スポンサーリンク チロルの本当の実力、超絶景まみれ 2016/10/27 2016/09/07~オーストリア②, ■彼女と世界二周目■ 2016年10月16日(日曜日)【オーストリア】 リーエンツ ~ インスブルックガランゴロン、ガランゴロンガランゴロン、ガランゴロンそんな音が一晩中聞こえていた。近くから遠くから。そして朝、車を降りるとそのガランゴロンがまだ聞こえてくる。ドイツのマイケルが言ってた言葉を思い出す。アルプスで放牧されている牛につけられたカウベル。その音が俺たちの故郷の音なんだよって。この音はカウベルだ。どこからともなくガランゴロンという大きなベルが揺れる低い金属音が、草原の中にしみじみと散らばっていた。そうだ、俺たちは今アルプスにいる。その事実は目の前の絶景がより強く教えてくれる。連なる山々。雪をかぶった頂。深くえぐれた谷と可愛らしい集落。どこまでも伸びやかで、どこまでも清々しく、雄大だった。こんな空を飛べたらどれほど気持ちいいだろう。実際パラグライダーで飛ぶアトラクションもあるだろう。今日は朝から最高の晴天。移動日ドライブにこれ以上ない天気だ。そして予想通り、いや予想をはるかに越えて、今日の移動は素晴らしいドライブになった。リーエンツを出発する前にやっておきたいことがあった。晴れ渡る空の下、町に戻ってきた。そして住宅地の中をクネクネと入っていき、ひとつの団地の前にやってきた。そう、ここはリンダおばちゃんの家。2日前にお世話になったリンダおばちゃんの優しさに対して、俺たちが何を返せるだろう。日本食を作る?おばちゃんは日本に何年も住んでた人だ。そんなのお手の物のはず。現金を渡す?馬鹿げてる。アパートの呼び鈴を鳴らしてもおばちゃんからの応答はなかった。もしかしたら日曜ミサに出かけているのかもしれない。あの敬虔な信者であるおばちゃんならきっとそうか。結局ドアの前に、昨日買っておいたジュースやクッキー、腐らない食材などをたくさん入れた袋を置いて、手紙を添えておいた。こんな気の利かないものしか返すことができないのが不甲斐ない。でもそれしか思いつかなかった。いつかまたヨーロッパに来た時に、おばちゃんに元気な顔を見せに来よう。きっとそれが少なからず恩返しになると信じたい。リンダおばちゃん、本当に本当にありがとう。おばちゃんからもらった優しさ、絶対に忘れない。リーエンツを出発してからは大絶景のオンパレードだった。もうため息ついて息を飲んでまたため息ついて、忙しくてたまらない。なんせカーブごとに想像上の絵画のような風景がフロントガラスに現れる。雄大な山々、きらめく紅葉、複雑に入り組む谷と尾根、そんな驚異的な大自然の中に集落が散らばり、歴史ある美しい教会がピョンピョンと尖塔をのばしている。その対比があまりにもすごい。すさまじい山々のスケールとミニチュアみたいな教会が織りなすコンビネーションは、自然の壮大さと人間の営みの力強さを伝えてくる。人間は木でなんでも作ってしまう。そしてその木は、この大地から無数に勝手に生えてくる生き物なんだよな。来るときにも通った有料の峠道を、11ユーロ払って今日も越えていく。1250円。そして元の国道に戻ってきたらそこから西へハンドルを切ってさらなるチロルの懐へと突き進む。今日の目的地はチロル地方の大都市、インスブルック。こんな超絶山奥にありながら、オーストリア有数の大都市であるインスブルックとは一体どんな町だろう。近代的なビルが立ち並ぶ味気ない都会なんかじゃなければいいんだけど。いや、それはないか。なんせここは中世がそのまま残るヨーロッパの生き字引、オーストリアだ。そこからも、もうひたすらに絶景、絶景、絶景、絶景。これぞアルプス、といったちょっと膨らみすぎたイメージを軽く超えてくるような大パノラマが車窓を飛び去っていく。雪山、湖、草原、放牧された牛、そしてまた教会の尖塔。ただガソリンはかかる。山越えばかりで坂道がものすごく多い。今の所オーストリアのガソリンは安いところで1.1ユーロくらい。125円。高いところで1.2ユーロ。137円。このチロルはさすがに山間部なので比較的ガソリン代も高めだ。でもそんなわずかなガソリン代の違いなんて話にならないほどこのチロルは美しい。大山脈の中には無数のスキーリフトが町ごとに山に向かってケーブルを伸ばしており、もうすぐ訪れるスノーシーズンの幕開けを今か今かと待ちわびているようだ。お、スワロフスキーの巨大な会社発見!!スワロフスキーってチロルで生まれたブランドなんだな。ていうかこんな田舎町にあるんだ!!あ、あとこのあたりは峠道が有料の場合があるのでご注意。今日は移動日。そして1週間お疲れ様のご褒美としてキャンプ場泊だ。暖かいシャワーを思う存分浴びて、キッチンで楽しいお料理ってのが最近恒例になってきてる。食材も昨日のうちに買い揃えている。ただやっぱり今はシーズンオフ。キャンプ場も閉まってるところが多くて、何軒か回っても固く門を閉ざしているところばかりだ。インスブルックの町の近くまでやってきたはいいんだけど、どうしてもどこも閉まっているので、仕方なく少し離れたところにあるかなり大きめのキャンプ場に行ってみた。郊外の山の中腹、こんなところにキャンプ場なんかあるのか?ってくらい森の奥地に入っていったところに、急に近代的な建物が現れた。外にはのぼりが立っており、ベストキャンピングオーストリアと書いてある。どうやら何かの賞でもとったところなのかな。そして中に入ってみて驚いた。まるでホテルみたいなレセプション、レセプションの横にはスーパーマーケット、その反対側にはラグジュアリーなバーレストラン。シャワールームもすごい広さで、しかもファミリーシャワーなんてのもある。これならカンちゃんと堂々と2人でシャワーを浴びられる。これがキャンプ場?すげすぎるぞ?最近キャンプ場を利用するようになったので、施設の充実度合いなんかがよくわかるようになったけど、こいつは確かにすごいわ。でも、ひとつだけダメなのがワイファイが有料だというところ。1時間1ユーロ。ネット作業をガッツリやりたくて泊まりに来てるのにこれではどうしようもない。こんなキャンプ場もあるんだなぁ。まぁ今から移動しても他のキャンプ場を見つけられそうになかったのでここに泊まることにした。値段は車と大人2人で23.5ユーロ。2680円。ただロケーションはずば抜けていた。静寂の湖、紅葉の森、そして目の前にそびえる雄大な山々。いつまで見てても飽きないほどのスケールで、こりゃ確かにのんびりしたくなるわ。時間が遅くなってしまったので遅めのお昼ご飯に大好きなスパゲティナポリタンを作って芝生の上に座ってゆっくり食べた。もちろんビールも一緒。それから熱めのシャワーを浴び、レセプションの屋上から夕日にかすむアルプスを眺めながら2本目のビールを開けた。程よく冷たい風がシャワーで火照った体を冷ましてくれる。隣では欧米人のカップルがグラスを持ってきて白ワインを飲みながら同じように景色を堪能している。あぁ、気持ちいいなぁ。チロル、本当にヤバい。