スポンサーリンク 海外で事故ってみましょうか 2016/6/24 2016/06/14~ ドイツ, ■彼女と世界二周目■ 2016年6月15日(水曜日)【ドイツ】 ケンプテン枕がマジで快適すぎてめっちゃ寝てしまった。ただの5ユーロのセール品の枕だけど、枕があるだけでこんなにも人間らしい睡眠ができてしまうんだなぁ。車中泊でも枕のおかげで一気にホテルにグレードアップ。枕って偉大だ。目を覚まして車の中を整理し、カンちゃんがお化粧している間、日記を書いているんだけど、そんな俺たちの横をすでに何台かの車が通り過ぎていく。そう、ここはあの有名なヴィースの巡礼教会の前だ。朝イチの観光客が早くもやってきている。せっかく目の前で寝たんだから、誰もいない静寂の教会を独り占めしようとカンちゃんと企んでいたのに、今度は観光バスが通り過ぎて行った。やばいやばい、早く行かないと観光客まみれだ。朝のヴィースの巡礼教会は草原の中で静かに佇んでいた。朝露に濡れた牧草地の上をカウベルを鳴らしながら牛が草を食べている。有料駐車場に車を止めて教会に入ると、そこには相変わらず天国のような光景が広がっていた。壁一面に施された豪華絢爛な彫刻、天井には巨大な絵画が描かれ、全てが息を飲むほど美しい。教会内は白が基調になっており、そこに金色が入り乱れて目がチカチカするほどの装飾。美術品のような一個の建物。もちろん未だ現役の教会なので、椅子やパイプオルガン、祭壇もちゃんとあり、ここが祈りで場であることを物語っている。まぁ一足遅かった。すでに教会内にはたくさんの観光客がわらわら歩いており、しかもその大半が日本人だった。さっきの観光バスは日本人のツアーだったよう。みんな写真を撮りまくっており、静寂とはいかなかったんだけど、中国人観光客とはまったく違ってみんな遠慮がちにヒソヒソ声で話しているところが日本人らしくて嬉しくなる。中国人観光客ってマジでこういうところでもめっちゃ騒がしいし、我先にと前に出て写真撮りまくるから雰囲気台無しになるんだよな。そんな日本人たちに混じってキリスト像に手を合わせた。これからの車旅、無事故で安全に回れますように。キリスト教の聖地であるこのヴィースの巡礼教会でお祈りしたんだ。ご利益もありそうだ。さぁー!先に進むぞー!そしてその1時間後に事故りました。マジでやっちまった………………ヴィースを出てアクセルをふかして目的地だったケンプテンまでたどり着き、町中を駐車スペースを探してゆっくり走っている時だった。路駐していた車があったので、横を通り過ぎようとかわして進む。ヨーロッパの町中は結構路駐している車が多いので道幅も狭くなり、気を使う。早く歌いに行かないといけないのに駐車スペースがないなぁと、焦っていたのもあったかもしれない。ガコン、と音がした。右のサイドミラーが路駐していた車のサイドミラーに当たってしまった。やっちまった!!とすぐに車を寄せて止め、車に駆け寄ると、すでにそこには相手の車の持ち主が戻ってきていた。相手のおばさんはブロンドの髪にパーマをあてた、どこにでもいる普通のヨーロッパのおばちゃんだった。「ソーリー!!ソーソーリー!!」「ソーセージソーセージ、ベンツ?」おばちゃんは英語がまったく喋れず、何をどうすればいいのかまったくわからないまま、とにかく接触部分を見てみた。おばちゃんの車の運転席側のサイドミラーが少し擦れていた。とはいっても横をゆっくり通り抜けていただけなのでスピードも15キロから20キロくらいだ。マジで、え?どれ?ってくらいよく見ないとわからないくらいの小さな擦り跡がついてるだけだった。あ、これなら別にいいよ、って言ってもらえるかもって一瞬思ったのは、俺がインドにしばらく滞在していたからだと思う。傷っていうかもうたった今ゴジラにぶっ飛ばされて来ました!ヨロシク!!みたいなスーパーズタボロの車がほとんどのインドでは接触事故なんて挨拶みたいなもんだ。狂ったように棍棒で車ぶん殴ってるオッさんとかいるし。そんなインドに慣れてしまっていたので、この程度の擦り跡くらい、と少し思ってしまったんだけど、やはりここは先進国のドイツだった。おばちゃんの分からないドイツ語の中にリペアという単語が聞き取れた。そ、そうですよね………普通修理しますよね…………うう…………やっちまった…………左ハンドルあるあるだよなぁ。いつも右ハンドルで運転している感覚が染みついているので、どうしても右側のスペースが掴みづらいんだよな。まだこれで済んで良かったと思うべきか。おばちゃんごめんなさい。さぁ、そこからが大変だった。英語の通じないおばちゃん、近所のお店の人たちもなんだなんだ?と出てきて間に入ってくれるんだけどみんな英語がほとんど話せず、どうにも意思の疎通ができない。俺たちはレンタカーを借りた時点で事故保険に入っているので手出しをすることはないはずだ。保険でおばちゃんのリペア代を払ってもらえるはず。でもそんな高度な説明をどう伝えていいかがわからない。ああ!!もどかしい!!と思っていると、業を煮やしたおばちゃんがまたドイツ語で俺たちに何か言ってきた。近くのアジア料理屋さんのベトナム人の兄ちゃんが通訳に来てくれたので理解できたんだけど、どうやら今ここで100ユーロ払えば全部終わりにするわ、ということらしかった。100ユーロ!!12000円!!こんな、マジでよく見ないとわからないくらいのかすった跡、5000円もあれば余裕で塗装できるはずだ。100ユーロはいくらなんでも高すぎる。でもおばちゃんにとってみれば路駐していたとはいえただの災難だし、この面倒なやり取りを繰り返して保険屋さんに間に入ってもらうという手間を考えると100ユーロで終わらせるのもアリかなと思えてくる。しかしそれだったらせっかく保険代を払っている意味がない。慣れない外国での運転、こういうこともきっとあるから保険てものがあるんだ。レンタカー会社だったらおそらくこの手の対応にも慣れているはず。しかし俺たちのレンタカー会社に連絡を取ろうとしても一向に電話が繋がらない。何かあったらここに電話してと言われていた番号が書類に書いているんだけど、それがまったく繋がらない。ああもう!!この緊急事態に!!とにかく、このまま手の施しようがないまま待っていても時間の無駄なので、おばちゃんに俺たちの連絡先や身分証明書を控えてもらって一旦別れませんか?と提案した。おばちゃんも時間がなさそうだったので。しかしおばちゃんは俺たちと別れたくないみたいだった。ベトナム人の兄ちゃんに通訳してもらったところ、もし別れたらそのまま逃げるんじゃないかと思っているようだった。だからそのために身分証を控えてくださいと言っても、やはり信用してもらえないみたいだった。まぁそんなもんか…………ふぅ、本当やっちまったなぁ…………最終的に警察を呼び、英語ペラペラの可愛い婦警さんに身分証を控えてもらい、それをおばちゃんに渡したことでおばちゃんも安心してくれ、一旦ここで解散した。婦警さんからは、後はお互いの保険屋さん同士がやりとるすることだから、あなたたちは旅行を続けていいわよと言ってもらえた。だとしても一刻も早く保険屋さんに対応してもらっておばちゃんを安心させてあげなきゃ。日本人は無責任で逃げたなんて思われてしまうのだけは絶対に避けないと。事故現場とパトカー。とまぁ、ひとまずこれで事故問題は落ち着いた。俺は路上をしないといけないので、その間にカンちゃんに保険屋さんとのコンタクトをお願いした。カンちゃんは俺ばっかり働いてる、というけど、こうした庶務はほとんどカンちゃんに任せている。ネットの整備や次の町のリサーチ、宿のことや人とのコンタクト。細かい仕事ではあるけれど、それがあるからスムーズに進めている。俺1人だったらなんとかなるさ!って強引に進んでトラブルまみれってパターンだもんなぁ。本当、カンちゃんのおかげで俺は俺のやるべきことに集中できている。久しぶりのケンプテンの町はとても賑やかだった。オールドシティーの石畳のメインストリートにはたくさん人が歩き、カフェが並び、オシャレなお店がズラッと並んでいる。前回の旅で140ユーロくらいだったかな?なかなかの金額を叩き出したこの町。あれから世界中で揉まれてきた今なら、きっともっといけるはずだ。なによりこの町では大好きな友達に会う約束をしている。夜に会う予定なのでそれまでキッチリ歌うぞ。それにしてもストリートミュージシャンが多い。前回ケンプテンに来た時は1人も見なかったのに、今日は軽く歩いただけでこの小さな町に5組もいる。中でもジプシーの家族がギター2本とカホンひとつという5人編成で賑やかに歌声を響かせているのがかなり目立つ。しかもこのジプシーバンド、すごく素敵な演奏だ。ハーモニーがとても綺麗で息もピッタリ。思わずコインを入れた。早速俺も始めようと、メインストリートの奥にある静かな曲がり角のところで準備していると、年季の入ったギターを抱えたいかにもストリートミュージシャンでござるみたいな仰々しい格好をしたおじさんがやってきた。どうやらおじさんはこの町のヌシみたいな人で、オケを流してギターインストを弾くスタイル。CDも売っている。この町では1時間半で場所を交代しながらみんなやってるからそこんとこヨロシクと言われた。こんな小さな町でこれだけたくさんいるんだからみんな場所の取り合いになるわな。早速演奏を開始した。今日からCDをギターケースの上に置いてみた。値段は10ユーロ。1200円だ。妥当な金額だとは思うけど、果たしてドイツで路上ライブのCDが売れるものかのか。と思っていたら、歌を聞いてくれていた人だかりの中の1人が近づいてきて、CDを手にとってチラチラと眺め、そして財布から10ユーロ札を取り出してギターケースに起き、笑顔でチュースと言って去って行った。おお、普通に売れたぞ。よかった。それから毎曲ごとに拍手をもらいながらキッチリ1時間。ヌシのおじさんがさっきから俺の前をアピールするように行ったり来たりしていて鬱陶しいので早めに切り上げた。こいつ1時間でウルトラ稼ぎやがるみたいな顔でギターケースを覗き込んでるヌシ。前回ケンプテンでやったとき、めちゃくちゃ稼げた場所があるのでそっちに移動した。ここはホコ天のメインストリートから外れているので他のパフォーマーともバッティングしないし、屋根があって声も響く。周りを気にせずのんびりと歌い始めたそのときだった。目の前に女の人が立った。ん?と顔を上げてみるとそれはエミリーだった。手で口を押さえて目をひんむいているエミリー。「な、な、な、なんで、ここにいるのフミ………?」とエミリーが言い終わる前にギターを置いて思いっきりハグした。「なにしてるのよフミーー!!!!」「また戻ってきたよー!!!」前回のケンプテンでめちゃくちゃ仲良くなったマイケルとエミリーの夫婦。2人とも最高にいいやつらで、一緒にビールを飲み、いつもメールのやり取りをしていた。前回の世界一周中に出来た友達の中でも、本当に5本指に入るくらい仲良くなった2人だった。「フミ!!どうして知らせてくれなかったのよ!!ケンプテンに来るのに!!」「んー、色々悩んだんだよ。マイケルのこともあって。」実は2人はちょっと前に離婚していた。エミリーの実家はハンガリーなので、もうそっちに帰ったかと思っていたし、マイケルとも会うのでなんだかエミリーに連絡するのが気が引けていたのもあった。でもまさかこうして偶然にも路上で出会えるなんて!!!!!「フミ、活躍してるみたいね。フェイスブックで見てるわ。私は毎日毎日仕事仕事よ。本当に退屈だわ。だから、今からも仕事だから行かないといけないわ。メールするから!!もう!!なんで知らせてくれなかったのよ!!」マジでごめんと謝ってまた大きくハグした。その様子を見ていたカンちゃん。丸い顔で目が細くなっている。「ふーん、仲良いんだねー。なんか素敵な感じだなー。」「ちょ、な、なにその顔。なにを疑ってるの……?」「いやー、なんか友達以上の感じとかなってないのかなーって。エミリー可愛いねー。」「ちょ!!なにバカなこと言っちゃられりるれらりろれら!!!!エミリーとはただの友達でマイケルともめっちゃ友達だし、あぁぁ!!いい天気だね!よし!次の曲はwho’ll stop the rain!!」というところで豪雨。だ、誰か雨止めてよ………毎日毎日…………でもまぁここは雨に濡れないポジションというのもあって、なんとか3時間くらいは歌うことができた。雨がなきゃもっとちゃんと人が出るのになぁ。あがりは185ユーロ。22300円。うん、前よりは成長できてるかな。路上を終えたらマイケルとの待ち合わせ場所のバーに向かった。三年前だけどちゃんと道を覚えており、教会の裏に地元の人たちが集まるバーを見つけた。そうだ、ここのテラスでマイケルとエミリーと飲んだよなぁ。あの時、2人からお土産のカウベルをもらった。これはアルプスのカウベルだから音がしている限りどこにいてもフミの居場所がわかるんだ、って素敵な言葉とともにくれたこのカウベル。今でもカウベルはバッグの横にくっついて音を鳴らしている。大好きなあの2人の思い出の品。でも今はもう2人は別れてしまったんだけど。店の中に入るとマイケルがおーい!と手を振った。懐かしいマイケルと思いっきりハグ。隣にはマイケルの友達のエディというやつがいて、4人で乾杯した。飲むのはもちろんビール。そしてもちろん地ビールだ。ビール大国ドイツは、だいたいどこの町でも地ビールがあって、町の人たちは地元のビールを飲んでいる。「マイケル、この3年どうだった?」「んー、まぁ働いて働いて、トゥーマッチワークだよ。」「エミリーとは連絡とってる?」「さっきメールが来たよ。フミと路上で会ったって。でもそれがすごく久しぶりのメールだった。今は疎遠になってきてるよ。」マイケルには新しい彼女がいる。エミリーにもいるらしい。疎遠になるのは当然だろうけど、やっぱり2人の思い出があるケンプテンで、こうして2人と別々に会うことが結構寂しかった。驚いたのはドイツでは離婚するのに役所に6000ユーロ払わないといけないらしい。71万円。離婚するだけなのに。ディスイズジャーマニー、これがドイツさ、と笑うマイケル。大変だったんだろうな。「ところでドイツって飲酒運転は厳しいの?マイケル大丈夫?このあと用事あるんやろ?」「ドイツではビールジョッキ2杯までは警察はノープロブレムだぜ。ディスイズジャーマニー!!これがドイツさ!!」 「ほんとかよ!!」マイケルの地元仲間のエディがめちゃくちゃ面白くて、大笑いしながらビールを飲んだ。この田舎の小さな町の、地元のツレっていう雰囲気がとても居心地がよかった。きっと子供の頃からの付き合いなんだろうな。美々津の連中はみんな元気にしてるかな。21時になってマイケルの用事の時間がきた。今日はこれで帰らないといけないからゴメンねというマイケル。少しでも会えてみんなで飲めてよかったよ、マイケル。やっぱりマイケルとは気が合う。一緒に飲んですごく楽しかった。マイケルとエディを見送り、俺たちは店に残ってもう少しゆっくりしていくことにした。あぁ、楽しい夜だなぁ。と、30分くらいしたところで誰かが後ろから肩を抱いてきた。誰だ?と振り返ると、それはマイケルだった。「ヘイフミ!!用事なくなったよ!!今日俺はフリーだ!!今から俺の家でしこたま飲みまくる準備はいいかコノヤロウ!!」「ヘイブロー!!飲んで~飲んで~飲まれて~飲んで~~!!ロシアンスタイルで行くぜ~~!!」マジでもうノリが地元っぽいんだよなぁ。本当最高だよマイケル、エディ。それからマイケルの家に移動してビールを飲み、コニャックを飲み、ワインを飲み、煙をふかし、夜中まで騒ぎまくった。とりあえずゲロを3回吐いたのだけはかすかに覚えている。あぁ、ここにエミリーがいたら……………ってちょっと思った。でも、それは言っちゃいけないことなんだよな。すごくすごく楽しかった。~~~~~~~~~~~~~~~~~~徳島のホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!もう徳島どうなってるの!?徳島だけで予約の数ハンパないんですけど!!日本帰ったら徳島に挨拶行きます!!ラーメン食べたい!!どうもありがとうございます!!