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カッピーごめん


2016年9月10日(土曜日)
【オーストリア】 クレムス





「土曜日は朝に町に行かないとダメよ。土曜日はマーケットが教会の周りに出るから、みんな朝にお買い物に行くの。午後に行っても人はいないわよ!」



イングリッドおばちゃんがそう言っていたのでちょっと早起きして、すぐにクレムスに向かった。


家で起きて、車に乗って、20キロ先の町へ仕事に行く。これは旅中なのか?とふと疑問に思えてくるほど快適に海外で過ごせていることが嬉しかった。















到着したのが9時なのでこんな朝っぱらから人がいるのかなあクレムスのショッピングストリートに行くと、確かにたくさんの人が歩いていた。






これクレムスの人気カフェ、マヨメ。






教会の裏に行ってみるとささやかながらマーケットがたっており、野菜や果物、ジャムとか色んなものが売られており、おばちゃんやお爺ちゃんがぷらぷら見て回っている。











町角のいいポジションにはすでにジープスたちが陣取っており、紙コップを揺らしていた。


町の地元のホームレスってのはだいたいみんな控えめだけど、ルーマニアとかの東欧の貧しい国々から流れてきてるジープスたちはものすごくアグレッシブにお金をせびってくる。




例えば日本各地で、東南アジアの流れもの集団が物乞いしまくっていたらどんな気分になるだろう。

きっといい気はしないはず。


しかもそれらのジープスたちが空き巣や強盗を働き、さらには現地の女の子をレイプをしたりしたらとんでもない社会問題だ。


まさにヨーロッパで起きている事実。



でも、それでもヨーロッパの人たちは彼らジープスにお金を渡す。

もはや文化という言葉で片付けられない心の深いところの違いなんだろうなって思う。
















パン屋さんでピザトーストとカプチーノを買ったら10ユーロも吹っ飛んでしまい、焦りながらパンを口に放り込んですぐに路上開始。


朝の清潔な町に声を響かせるととても清々しい気分だ。


北欧の土曜日は午後遅めから始めて夜までやるっていうパターンだったけど、夜に酔っ払い相手に歌うのよりも朝のほうがはるかに気持ちいい。

危険なことも起きないし。















拍手が起こり、ポイポイとコインが入るんだけど、驚くことにほとんどのコインが2ユーロコイン。

5セント以下の銅色がまったく入っておらず、金色の20セントとか10セントも少ない。


オーストリアって入るチップの単価が高い!!!!


やっぱり音楽の国っていうだけあって、人々のミュージシャンに対するリスペクトがヒシヒシと伝わってくる。



そうだよ、ここはバッハとかモーツァルトが生まれ、今も世界中から音楽を志す人たちがやってくるオーストリア。


国民はみんな一流の音楽に親しんでる人たちだ。

みんなビビるほど耳が肥えてるだろうから下手なことは出来ないという緊張感も程よく気持ちいい。






















聞いてくれる人が途絶えなくて休憩しずらかったけど、強引に切り上げて一旦お昼休憩。



そしてしばらくしてからまた始めようと思ったら、13時くらいになって急に人通りが少なくなった。

どうやら日が昇りすぎて暑くなったのでみんな家に帰ったよう。


イングリッドおばちゃんの言ってたことドンピシャリ。

オーストリアの土曜日は朝が狙い目だ。


今日のあがりは2時間半で396ユーロ。













歌い終えると1人のお兄さんが声をかけてきた。



「いやー!コンニチハ!!オゲンキデスカ!?今夜僕のガールフレンドのバースデーパーティーがあるんだけど、もし良かったら来て演奏してくれないかな!」



日本が好きでこの前も2ヶ月近く日本に旅行に行ってたという爽やかなアロイス。

おお、2日連続で演奏の依頼だなんて嬉しいな。


でも今日は早めに家に帰ってたまっているネット作業をやってイングリッドおばちゃんとご飯を食べようと思っていた。


うーん、と悩んでいると、イケそうだったらここにメールしてね!とアドレスを渡して去っていった。





「どうする?楽しそうだけど帰ってからも色々やることあるよね。」



「うーん、私緊張する!!フミ君よく知らない人のところで歌えるよね!!」



「ハーイガイズ!!調子はどうだいメーン!?今夜そこでパーティーあるんだけど良かったら来て演奏しないかい?美味しいご飯と酒をやりまくりだぜ?」




また違う男の人が声をかけてきた。

パーティー誘われすぎ!!!


こっちの男の人はイケイケな雰囲気で、パーティーもイケイケだろうなって感じだ。


うーん、と悩んでいると、いつでも来てオーケーだぜメーン!!夜遅くまでダンシングオールナイト言葉にすれば嘘に染まるぜメーン!!と言って去っていった。



一気に2つて………………

どうしよう………………





「カンちゃん、もういっちゃおうか。せっかくだから!!」



「うん………どっちに行くの?」



「もうこうなったらどっちも行っちゃおうよ!!爽やかさんのほうに先に行って歌いまくってから、移動してイケイケのパーティー!!」



「えー、緊張して吐きそうー!!私行かなくてもいい?何もしないのにパーティーにいたら何この子?って思われてまう!!」




依頼してくれたからには一生懸命歌うのが1番大事。

ビビる気持ちもあるけど、路上を聞いて誘ってくれてるんだから堂々と俺のできる演奏をしよう。


そして演奏だけじゃなくて俺自身パーティーを楽しみたい。

こういう場所に飛び込んでいったら思いがけない出会いが待っているもんだ。いい友達もできるかもしれない。




















そうと決まれば一旦家に帰って少し休憩し、シャワーを浴びていざ出発。


教えられた住所はドナウの対岸にある小さな町なんだけど、反対側に渡るにはメルクかクレムスまで行って橋を渡らないといけない。どっちも20キロなのでかなり遠回りになる。

対岸はすぐ目の前に見えるのになかなか不便だ。




クレムスまで行って橋を渡り、グィーンとまた対岸を走ってロッサッツバッハという町にやってきた。




すでに夜になっているので小さな町は完全に静まりかえっており、古い石の町がオレンジ色の外灯に鈍く光っている。

どこか夢の中に迷い込んだような、そんな歴史の町。











町の中を歩いていると、どこからか音楽が聞こえてきた。

音のするほうに向かって歩いて行くと、1軒の建物の中から完全にこの町とミスマッチな派手なクラブミュージックがズンズンと重低音を響かせながら鳴っていた。


聞こえてくる若者たちの賑やかなしゃべり声。


おおお………なかなかイケイケのパーティーなんですね…………




重いヨーロッパのドアを開けて中に入ると、そこは中庭になっており、俺たちを見つけたアロイスが裸足で走ってきた。



「イヤッホゥ!!クールだよ!!ありがとう来てくれて!!みんなー!!日本人の友達を紹介するぜー!!フミとナオ!!」



「イエエエエエイイ!!!日本人やしウケるうううううううえ!!!!」



「ナディーン!!こっちに来て!!君のために演奏しに来てくれたんだよ!!」



「いやあああああ!!!ありがとう!!素敵なサプライズだわーー!!」




見慣れないアジア人の登場でめっちゃ盛り上がる20人ほどのメンバー。

今日の主役である彼女のナディーンもとても喜んでくれた。





中庭には長テーブルが置かれ、そこに若者たちが座り、みんなでグラスを傾けていた。


前のほうにはマックブックとスピーカーが置かれて、DJブースにもなっている。


たくさんの料理、ケーキが並び、ガヤガヤととても賑やかな雰囲気にワクワクしてくる。




「2人とも何飲む!?サケはないからカンベンしてね!!ハハハハー!!」



「あ、じゃあとりあえずビール!」



「おいおいここはバッハウだぜ!!ビールなんかないぜ!!こいつを飲みな!!」




そして渡されたグラスに注がれるのはもちろん白ワイン!!













少しだけみんなと会話して早速歌うことになり、みんなの前に立ってギターを構える。


興味津々で見つめるオーストリアのイケてる若者たち。

うん、なかなか緊張するな。


ふぅと一息ついてガツンと歌った。



5曲なんてあっという間で、最後にアンコールももらっていい感じに盛り上げることができた。


ああ、緊張した。

まぁ、うん、盛り上げることはできた。

爆発とまではいかんかったけど。もっと精進しよう。




するとアロイスがバケツを持ってみんなのところを回ってチップを集めてくれ、俺たちに渡してくれた。

最高だったよ!さぁ飲もうぜ!!とグラスを差し出してくる。


夜のチップは78ユーロ。

今日のあがりは計54500円。







もう1件誘われてるパーティーがあってそっちにも行かないといけないんだけど…………と言い出せないのは楽しすぎるから。

いろんなメンバーとお喋りし、フェイスブックを交換した。






人種の違いが甚だしい!!









その中でも1番仲良くなった兄さんがいたんだけど、その人もミュージシャンでホルンを吹いてるようだった。



「へー!そうなんだ!!ホルンかー!いつもどこで吹いてるの!?」



「自分たちのコンサートで演奏してるよ。」



「へー!それは1度聞いてみたいよ!!俺の友達にもカッピーっていうやつがいてね、音大出のやつだから音楽にすごく詳しいんだよ!!カッピーのサックスもすごくカッコいいんだよなぁ。どこに行けばコンサートを見られるの?」



「ウィーンの歌劇場だよ。」



「いやー、カッピーのサックスって技術ももちろんだけど色気があるんだよね!!あいつのサックス好きなんだよねー!!やっぱり音楽ってやつはソウル?魂で奏でるものジャン?いやーまいっちゃうよね!!え?ウィーンの歌劇場?」



「ウィーンフィルハーモニーで吹いてるんだ。」



「マジごめんなさい!!マジでごめんなさい!!今からソッコーでギター叩き割らせていただきます!!!カッピーもとりあえず謝って!!」




とりあえず土下座5万回くらいしてそれから音楽ってジャンルの垣根とかマジないよね!!ってうろたえながら話していたら、いつ来るか教えてくれたらチケットおさえるよって言ってくれました。


5歳から音楽やってるらしいです。

僕が5歳のころとかぬり絵がギリだったと思います。

きっと一流の人はみんなそれくらいから始めるんだろうなぁ。



すごく仲良くなったんだけど、最後まで聞けないことがあってカッピーに電話しようかと思いました。






カッピー、ホルンってどんなやつ?


























どこどこに来たらいつでもウチに泊まりに来てよ!!って色んなメンバーに言ってもらえて、白ワイン、スパークリングロゼでヘロヘロに酔っ払ってしまった。

あぁ、オーストリア生活、順調すぎる!!







~~~~~~~~~~~~~~~~~~


大分のホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!


唐揚げが食べたくて仕方ないです。でもカンちゃんの唐揚げもすごく美味しいです。


どうもありがとうございます!!

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