スポンサーリンク また体が震えるような場所に 2016/7/14 2016/06/27~ ノルウェー, ■彼女と世界二周目■ 2016年7月3日(日曜日)【ノルウェー】 スバールバル諸島目をさますと雪山。朝がたの4時に目が覚めたんだけど、すでに空は清潔な青だった。都会の喧騒なんてひとつもない自然の中の空の色だ。きっと空は、広大な山の奥地でも、大洋のど真ん中でも、ここと変わらず美しい色を見せているんだろうな。人がいなくたって、自然は営みを繰り返している。昨日、アズサさんが言ってた。明日は朝からクルーズ船が来るからかなりの人が上陸するはずよ!って。おお、そいつは路上にバッチリじゃんか!と思って朝から気合いが入っていた。大型の客船が止まる日なんかにゃ、人口2600人のこの島に4000人もの人がやってくるんだそうだ。お店からしたらいいことかもしれないけど、不思議なことに船がついて人で溢れると万引きが起きるという。クルーズ船に乗るような人たちはみんなかなりの金持ちで、コープのお買い物なんて痛くもかゆくもないはず。金持ちの暇つぶしみたいな感覚で万引きをするんだそうだ。なのでお店の人からしたら船がつく日は島民はみんなピリピリするらしい。でも俺にとっちゃマジで入れ食いだ!!今日こそまさに路上日和!!!よーし、帰りの飛行機の時間まで気合い入れて荒稼ぎかましちゃうぞコノヤロオオオオオオオオ!!!!!誰もいねえええええええええええええええ!!!!!!ど、どういうこと………まったく人いないんですけど…………?船がついてるんじゃないんですか?ガ、ガセ………?町はいつにも増してひと気がなかったというか完全なるゴーストタウン。クルーズ船の乗客らしき人は皆無で、日曜日なのでほとんどのお店が閉まりきっている。観光地の日曜だよ………?しかもクルーズ船来てるんでしょ………?いやー、この自分たちの休みが最優先という考え方もここまで来ると気持ちいいわ。こりゃ歌えないな。仕方ないのでちょっと早いけど空港に向かうことにした。町から空港までは4.5キロ。さてー、今日もヒッチハイクしますか。「神田さん、ヒッチハイクします?」「あ、やっちゃいます?世界最北ヒッチハイクやっちゃいます?」「よおおおおし!!プロの腕見せちゃおうかなあああああああああ!!!!」2秒。スカンジナビア航空のパイロットさんに乗せてもらいました。帰りの飛行機、安全運転でシクヨロです!!あっという間に空港に着き、まだ時間があったので向かいにあるキャンプ場を覗きに行ってみた。空港のすぐ目の前の海辺にパラパラとテントが散らばっていた。おお、これがキャンプ場か。ものすごい大自然のど真ん中だな。こんなイカしたロケーションのキャンプ場、世界中探してもなかなかないぞ。「あ、どうもー。おはようございますー。」そんなキャンプ場がとても似合う風貌のシュンさんをちょうど見つけた。昨日おとといお会いした旅4年目の旅人さん。シュンさんと3人で管理棟の建物の中に入ると、いかにもキャンパーですといった見た目の、比較的年齢層の低い欧米人たちが朝ごはんを食べていた。みんなキッチンを使って自炊しているみたいだ。しばらくして彼女さんのユカさんが起きてきた。今回のユカさんのスバールバルでの目的は、ただひたすら沈没して、アニメをダウンロードして見まくる、というものらしい。もうそれに徹するという宣言をしているとのこと。さらに食事の用意も絶対にやりません!という誓いも立てているので、シュンさんが手際よく朝ごはんを作っている。2人はすでに旅を始めて4年目。その自然な雰囲気に2人の過ごしてきた濃密な時間が見えた。俺たちもこんな風に見てもらえるときが来るのかなぁ。「よかったら何か動画持っていきます?」これ、旅人あるある。よく日本人宿に行ったら発生する、ハードディスクの中に入っている映画やバラエティのデータの交換だ。これをすることによって長距離の退屈な電車移動とか飛行機待ちの時間とかに映画を見たりすることができる。俺は前回はパソコンなんてもの持ってなかったのでまったくこのイベントは発生しなかったんだけど、みんなよく宿でやっているという話は聞いていた。今はカンちゃんがパソコンを持っているし、その中に入っている映画はインドの長距離電車の中とかであらかた観てしまっている。新しい動画をゲットできるのはめっちゃ嬉しい!!「いくらでも移してください。世界最北のツタヤですから!!」そう言うシュンさんのハードディスクにはマジで膨大な量の映画、バラエティ、さらに漫画までが入っていた。ウキウキでとりあえずすべらない話を全部ゲット!!うおおおおおお!!!ニューシネマパラダイスがある!!お気に入り映画トップ3に入る大好きな大好きなニューシネマパラダイス!!カンちゃんはチョメアンドザシティをゲット!!この映画、話題にはなったけどまだ見てなかったから楽しみ!!いや、そんなもん見てる暇があったら曲作ったり旅を楽しめよと言われるかもしれん。ていうか俺も前回なんの余裕もないときは日本人の人たちがパソコンでドラマとか見てるのを見て、おいおい、海外に旅しに来てるのに宿から出ないで日本のドラマってどういうことだ?って思ってた。今言える。すべらない話、超見たい。カンちゃんと夜、寝る前に車の中でビール飲みながらポテトチップスをつまんでニューシネマパラダイスを見たい。そして泣きたい。なんて贅沢な時間だろうって思えるわ。いやー、シュンさん、いろいろありがとうございました!!また世界のどっかでお会いしましょう!!俺たちの朝ごはん、チーズポテチサンド!!イケる!!キャンプ場を出て空港に行き、チェックインを済ましたらすぐゲートの先の待合室に入った。待合室、という表現が正しい小さな飛行場だ。みんなここから歩いて外に出て、止まっている飛行機に乗り込んでいく。飛行機に乗る前にパッと周りを見渡すと、やはり何度見ても目をみはる大自然だ。雪山と青い北極海、岩だらけの灰色の山肌。荒涼として、とても人の住むような土地とは思えない。でもここにも人は暮らしていて、ここだけのルールがあって、豊かな歴史がある。きっと、こんな最果てと思える場所がまだたくさんこの地球にはあるはず。そしてそこでもまた、素敵な出会いがきっと待っている。あー、次はどこに行こうかな。グリーンランド行きたいなぁ。テンションが上がりまくって体が震えるような場所に、また必ず行くぞ。合コンした女の子と16年ぶりに再会するとか心臓に悪いやつはマジで勘弁してほしいけど!!いや、マジでなんもないけど!!!スバールバル、めっちゃ楽しかったよ!!ありがとう!!マジでありがとう!!飛行機の窓から離れていく雪山を見下ろしていたかと思うと、あっという間にノルウェーのメインランドに戻ってきた。ガタガタ揺れる飛行機。もう本当怖い。何度乗っても慣れないもんは慣れない。落ちたら死ぬと思うと怖くて怖くて仕方ない。手汗をかきまくりながら、ひぃ……と怖がっている俺をカンちゃんが大丈夫大丈夫よーとさすってくれ、飛行機はとりあえず無事着陸。到着したのはノルウェー本土最北部の町、トロムソだ。前回、フィンランドからヒッチハイクでラップランドを突っ切り、フィヨルドの谷間のこの町までやってきた。思い返せばノルウェー最初の町。北極圏の白夜の夜にたまらなく旅情を感じていたけど、俺たちはたった今ここからはるか北のほぼ北極から帰ってきたところだ。もはやここがものすごく南に感じてしまう。飛行機を降りると、俺たちはまずインターナショナルアライバルのゲートにやってきた。おかしなもんだ。スバールバルはノルウェー領。なのに国際線扱いだ。俺たちはこの5日間、一体地球上のどこに存在していたんだろう。本当、スバールバルは不思議なとこだったな。カウンターでシェンゲンインのスタンプをもらうと、これで俺たちは3日間シェンゲンから抜けていたことになる。ここから上手いこと計算してオーストリアに戻っていかないとな。トロムソはトランジットで3時間滞在し、そのまま次の飛行機に乗り込んでオスロに向かった。しばらくして飛行機の高度が下がってくると、窓の外に森が見えた。それがすごく新鮮に感じた。スバールバルでは木を見ることがなかったから。森林限界を超えているのか、植物はわずかに草くらいで、さらにその草が自生している面積は島の6パーセントほどだった。ノルウェーはとてもとても北の国だ。でも本土にはこんなにも豊かな緑がある。今回の飛行機の運転手さんは上手な人で、ドスン!!という振動もなく、スムーズに着陸。オスロに到着し、荷物を受け取ったらすぐに外からフリーのパーキングシャトルのバスに乗り込んで、自分たちの車を止めているパーキング4に戻ってきた。あああ…………もう我慢できない…………もう我慢できないよカンちゃん………俺たち車に戻れるんだよ…………プライベート空間だよ……………誰にも見られることなく2人きりで寝られるんだよ…………………ハァハァハァ…………興奮が止まらない!!!!もう我慢できないよ…………ハァハァ…………ああああ!!!!大好きだああああああああ辛ラーメンンンンンンンンンンンンンンンンン!!!!!!!!!!!!島でロクなもん食べてなかったので辛ラーメンが神の仕業に思えました。明日からまたノルウェー本土編。あー、スバールバル最高だった!!~~~~~~~~~~~~~~~~~~この日、バングラデシュの首都、ダッカで日本人が襲撃され7人が死亡したというニュースを聞きました。イスラミックステイトによる犯行と言われていますが、そうではないという話もあります。バングラデシュはムスリムの国です。穏やかで素朴な、とてもいい国でした。でも、やはり起きてしまう。そしてやはりダッカもイスタンブールもラマダン中でした。ムスリムの国に行ってはいけないってわけではないですが、やはり無理な渡航は控えたほうがいいと思います。みんな本当に気をつけましょう。注意して回避できることはきっといくつかあるはずです。被害に遭われた方々のご冥福を心からお祈りします。