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やっと稼げる場所まで来たなぁ

2016年6月12日(日曜日)
【オーストリア】 シュピッツ ~ グムンデン






「ハーイフミー!ナオー!よく眠れた?朝ごはんの準備はできてるわよ!」



ぐっすり眠って朝リビングに行くと、すでにイングリットおばさんとパパが爽やかな笑顔で俺たちのことを待ってくれていた。


テーブルの上に並べられた豪華な朝ごはんを見てワー!と2人して声をあげた。








パン切り機で切った新鮮なパン、これまたハムカッターで切ったハムとサラミ、チーズ、オリーブ、キュウリ、トマト、そしてラディッシュが彩りよくお皿に並んで、朝の光によく合っている。



イングリットおばさんこだわりの温かい紅茶を飲み、パンにはこれまたイングリットおばさん手作りのアプリコットとチェリーのジャムを塗った。

バターの塩味とジャムの上品な甘さが口いっぱいに広がって、そこにキュウリの歯応えが素晴らしい。

ハムもサラミもどれもたまらなく美味しい。



















感動したのは、味はもちろんなんだけど、その器具の多さ。


パン切り機にしてもそうだけど、ゆで卵置きなんてお皿もある。


あらゆるそれぞれの場面に適した、それだけのための器具がイングリットおばさんのこだわりのキッチンには整然と散りばめられいる。


日常を何気なく豊かにして楽しんでいる様子に、ヨーロッパの人たちの生活のバリエーションを見るようだ。





















「フミ、何か必要なものはない?これからヨーロッパを車で回るんでしょう?だったらお皿が必要ね。お鍋やフライパンもあったほうがいいわ!!お水を入れる容器も必ずいるわね。」



そう言いながらキッチンからガソゴソといろんなものを出してきてくれるイングリットおばさんとパパ。




そう、確かにこれからヨーロッパを回るにあたって自炊道具は必ず必要だ。


鍋でパスタを茹でたりフライパンで炒めものをしたりするのでそれらの道具がいるし、他にもたくさん用意するものがある。



しかし物価の高いこのヨーロッパでそれらを買い揃えようと思ったらなかなか高くつく。

1ユーロショップで買えるものなんてたかが知れてるし。




「こんなにたくさんもらうの悪いですよイングリット。」



「フミ、ここは家よ。お皿とかフライパンなんて使わないものがいっぱいあるんだから気にしないで!!」




そう言って本当にたくさんのキッチン用品を持たせてくれたイングリットおばさん。











さらにパパが着いてきてと言い、一緒にガレージに行くと、そこに積み上げてあった保存用の大量の飲み物を好きなだけ持っていけと言ってくれ、お水や缶コーヒー、ワインのボトルやビールまでたくさんのものをもらってしまった。



マジでありがたい…………



「これから北欧まで行ってぐるっと回ってくるんだもんね!9月にちゃんと戻って来られるようにしっかり準備していきなさい!!」



本当に本当にありがとう、イングリット、パパ。



























「さて、出発の前にちょっとこのスピッツの町を案内してあげるわ。景色のいい場所があるからね!」



そう言う2人の後について車を運転し、田舎道を走っていく。


このスピッツは本当に小さな小さな町なので、道も狭く、家々の間をギリギリで通り抜けるような感じで進んでいく。

石造りの素朴な民家はまるで絵本に出てくる童話の中のように、現実味がない。


道端には今がシーズンのいちごとチェリーを売る小さな販売所があり、木箱に入った赤い果物がとても鮮やかだ。


これがここでは当たり前の風景なんだよな。



























しばらくして丘の上の駐車場につき、そこに車を止めて歩いて4人で歩いて里山の頂上を目指した。



地元の人しか知らないような荒れた道で、小鳥の鳴き声がどこからか聞こえてくる。

とても静かで、イングリットおばさんの陽気な声がとても心地よかった。




しばらくして頂上に出ると、そこには素晴らしい光景が広がっていた。












広がる山並みの中を雄大なドナウが曲がりながら流れ、眼下にささやかなスピッツの可愛らしい町並みが寄り添っていた。


周囲の山の斜面は一面ぶどう畑になっており、整然としたぶどうの木の列が山に模様を描いている。


さらに向かいの山の上には、はるか昔の古城の廃墟が物言わずスピッツの町を見下ろしている。



川沿いの先を見ると別の小さな町が見え、その向こうにもまた別の小さな町がある。

ドナウ沿いにこうした小さな里がいくつも点在しており、古城や古い教会がひっそりと歴史の中に取り残されており、人々はそれらと共存しながらぶどうを作り、ワインを醸している。



あまりの光景にため息が出た。


なんて綺麗なんだ。


バッハウはこの世の楽園だ。


























「春になったらアプリコットの花が咲くの。たった1週間で散ってしまうわ。でもその1週間、バッハウは白い雪のような花で染められるの。綿毛を帽子に飾って伝統衣装を着てフェスティバルをするのよ。」



ゆうべイングリットおばさんの家でバッハウの写真集を見せてもらったんだけど、このバッハウはどこを切り取っても素晴らしい写真になる。

たまらなく、たまらなく嬉しかった。


こんな場所にたどり着けたことが。


















「素敵すぎるね……………こんなところで結婚式とかしたら最高だろうなぁ。」



景色を眺めながらそう言うカンちゃんの言葉を聞いて驚いた。




「え!?本当に!?俺もずっと思ってたんだよ。前にバッハウに来た時に、この素朴なオーストリアの田舎で結婚式なんてしたら素敵だろうなぁって。」



「うん!素敵だと思う!!」



「この丘の上で結婚式して、それから町に降りて地元のレストランでパーティーとかするってどう?ワインを樽買いしてハンマーで蓋を割ってさ、みんなでバッハウの白ワインを飲む。」



「なにそれヤバいー!!最高すぎる!!」



「なになに?どうしたの?盛り上がって。結婚式!?なに!?フミとナオがスピッツで結婚式なんて素晴らしいわ!!」




まだただの妄想でしかないけど、もし出来たらきっと最高に最高に最高に最高に素晴らしいだろうな。



ていうか海外で結婚式して周りに面倒くさがられるミーハーカップル、にまんま俺たちがなってるのが面白かった。

だって素敵なんだもん。この景色を大好きな人たちに見せたいもん。




うわあああ!!ここで出来たら最高すぎるよ!!

旅中に結婚式するとか最高すぎる!!


2人とも無職ど真ん中だけど!!





お固い親戚のおじさんとかいたらめっちゃ説教されそうだな………


















「フミ、じゃあ9月に待ってるから、気をつけて行ってくるのよ。」




それからも少し町の中を案内してくれたイングリットおばさんとパパ。


出発の時になると、たった1泊だけどこのバッハウから離れるのが寂しかった。


こんなにも俺たちのことを愛してくれているイングリットとパパたちが、どうかいつも笑顔でいてくれるように。



行ってきます!!また9月に会おうね!!

イングリット、パパ、本当にありがとう!!






















スピッツを出てドナウ沿いを走っていく。

今日の目的地はドイツ。


あのかなりデカいドイツを南から縦断しようと思ったら結構日数がかかる。

それにできるだけたくさんの素敵な町に行ってみたいし。


オスロからスバールバル諸島へのフライトが6月29日なので、あと16日でノルウェーまで行かないといけない。

となるとあんまりゆっくりもしてられない。






と、カンちゃんと日程の話をしていると、いきなりものすごい勢いで雨が降り出した。

ワイパーが追いつかないくらいの雨。


でも濡れない。







濡れないいいいいいいいいいいいいいい!!!!!
車最高おおおおとおとおおおおおおおおおお!!!!!!!!!



極寒の雨の中、びしょ濡れになって土手から転げ落ちて泥まみれになって、河原で野宿してびちょびちょの寝袋で寝て、次の日もびしょ濡れでギターもずぶ濡れで駅に行って人も目気にせずバッグの中身を全部ベンチとかにひっかけて乾かしてたら駅員さんに怒られるっていうあれなんの罰ゲームだったの?





「いやぁ、車最高やねー。」



「いやー、濡れませんねー。楽ですねー。あ、雨止んだ。」



「あ、やんだね。ちょうどそこメルクだね。歌ってく?」



「そうですねー、歌っていきますー?」



「歌お!!左折!!」





土砂降りの雲を抜けたことであっさりアスファルトの乾いたところまで出てきた。


これが電車だったら、あー雨今ごろ止んじゃったなぁって言いながら走ることしかできないけど、車なら好きな時に好きなように目的地を変えられる!!!


あぁ!!最高すぎる!!



















昨日と同じくメルクの駅に車を止めて町の中心部に行くと、ショッピングストリートにはまばらに人が歩いていた。


天気が悪いのでそこまでではないけど、さすがは世界遺産の町。

アジア人観光客、それにカッコいいウェアーを着て自転車でツーリングしている欧米人たちもいる。


結構年齢層が高めで、おじさんおばさんたちが上品に歩いている様子がとても心地いい。

俺のレパートリーはオールディーズがほとんどなので狙い打ちってところだ。






早速通りの真ん中でギターを鳴らす。





猫の声も聞こえるくらい静かなヨーロッパの通りでは、ギターをかき鳴らす必要もない。アルペジオで充分。

そして歌も囁くくらいで聞こえるので、ゆっくりと丁寧に歌っていく。







通り過ぎる人たちが足を止め、サッとユーロのコインを置いて素晴らしいねと声をかけてくれる。


向こうのほうにあるカフェのオープンテラスにいた人がこっちにやってきて、素敵な昼食時間をありがとうと5ユーロ札を置いてくれる。



町の人たちもみんな笑顔で親指を立ててくれ、やっぱりヨーロッパの路上は最高だなと思った。







しかし1時間くらいしたところでまた雨が降ってきてしまい、今日はこれくらいにして先を急ぐことにした。

またオーストリアには3ヶ月後に戻ってきて、それから長く滞在する予定だ。


カンちゃんにメルク大聖堂を見せてあげるのは戻ってきてからにしよう。








さて、久しぶりのユーロ圏での路上。

雨のせいで1時間くらいしかできなかったし、久しぶりのユーロのお金なので目見当がつかない。


いくらあるかなー、と数えてみる。






















113ユーロと1.5ドルと1フラン。計14000円。








ぐおおおおおおおおおお!!!!!時給14000円んんんんんんんゆんんんんん!!!!!!



トルコとかブルガリアで、やったー、今日5000円稼げたー、あー喉がガラガラだー、なんて言ってたのがマジでなんだったんだ!!!

ヨーロッパの静かな通りではまったく喉に負担がかからない!!!




いやぁ、国によってこんなに稼げる金額って変わるんだよなぁ。

物価って不思議だよなぁ。







あああいああいあああ!!雨降ってきたのに車で移動できるううううううう!!!!!!


あぁ、ヨーロッパ楽勝すぎる……………


やっとお金に困らずに旅でるところまできたなぁ。

























一気にドイツに抜けるぞー!!と勢いよく車を走らせていくんだけど、やっぱり今日も景色が綺麗すぎてなかなか早く進ませてもらえない。






うねる草原、緑の海の中に寂しげに立つ教会、散らばる可愛い村々。

広大な畑はそれぞれの作物で色が違い、パッチワークのように大地に模様をつけている。


まるで富良野のよう。




「あ!ここ綺麗!!止めよう!!」



綺麗な風景があって車を止めて外に降りると、ひんやりとした空気がとても気持ちよくて胸いっぱいに草原の風を吸い込んだ。

ヨーロッパの田舎、この道の一本一本に物語があって、誰かの交わした約束が取り残されていて、遠い記憶がふわりと浮かんでは消えていく。



空はどこまでも広かった。


























やがて湖に面した町に入ってきた。グムンデンという町らしい。



この湖沿いにくだっていくと、南のほうにはあの有名な保養地、ハルシュタットがある。


確か世界遺産の町だったかな。

とても美しい町らしいんだけど、またそれはオーストリアに戻ってきてからにしよう。












「ちょ!!ヤバい!!ここヤバい!!」



湖沿いの細い細い道を走っていたら、窓から見える景色があまりにも綺麗で車を止めた。


そして外に出ると、とんでもない景色が広がっていた。














静寂の湖。向こうには雲にけむった雄大な山並みがそびえ、その足元にまばらに家々が散らばっていた。


まるでロードオブザリングのようにファンタジックで、幽玄で、孤独な美しさが張りつめている。



沈んだわずかに雲を下から照らし、ほんのりと赤く染まっていた。

山々の上には冬のなごり雪がまだ残っている。










「カンちゃん……やばいね…………」



「うん………綺麗だね………車じゃなかったら絶対来れてないよ…………」



「もう今日ここで寝ようか?」



「え!いいの!?そんなことしていいの!?」



「だって車の中で寝られるもん!!食べ物も飲み物も全部あるんだから!!」



「えー!寝て起きたら目の前にこの景色があるの!!最高すぎるー!!」





谷間の湖を夜が包み、雫が波紋を作る音すら聞こえそうな静寂の中に車を止め、ビールを出して乾杯した。







そして荷物を運転席と助手席にうつして、シートを倒した後部座席にマットを敷いたら寝るスペースの出来上がり。


大の字になれるほど広々とした空間に寝転がり、寝袋をかけて2人で抱き合って眠った。






広大な静寂の中に2人きりだった。








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