2016年1月27日(水曜日)
【大阪府】 羽曳野市
高速バス嫌い。
頭痛い。
ネムレナイ。
腰痛い。
チョメチョメしたい。
こんなたるみきった状態でいきなりインド行ってあの世紀末電車とか乗ったら精神が崩壊するんじゃないだろうか。
おい貴様!!!!
そのチンチンをつかんだ手で飯を素手で売るな!!!
あぁ………怖い…………
ていうかアレです。
いろいろ旅の感覚が薄れてるなぁって感じたことがあるんですけど、
この前、品川でゲストハウスに泊まらせていただいた時、夜に酔っ払って宿に帰って2階の部屋に行ったら、通路で女の人が歯磨きしてたんですよ。
もちろん寝る前なので女の人はパジャマです。
パジャマでスッピンという格好。
頭の中で夏の日の1993が流れました。
え、なにこの感情………………
女の人のスッピンパジャマとか彼氏じゃないと普通見られないじゃないですか。
すごい特別なやつです。
エンカウント超低いレアモンスターと遭遇した時のあの焦り爆発状態です。
や、やべぇ!出ちゃったどうしよう!!ってなるやつ。
なんか悪い気がしつつも、女の人の後ろを通らないと部屋に行けないので、平静を装いながら歩いて行き、通り過ぎる時に一応挨拶だけしたんです。こんばんはって。
そしたらその女の人、なんて言ったと思います?
「こ、こんばんはー…………」
「ほんはんはぁぁああん…………」
ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク(´Д` )(´Д` )(´Д` )(´Д` )!!!!!!!!!!
(ゼッテー誘ってるゼッテー誘ってるゼッテー誘ってるゼッテー誘ってる!!!)
歯磨き中だからうまく喋れなくて舌足らずな感じになってて後半若干エロい感じになってて、なんならもう寝る前だから多分ノーブラだしキャアアアアアアアアア!!!!!ってなって、猛ダッシュで部屋に行って俺も一緒に歯磨きしよう!!と部屋の鍵へし折りそうになりながら焦りまくってドアを開けて歯ブラシ掴んで戻ったらもう女の人はいませんでした。
たかがゲストハウスで女の子見かけただけで何を俺はこんなにうろたえているんだろう。
でも日本で暮らしてるとそんなシチュエーションまずないですよね。
海外ではホステルであんなに知らない女の子たちと寝起きしてたのに。
俺いるのに目の前で着替え始める女の子とかいたのに。
夜トイレに行こうとしてふと横を見ると女の子があられもない姿でパンツ丸出しで寝てたりしてたのに。
なんなら目の前でチョメチョメしてるやつとかいたのに。
いやー、旅の感覚が薄れるのは喜ばしいことです。
あれに慣れてちゃ女の子にドキドキできないよ。
というわけでほぼ眠れないまま朝の大阪に到着。
寝不足でふらふらになりつつ、さらに荷物を詰め込んだ大きなバッグふたつとギター。
ぐおおお………………
ひ、久しぶりだな、バッグパックかつぐの……………
俺よくこんな重いもん持って野宿とヒッチハイクで海外を回ってたな………………
そりゃ痩せるわ………………
頑張って荷物を持って市バスに乗り、やってきたのはカンちゃんの部屋。
おかえりー!と迎えてくれるカンちゃんも寝起きのパジャマ姿だ。
幼いカンちゃんのスッピンは本当にただの小学生なのでドキドキというより可愛い可愛いねーって感じだ。
荷物を降ろしたら2人で自転車に二人乗りして近所のパン屋さんにパンを買いに行き、家でゆっくりテレビを見ながらコーヒーを飲み、朝食をとった。
ああ、穏やかな朝だ。
大好きな人とこうして一緒にいられることが何よりも贅沢だ。
1時間ほど仮眠をしたらすぐに出かけた。
今日は出発前の挨拶に植松さんのところに行くつもりだった。
植松さんは2月からまたお仕事でフランスに行く。
今日会えなかったらもう当分は会えない。
カンちゃんと2人、近鉄電車に揺られて古市に到着。
駅を出るとすぐのところに植松さんご夫婦が迎えに来てくださっていた。
奥さんとお会いするのは久しぶりだな。
お綺麗でお若い奥さん。
といっても植松さんと同い年。
明るくて優しくて、植松さんが言うには結婚してから喧嘩したことは数回しかないとのこと。
そして喧嘩しても別に大きなことにはならず、すぐに仲直りするんだそう。
本当、素敵な夫婦だなぁ。
フラワーに着くと、今日も相変わらずたくさんのお客さんで溢れていた。
商品コーナーにはバレンタインのチョコレートコーナーが出来上がっている。
ケーキ屋さんには忙しい季節なんだろうな。
「フラワーはチョコレートも作るんですか?」
「うん、ここで作っとるよ。まぁウチのチョコレートの規模なんて小さなもんやで。」
カッコよくてオシャレなチョコレートが、カッコよくてオシャレなパッケージに入って並べられており、次々お客さんに売れている。
この商品開発ってのもきっと大変な苦労の上にあるものなんだろうなぁ。
植松さんが優れたパティシエさんってのはもちろわかるけど、それと同じくらい優れたビジネスマンなんだろうなー。
レストランコーナーで美味しいランチを食べ、植松さんオススメのクレームドブリュレを苦めのコーヒーでいただき、ゆっくりとお昼の時間を過ごす。
そこにフラワーの天才パン職人さんである大熊さんもわざわざリコーダーを持って会いに来てくださった。
ドイツのミュンヘンで初めて植松さんと大熊さんとお会いしたのが懐かしいなぁ。
大熊さん!!いつも美味しいパンありがとうございます!!!!
「あ、せやせや、これから梅田の阪神にチョコの展示会行くんけど行く?」
「行きます!!めっちゃ面白そう!!!」
なにやら梅田の催事場でバレンタインに向けてのチョコの展示会をやっているらしく、ケーキ屋さんとして視察に行くという植松さん。
というわけでお供させていただくことになり、植松さんの車に乗って梅田の阪神にやってきた。
「ちょっと先に楽器屋さん行こか。」
そういう植松さん。
近くのイシバシ楽器に行くと、すぐに弦のコーナーにやってきた。
「金丸君、餞別やから好きな弦選んで。」
「えええ!!!そんな悪いです!!」
「ええからええから、錆びた伸びない弦の音楽は僕も聞きたないからね。どれがええ?」
も、申し訳なさすぎる………
前回の一周の時も、植松さんはいつも弦を差し入れしてくれたり、ハーモニカを差し入れしてくれていた。
植松さんはこう見えて若い頃ハードロックバンドのギターを弾いていたという。
ディストーションをかけてバリバリに早弾きをかましていたそうだ。
それがケーキを作っている時に誤って指を思いっきり切ってしまい、腱を傷つけて関節が綺麗に曲がらなくなってしまい、ギターを弾かなくなったんだそう。
だからギター弾きの気持ちはわかるんや、とよく話してくれている。
「ありがとうございます………ではお言葉に甘えてこれを…………」
「よっしゃ、これね。」
そう言ってダダリオのライト弦をそこにあるだけごそっと手に取る植松さん。
ぐおおお……………ありがたすぎる…………
これだけあったら半年は余裕でもつ。
植松さん、本当にありがとうございます……………………
恐縮で死にそうになりながら楽器屋さんを出て、阪神にやってきた。
そして催事場に上がると、そこにはものすごい光景が広がっていた。
かなり広い催事場フロアーがとんでもない人出で溢れかえっていた。
そこにはイタリアやフランスなんかの有名なチョコレートブランド、日本の話題のショコラティエさんのお店のブースがいくつも並んでおり、チョコを買いに来た人たちで半端じゃない活気に満ちている。
「うおーー!!すごーい!!なんですかこれ!!」
「いっぱい試食のチョコあるからね。食べすぎて胸焼けせんようにね。」
聞いたことある名前のブランドからまったく知らないもの、企画商品みたいなやつまで、マジで世界中のチョコレートブランドが大集結してる!!!
ここか!!
ここが毎年白熱しているバレンタイン商戦のど真ん中なんだ。
まぁ、それにしてもいろんなパッケージがあるなぁ。
デザインがすごく凝ってる。
味はもちろんだけど、チョコ自体のデザイン、パッケージのデザイン、広告のデザイン、そしてネーミング、コピーも。
このひとつの商品のためにどれだけのクリエイターが関わって、どれだけ莫大な予算をかけているんだろう。
でもそれを何倍にもしてとりかえせるのが日本のバレンタイン市場なんだろなぁ。
「チョコってのはね、ヨーロッパだと有名な職人さんの商品が一粒100円以下で買えるんやわ。でも日本だったら300円も400円もするから海外の職人さんも日本で売りたいんよね。」
なるほど。
こんなんもあった!!
ちょっと欲しいわコノヤロウ!!
アンジーあったら買ってたかもしれんわ!!
ちなみにギター持って、人生で初めてコピーした曲がアンジーです。
ていうか高い!!!!
チョコ全部超高い!!!!!
ひ、一粒1000円するやつとかあるううう!!!!!
な、なんなの!?
アワビでも入ってるの!?
怖っ!!怖いわ!!
「これ6個しか入ってないのに5000円するよカンちゃん!!霧の箱舟くったことあんのか!!」
「イオンのバレンタインコーナーのやつあんなに安いのになんでなの!!」
日本のバレンタイン市場、すごいなぁ……………
ちなみに現在、東京でもこうしたサロンドショコラというイベントが開催されているようだけど、そっちは入場まで4時間待ちなんだそう。
バレンタインデー。
日本中にチョコが溢れかえる裏にはこうしたビジネスマンたちの熾烈な戦いが繰り広げられているんだなぁ。
「女の子の友達にね、上司に義理チョコ配りまくる人とかおるよー。そしたらホワイトデーに立派なものになって戻ってくるんやよー。」
「なるほどー、種をたくさんまくんやねー。ていうかバレンタインデー、日本おらんし!!俺もう日本おらんし!!!」
「カレー味のチョコやねー。」
この催事場はブランドチョコブースだけでなく、日本の和のチョコレートコーナーや、最近注目されているという東南アジアのチョココーナーなど、1日かけてもいいくらいの充実した内容。
日によっては有名ショコラティエさんが来てお話しをしたりもするみたい。
チョコで思い出すのは南米エクアドル。
サンペドロサボテンを求めて熱帯のジャングルの奥地に行き、リーナというインディオの家族の家で生活させてもらったあの日々。
タランチュラみたいな蜘蛛が普通にベッドの横を歩いているような、文明からかけ離れた森の中で暮らしていたんだけど、ある日リーナの家の裏で地元のインディオのおばちゃんたちが長い棒で木の上をつついていた。
なにしてんだろ?と思って見てたら、木の上から何かの大きな塊が落ちてくる。
その塊をインディオのおばちゃんは手に持ち、絶妙な力加減で大きな鉈を振り下ろし、カパッと割っていた。
それはカカオの実だった。
インディオの人たちはそうやって自分たちでカカオをとってきて、自分たちでチョコを作っていた。
もちろん私も作れるわよーとリーナも言っていた。
チョコって人間の生活にとても密接にあるものなんだなーってあの時思ったもんだ。
それがこの日本ではこんな超絶高価な宝石だもんな。
いやー、バレンタイン業界、半端じゃないわ。
板チョコが1500円とか意味わからんもん。
リーナに見せたいわ。
深夜バスで移動してきてほとんど眠れないまま人ごみにもまれたので、意外なほど疲れて若干めまいもしてきた。
植松さんたちと喫茶店で休憩して、そろそろ帰ろうということに。
「ほな、安全に旅してきてな。なんもできんけど、これ。」
別れ際、植松さんが持っていた袋を渡してくれた。
そこにはさっき見ていた高価なチョコレートや大好きなフラワーのお菓子が入っていた。
「えええ!!!こ、こんな……………」
「年寄りは若者に未来を託したいってワガママがあんねん。じゃあ元気でね。」
そう言って颯爽と去っていった植松さんと奥さん。
「もう…………素敵すぎやろ…………」
「紳士ってああいう人のこと言うんやろね……………」
2人で感動して呆然としながらトボトボ歩いた。
これからまた旅に行くけど、してもらいすぎて本当に申し訳なくなってしまう。
出発まであと2週間。
俺にどんな旅ができるだろう。
がんばんなきゃ。
日本最後のライブ、詳細発表!
最後が山口県岩国市。大好きな町で、かなり渋い場所で歌います。2日後には飛行機です!!
共演も豪華なのでぜひ遊びにきてください!
★日にち………2016年2月7日(日曜)
★場所…………山口県岩国市 『水西書院』
★オープン……13時
★スタート……14時
★チケット……1500円(ワンドリンク付き)
★共演…………原田侑子、高瀬裕充