんなに遠回りして来たんだ!!200ルピーはもらわないといけない!!おい!!どこに行くんだ!!!」
「うわーー!!!カデルー!!元気にしてたー!!??」
「カデルーーー!!!!久しぶりいいいい!!!」
「フミ!!ナオ!!オカエリナサイ!!!疲れただろ?朝ごはんはもう食べた!?いやぁ!!来てくれて嬉しいよ!!」
「おい!!金を払うんだ!!あと90ルピー払え!!俺はあんなにバッドロードを走ったんだ!!早く払うんだ!!!」
「カデル、最近また日本行ってたね。日本で植松さんとかショータ君とかみんなと仲良くしてるみたいだね。」
「そうだね、フミたちがインドを出てから日本に何回も行って、フミの友達とたくさん仲良くなったよ。お腹すいただろ?ランチにママがエビカレーを作るから。フミはエビカレーが好きだものねー!!ってママが覚えてるんだよ。」
「おい!!金を払うんだ!!早くしろ!!!」
あのさぁ……………
この状況見てわからん………?
感動的な再会してるのわからん…………?
横でひたすらカネカネ言ってるオッさん。
ちょっと遠慮しようかなって思わん………?
そしてオッさんはセキュリティに捕まって追い出されました。
カデルに、あれ大丈夫?って言ったら、トゥクトゥクドライバーは強盗みたいなもんだから乗ったらダメだよと笑いながら言う。
まぁカデルはめっちゃお坊ちゃんだからトゥクトゥクなんか滅多に乗らないもんな。
「うわあああああ!!!ママ久しぶりですー!!」
「フミー!!ナオー!!ここはあなたたちの家よー!!よく帰ってきてくれたわね!!」
優しいママの笑顔にすっかり心が安心した。
学校のボスであるパパも、そして妹のハニーちゃんもみんな変わらない笑顔。
あぁ、マジでインドのホームだよ……………
家の前には懐かしのコーラム。南インドの伝統的な風習。
健康食品好きのカデルにバイオのレインザーメンと車のインバーターをお土産に渡し、パパにはドバイで買ったチョコ、ママにはマナーのウェハース、ハニーちゃんにはH&Mで買ったバッグと、1人1人お土産を渡し、それから朝ごはんを食べさせてもらった。
うわぁ…………マジ懐かしい…………
カデルの家のご飯や……………
「美味い……………カデル美味いわー…………」
「おいしいー!!やっぱりカデルの家のご飯おいしい!!」
久しぶりのリアルインド料理。しかも南部のタミル料理。
あぁ、ドーサうまいわー………………
「はい、これ2人のためにこの前日本から買ってきといたから。」
キューピーやん。
カデル、キューピーやん。
「ワタシハ、マヨラーデス。ヒャヒャヒャー!!」
相変わらずカデルは面白なぁ。
日本が大好きなカデル。
カメラを通じてパリでショータ君と知り合い、それからどんどん日本にのめりこみ、最近では日本とインドをつなぐビジネスを始めようと考えている。
ていうかもうほとんど始まってるくらいの勢いみたい。
今すでに相当な金持ちなのに、これでビジネスが上手くいったらもうとんでもないことになりそうだな。
カデルは賢い男。
インド人らしいアグレッシブさもありながら、インターナショナルな見識も持ち合わせている。
きっと成功させるだろうな。
「あ、それとね、今日はうちの学校でスポーツミーティングがあるんだよ。」
スポーツミーティング?
どうやら運動会のようで、近隣の学校との合同開催で600人以上の子供たちがこのセルバムスクールに集まるみたい。
確かに今日はグラウンドにたくさんの子供たちが集まっていた。
そうなんだー。相変わらずカデルの学校はイベントをたくさん企画してるなぁ。
すぐVIP。
行進しながら俺に向かって敬礼していく子供たち。
僕この前ナメクジ食べましたよ?
展開が荒すぎる………………
やっぱりインドだなぁ………………
なにこの図?
そんな俺たちのことをめっちゃデカいドローンを飛ばしながら撮影しているカデル。
か、金持ちやなぁ…………
「…………フミ?」
「え?……………フミ?」
「フミだ!!フミだよ!!!」
「フミだあああああ!!!!うわあああああああいいい!!!」
「フミイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!」
「ひゃっほおおおおおおお!!!!」
セルバムスクールの子供たちが俺のことを覚えてくれていて、一気にみんなが手を振りまくってくれた。
うおおおい!!みんな!!戻ってきたよおおおお!!!
「フミイイイイ!!キャアアアア!!!」
「あああ!!フミ!!元気にしてましたか!?」
教え子の女の子たちもいる!!
ニラちゃん!!元気そうやん!!
そしてお腹でっぷりゴータム!!
相変わらずイイお腹してるね!!
そしてそして!!!
1番俺に音楽を教えて教えて!!って積極的だったイマンも!!!
イマンめっちゃ成長してるやん!!!
顔が精悍になってる!!!
去年はお調子者キャラだったのに、すっかり落ち着いた兄さんになりやがって!!
「イマン!!まだギターは弾いてる?」
「はい、弾いてますよ!!」
いやぁ、教え子に会うのってこんな気分なんだなぁ…………
みんなが成長するのがこんなに嬉しいことなんだなぁ……………
みんなの笑顔がまぶしい。
マジでインドの子供たちの無垢な純粋さはヨーロッパや日本なんか相手にならない。
みんな目が綺麗だ。
スレてない、天然モノ。
マジで瞳の中に空がうつっている。
抜けるような青空だ。
ゆっくり生徒たちと触れ合いたかったところなんだけど、今日はマジであまりにも疲れていて、気を抜いたら意識失いそうなほど朦朧としていたので、家に戻って今度はお昼ご飯。
ママが作ってくれた、俺が大好きなメニュー勢ぞろいのご飯が泣けるほど美味しい。
2ヶ月くらいここで一緒に住まわせてもらったんだもんなぁ。
家の中に祀られているヒンドゥーの神様には今日も綺麗なお供え物がされていた。
相変わらずエアコンガンガンのカデルの部屋でベッドに座ったらマジで2秒で気を失ってしまい、2時間くらい眠らせてもらった。
だいぶ頭がスッキリした。
「フミたちは今回はどれくらいうちに滞在する?」
「えーっと、2日かな。」
「えぇ!?それだけなのかい?!」
「うん、チェンナイでストリートチルドレンを支援する施設を回るから。」
「んんん、そうか。でもチェンナイにいるんだったらいつでも遊びに来られるね。それか僕が遊びに行くよ。」
今回のインド滞在は1ヶ月。
これから1ヶ月間、チェンナイにある施設を回ってストリートチルドレンのために俺ができることを探すつもり。
チェンナイはインド第4の都市だ。人口は1000万人くらい。
ストリートチルドレンやワーキングチルドレン、様々な理由で親に見捨てられた子供たちを保護する施設がいくつも存在する。
それらを回り、きっちりストリートチルドレンと向き合って、実情を知り、その上でやれることを考えないといけない。
前回俺は音楽にこだわりすぎていたのかもしれないって、この1年半の間に何度も考えた。
ギリギリの状況で生きているストリートチルドレンや問題を抱えた子供たちにとっては、楽器よりももっと生きる上での必要なものがあるはず。
最低限のものが満たされていないのに、そこから音楽っていうのは直結しにくい。
でもだからこそ音楽だと思いたい気持ちもある。
前回のインド滞在で俺にできることのちっぽけさを痛いほど味わって、マジでガックリした。
なんて力のない人間なんだろうって思った。
路上で彼らを探し出し、そして俺の考えを説き、彼らの生きかたを変えていくっていうことは、マジで途方もない道のりだった。
そこで考えたのは、ストリートチルドレンが集まる場所に行けば、もっと彼らと触れ合う時間が持てるんじゃないか?ということ。
インドにはストリートチルドレンシェルターというものがたくさんある。
彼らをかくまい、安全な寝床と食べ物を提供する団体と施設がたくさんあり、そういうところに行けば、きっと彼らのことをもっと知ることができるはず。
根底は音楽。
子供たちと音楽を通して触れ合って、音楽を通して何かを感じてもらえたらそれが1番。
でも路上で金を稼ぐ方法を教えていくのはインドではかなり難しいってことを、前回痛感した。
やっぱり、インド人の貧しい子供が、ストリートパフォーマンスの文化がないインドで路上で稼ぐってことは、物乞いの一種にしかなれないのかもしれない。
ここはヨーロッパではない。
この1年半、本当色々考えた。
音楽を教えて、物乞いをしているストリートチルドレンにもっと稼がせてやりたい、人を喜ばせて金を稼ぐ術を教えてやりたい、そう息巻いていたけど、
それだけじゃなく、無限の可能性を持った子供たちが様々な選択肢を持つことができるような環境を整えてあげることのほうが、子供たちのより良い未来に繋がるんじゃないかと思うようになった。
施設や環境が充実すれば、そこに来る子供たちもきっと増えるはず。そして明日に希望を持てるはず。
インドにはすでにそういう子供たちへの支援を行なっている団体は多い。
そこで俺に何ができるかを探しに行こう。
もちろん、日本から持ってきたリコーダーの残りは大事な武器として今もバッグの中。
路上で生きてきたものとして、彼らにできることが必ずあるはず。
「そうかそうかー、アイスィー、わかったよ。」
「ところでカデル、俺今朝飛行機でインドに着いた時ロストバゲッジしてしまったんだよ。一応手続きはしてきたけど、見つかると思う?」
「ノー。」
そ、そんな即答で答えなくても……………
あぁ、ハーモニカとカポとホルダー………………
凹むわー…………………
インド初日から甘くねぇぞって言われてる気がする。
でも今回はマジで頑張るぞ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
静岡のホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!
高橋さんご夫婦お元気にしてるかなぁ。またあの2人と飲みたいなぁ。
高橋さん!!奥さん!!帰ったらまたご挨拶にうかがいます!!
さわやか行きたい!!
どうもありがとうございます!!