スポンサーリンク イギリスにある万里の長城 2017/2/9 2017/01/01~スコットランド, ■彼女と世界二周目■ 2017年1月29日(日曜日)【スコットランド】 スコティッシュボーダー ~ ウィットビー昨日、ハギスを食べるために田舎のファストフード屋さんで晩ご飯を買ったんだけど、2人分だしせっかくだからセットのやつにしようかと8.5ポンドの詰め合わせにした。1200円。これ。これゆうべの余り。つまり倍。受け取ったとき。イギリスのファストフード屋さんの量、尋常じゃない…………しかもウルトラ揚げ物のオンパレードにケバブ肉ドッサリという、豚になりたい人この指とまれ!!みたいな内容。めっちゃお得ではあるけど味は全部微妙という物悲しさ。「うぇ………朝からこれは………しんどいね…………」「う、うん…………おぷ…………だいたい味がほとんどしない……………」というわけで朝っぱらから揚げ物祭りで若干気持ち悪くなってから今日もスタートおえぇええええ!!!!胃は気持ち悪いけど先に進める嬉しさでテンション高め!!スコティッシュボーダーを快調に走っていくとやがて民家がなくなり、あたり一面枯れ草が広がる原野へと変わる。荒涼とした大地の中を一本道が遠くのびている。今日は早めに起きて出発したのでまだ日が昇っておらず、地平線のあたり、雲の隙間から光が差し込んできていた。そうこうしてるうちに道路際に見覚えのある石碑が見えた。その石碑に刻まれているのはイングランドの文字。ここが国境だ。よっしゃイングランド戻ってきたぞ!!スコットランドバイバイ!!!そこからもひたすら原野の中を駆け抜けていくと、しばらくして昇ってきた太陽が、立ち込めていた雲を吹き飛ばすかのように力強く光りだした。雲は次第に散り散りになっていき、差し込んだ光で大地がゆっくりと輝き出す。草木も、アスファルトも、うねる丘陵も、羊たちも、全てが照らし出されて鮮明になっていく。なんかそれがすごく神々しかった。窓を開けて空気を胸いっぱいに吸い込むと、体の中の影が全て取り払われるようだった。やがて農地の草原が広がる中にポツリと小さな町が現れた。チェスターという町だ。ささやかな中心部を抜けて町外れに向かって走っていくと、しばらくして草原の中に細い脇道がある。そこを入って奥に進んでいくと小さな小屋が現れた。今日の最初の目的地はここ。かつてブリテン島はローマ帝国の人たちが支配する土地だった。時代は紀元前に遡り、約500年間、ローマ人が今のイングランド地域を支配した歴史があり、今もイギリスの各地に当時の遺跡が残っている。そのローマ帝国時代の歴史がもっとも色濃く残っているのがこのイングランド北部、スコットランドとの国境線付近に広がるエリアだ。今日はこのエリアを攻めていこう。チケット売り場で1人6.1ポンド、870円のチケットを買うと見せかけてヘリテイジパスで無料で入場すると、そこには立派な遺跡が広がっていた。くすんだ石で出来た基礎が地面に残っており、人の暮らしの跡が確かに見て取れる。ここはコーブリッジローマンタウンという遺跡で、1800年ほど前のローマ軍の町だったらしい。いくつもの建物がここに並んでいました、という再現写真がパネルに貼られている。遺跡の真ん中に建物に挟まれた広い道らしきものがあったんだけど、これはこの町のメインストリートだったらしく、当時はまるでお祭りのような賑わいでしたと説明してある。人、馬が入り乱れている活気のある写真の様子を見てから目を上げると、そこにあるのは寂寞とした石積みのみ。こうした遺跡は数え切れないほど行っているので別に珍しくはないんだけど、毎度行くたびに新鮮な感覚に震えがくる。ここに人がいて、暮らしがあった。甲冑をまとった騎士たちが馬に乗って草原をかけていたんだ。昔、北海道を一周している時に、道東や道北の田舎道の先に、よく廃村を見つけていた。かつて入植してきた人たちが村を作り、何年かわからないけどそこで暮らし、その後、なにがしかの理由で人々はそこから離れた。そうして廃村になった集落には崩れた民家が放置されて崩れており、すごく物悲しかったのを覚えている。そんな中ではっきりと覚えている風景がある。ある廃村の中を走っていると、集落のはずれに少し大きな建物があった。それは小学校だった。半壊してズタボロになり、グラウンドだったであろう校庭には草がボーボーに生えていた。そんなグラウンドの端に1本の桜を見つけてすごく驚いた。ちょうどその時の季節は5月くらいだったんだけど、その桜は見事に花を咲かせていた。もう何十年も前に人が去って取り残されてしまった小学校。校舎の中は天井が落ち、壁が剥がれ、水飲み場があった。雪国らしく、木製の犬ぞりなんてものも置いてあった。そんな廃墟の前で今も毎年、人知れず可憐に咲いている1本の桜。かつてここで生徒たちがこの桜を見て春を感じていたはず。そんなことを思うと胸が震えたもんだった。それと同じだ。1800年前にここに人の暮らしがあって、時がそれをゆっくりと風化させていく。いつか俺たちの時代もこうやって埋もれてしまうのかな。観光地はいいなぁ。人間の命の儚さを教えてくれ、今を生きる大事さを教えてくれる。コーブリッジローマンタウンをはじめとして、この一帯には無数の遺跡が存在しているんだけど、これらは全てある壁に沿って作られている。それがハドリアンズウォール。かつてのローマ帝国の皇帝が、2世紀に建設したもので、ブリテン島の西海岸から東海岸まで続くこの城壁は全長120キロ。建設の理由としては、現在のスコットランドエリアにいたケルト人たちの侵入を防ぐためだったという。かつてヨーロッパの大部分を支配してこの島国にまで領土を拡大していた強大なローマ帝国が、どうしてブリテン島の残りのちょこっとを放棄したのかを考えると、なんだかロマンがある。面白いことに現在のスコットランドとイングランドの国境とだいたい同じ位置にあることも、何か理由があるんじゃないかな。ただ茫洋とした草原が広がるのみの寂しい原野の中を走っていると、草原の中にこのハドリアンズウォールの残骸が点在しているのを見ることができる。もはや崩れて壁だったのかなんなのかよくわからないくらいしか残っていないけど、これがずっとどこまでも続いていたのかと思うとかなり壮大なスケールだ。ちなみにこのハドリアンズウォールは世界遺産。車を走らせながら、壁の一部を見つけてはカンちゃんと散歩して回った。壁は崩れて放置され、風雨にさらされ、草に埋もれて消えていく。そうして少しずつ少しずつ崩れていき、きっと、あと何百年後にはもう残っていない。そう考えると、俺たちの時代にまで残らなかっただけで、世界には消えていった人の暮らしが無限に存在するはず。美しい遺跡だってたくさんあったはず。マチュピチュだってモアイだってパルテノン神殿だってみんなそうだ。今この世界にそれらが残っていて、巡り会えてることに感謝しよう。冷たい風が見渡す限りの草原の向こうから吹いてきてすごく気持ちよかった。はるか向こうにある農家の一軒家。あれだってなんだか遺跡みたいだ。そんな遺跡祭りのハドリアンズウォール。中でも1番有名なのがハウススティーズ砦という場所。入場料は1人7ポンド。980円。でもヘリテイジパスで無料。イヤッホゥ!!ヘリテイジパスめっちゃ活用してるううううえええ!!ひょおおおお!!!と思ったら、えええええええええ!!!!!割引されとる…………俺たちが買った時より3300円も安くなってやがる…………みなさんも買う時期はお気をつけください…………小高い丘の上にかなり立派な砦が築かれていたようで、ここもまた石の基礎に生活の跡が色濃く残っていた。草原の中に散らばる石積み、向こうをのどかに歩いている羊たちの群れ。「ねぇ、どうしてここが将軍の家で、そこが食料庫で、あそこがお風呂でとかそんなことがわかるの?こんなボロボロだったら見分けつかなくない?」「んー、出土品でわかるんじゃない?壺とか、武器とか、装飾品とか、色んなものがその場に埋まっていただろうからね。」そんな砦跡で1番面白かったのがこれ。これって共同トイレだ。パネルの写真を見たらわかるように、みんな等間隔に穴の空いた板に並んで座って用を足していたみたい。目の前には水の流れる細い水路が通っており、みんな済ませたあとにここから水をとってお尻を拭いていたのかな。砦の中でも1番はっきりと当時の生活感が見られる場所だ。「当たり前だけど1800年前からこっちの人は洋式トイレなんだね!!すごいね!!」「ていうか間仕切りがないよね!!でも周りの人のウンコが見えないだけマシだから、中国のトイレって1800年前の人たちに負けてる!!」ニーハオトイレで自分のところに前の人の武器が流れてきたときの悲しみったらないよね…………よっしゃ!!ハドリアンズウォールとその遺跡群、他にもまだまだあるみたいだけどこれくらいで大満足!!うーん、思い返してみるとイギリスの観光地、結構行ったなぁ。もう気になっていためぼしいところはほとんど回ったけど、最後の町リバプールでのビートルズ巡りまで、まだもう少し時間がある。あと何ヶ所綺麗なところを見られるかな。ウェールズも行かなきゃな!!というわけで今日はそれからだいぶ南下して走り、途中にあった道路際のパーキングに寝床を決めた。カンちゃんの新メニュー!!カレードリア美味すぎる!!!!もはや車中泊のご飯、無敵すぎる!!