スポンサーリンク おばちゃんはいつの時代もビーナス 2016/9/22 2016/09/07~オーストリア②, ■彼女と世界二周目■ 2016年9月12日(月曜日)【オーストリア】 アグシュタインヴィーフィールコステット。聖闘士星矢の必殺技の名前。ではなくて、これはドイツ語で、おいくらですか?という意味。ハウマッチイズディス?がヴィーフィールコステット?ってまったくもってイメージできない。ドイツ語は英語とかなり距離のある言葉だ。しかも発音が難しい。喉の奥から息をコワァァァって出す、あのヨーロッパ独特の発音を使わないといけない。アルファベットによってまったく違う読みかたもあるので、スペイン語みたいにローマ字読みをしてればいいっていう簡単なもんではない。いい加減イングリッドおばちゃんとレイモンドパパとキチンとコミュニケーションをとるためにドイツ語を勉強しないといけないんだけど、英語っていう土台が全然役に立たないからとっつきづらい。ちなみに数字のカウントは、1.アイン2.ツバイ3.トライ4.フィアー5.フンフ6.セクス7.スィーベン8.アクゥフト9.ノイン10.ツィン11.エルフ12.ツヴェルフ13.トライツェン14.フィアーツィン15.フンフツィン16.セクツィン17.スィーツィン18.アクゥフツィン19.ノインツィン20.ツヴァンツィック21.アインノンツヴァンツィック22.ツヴァイウンツヴァイツィックといった感じ。まぁ慣れたら数字くらいは理解できそうだ。ピリガが安い。ドイヤが高い。グーデンモルゲンがご機嫌いかが?ってのは有名だけど、田舎のほうではグルスゴットと言うのが一般的。イングリッドおばちゃんたちに実際言ってもらってこうしてカタカナで日本語読みに書いてるけど、もちろんこの通りに言っても伝わらないのが言語の難しいところ。なんとか挨拶と簡単な会話くらいはできるようになりたいなぁ。「パパ!!グッデンモルゲン!!」「グッデンモルゲン、フミー。」今日もパパに挨拶してすぐに朝ごはんを作った。スパゲティナポリタン名人と呼んでください。はぅっ!!美味すぎる!!!新聞読めなさすぎる!!!誰か有名人的な女の子が結婚したらしい!!「フミー、ナオー、今日は私も仕事ないからこの辺りの案内をするわ!」朝から元気なイングリッドおばちゃんが楽しそうにお出かけの準備をしている。シュピッツに帰ってきてからもおばちゃんは仕事で、俺たちも路上でなかなか時間が合わずにゆっくり過ごせていなかった。今日はゆっくりとイングリッドおばちゃんオススメのバッハウ観光スポットを回ろう。今日も暑いくらいの快晴の空の下、レイモンドパパの運転する車で向かったのは川向いのアグシュタインという小さな集落。ぶどう畑に埋もれた、これといって特徴のない素朴な集落なんだけど、すぐ頭上の山の上に巨大なお城があることで有名だ。これ。車でウネウネの山道を登って結構高くまでやってきたところで木々がパッ開けると駐車場になっており、向こうに大きな城郭が見えた。やはりここも他の古城と同じく廃墟になっているんだけど、かなりの大きさがあることで入場料が発生するみたい。1人6.5ユーロ、750円となかなかの値段。ちなみにシュピッツのお城もドゥリュンシュタインのお城も入場料はなしだ。騎士のお城としてヨーロッパでは結構有名らしいこのお城。確かに内部はかなり広く、吹きっさらしの廃墟ではあるんだけど部屋が多くて見ごたえがある。逸話としては、当時このお城の前方のドナウ川には大きな鎖が張られていたらしく、やってくる船に通行料を払わせていたそう。もし払わなければ鎖で引っ掛けて船をひっくり返していたというからすごい。日本のお城と同じように城壁に小さな穴がたくさん開いているのは、敵に攻めれた時にここから矢を放ったり熱した油なんかをそそぐためだろう。こうした実用されていた痕跡を見ると、この廃墟がどんな姿だったのかイメージが膨らんでいく。これ牢獄の穴。覗き込んだら穴の底にガイコツがいた。再現がエグい。お城の中にはパラパラと観光客の姿があった。夫婦やお爺ちゃんお婆ちゃんたちのグループ、若いカップルも少しいる。ちょっと遠出をしてお城の観光にでも行こうか、っていうその何気ない感じがなんだか懐かしかった。子供の頃、よく親に家族旅行に連れて行ってもらったもんだ。もちろんお城も。飫肥城とか杵築城とか、そんな地味だけど地元で大切にされている観光地は日本にも無限にある。それぞれに歴史があって、味わいがあって、人々の想いが詰まってるものだ。田舎の名もない渓流で草と苔に覆われた、文字もろくに読めない看板が錆びついて放置されていたりなんかするのを見つけると、胸が躍って思わず車を止めて草をかき分けて奥へと入っていく。そんな忘れ去られた名所に行くのが好きだった。いつも1人でそんな場所を探検しては宝物を見つけたような気持ちになっていたけど、きっとカンちゃんもそういうのが好きなはず。子供ができたら、色んなところに連れて行ってあげたいな。展望台にめっちゃ怖い人形おった。怖すぎるわ!!ていうかお土産物がヨーロッパ!!ファンタジックだなぁ。アグシュタインのお城をゆっくり回ったら、今度はビーナスを見に行こうというイングリッドおばちゃん。ビーナスってなんだろう?と思いながらやってきたのは川沿いにある小さな集落の裏手にある里山。民家の生活路地みたいなところを抜けて奥へと進んでいくんだけど、こんなとこ絶対普通じゃこれねぇ。こここそまさに草に埋もれた錆びついた看板のある田舎の名もなき観光地だ。そんな路地を進んで坂道を登っていくと、ちょっとした広場に出た。そこには何かの石像が立っていたんだけど、まぁなんとも不細工な石像だ。「これがビーナスよー!!素敵でしょう!!」これ!?どう見てもただの太ったオバやんじゃないの!?巨乳においてはマジでハンパないけど!!どうやらこれ、1908年に鉄道の線路を作る工事をしてる時にこの辺りの地層で見つかったものらしく、推定2万4千年前のものらしい。実物はわずかに11センチという小さなものだけど、とても貴重なものとしてウィーンの博物館に保存されているんだそう。いやぁ、こんなん土の中から出てきてもただの太ったオバやんやしって思ってポイしそうやわ。でも実際考えるとすごい。2万4千年前っていったらまだマンモスおったころ。そんなはるか古代の人たちが作ったものが土の中に埋もれ、いく時代も過ぎ去り、iPhoneで世界中と電話しているような時代に人々に見られているなんてとんでもなくロマンがある。そしてこのモチーフもまたイカしてる。当時の人はこのオバやんのこと、マジ超セクシーやばすぎって思って作ったのか、ちょっと野菜生活から始めましょうかって思って作ったのか、そんなことを想像するだけで楽しくなる。ていうか3万年前もこんな風に人間は今と変わらずきっちりと人間の形だったんだもんなぁ。すげぇよなぁ。命ってずっと繋がってきてるんだよなぁ。このビーナスの遺伝子を持つ人がこの世の中にもしかしたらいるのかもしれないなんて頭こんがらがるくらい壮大な物語だ。ちなみに女性のくびれからお尻にかけてふっくらしてる部分のことをラブハンドルって英語で言います。エロいです。ビーナスのラブハンドルヤバイです。あとズボン履いた時にウェストのところに乗る肉のことをマフィントップと言います。マフィンみたいにカップからはみ出してるから。僕はマフィントップがあるくらいが好みです。キャンプに行ってプライベートな庭を作る。それがヨーロピアン。今日は路上も休みだし、いつもお世話になってるお礼にイングリッドおばちゃんとレイモンドパパのため、料理を作ることにした。いやぁ、ちゃんとしたキッチンで料理できるって楽しい!!「私のキッチンで他の人が料理するなんて初めてのことよ!!何作ってくれるのかしらー。ルンルン!!」料理をしてる俺たちのことをニコニコしながら写真に撮っているイングリッドおばちゃん。レイモンドパパも日本人な料理ってどんなんだ?と覗き込んでくる。そして出来上がったのは……………恭子さん!!いただいたクリームシチュー使わせていただきました!!「わぁ!!美味しいわ!!レシピはどんななの!?2人ともずっとこの家にいて料理を作ってもらいたいわ!!」クリームシチューとポテトサラダならヨーロッパの人もとっつきやすいと思った。大喜びでパクパク食べてくれるイングリッドおばちゃん。病み上がりのレイモンドパパもおかわりしてくれた。2人ともチャイニーズも好きだと言うから明日は何か炒め物を作ってあげよう。こんなことくらいしかできないけど、俺たちにできることをしよう。そして俺たちもそれを楽しめたらベスト。イングリッドおばちゃん、レイモンドパパ、いつも本当にありがとう!!