スポンサーリンク やっとイギリスの懐に少し入れた気がする 2016/12/29 2016/12/01~ イギリス, ■彼女と世界二周目■ 2016年12月17日(土曜日)【イングランド】 サイレンセスター車を降りると、いつものように霧が町を閉ざしていた。くすんだ石積みの民家が霧の中に並び、絵本の中に迷い込んだような怪しい雰囲気だ。本当イギリスは毎日こんな天気だな。今日は土曜日。オーストリアでは朝の7時くらいからサタデーマーケットをやっていたので、そのつもりで早めにギターを持って町に向かったんだけど、まだメインストリートに人は全然出ていなかった。とりあえず腹ごしらえしとこうとスーパーマーケットのテスコに行き、そこでパイとコーンサラダを買って食べた。この国にはこうしたコンビニのオニギリとかカップラーメン的な、すぐに食べられるご飯が充実しているのが嬉しい。そしてスーパーで買えばかなり安くつく。このパイが1.85ポンド。260円。朝ごはんを簡単に済ませてからショッピングストリートに行ってみると、ぼちぼち人が出てき始めていた。霧の中をたくさんの人が行き交っている。よーし、こいつはいいぞー、久しぶりのホコ天での路上だ!!とはやる心を抑えながら、とりあえず通りにあるカフェでお持ち帰りのカプチーノをゲット。朝のコーヒーで一服して気合い入れて歌うぞー!!!と店を出ると、あ!!えええええ!!!さっきまでいなかったのに、ホコ天の真ん中でスピーカーでオケ流しながらアコーディオン弾いてるオッさん!!!ちょ!!今!!たった今カフェに入ってた3分の間に開始したの!!???チクショオオオオオオオ!!!!またかよ!!!いつもこんなだよ!!イギリスやる場所がねぇ!!!このアコーディオンのオッさんがいる以上このホコ天は潰れたので、他の場所を探さないといけない。一応さっき目をつけていたスーパーマーケットの前にやってきた。ホコ天のすぐ裏手にあるこのテスコは常にたくさんの人がやってくるようだし、ここの大きな駐車場にみんな車を止めて町にお買い物に行くよう。いい感じで人の流れの真ん中に位置しているので、もしかしたらイケるかもしれない。というわけでテスコと駐車場と町への通路がうまいこと重なってるポジションでギターを構える。頼むから誰も止めに来ないでくれよー……………ビビって周りをキョロキョロしながらカプチーノを一口。タバコを吸い終えたらゆっくりと歌い始めた。マジで大フィーバー。コインが絶え間なく入っていく!!!誰もが笑顔で声をかけてくれたり親指を立ててくれたりして、どんどん気分がのってくる!!!うわあああああ!!!ついに!!ついに稼げる場所を見つけたぞ!!!拍手をもらえ、嬉しい言葉をもらえ、イギリスに入って初めてこの国の人たちの笑顔を見た気がした。初めてこの国の人の、本当の感情に触れた気がした。やったぜコンチクショウ、やっぱり稼げる場所は必ずあるんだよ。まぁ俺が本当に一流のパフォーマーだったら場所なんか関係ないんだろうけどね。すごい人はどこの国のどこの町でやろうが人だかりを作ってめっちゃ大喝采をもらえる。チマチマと色んな町を巡って場所探ししているうちはまだまだってことなんだろうな。3回しを終えて久しぶりの長時間路上にさすがに喉が疲れてきた。こりゃそろそろやめようかなぁって思ってきたんだけど、人通りはまだまだある。稼げるうちに稼いでおかないとこの先どうなるかわからないぞ。根性でもうひと回しいくぞと歌い始めた。喉は少しかすれてきている。でもまだ大丈夫。まだ気合いを込めればいい声は出てくる。するとその時、可愛らしいお婆ちゃんがスーパーのほうから歩いてきて、俺の前で立ち止まった。そして横にいたカンちゃんに、これあなたたちにプレゼントよ、メリークリスマスとニッコリ笑って何かを手渡してきた。それはチョコレートの箱だった。立派な大きい箱で、中にたくさんのチョコレートがはいってるやつだ。メリークリスマスって言ってこんな素敵なものくれるなんて…………さらに今度はサングラスをかけた犬連れのおじさんが足を止めてくれた。そのサングラスの雰囲気から犬が盲導犬だというのはすぐにわかった。おじさんはおもむろにポケットから財布を取り出し、俺のギターケースに5ポンド紙幣を入れ、ニッコリ笑って、ブリリアントな声だぜと言って歩いて行った。めっちゃ嬉しかった。あそこで路上を切り上げていたら出会えなかったこのふたつの瞬間。いつだって、もう1曲歌えば、もう1曲歌えば何か面白いことがあるかもしれないって思う。ここで諦めずにもう少し頑張れば何か奇跡が起こるかもしれない。でも逆に早く切り上げていれば、他の場所で何か違うことが起きるかもしれない。未来のことは誰にもわからん。でも何があるかわからないにしても、精一杯努力した先に出会えたもののほうが価値があるような気がする。「2人で旅してるのかい!?それは素晴らしいね!良かったら今夜ウチに泊まりに来ないかい?僕は日本にも行ったことがあって日本がすごく好きなんだよ。」1人のおじさんが声をかけてきてくれた。いい路上が出来てると思える時にはこういうお誘いも重なるんだよなぁ。本当面白いよなぁ。今日のあがりは4時間で187ポンドと2ユーロ。27500円。誘ってくれたおじさん、リーおじさんの家は町の中心からすぐのところにあり、とても広かった。奥さんは20年以上前に亡くなったようで、家の広さが少し寂しげだった。「ウヒョー、なんだい日本人が来たのかい!?そいつはファニーだぜー!!うひょひょー!!」でもそんな寂しげな雰囲気を明るくしていたのがお友達のナイジェルさん。まるで自分の家のようにくつろいだり作業したりしてて、さらには合鍵まで持っており、最初は一緒に住んでるのかな?って思ってしまうほどだった。そっちのケがあるのか?って一瞬不安になったけど、ナイジェルおじさんはちゃんと自分の家が近くにあり息子さんもいる。ただ単にあまりにも仲良くて、いつもリーおじさんの家に入り浸っては2人で過ごしているんだそうだ。「いつも車で寝てる!?オーマイゴッド!ウヒャヒャー!!ファニーだぜー!!」ビールを飲みながら大笑いしてるナイジェルおじさんと優しい笑顔で穏やかに喋るリーおじさんの組み合わせはとても素敵なコンビだった。「よし!それじゃあちょっとパブに行こうか。今夜は土曜日だからライブミュージックをやってるからね。フミは音楽が好きだろ?」そう言うリーおじさんとナイジェルおじさんと4人ですぐ近所にあるパブに遊びに行くと、田舎の酒場って雰囲気の店内にたくさんのお客さんがすし詰め状態になって盛り上がっていた。天井にはこれまで提供してきたビールの銘柄のラベルがズラリと吊り下げられておりとても雰囲気がある。リーおじさんとナイジェルおじさんはほとんど毎晩ここに来て友達とお喋りを楽しんでいるんだそう。ただお酒を飲むのはナイジェルおじさんだけでリーおじさんは健康のこともあっていつもソーダ水しか飲まないんだそう。酒は飲まなくても毎晩パブに来て近所の人たちとお喋りを楽しむ。そうした地元の人たちの憩いの場がパブなんだなぁ。パブってのは公共の場、パブリックハウスの略っていうくらいだもんな。その夜のライブミュージックはまぁなんとも面白いもんで、完全なる80年代テクノミュージックだった。シンセサイザーを使ってバリバリのエレクトリックテクロ。しかも歌っているシンガーさんがまた80年代を体現したような人で、細いサングラスにタイトな服を着て個性的な振り付けで踊りながらパフォーマンスしている。その振り付けが面白すぎて、まさに80年代のダサカッコいい感じが最高に楽しかった。田舎のおじさんおばさんたちも、ぷりぷり体を振って週末の夜を楽しんでいる。イギリスのパブなんだからもっとこうゴリゴリのブリティッシュロックを想像していたのに、そのあまりのギャップに感動すらおぼえてしまった。これがイギリスなんだなぁ!!あー!やっと少しだけイギリスの懐に入れた気がする!!この夜はほどほどにビールを飲み、ライブを楽しんでリーおじさんの家でゆっくり眠らせてもらった。こっからもっともっとイギリスの国と人に近づいていくぞ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~台湾のホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!アジアのご飯が恋しいです。カンちゃんの友達の台湾人の女の子が作ってくれたルーロー飯、美味しかったなぁ。台湾は今回は行くかわからないけど、機会があったらルーロー飯食べよ。どうもありがとうございます!!