こんにちは!神田です。
フミくんのゾンビ好き、知ってる人は知ってますかね。
3年前、フミくんとクアラルンプールで出会って一緒に1ヶ月くらい旅をした時、
ラオスのドンデットていう小さな小さな島で、映画のデータをハードディスクに入れますよっていうお店を見つけたんです。
あれ、旅人にはかなり嬉しいお店ですね。
そこで、何見るー?てなった時に発覚したフミくんのゾンビ好き。
5個くらい買った映画のうち、3つがゾンビもの。
しかもそのまま宿で3つ連続ゾンビ映画鑑賞。
ホラーとか得意じゃない私は、うっぷ てなってました。
今となってはいい思い出です。
おわり
2017年8月31日(木曜日)
【オーストリア】 バートイシュル
峠の上にあるスキーリゾート村の横で目を覚ました。
目の前にそびえる山々。
その山々の隙間に曲がりくねった急な坂道が続いており、たまに車がゆっくりと降りてくる。
雄大な景色だなぁ。
もうちょっとしたら木々が紅葉に染まり始める。
日本だったら紅葉狩りで行楽地はかなりの混雑だ。
よく山の中の渓谷とかに1人で紅葉を眺めに行ってたな。
日本で1番印象に残ってる紅葉は、広島の佛通寺。
あそこはマジで素晴らしく綺麗だった。
初めて紅葉狩りってやつで感動したのをよく覚えてる。
紅葉ってなんだか和風なイメージを持ってしまうけど、当たり前に世界中それぞれに美しい紅葉があり、人々の心の中に母国の原風景があるんだろうな。
オーストリアの秋はもう近い。
辛ラーメンを食べ、山道をかけぬけてしばらく走ると、山の中に小さな町が現れる。
懐かしのバートイシュルだ。
ちなみにこのバートっていう文字が頭につく町がドイツやらオーストリアにはたくさんある。
これは温泉っていう意味で、バートがつく町は温泉地っていうことだ。
このバートイシュルもそうで、駅前に大きな市民プール場みたいな温泉施設がある。流れるプールとかあって、水着で入るやつ。
温泉好きとしてはせっかくなので1回くらい入ってみたいところなんだけど、なんせウルトラ高いんだよなぁ。
サウナとかエステとか色んなコースがあるんだけど、1番安い入浴だけのコースで17ユーロもする。2200円。
風情ある一軒宿の温泉が300円とか500円で入れる日本人からしたら、なんでそんな高いの!?ってビビる値段設定。
なのでもちろん入りません。
温泉入りたい。
走りなれた町中を進み、いつもの川沿いのパーキングにスパッと車を止めたらすぐにギターを担いでホコ天へ向かった。
よーし、ギリギリではあるけどもサマーシーズンのバートイシュルは一体どんなことになってるのか!!!
とんでもない人ごみで溢れかえってて、日本人の観光客も多いんじゃないのか!!!
エロ熟女がいるんじゃないのか!!
エロ熟女が温泉に入って浴衣の君はススキのかんざしで風呂上がりの髪いい香りでひとつ俳句をひねるとみせかけて乳首をひねる!!
あ、あれ?あんまりいないな…………
ホコ天に来てみると、めっちゃ普通にパラパラの人通り。
ええええ………もっとすっごい人通りで埋め尽くされてるのを想像してたのに。
やっぱさすがに8月末だとサマーバケーションも終わってみんな仕事を再開してるのかな…………
ちっと遅かったか……………
まぁ人通りはパラパラだけど、それでも稼げるのがバートイシュル。
他のパフォーマーもいないし、のんびりやろうかな。
とにかくホコ天の中にある警察署に路上のライセンスを取りに行くと、お巡りさんがニコニコしながら話しかけてきた。
「お!!お前たち戻って来たのか!!」
「あ、覚えててくれたんですね。」
「もちろんさー!!いいシンガーのことは覚えてるよ。元気にしてたかい?この1年どこに行ってたんだ?あ!!そういえば結婚するって言ってたよな!!オーストリアでウェディングしたのかい?」
去年バートイシュルに来ていたのを覚えててくれてたお巡りさんたち。
ライセンスを取りに来てはいつもお喋りしていたのですっかり顔見知りだ。
みんなすごく優しくて、こうお巡りさんたちと仲良くできてると路上もやりやすくてたまらない。
「あれからユナイテッドキングダムに行って、それからアフリカに行ってました。」
「そうかそうかー、世界を旅するなんてすごいな!!ところであれからライセンスの値段がちょっと上がったんだよ。」
「え!!マジですか!?いくらですか?」
「10ユーロだよ。」
倍やん…………
去年は5ユーロだったのに…………
やっぱり俺も含めてパフォーマーが増えてきたことで、こうした新しい対策が出来ていってるんだなぁ。
バートイシュルには週末だけ出てくるジプシーのアコーディオン弾きが2組いた。
犬を前に座らせてアコーディオンを弾いているんだけど、ほとんど演奏らしいものではなく、ただ手癖で音を鳴らしてるだけ。
ヨーロピアンは犬が大好きなので、こうして目の前に犬を座らせていると入りがだいぶ変わる。
その2組がメインストリートを陣取っており、なかなかやりづらかったんだよな。
あのジプシーたちはおそらく1日にそんなにたくさんは稼げない。
となると1日のライセンスが10ユーロってのは相当痛いルール。
下手したらマイナスになるので、やらないほうがマシやん………ってなるはず。
ライセンスの有料化は、痛いけどもやっぱりいいことだと思う。
高いライセンス代を払ってでも元が取れるパフォーマーってのは必然的にレベルの高い演奏をする。
この10ユーロという金額がフィルターになって、ある程度のラインにまで達していない下手っぴな人たちは路上に出てこられないってことだ。
俺ももちろんまだまだ。
世の中に上手い人は腐るほどいる。
だからちゃんと演奏の質を高めるために努力しよう。
犬とか、付属品に頼らず演奏の質を上げること。
そうすれば必ず稼ぎは上がると思ってる。
「今回は何日バートイシュルにいるんだい?」
「あ、2日の予定ですけど、3日やってもいいですか?」
「ああ、問題ないよ。君は年に数日しか来ないからね、いいパフォーマンスならウェルカムさ。」
というわけで10ユーロでライセンスをゲット。
バートイシュルは10時~17時の間で5時間までというのが路上のルールだ。
今日は木曜日。久しぶりのバートイシュルの様子見って感じでのんびりやるか。
うーん、やっぱバートイシュルは週末だな。
平日は人が少なくて入りもまばらだ。
でも嬉しいことに、静かな通りに合わせた音量でゆっくりと演奏していると何人かが、戻って来たんだねってニコッと笑いながらチップを入れて行ってくれる。
見覚えのある人もちらほらといる。
向かいの建物の窓が開き、中からおじちゃんが手を振ってくれる。
バートイシュル名物である馬車がやってくると、前を通り過ぎる時に御者さんがニッコリと笑って手を上げてくれる。
あ、あそこを歩いてるあの人は前回のバートイシュルで俺のギターケースの中の5ユーロを奪って逃げようとしたおばちゃんだ。
何も変わってない。
あの頃のままだ。
嬉しいなぁ。
バートイシュルは民族衣装の人たちがすごく多い地域。
このバートイシュル。
山に囲まれた温泉街という風情、歴史ある美しい町並み、それに加えて路上が稼げるという最強に居心地がいい町なんだけど、俺たちにとって町の魅力を決めるのにもうひとつ大事な項目がある。
ワイファイならば、歩いていたらそこらじゅうに飛んでる。
トイレはホコ天の真ん中に無料の公衆トイレ。
スーパーも町の真ん中にあるし、駐車場もホコ天から歩いて2分のところに広くて静かな場所がある。1日チケットで4ユーロ、520円。安い。
でもめっちゃ大事なのは食べ物。
どんなに美しくて稼げる町でも、美味しいファストフード屋さんがないと味気ないもの。
バートイシュルにはそれがある!!!!
それがここ!!!!
ボルニバーガー!!!!
「ハロー!!パラディソバーガーふたつお願いします!!ひとつはチーズトッピングのチリなし!!ひとつはチーズなしのチリで!!!」
もはや注文するメニューも完璧決まってる!!!
「ああああああううううううううう!!!!嬉しすぎるううううううう!!!!ここのバーガーずっとずっと楽しみにしてたよおおおおおおお!!!!」
2人で発狂しながらバーガーにかじりつく!!!
最高です。
バートイシュル、すべて揃ってます。
ちなみにバーガーふたつで11.8ユーロ、1500円。
普通のバーガー屋さんなら軽く15ユーロ超えます。
お腹いっぱいになって、静かな夜の町をカンちゃんとくっついて歩いた。
明日は雨が降るみたいだ。