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もう髪型が本当ひどい

2016年4月10日(日曜日)
【インド】 アラコナム







女の子の髪の毛に花飾りがしてある。







これって生花だ。



いつもはそんなに気になってなかったんだけど、北インドから戻ってきてふと目につくようになった。

意識してなかっただけかもしれないけど、北ではあまり見なかった。


よくお婆さんとかが道端に座ってこのお花を結い合わせて売っているのをこのタミルナドではよく見かけるなと思いかえした。











カデルに聞くと、ああ、タミルナドの伝統的なものだよと顔色を変えずに言った。


日常的に髪に花を飾るオシャレの習慣があるなんて、まるで中世を舞台にした映画の中のことのようだ。









すごく美しいと思った。

少女たちの髪と一緒に揺れる白いジャスミンの花びらが、南インドの強い日差しにきらめいている。

花飾りはもちろん1日限りのもので、枯れてしまい、麗しい香りも失われる。





南インドは北インドのように欧米化が進んでいない。

未だに独自の文化を保ちながら、人々は緩やかに暮らしている。自然と寄り添いながら。







カンちゃんが来たら、毎朝この花飾りを買ってつけてあげようと思った。

タミルの美しい人々にカンちゃんが少しでも愛されるように。

















ふと思うんだけど、どうしてインド人はこんなにもフレンドリーで優しいんだろう。

この前のバングラデシュもそうだった。

トルコの人も信じられないくらい優しかったし、メキシコ人も愛に溢れる笑顔でいつも接してくれた。





それに比べるとアメリカとか日本とかヨーロッパ諸国はどうだろう。

もちろん優しい人たちはたくさんいるけど、基本みんな他人のことは他人のことだ。

そこまで世話は焼かないし、一定の壁があるし、日本ではそれが美徳でもあったりする。




それが悪いわけではない。逆にインド人のフレンドリーさが鬱陶しい時もある。










でもやっぱり思う。


インド人は優しい。



道を歩いてて、何かを尋ねたら100パーセント親身に教えてくれる。間違いなく。

一緒に歩いて連れて行ってくれる人も多い。

できる限りのことをしてくれようとする。




笑顔で話しかけたら、インド人は一瞬で壁がなくなって、昔からの友人のように接してくれる。


そしてじゃあねと会話を切り上げれば、結構あっさりと別れてくれる。


彼らはフレンドリーな国々の中でも距離の取り方が上手い。

嫌味が一切ない。













イライラすることも確かに多い。順番を待たないし、観光地の人間はひどい嘘をつく。


でもそれは他の先進国の習慣と照らし合わせてしまうからだということは分かってる。


それを除いたとき、インド人は人間関係のストレスをほとんど感じさせない相手に対する優しさとピュアさを持っている。

















カデルはよく、インドの様々なことを俺に自慢してくるけど、その中でもこの国の歴史的な部分を誇らしく思っているのがとても伝わってくる。



中国4000年っていうけど、インドもはるか古代から芳醇な人間の歴史を持つ国だ。


インドには世界最古の大学なんてものがあったらしいし、そこには世界中から人々が学びに来ていたという。1600年も昔の話だ。

偉大な学者や研究者がたくさんいて、多種多様な言語や文化を持ち、アジアの国々は古代からインドの影響を強く受けてきている。


それくらいインドは懐がデカい。















インドで過ごしていると、どんどんこの国の世界における重要さがわかってくる。


賢い人々、先進的な技術、神秘的な宗教観、壮大な自然の大地。




それらの歴史を感じ、人々の分け隔てのない優しさに触れ、砂埃舞う風に吹かれたとき、少女たちの髪につけられた花飾りがとてもとても美しく感じられる。


たまらないな、インド。
















「フミ、これ見なよ。面白いよ。ニヤニヤ。」



カデルがいつものように笑いながら動画を見せてきた。

なにやら有名な映画のワンシーンのよう。


インド人の男が5人いて、何かを話している。






1人のカッコつけの男が、タバコを手に持ち、それを顔から結構離したところから口に向かって投げる。

宙を舞うタバコは上手い具合に口に向かって飛び、パクッと唇に挟まった。




これって、踊るマハラジャで有名な俳優のラジニーが映画の中でやったことで流行ったタバコのくわえかたらしい。


インドの人ならみんな知ってるカッコつけのくわえかただ。

日本でも似たようなのあるよな。

もちろん難しい。








すると、もう1人のお金持ちそうな男が、もしそのくわえかたを10回連続で成功させたらお前に車をやろう、と言っている。

しかもあげる車がトヨタだから面白い。

インドでのトヨタは、日本でのベンツみたいなステータスの高い車だからだ。






カッコつけの取り巻きの男たちは、ワオ!!すげぇ!!と盛り上がる。




すると金持ちの男は、でも1度でも失敗したらお前の小指を切り落とす、どうだい?やるかい?と挑発するように言う。






ここでカッコつけの男。


へっ!やってやるぜ!!と勇んでチャレンジスタート。






1回、2回、3回と成功していく。


すると金持ちの男が懐からナイフを取り出してそっとテーブルに置く。




ほ、ほへ…………とビビった顔でそのナイフを見つめるカッコつけの鼻ひげ。



取り巻きたちはお前ならやれる!!絶対やれるぜ!!と大盛り上がり。










4回、5回、6回と連続成功。



しかしどんどんプレッシャーで手が震えだすカッコつけの鼻ひげ。


汗をかいてタバコを放り投げられない。




金持ちの男は、トヨタカ~~~と言って、車のキーをぷらぷらさせている。











勇気を振り絞り7回、8回、そしてついに9回成功。





カッコつけの男のプレッシャーは極限に達している。




取り巻きの男たちの興奮も極限。







あと1回でトヨタカーだあああああ!!!!!














というところで、カッコつけの男は、嫌だあああああああ!!!小指失いたくないいい!!!許してくださいいい!!!と泣きながらギブアップ。


ケッ、という顔の取り巻きたち。









インドの映画って和むなぁ( ^ω^ )







本当、たまらん国だわ。






そしてたまらん髪型ダサい。




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