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スカボローっていってもまさかあの曲とは関係ないですよね!

2016年12月22日(木曜日)
【イングランド】 ハル ~ ブリドリントン ~スカボロー





プリングルスのソルトアンドビネガー、まじで美味しい。





プリングルスも結構国によってご当地味があるけど、イングランドはソルトアンドビネガーになるのかな。


もうマジでほとんどのメーカーのポテトチップスにソルトアンドビネガー味がある。



しかもテスコのプリングルス、99ペンス。140円。超安い。

あのプリングルスがポテトチップスの中で1番安い。






ソルトアンドビネガーってめっちゃマイノリティーな味じゃないですか?

それが普通の塩味の次くらいにある。


俺はこのソルトアンドビネガーがポテトチップスで1番好きな味だからどこの国に行っても探すんだけどなかなか見つからない。


日本だったらフレンチサラダ味ってのがこの酸っぱいソルトアンドビネガー味になりますよね。



イングランドではソルトアンドビネガーがポテチ界を席巻してます。

イギリス人の味覚にはこれが最高なんだろな。





というわけでソルトアンドビネガーくらい真っ青な空、久しぶりいいいいいいいいいいいいいい!!!!!




やったぜコンチクショウ!!
晴れただけでめっちゃ得した気分になるわ!!
















カンちゃんの作ってくれた朝ごはんを元気に食べまくり、車のエンジンをかける。

目的地だったスカボローまであともう少しだ。


ハルという結構大きめの港町を出て北に上っていくと、すぐに草原が広がる牧草地帯になった。

風が柔らかく吹き渡り、遠くに見える海に消えていく。



青と緑。その中の一本道。


のどかで、伸びやかで、開放感があって、どこかイングランドの南で感じていた閉塞感が吹き飛ばされていくようだ。

寂しげで、とても気持ちよかった。





















スカボローの少し手前にブリドリントンという港町があったので試しにちょっと見ていこうと寄ってみたんだけど、残念ながら歌えるような通りがない。


人通りは多いんだけど、どこも車道に面しておりこれでは生音ではキツそうだ。




ただ他にパフォーマーが見当たらなかったのは良かった。

こんな感じで北にはあまりパフォーマーがいないことを願いながらまた車を走らせた。






















そして14時くらいにようやくスカボローの町に入ってきた。

水平線をのぞむなかなか大きな町で、どこかいいポジションは見つかるかなぁと中心部に向かっていると、海沿いの空に大きな廃墟のようなものが見えた。


あれはスカボロー城だ。


地図を見ると、町からぴょこんと陸地が飛び出しており、その突端の崖の上にお城が海に向かっている。

スカボローに来たのはこのお城も理由のひとつだった。



海にそびえる古城だなんて寂しげな光景をこの師走に見たかった。

きっと世間の慌ただしさを忘れさせてくれると思ったから。

















住宅地に車を止めてメインのショッピングストリートに行くと、もうとんでもない数の人がホコ天の通りを埋め尽くしていた。





なんじゃこりゃーーーーーー!!!!

祭りか!?!?なんか祭りやってんのか!!??


あまりの人の多さにビビっていたらいきなり雨が降り出した。


ええええ!!!?さっきまですっごい青空だったのにギター持って町に来たら雨ってイジメ?!なにそれビビる!!!





とにかくホコ天の真ん中にあったショッピングセンターに入って雨宿りしたんどけど、ここワイファイサクサク。

いい感じのカフェもあって作業場所ゲット。


なにスカボロー、もう結構好き。







そしてしばらくしたらかろうじて雨が止んできた。

路上やるぞ!!

濡れた地面にギターケースを置き、ギターを構える。


クリスマス前だからなのか、マジで人通りが尋常じゃなくて、でもこの状況ってあんまり良くはない。

雑踏に紛れてしまって誰も聞いてくれない可能性がある。



そしてこのめっちゃいい感じのショッピングストリートに他にパフォーマーがいないのも気になる。


これがイングランドの南だったら確実にアンプ使って爆音で演奏してるやつがいるのに、もしかしたら禁止されているのかもしれない。



とにかく、とにかくやってみなきゃ何にもわからん。

チューニングを終えてフゥと深呼吸してタバコを吸っていると、素敵なおじさんが笑顔で50ペンスを投げ入れてくれた。


おお、こいつはテンション上がるぞ。



気合い入れて演奏開始!!オラァ!!




















反応が薄い……………


ええええ……………めっちゃいい感じだと思ったのにー……………


パラパラとは入るけど、サイレンセスターでの反応に比べたらなかなか寂しい。

人通りはウケるほどあるのに足が止まらん!!チクショウ!!




「うううううーー……………死ぬーーー………死ぬよー………………」



横で見てくれているカンちゃんが寒さで死にそうになっている。

今日はかなり寒い。

俺はまだ演奏して体を使ってるからマシだけど、見ているだけのカンちゃんは相当寒いはず。




「フミ君…………さっきのショッピングセンターで作業してきていい……?寒くて死ぬ………それに生産性のある時間を過ごさないと…………」



「うん、いいよ、行ってきなー。」



カンちゃんが作業しに路上場所から離れるのは結構寂しい。

でもカンちゃんの仕事はネット作業だ。

ワイファイのある場所に行かないといけないし、お互い時間を無駄にせずにちゃんとやるべきことをやらないといけない。




しかし、そう言ってパソコンを持ってショッピングセンターに行ったカンちゃんが20分くらいしてすぐに戻ってきた。




「あれ?どうしたの?パソコンの充電切れた?」



「ううん………フミ君が寒い中で頑張ってるのに私だけ中にいるのがなんかなーって思って。」



そんなん気にしないでいいのに。
ありがとうね。












ひと回しを終えて喉の調子が良くなってくるとコインの入りが良くなってきた。

16時を過ぎて暗くなり、町に明かりがともると雰囲気が増してアコースティックの音が綺麗に通りに響く。



そして夕方になって人通りが少し減って、雑踏に演奏がかき消されなくなってきてからはバンバンコインが舞った。


やっぱりキチンと演奏が耳に届いたら入れてもらえるんだよ。


めっちゃいい感じやん。

この町は夕方からの町だな。







「ヘイ君、今夜はなにしてるんだい?」



そこにちょっとロックな雰囲気を醸し出しているおじさんが声をかけてきた。



「この通りをくだった右側にパブがあるんだけど、今夜21時からオープンマイクがある。君に是非来てもらいたいよ。ユーアーモアザンウェルカムだよ。」



そう言っておじさんは去って行った。


おおお…………パブのオープンマイクか…………




オープンマイクっていうのは飛び入りライブのこと。

キチンとプログラムが決まっているライブとは違い、誰でも名乗りをあげて演奏することができる。

日本でもよくあるイベントだけど、それがイングランドのパブってなるとちょっと話が変わってくる。



な、何歌えばいいんだろう……………このイングランドで……………

怖い……………







「ヘイ君、24日の午前中は何してる?」



今度は普通のおじさんが話しかけてきた。



「僕のお店の前で歌ってくれるシンガーを探していたんだ。24日の午前中に歌ってくれないかい?ギャラは30ポンド払うよ。」



「え、ああ、どんな感じですか?」



「10時から12時の2時間。クリスマスソングをよろしくね。」



「に、2時間クリスマスソング!?」



「そう。それっぽかったらクリスマスソングじゃなくても構わないから。じゃあシクヨロね!」




シクヨロじゃねぇよ…………

2時間クリスマスソングてなんの荒行だよ…………






でもとにかく、こうして町の人たちに俺の歌が受け入れてもらえたことはとても嬉しかった。


コインもどんどん入り、気がつけば19時になっていた。

久しぶりにこんな時間まで歌ったな。


今日のあがりは3時間で82ポンド。11800円。

前半が悪かったのを考えると後半の追い上げがすごかったな。



え?なに?スカボロー結構好き。




















路上を終えて今日はものすごく久しぶりに外食にすることにした。

やってきたのはいたってシンプルなケバブ屋さん。


マジでビビるんだけど、この俺とカンちゃんがイギリスに来てからまだ1回もドネルケバブを食べてないという奇跡。

内陸ヨーロッパではめっちゃ主食なのに。


だってドネルケバブが5ポンドもするんだもん…………720円て……………ファストフードの域超えてるよ…………


オーストリアだったら430円なのに…………



というわけで今日もケバブではなくピザを注文。

ラージのマルゲリータが7ポンド。1000円。






1000円でこのサイズのピザなら悪くない!!

味もまぁまぁ!!




「いやー!カンちゃん外食久しぶりだねぇ!」



「うんー!洗い物しなくていいから嬉しいー!!」





2人でパクパクとピザを頬張って腹ごしらえが完了したら、さぁ、いざパブに向かうか…………


うー!緊張する!!!!

イギリスのパブでオープンマイクだなんてミュージシャンの端くれとしてなかなか壮大なミッション!!!



ふぅ………ビール瓶投げつけられたらどうしよ……………
















めっちゃ緊張しながら教えてもらった道を歩いていると、ホコ天から外れた静かな通りに男たちが外でタバコを吸ってるお店を発見。


古めかしい外観で、ガラス張りの中にはめっちゃたくさんの男たちがグラス片手にビールを飲みまくっている。




ぐおお………こ、ここで歌うの?






中に入るともうすごい盛り上がりで、イエエエエエイ!!!フオオオアオオ!!!と絶叫が飛び交っている…………

ビール瓶、10本は余裕で飛んできそう……………













見事なまでに男しかおらず、木の床には割れたグラスとビールが散乱し、男たちがなにやら喧嘩して摑み合いをしているし、その横でテーブルの上にあがって踊ってるオッさんもいる……………

ビール瓶50本かな…………




「ファッキンすまねぇな!!フォウ!!!今日はファッキンクリスマスパーティーなんだ!!イヤッホゥ!!」



そう叫びながら戸惑う俺たちの肩を叩いてくる兄ちゃん。


荒れたクリスマスパーティーですね………













ファックが1秒に10回くらい飛び交うダメ野郎たちのたまり場みたいな壮絶な店内でとりあえずビールをゲットして飲む。


この黄色いビール美味しい。フルーティーなの好き。





店の奥にはギターとスピーカーが置いてあり、確かに今夜イベントがありそうな雰囲気だ。




よし、このままこの乱痴気騒ぎに混ざって後ろほうでライブを見て、素知らぬ顔してスムーズに脱出という方向で…………




「ヘイメン!!よく来てくれたね!!じゃあライブの主催者に紹介するからカモン!!」



ヌヒョウ!!!

さっき路上で声をかけてくれたロックなおじさんに見つかってしまい主催者のところへ連行される猿1匹。




「ほう、なんだ?今夜歌いたいのか?ふーん、分かった。それじゃあよろしく頼むぜ。」



いきなり連れてこられた猿を見て主催者の兄さん、品定めするような感じで承諾。


脱出不可能。


俺たちのホームに飛び入りかい。舐めた演奏しやがったらケツにギターヘッド突っ込んでクレイジートレインだぞ?みたいな雰囲気になりカンちゃんのところに戻る。




「や、やっぱりやるの……?大丈夫?私のほうが緊張してきたあああ!!」



いや、今まで日本全国のライブハウスを回ってそこそこ無茶な状況の飛び入りをたくさんしてきた。

昔は情けない演奏しかできなくて、締め殺すぞ?みたいな雰囲気になったこともたくさんあった。


でもそんな中で頑張って少しは場慣れして拍手をもらえるようになってきたつもりだ。



うん!!イギリスがなんだ!!日本のライブハウスだってすごいオッちゃんとかいっぱいいるんだぞ!!


よーし、やってやる。


ミチロウさんの前座をやったときに客席全員殺し屋みたいなパンク野郎たちだったこともあったじゃないか!!

やってやるぞ!!!













そして21時。

今夜のオープンマイクライブ、スタート!!


1発目は主催者の兄さん!!




うん!!上手い!!


フィンガリングもストロークの低音高音倍音の使い分けも上手い!!

ぐふううう………緊張するぜ………………









そして2番手のおじさん!!!


ハットをかぶってベストを着た、産湯はミシシッピ川でクロスロードで20円で魂売りましたみたいなブルースマンがギターを持って椅子に座る!!!


ぐおおお…………どんなブルースカマしやがるんだ…………






と思ったらめっちゃ普通!!!!

サラリーマンのおじさんが家で長渕ポロポロやってる感じ!!!



それからも高校生のコンビが出てきたりして、みんな趣味の延長みたいな感じで、もちろん全員上手いんだけどアットホームな田舎のフォーク喫茶って雰囲気だ!!!









「イェーイ!!みんな!!次は新しいジャパニーズの友達の登場だぜ!!世界一周してるバスカー野郎だビッグな拍手シクヨロー!!」



「フーフー!!」



「イヤッハーーー!!!」




そしてとうとう俺の番。

こんな田舎のパブに日本人が来ること自体超珍しいはずなのにそいつが飛び入りカマすってんだからみんな盛り上がる。

どんな演奏するんだ?っていう期待感が視線とともに注がれやがる。




ふぅ、落ち着け、落ち着けよー、


気合い入れて、でも心を鎮めて、ゆっくりと丁寧に歌い始めたらいきなり声が裏返ってカントリーハウスに紛れ込んだときのブルースブラザーズ並みにビール瓶投げ祭り会場になって泣きながらウンコ漏らしてメリクリ!!




















結構盛り上がりました。


ニールヤングのハートオブゴールドがウルトラ盛り上がって店内大合唱になって、俺のこと品定めしていた主催者の兄さんも満面の笑顔でグッジョブメーン!!


最後はやっぱりイングランドのパブなので、思いきってストーンズのデッドフラワーをブチかまして終了。



「ヘイブロー!!いかしてたぜ!!」



「最高だったぜ!!やるじゃねぇか!!」




お店の荒くれ者たちからたくさん声をかけてもらえてめっちゃ、めっちゃホッとした。



あー、怖かったあああ……………


それにしてもイングランドのパブでストーンズやっちまった!!!!

こんなことってあるんだなぁ!!!


いやー!!スカボローもう好き!!!







「ヘイメン!!なんでスカボローに来たんだい!?どうしてこんな地味な町を選んだんだい!?」



「それは名前がサイモン&ガーファンクルの曲名だったからです!!まぁ関係ないんでしょうけどね!!」



「おいおい、スカボロフェアーはこの町の曲だぜ!!なんだ知らなかったのかブローメーン!!」





ええええええええええええええええええええええええええけええええええええええええええええきええ!!!!!!!!



ま、マジで!!!????!!!!!



聞くところによるとスカボロフェアーっていうのはこの辺りに伝わる古くからの民謡みたいなもので、それをサイモン&ガーファンクルがアレンジしてカバーしたんだそう。


かつてこのスカボローはイギリスの交易の拠点として栄え、夏場に大規模な市が開かれていたそうで、その市にはイギリス中だけでなく内陸ヨーロッパからも人が訪れていたらしい。


その市の名前こそスカボローフェアー!!


ビビる!!!!!
スカボロフェアーの町に来てしまったし!!!!




アーユーゴーイングトゥースカーボローフェアー♫っていうか今来てるし!!!!!



イギリスやべえええええええええええええええ!!!!!!!!














それからもライブは進み、満を持して登場したのが俺を誘ってくれたロックなおじさん、グラハムさん。

グラハムさんのパフォーマンスはポエトリーリーディング、つまり詩の朗読とのこと。


ライブハウスでは結構見かけるパフォーマンスなので別に珍しくはないんだけど、グラハムさんのパフォーマンスはマジでイカしてた。





全身を使ってまるでラップのように韻を踏みながらバッシバシ言葉をぶちかましていく。

音はなし。言葉だけの直球勝負なんだけどめっちゃグルーブしまくってて、お客さんたちみんな喋るのを止めて聴き入ってる。


黒人指導者の演説みたいにノリがやばくて、他のミュージシャンの時にはなかった大喝采が店内に響き、ポエトリーリーディングという集中力の要るパフォーマンスでこの騒々しい店内を根こそぎもっていっちまった。


グラハムさんすげえ!!!!



「グラハムさん、マジでカッコよかったです!!最高でした!!」



「ありがとうね!フミもすごく良かったよ!!これは僕からのプレゼントだ!!」



そんなグラハムさんが俺に渡してくれたのは、グラハムさんの詩集だった。

おおおお、こりゃ最高のプレゼントだ。













パフォーマンスした人にはビール1パイントが無料で振る舞われ、大盛り上がりのパブの中でそれを飲んでいい気分になった。


たくさんの人が声をかけてきた。

荒くれ者だけどみんな人懐こくて優しくて、いつもの楽しいコミュニケーションができた。




あー、ヤバい。

めっちゃ楽しい。


腰の座る居心地のいい町をやっと見つけた気がする。




スカボロー、もう大好き!!!!!

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