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ドイツの隠れた名城とケツさらしの町


2017年7月28日(金曜日)
【ドイツ】 ヘッヒンゲン ~ コンスタンツ






昔、あれはまだ23歳のころ。



北海道の狩勝峠で車中泊していた。



富良野から帯広に行く途中で、道のりも遠く、峠も予想以上にキツかったので、ここまでしか走れずに眠ったんだけど、それがラッキーだった。







あの日、朝早くにオシッコに行きたくて目を覚まし車を降りると、とんでもない光景が広がっていた。




どこまでも広がる雲海で、大地が閉ざされていた。



声を失う光景だった。


狩勝峠はかなり標高が高く、山々を見下ろせる位置にある。


山も、村も、集落も、すべてが雲の海に沈み、それを上から見晴らすことができた。




雲海っていう自然現象は写真とかテレビとかでは見たことがあったけど、本物を見たのはあれが初めてだった。




やがて朝日が昇り、黄金色に雲を染め上げたかと思うと雲海は一気に太陽にかき消されてしまった。



あれは本当に壮大な光景だった。




雲海ほど神秘的な自然現象はあんまりないと思う。















あれから時は経ち、今南ドイツ。



35歳になった今も雲海を狙って車中泊していたんだけど、気候が涼しくてぐっすり眠ってしまい、目が覚めたの7時だった。




今のドイツの日の出は5時半。


はい、とっくにかきけされましたね。


夏のヨーロッパの日の出はええええ……………






今から行こうとしている僻地のお城は、タイミングが揃うと雲海の中にそこだけポコンと浮かぶように姿を見せるお城みたいで、そのファンタジー極まりない光景を見てみたかったんだけどなぁ。



しゃない。ぼちぼち行くか。

















田舎道を走り、やがて内陸のヘッヒンゲンという小さな町に入ってきた。


このあたりはマジでなんにもない孤島のようなエリアで、観光客もほぼ来ない地味な場所。



そんなヘッヒンゲンの町から脇道に入り、住宅地を抜けて農地の奥を目指す。



のどかな麦畑の中に伸びる農道みたいな一本道は、対向車が来たら離合できないくらい細い。



マジで車がないと絶対来られないような場所だな。






そんな農道の脇にキリストの石像が立っており、その背後の山に何か大きな建物が見えた。





あれだ、あれがお城だ。


あんなところにあるんだな。



俺たちが目指すのはあのお城ではなく、お城の向かいにある山の展望台だ。


どんな風景が見られるんだろう。













しばらくして里山の麓にさしかかったところで道が終わり、そこに駐車場があった。


車を止め、ここから足で頂上の展望台を目指した。










なかなか険しい登山道で、2人で休憩しながら登り続けた。


朝の湿った森の中はとても気持ちのいい空気に満ちていて、登り始めは寒かったのが、途中から火照った体に静かな冷気が心地よかった。




なめくじキモいけど。





ドイツのなめくじ、ひだひだいっぱいついててマジキモい!!!!














そうして30分くらい登ったかな。


木々の開けた展望台に出てくると、すごい景色が目の前に広がった。







「うおおお……………これはすげぇ…………」



「うわああああ……………綺麗だねえええ…………」













大地にポツリとたつ山。


その頂上にとても立派なお城が築かれている。




あのお城の名前はホーエンツォレルン城。


1200年代にはすでに存在していたお城らしい。





周りには平野が広がり、田園風景の中にまばらに小さな村が散らばっている。


それらを見下ろすようにお城が天空にそびえ、孤独な美しさを放っていた。










こりゃすげぇ。


マジでファイナルファンタジーの世界。


飛空艇が飛んできて着陸しそうだ。






それかディズニー映画に出てくるお城みたい。


僻地に存在する孤独な姿は、人にまみれたノイシュバンシュタインよりはるかにヨーロッパの城らしさがある。






またこの展望台のクオリティーが高い。



これ以上ないくらいベストポジションからお城を眺められるし、一切邪魔なものがなくて、本当に美しい。



あまりの美しさに立ち尽くして、しばらくぼーっとしていた。






こんなすごい景色久しぶりだな。


久しぶりに胸が震えるほどの景色だった。





うーん、でもこれが雲海で覆われるのかぁ…………


条件が揃うと、周りが全て雲海で覆われて、お城だけがポコンと雲から飛び出してるという状態を見られるらしいけど、この展望台からそんなもん見られたら鳥肌もんだろうな。



あー、ホーエンツォレルン城、大満足。


ここまで来た甲斐があったわー。



















さぁ、観光を満喫したらあの因縁の町に行くぞ。



車を走らせて、スイスとの国境に横たわるボーデン湖にやってきた。



さっきまでの地味なエリアからうってかわり、美しい湖畔にある小さな町々にはたくさんの観光客があふれていた。



サイクリスト、キャンピングカー、家族連れ、ヨットや釣りを楽しむ人たち、



これぞサマーシーズンの伝統的な観光地っていう賑やかな空気だ。












そんな湖沿いを走りやってきたのは、そう、あのコンスタンツ。




全裸の町ですね。


ケツの穴さらし刑に処された町です。





4年前、このコンスタンツにやってきて歩いてスイスを目指した。



コンスタンツは珍しくひとつの町の中に国境があるところで、普通の建物が並ぶ道を歩いていたらいきなり国が変わる。



電信柱の向こうは違う国って感じだ。




イェーイ面白い国境越えだーってアホヅラ下げてこの国境にやってきて、見事警察に捕まってイミグレーションの中で全裸にさせられた。




いやー、あれはなかなか恥ずかしかったなぁ…………




お巡りさんも男の全裸とか見たくないだろうけど、仕事だから仕方ないんだろうなぁ。










あの思い出があるし、当時雨も降っていたのでめっちゃ暗いイメージしかないこのコンスタンツ。


本当はボーデン湖畔にある風光明媚な美しい町としてそこそこの観光地であるはず。



スイスとの国境の町なので、スイス人が物価の安いドイツに遊びに来る町でもあると思う。



そう思いながらコンスタンツの町にやってくると、前回とは見違えるような明るい美しい町だった。






















もう観光客の数が半端じゃない!!!!



前来た時は数えるくらいしか人が歩いてなかったのに、さすがサマーシーズンど真ん中!!!



こんな町だったか!?コンスタンツ!?











旧市街の中は美しい石造りの建物が並び、ホコ天の路地がたくさん張り巡らされ、どこを歩いても人だらけ。


カフェのテラスではお客さんが優雅にビールを飲んでおり、フェリーが発着するハーバーからは新しい観光客がどんどん流れてくる。



めちゃくちゃ活気にあふれてるやん!!








でもおかげで苦労したのは駐車場探し。



ど観光地だし、金持ちスイス人がお買い物とかにやってくる町なので、駐車場料金が尋常じゃなく高い。


パーキングマシーンもユーロだけじゃなくフランも受け付けてる。




そしていつもは中心地から700メートルくらい離れればフリー路駐エリアになるんだけど、ここは1キロ離れてもバッチリ有料エリア。


結局2キロ近く離れてやっとこさ無料で路駐できる場所を見つけた。


いやー、コンスタンツすげぇ。















賑やかなのは嬉しいことなんだけど、こうなると心配なのが路上の規制。


こんなに人で溢れた町なのに他に路上やってるやつが見当たらない。



ってことはそういうことなんじゃないかなぁ…………




この前のフュッセンみたいに、観光地はソッコー警察が来て止められる可能性が高い。


前の全裸事件もあるからどうもこの町との相性はあんまりよくないんじゃないかと考えてしまう。





まぁとりあえずやるだけやってみるか!!!



人が行き交う路地でギターを鳴らした。

















はい、めっちゃいい感じ。


コンスタントにコインが投げ込まれていき、ギターケースを埋めていく。


向こうにあるカフェのテラスからもお客さんがやってきて素敵な音楽をありがとうねと言って帰っていく。



周りのお店の人たちもにこやかに見守ってくれ、すごくやりやすい雰囲気。





というところで警察やってきた!!!




うわあああああ!!!!超怖えぇ!!!!




前にそこのイミグレーションで全裸にさせられた不審者だけど、超笑顔で純粋無垢で人畜無害な旅行者パフォーマーです!!みたいな素知らぬ顔してギターを弾き続ける!!!!!




俺の目の前までやってきた警察2人!!!!




いやあああ!!!!僕ただの仔犬なんです!!!なんにもわからなくて本当ドイツのことめっちゃ好きっていうかカリーワーストおごりますから見逃してください!!!!




よし、こいつ連行して全裸だな、みたいな顔して俺の前の路上看板を睨みつけているお巡りさん。




カリーワーストにポテトとビールもつけさせていただきます!!!!








警察、笑顔で素通り。



はいコンスタンツもらった。
















そっからは絶好調。


いや、大フィーバーとまではいかないけど、コンスタントにチップが入っていく。コンスタンツだけに。



はっ!!


か、書こうか迷ったけど書いてしまった!!!




それより最近下ネタあんまり書いてませんね。


日記書いてる時のテンションによって下ネタが出てくるかこないか決まってきます。


最近下ネタモードがあんまり入りません。












1時間ごとに場所を変えながら歌っていたんだけど、昼を過ぎてから結構色んなところにパフォーマーが出てきていた。



地元の女の子たちがバイオリンでクラシックやったり、弾き語りの兄ちゃんがいたり。



カフェが集まるスクエアでは、お決まりのブレイクダンスパフォーマーたちがヒューヒューと自分たちで盛り上げながらクルクル回っている。




このブレイクダンスパフォーマーって結構いたるところにいるけど、めっちゃ疲れるだろうなぁ。



だいたい5~6人のグループで、音楽を流して交代交代に1人ずつダンスを披露するという流れなんだけど、太陽の下でハードなダンスをしまくるのは相当消耗するはず。


メンバーが多いので1人分の取り分も少ないだろうし、きついパフォーマンスだよな。



でも彼らがいると町がものすごく活気が出る。



若者の弾けるエネルギーにお爺ちゃんお婆ちゃんたちもみんなチップを入れている。








そんな中でも、路上ピアノの兄さんが1番風格がある。





古い年季の入ったピアノを台車に乗せて動かしており、人が1番多い噴水前とかでめっちゃ素敵な演奏をしている。


ピアノだけじゃなく、リズムのいい曲の時は片足でハイハットを踏んでおり、チャカチャカと音を加えている。






コールドプレイとかのポップスもやりつつ、映画音楽なんかもやってくれるので、老若男女問わずたくさんの人が彼の演奏を聞いていた。



いいパフォーマンスだなぁ。



俺たちがオーストリアの結婚式で使ったフォレストガンプのサントラを弾いてくれたので、思わずコインを入れた。














さぁ、俺もあと少し頑張ろうか!!と路地の一角で演奏開始。









ここがめっちゃいい感じで、3回のうちで1番反応が良かった。



よっしゃー、喉の調子も悪くないし、今日は4回し目までいっちゃおうかなぁ!!と思っていたところだった。





3回し目を終えて休憩しているところに1人のおばちゃんが話しかけてきた。


なにやらドイツ語でめっちゃまくしたたててくる。



いやぁ!!あなたの歌最高だわ!!私感動したわー!!!とは絶対言ってない雰囲気。



俺たちがキョトンとした顔をしててもひたすらドイツ語だったんだけど、ようやく英語に切り替えてくれた。




「あなたライセンス持ってないでしょ!!なんでライセンス持ってないのにここで演奏してるのか理解できないわ!!なに考えてるの!!警察が来たらこのお金全部取られてしまうからね!!」



「え、でもさっき警察が来たけど何も言われな、」



「それにこの町では30分で場所を移動するのがルールなの!!!あなたもうここで3時間以上やってるわよね!!何考えてるの!?」



「えぇ!?3時間!?3時間て!!僕ら時間を測りながらやってるので1時間っていうか56分で、」



「警察が来たら100ユーロ取られるわ!!ライセンスがいるのよ!!!」





もうまったく聞く耳持たない。


欧米人のおばちゃんって怒ってるとこうやって聞く耳持たない人が多いんだよなぁ。



1時間のところを3時間やってたとか、興奮してると盛るよなぁ。







まぁライセンスが必要で30分移動ルールがあるというのが本当ならばそれには従わないといけない。


おばちゃんは警察でも町の見回りの人でもなさそうだけど、路上パフォーマーは町の人からの苦情を1番尊重しないといけない。




あー、ここ最近苦情系は一切なかったので俺もちゃんとした路上が出来るようになってきたなと思っていのに、久しぶりに言われてしまったな。




まだ興奮してなんか言ってこようとしてたので、わかりましたよ、わかりましたからとなだめると、おばちゃんはニヤリと笑いながら去っていった。



さっきまで周りで演奏を聞いてくれてたお客さんたちが、あんな変なおばさんの言うこと気にしないでいいよと笑顔で手を振っていた。











荷物をまとめて今日はこの辺にしとくかなぁと広場に向かうと、路上ピアノの兄さんが休憩しているところだった。



「ハロー、質問があるんですけど、この町って路上のライセンスはいるんですか?」



「普通はね。でも君のパフォーマンスさっき見たけど、静かだし、何日もやらないんだったら取らなくても大丈夫だよ。僕はここが地元で週末はいつもやってるけど、音が大きいから警察にいつも注意されてしまうんだよね。」



「30分移動ってルールもあるんですか?」



「そうだね。でもそんなに気にしなくて大丈夫だよ。」



「そうなんですねー、なんか1人怒ったおばちゃんが来て注意されたんですよ。」



「あー、はいはい、まったく気にしなくていいから。」





ピアノマンの口ぶりから、そのおばちゃんのことをよく知ってるようだった。


きっと相当なクレーマーおばちゃんなんだろうな。
















今日は金曜日。


町は賑わいまくっており、ホコ天のお店が閉まっていっても、人の流れは全然減らない。


一応あと30分だけ歌ってみたんだけど、やっぱりライセンスのことが気になるからやめといた。



あがりは3時間半で213ユーロと3フラン、28000円。




コンスタンツにリベンジ!!!!……………はできんかったかな。





クレーマーおばちゃんだろうが、町の人に注意を受けた時点で路上パフォーマーとして良くない。



んー、この町ではいつもなんか起きるなぁ。


やっぱりここからスイス入国はやめとこ。


縁起悪すぎる。



ここよりもう少し西にある太い幹線道路の国境から入ろうかな。


大きなイミグレーションのほうがチェックがゆるそうなイメージだし。



ていうかなんも悪いことしてないけど。


















あー、コンスタンツ良いところだったな。


車に戻っていると、ホコ天の奥の広場からめっちゃ音楽聞こえてくるなと思って行ってみると、フェスティバルの会場になっていた。









無数のワイン屋台が並んでおり、真ん中にテーブルがずらりと敷き詰められ、誰もがワイングラスを片手に楽しく飲んでいた。



ワインフェスティバルなのかな?

町のそれぞれのワイナリーが屋台を出してるような感じだ。




大きな特設ステージも組まれており、賑やかなビッグバンドが派手にドイツの音楽を演奏している。


演奏に合わせて大合唱しているおじちゃんおばちゃんたち。














あーもう!!めっちゃ楽しそう!!!!



この天気の良い週末、サマーシーズンど真ん中、


ヨーロッパ中の町でお祭りが行われているはず。



大観光地でも、何にもない小さな町でも、その町の人たちが待ちに待ったお祭りがある。



忘れられた誰かの故郷でも、そこにしかないお祭りがあるんだ。








美しい川沿いの遊歩道、公園の芝生の上、たくさんの人があちこちに座ってビールを飲んでいる。


時間はもう20時だけど、太陽はまだ高いままだ。



光が輝き、誰もが外に繰り出して、この週末の夜をおだやかに楽しんでいた。



あー、コンスタンツめっちゃ良いわ。




噴水の石像めっちゃ怖いけど。













これ作った人、謎すぎるやろ……………



















もうスイスは目の前ではあるけども、コンスタンツがあまりに良かったのでもう少しこのボーデン湖周辺の町に行ってみることにした。


色々と準備もあるし、スイスインは来週からにしよう。











車を走らせ、ボーデン湖沿い見晴らしの良いパーキングを見つけ、そこに寝床を決めた。




「カンちゃん!!それではやっちゃいましょうか!!」



「了解ざえもん!!いかせていただきます!!!!」





今日の晩ご飯はこれえええええ!!!!!!



ぎゃあああああああああ!!!!!


餃子あああああああ!!!!!











さっきコンスタンツでアジア食品店を見つけてソッコーでこのキムチ餃子を買い込んだので、今日は餃子パーティー!!!!


好きな食べ物、餃子と答えるほど餃子大好きなカンちゃんなのでもう耳がすでに餃子になってる!!!!




フェスティバルに混ざって大騒ぎするほどお金はないけど、餃子パーティーなら喜んでさせていただきます王将行きたい!!!!





ていうかなにこのロケーション?














ボーデン湖を見下ろす湖畔のパーキングで、外のテーブルにガスコンロ持ってって焼きながら餃子?



焼きたての餃子食べながらエアコンで冷やしたビール?




カペエエエエエエエ!!!!!と絶叫しながら目の前には夕日に染まる湖?




湖の対岸スイス?




一口ごとに悶え苦しんでる俺たちを見て、写真撮りに来た観光客のおじちゃんおばちゃんがボナペティ~って笑顔?




超美味しい。


超美味しいのにたった4.5ユーロ?580円?







あー、ヨーロッパ最高すぎてビビる。




ドイツ、ラストスパートいくぞー!!

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