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外国に住む、という選択肢

2016年8月1日(月曜日)
【フィンランド】 ロバニエミ





空が青すぎる。





今まで生きてきた人生からすると、この空の色は不自然なほどに青い。

フィンランド、特にこのラップランドの空はそれほどまでに濃かった。



まるで空の向こうにすぐ宇宙があるような、そんな深みを感じてしまう。


前回来た時もそう思ったものだったけど、世界中を回った今でも同じように感じるのだから間違いないんだな。

















車の中でゆっくりとカンちゃんの作ってくれたサンドイッチを食べた。


炒めたチョリソー、それにキャベツの千切りと玉ねぎをパンに挟んでかぶりつくだけ。もちろんマヨネーズをたっぷりかけることを忘れずに。


このチョリソーはスウェーデンで買ったものの最後だ。スウェーデンはお肉が高かったけど、チョリソーは安かったんだよな。



美味しい朝ごはんを済ませたら、バシャバシャと顔を洗い、車のエンジンをかけた。





















森と湖の中にのびる一本道をひたすら走っていくと、やがて町がひらけてきた。

マジで4年前にここにいたんだよなぁ。



今思うと遠い遠い記憶。

そして記憶というやつは遠ければ遠いほど、自分がしたものという感覚が薄れていくもの。

どこか映画の中のワンシーンのように他人事だ。


でも確実に俺はあの時ここにいて、人と出会い、思い出を作った。



遠い北の地、ロバニエミだ。


























このロバニエミに来たのは人に会うため。

大好きな人たちがたくさんいるので予定を組むのがなかなか難しい。

とにかくまずは町の中にあるモールでワイファイを繋いで、最初に約束していた人に連絡をとった。




今すぐそこにいきますので待っててくださいー!という返事が返ってきて、待つことわずかに3分ほど。


すぐにモールの通路の向こうにベビーカーを押した日本人のかたが見えた。




「初めましてー!!ユリハリエですー!!いやーやっと会えたー!!」




フィンランド人の旦那さん、そして可愛らしい子供を3人連れたそのかたはユリハリエ勝美さん。

最初、メールで名前を見たとき、ええ!?どんな名前!?作家さん!?って思ったんだけど、結婚した旦那さんの苗字なのかな?


笑顔の素敵な、でも芯の強そうな目をした女性だ。




「旦那は子供たちとご飯食べに行くのでカフェでも行きませんか?路上のお時間とか大丈夫ですか?」




もちろん大丈夫です!!なんなら今日は路上は休む予定だったのでゆっくりカフェに行くことにした。



ひとまず車をちゃんと有料のパーキングに停め直そうと思ったら、なんとこのリンネというモールの立体駐車場が2ユーロで丸一日止められるという安さだった。


早速そこに止め直しに行き、戻るとそこにはユリハリエさんともう1人、日本人の若い男性がいた。




「初めまして!内藤といいます!本読ませていただきましたー!」




この内藤さん、勝美さんのお宅に泊まってらっしゃったバッグパッカーさんで、現在大学を休学して世界一周の最中なんだそう。


勝美さんのお宅で俺の本を読んでくださったようで、それで興味をもってくれ一緒に来てくれたようだ。


















「ここのワッフルが美味しいんですよ。私は飲みますけど金丸さんも良かったらどうぞ!!」



21というワッフルが有名だという町中のカフェにやってきて、美味しいワッフルをご馳走になりながら色んなお話をした。






俺の前回の世界一周の時からブログを読んでくださったらしく、何度かコンタクトをとろうとしてくれたみたいだけどタイミングがなくて出来なかったよう。


それが今回ロバニエミまで来るということで数年越しにご連絡をくださった流れだ。


本も買っていただいてた!!ありがとうございます!!




フィンランドに自分の本があるってなんか不思議!!







勝美さんは21歳のときに今の旦那さんと日本で出会い、結婚をしてフィンランドにやってきて現在はこのロバニエミから北に60キロほど行ったところにある小さな町で暮らしてらっしゃるそう。


フィンランドの田舎暮らしなんて日本人の憧れの生活だよなぁ。もちろん大変なことはたくさんあるんだろうけども。


そして内藤さんのように旅や旅行をしている人たちのためにホームステイもやっており、ホームページも持っているとのこと。


俺も今回誘っていただけたんだけど、時間があまりないのと他にも約束があるので遠慮させていただいた。




「ロバニエミっていったらサンタクロースですけど、何か地元の人が知ってるお話とかないんですか?」



「いやー、実は私前にサンタさんのところから世界中に発送するサンタレターの住所のタイピングっていう仕事してたんですよ。すごい数の手紙を発送するから忙しい仕事なんです。住所ひとつにつき何セントっていうものなんですけど、慣れたら結構いい時給なんです。でもそのサンタさんの会社が経営が悪くてお給料くれなくなっちゃって………色々大変だったんだけどサンタさん自体は何も悪くないんですけどね!!」



前回俺も行ったサンタクロース村のサンタさんって5人くらいいてローテーションしてるらしい。


サンタさんも忙しいだろうなぁ…………














他にも色んなお話をしたんだけど、海外に住む女性のお話にカンちゃんが興味津々になっている。



「北欧で暮らしてみてどうですか?」



「んー、日本ももちろん悪くはないんだけど、やっぱりこっちだと子供ができても女扱いしてもらえるっていうか、女でいられるんですよね。例えば子供がいても飲みにいけますし。」



まだ俺は子供がいないのでわからないけど、確かに日本だったら小さな子供がいる時にバーに飲みに行ったら、母親としての責任感がないだのかんだの白い目で見られそうだ。


母親なんだから、子供がいるんだから、ってがんじがらめで自分の時間がほとんどなくなる。

それが、母親たるもの、っていう日本のイメージ。



それがこっちだと1人の女性として、旦那さんと手をつないで外に遊びに行く権利を認めてもらえるんだそう。


それって確かにヨーロッパとかでは特に感じるなぁ。


もちろん子供連れで行動する人が多いけど、そうやってずっと子供と一緒で育児ばかりしていたらストレスもたまるはず。

固苦しくならずに、キチンと周りがサポートしてストレスを発散する場所を作るのってすごく大事なことだと思う。




海外での生活って、見た目の華やかさの裏には言語の違い、文化の違い、社会のシステムの違いがあってとてもとても大変なことだと思う。


それを承知で海外で出産し、定住している日本人の方々って色んな苦労を乗り越えてこられて、本当に強いかたなんだろうなぁ。



これから俺と結婚しようとしているカンちゃんなので、勝美さんの経験談はとても面白いようで話も尽きない。

目を輝かせているカンちゃん。






勝美さんは日本で暮らしている時はなかなか子供ができなかったようで、これは子供は無理なのかなぁって思っていたところ、フィンランドに移住してから立て続けに妊娠して今では三児の母。

環境って本当に大きいらしい。


俺たちは日本に帰るつもりだし、日本で出産したいけど、こういうお話を聞くと海外で家庭を築くことって魅力的に見えるなぁ。




「これ!!よかったら食べてください、色々入っていますので。」



勝美さんから渡されたのは紙袋。

その中にはポテトチップスやチョコレート、パンなど、俺たちの車旅に必ず必要なものがたくさん入っていた。



そしてさらに婚約おめでとうございます!と出してきたのは、なんとワインボトル。


勝美さん…………マジでありがとうございます…………





こんなもので申し訳ないです!!と俺からもCDを2枚お渡しさせていただいた。


どちらも持っていなかったようなので喜んでもらえてよかった。

















「金丸さん、今日は路上はされます?生の演奏聞いてみたいです。在住の日本人のお友達にも声かけたので、見させてもらってもいいですか?」



もちのろんです!!ワッフルとビールと食料とワインの分、喉から血が出て内蔵出るまで歌わせていただきます!!!




というわけでロバニエミのホコ天にやってきた。

懐かしいこの町。

あの頃と同じく、人がまばらで、夏休みの子供たちが暇そうに自転車を乗り回している。





そんなホコ天で気合いを入れて歌った。





目の前には勝美さん、そして内藤君、さらに日本人のお友達もやってきておりなかなか緊張する。

俺はいつも1時間くらい歌ってからが喉が安定してくるので、最初っから人がいるとドギマギしてしまう。




しかもこの前までの連日のスウェーデン路上でついに音が狂いかけていたハーモニカが完全に死亡してしまい、Aのハーモニカがなくなってしまっている。


楽器屋さんに行ってもAのキーが置いてなくて、しばらくレットイットビーはギター1本だ。


んー、万全の状態で聞いてもらいたかったなぁ。



それでもなんとか頑張って歌い、パラパラと人も立ち止まってくれ、少しは形になったかな。










「生歌よかったですー!!本当次来た時はうちに遊びに来てくださいね!!」



1時間くらい聞いてくださり、旦那さんのところに戻っていった勝美さん。


勝美さん、本当にありがとうございました!!またお会い出来るのを心から楽しみにしております!!



そして内藤君!!世界一周まだ長い道のりだろうけど、世界のどっかで会えるのを楽しみにしてるね!!























みんなが帰って行き、ロバニエミの町は一気に静かになった。


気がつけばギターケースにはたくさんのコインが入っている。

人はいないんだけど通る人が結構な確率で入れてくれる。


前回のロバニエミでは数時間やってなんとか40ユーロとかそんなもんだったけど、今日のあがりは1時間で65ユーロ。7500円。



うん、そりゃあの頃よりは稼がないとダメだよな。

まだ日本を出てから1ヶ月も経ってなかったんだもん。






とりあえず物価チェック!!







ビールは500mlが2ユーロくらい。230円。そんなな安くはないみたい。




だいたいスウェーデンと同じくらいかな。














車を動かして郊外の静かな湖沿いに行って、そこに寝床を決めた。





すると、ご飯を作る前に勝美さんからいただいた食料袋の中を見ていたカンちゃんが大声を出した。



「うわ!勝美さんってこんなの出してる人なんだ!!すごい!!」



カンちゃんが手に持っていたのはなんと本だった。

フィンランドの毎日の暮らし、というタイトルの本で、宝島社からの出版だ!!


ユリハリユ勝美さんって作家みたいな名前!って思ったけど、マジの作家さんやし!!











本をめくると、そこにはフィンランドの田舎で自然に囲まれて暮らしている毎日の出来事なんかが書かれていた。


森からとってきたキノコの料理、オシャレな手芸の数々、子供たちに作ってあげる服、インテリア、さらには使われなくなった廃校の小学校を買い取って旦那さんたちと改装して家にしたり、もう童心にかえってワクワクしてくるような生活がたくさん綴られていた。


まさに、まさに憧れの北欧の暮らしそのものだ。






「あー、素敵すぎるなぁ。素敵だなぁ。」



本を読みながら心の底からそう言ってるカンちゃん。


カンちゃんは高校生の時に初めて海外で生活し、それからも何回も、何年も外国で暮らしてきている。

そしていつからか、自分が住む場所は日本じゃないんじゃないかなって思い始めるようになったんだそう。




「もちろん日本には頼りになる親がいるし、信頼できる友達がたくさんいるし、日本のことも大好きなんだよね。でも、やっぱりこういう海外での暮らしを実現してる人を見ると憧れちゃうなぁ……………」




俺が初めて外国に出たのは30歳の時。それからはほとんど海外なので通算3年くらいか。

30年もひとつの国で生まれてから育ってきたんだから、日本で生きるのが当たり前という感覚はまだ抜けていない。



でも少しずつそれも変わってきている。外国で暮らすのもありなんじゃないか。

特にこの前行った、ドイツの地方都市であるウルムはすごく印象に残っている。


美しい石造りの街並み、その真ん中にある大聖堂の横で飲んだビール、それだけであの町に住みたいと思えた。そんなもんだ。







俺が生まれたのは日本だけど、この地球でもある。

そしてどこにでも人は暮らしていて、当たり前の日常が営まれている。


俺たちだってきっとどこで暮らしてもいいし、もしかしたら世界のどこかに運命のような場所があるかもしれない。

俺たちはここを探すために旅してきたのかもって思えるような場所が。



それはわかんないけど。












今の所は日本に帰る。

子供も作りたい。


そして当初の目的だったゲストハウスもやりたい。

大好きな大阪の天満で大好きな仲間たちとウダウダ焼肉したい。


どこが運命の場所かはまだわからないけど、これからも後悔のない生き方を選んでいきたいな。








~~~~~~~~~~~~~~~~~


中国のホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!


中国でかすぎてどこ行こうか迷う!!でもまた大理には行きたいなぁ。


どうもありがとうございます!!








京都のホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!


湯葉食べたい!!嘘!!湯葉って美味しいですか………?まだ僕にはわかりません…………


どうもありがとうございます!!



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