2016年4月29日(金曜日)
【インド】 ゴカルナ
宿が信じられないくらい贅沢。
昨日、ゲロ吐くほどつらい思いをしてたどり着いたこのナマステゲストハウス。
南国ムードたっぷりの広々とした敷地の中にはヤシの木が茂り、その足元に自然に溶け込むようなコテージが散らばっている。
もう何がすごいって、バスタオルを渡してくれた。
バスタオルくれる宿がこのインドに存在するなんてマジで信じられない!!!
しかもそのバスタオルに新品の石鹸を添えてくれるという国賓レベルのVIP待遇。
コテージを開けるとキングサイズのベッドがドーン!と置かれ、広々とした室内は全て清潔、トイレは20年は洗ってませんみたいなドス黒く汚れたものではなく洋式のピカピカしたもの、さらにトイレットペーパー付きという奇跡。
その上、ウェルカムドリンクでボトルの水まで持ってきてくれた。
シンジラレナイ。
これで2人で1泊たったの800ルピー。1人670円。
これで高いとか思ってる俺たちの金銭感覚がおかしいんだよな。
普通ビーチリゾートでこんな素晴らしいコテージに泊まったら1万円は余裕で超える。
はああああ………………昨日本当に途中で投げ出しそうだったよ…………辛かった…………
それが今や天国もいいとこだ。
コテージから外に出ると、ヤシの木が生い茂る海沿いの田舎道。
昔どこかで見たような、あの海に続く草まみれの石段。
そんな石段を軽いステップで降りていくと目の前にオムビーチが広がる。
特に水が綺麗というわけでもないんだけど、山の反対側に隠れるようにひっそりと存在する秘密めいた雰囲気がたまらない。
現在はオフシーズンみたいで人がまったくおらず、レストランやホテルもほとんどが営業していないようだ。7~8月はかなり賑わうらしいけど。
オフシーズンのおかげで俺たちの求めていた静かで小ぢんまりしたビーチになっている。
そしてビーチにある大きなレストラン、ナマステカフェのオープンテラス席へ。
そこでチャパティーとイドリーとカレーと常温の水、ではなくてチーズオムレツとサンドイッチとペプシという最高すぎる朝ごはん。
目の前に広がる水平線、穏やかな風、遅いけどちゃんと繋がるワイファイ、隣には可愛い可愛いカンちゃん。
楽園でしかないよお母さん………………
美々津の浜もいいけどね。
4日間滞在したカニャクマリでまったくネットできなかったこともあって、昼前までカフェでノンビリと溜まっていたネット作業をした。
インドではワイファイを捕まえるのにそこそこ苦労する。
それから雑用を済ませるために町に出かけることにした。
ナマステゲストハウスの横から森に続く獣道があり、そこをひたすら歩いていく。
ゴツゴツした岩場に草が生え、照りつける太陽に汗が流れ落ちる。
草木の向こうに海原が見えるたびに、息を飲んだ。
海は心の中の記憶をゆっくりと撫でてくれる。
そんな山の峠道を越え、視界が開けたときにまた別のビーチが目に入った。
緩やかに弧を描く白砂のビーチ。
ヤシの木が生い茂り、そこにいくつもの海の家みたいな建物が並んでいる。
はぁ、ため息が出るほど綺麗だ。
ここはクドゥラビーチというところだ。
オムビーチはナマステカフェがあることで観光客に人気だけど、このクドゥラビーチはメジャーじゃないので人がマジでまったくいなかった。
静かなビーチを求めるならクドゥラのほうがいいぜと昨日の大学生たちも言っていた。宿の値段も安いみたいだ。
寄せては引く波が、きらめいてから砂に染み込み、なくなってまた繰り返す。
まるで夢の中みたいにおぼろげな風景。
日陰が一切ないので暑くてたまらなくて、頭が朦朧としてくる。
サンダルに入ってくる砂が熱すぎて、ヤケドしそうだ。
ビーチ沿いにあるカフェやホテルはどこもひと気がなく、閑散と静まり返っている。
手作り感満載のボロい建物、ヤシの葉で作った原始時代みたいな掘っ建て小屋、
まるで、子供が思い描くいい加減な秘密基地、といった、そんな雑なビーチだ。
でもだからこそ、バッグパッカーたちはワクワクするんだろうな。
こんなものまである。
ペットボトルいかだ。
中二病ってやつだ。
クドゥラビーチを突っ切って、さらに山を登って行くと、アスファルトの道に出た。
ここから真っ直ぐ行ったらゴカルナの町にたどり着けるはず。
道の両側には本当に何もなく、ひたすらに岩場と草木が雑然と広がるのみ。
寂しい一本道。
どこか懐かしくなる。
ふと前を見ると、道の先で陽炎がゆらめいていた。
子供のころからよく暑い日には、水平線の上に現れる蜃気楼を見ていた。
海の上の水平線のはずなのに、そこに建物のようなものが並ぶ光景はあまりに異様で、それが忽然と現れた時は時間を忘れて見入っていた。
あの蜃気楼は、海の向こうの、実際にどこかにある町が光の屈折とかなんかで何万キロも離れたところに現れているんだよと聞いて、とても不思議だった。
あの時の蜃気楼の町はこの世界のどこにあるんだろう。
そこにも人が暮らしている。
しばらくして山道を降りていくと、建物が固まる路地につながった。
どうやらここがゴカルナの中心地みたい。
まるで迷路のように路地が入り組んでおり、モロッコやバラナシを思い出させる。
建物の隙間から光が差し込み、その間を人と牛がゆっくりと行き交う。
建物はどこかオリエンタルで、木と石が組み合わされた様子は日本に似てるものもある。
ゲストハウスが多く、やはりここは観光地なんだなと思った。
ドリアン実りすぎ。こうやってできるんだね。
ゴカルナのメインビーチはとても広いが、広いくらいで別にそそられることもない。
またベヘリットあった!!
服や、楽器、面白い雑貨なんかの土産物屋さんを冷やかしながら歩き、バスターミナルにやってきた。
このゴカルナの次の目的地は内陸部に入ったハンピという町。
前回にカンちゃんが行き、すごく良かったらしくまた行きたいとリクエストされていた。
俺も気になっていたのでハンピは楽しみだ。
ここゴカルナのバスターミナルからは、6時45分と14時の2本だけバスが出てるみたいだ。
ただハンピではなく、その近くにあるホスペットという町までなので、そこからはオートリキシャーでいく感じかな。
移動時間は8時間、値段は280ルピー。470円。
朝のやつに乗れば昼過ぎにはハンピだ。
それからものんびりとひなびた町の中を歩き回った。
こんなインドの端っこの田舎を何も考えずにプラプラ歩く開放感は相当気持ちいい。
前回の世界一周みたいに2年という期限があり、ハイスピードでできるだけ多くの場所を回らないといけないせわしさは今回の旅にはない。
何をしてもいい、どこに行ってもいいという自由さはたまらなく魅力的だけど、ふと空虚感もはらんでいる。
旅は所詮遊び、という人がいる。
その根底には、定住して定職を持たなければロクデナシという固定概念がある。
日本では、したくないことをしてるのが普通、っていう意識が大きすぎる。
仕事は我慢してやるものってイメージ。
もし、その我慢してやらなければいけない仕事ってやつを持っていないと、人に蔑まれる。
なので働かずに行きたいところに行くことを遊びと思ってしまうんだろうな。
俺はそうは思わない。
せっかく遠い見知らぬ文化の場所に行くんだから、そこで色んなことを学び、アイデアを得て、技術を磨いていけばそれは遊びではないと思う。
旅をただの遊びと位置づけていたら、せっかくの長い期間がもったいない。
という考えがあるから、今のインドでの旅が心の底から楽しめていないような気がしてしまう。
早く歌って稼ぎたい。
観光地を回ってるだけの旅なんて退屈だ。
だからふと空虚感がわいてしまう。
太陽の傾いた山道を2人で歩いた。
日中に比べて涼しくて、海風が気持ちいい。
どこまでも静かで、遠くに潮騒が聞こえ、2人の足音が耳にこびりつく。
ビーチに戻ると、ちょうど夕日が海に沈むところだった。
カンちゃんのストールが風にはためいて、とても綺麗だった。
今、この瞬間を何十年も後に奇跡だったと思えるように、なるべくおぼろげなままでいよう。
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メキシコの宿をアゴダでとってくださったかたがいました!!
サルサとタコスとメスカル!!素敵な旅になることを祈っております。
どうもありがとうございます!!