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さぁ、旅に出るぞ

2016年1月17日(日曜日)
【大分県】 別府市








実家に帰るとお母さんが家の掃除をしていた。




「あんたー、本当に行くとねー。インドって、今じゃないとダメやとねー。」



「うん、元気で自由のきくうちにやりたいからね。後悔したくないし。」



「まぁ前回行ってるから色々わかってるやろうけどねー。はぁあ。」



「それよりお腹すいたからなんか作って。焼き飯がいいな。」



「チキンラーメンはどうね?美味しいよー。」



「………家で最後のご飯よ?」



「はいはい、あー次はどこの山行こうかねー。」















前回みたいにかたくなに反対ってわけでもないお母さん。


なんだかちょっと悪い気がしないでもないのは、やっぱり心配をかけてしまうからだ。




どこまでもお母さんが望むように生きていれば、お母さんは安心できるだろう。

心配をかけてしまうのは、親不孝のひとつだとも思う。





でもだからといって親の言う通りに、いい大学、いい会社、家族を作って立派な社会人っていうレールを進むことが俺自身のやりたいことではなかったんだから仕方ないこと。





親を安心はさせたい。

でも自分のやりたいことと違う。





その食い違いの中での救いは、俺も親も仲がいいってことだ。


お互いに相手を許容することができるから、そんなにぶつかり合いもないし、喧嘩して飛び出したこともない。






よほどの理由がない限り、親のことをひどく言うやつのことは嫌いだ。
例え感情的になっていても、親に対する言葉遣いのなってない人とは友達になりたくない。


親はいつも思いやっていよう。

















しばらくしたらお父さんがゴルフから帰ってきた。


「おう、もう行くとか?」




そう、もう行かないといけない。

今出発したらもうそのまま宮崎には帰らずに大阪から飛行機に乗る。



前回の旅立ちの時は、俺が朝起きたらすでに2人とも仕事に行っていたのであっさりと出発することができた。



でもこうやって見送られるのもなんだかむず痒い。

別に死にに行くわけでもあるまいし。






「じゃあ行ってくるから。ていうか2人が外国に会いに来なよ。案内するから。」



「まぁ考えとくわ。はいはい、気をつけてね。」






アクセルをふかしハンドルをきった。

バックミラーに家が遠くなる。




出発なんだ、と胸が苦しくなった。








































土砂降り雨が国道を叩いている。

前回の出発の時も連日の雨だった。


あの時は雨が止むのを待つしかなかったけど、今はこうやって車で走ることができている。




通り過ぎる日向の町並み。

いつも、旅に出る前に住み慣れた町を離れる時、胸が苦しくなる。

まるで恋のように切ない気持ちで満たされてしまう。



友達も家族も恋人も町も、体の一部となった馴染んだものと引き剥がされる時、こんな気持ちになってしまう。









うわー、俺また行くんだなぁ。

どうしてこんな流れになったんだろうなぁ。


自分で決めたことだけど、こんな展開になるなんてまったく予想していなかった。



カンちゃんも付きあうことになるのも、またインドに行くことになるのも。

しかもリコーダーをたくさん持って。










どこでどう変わっていくのか。
わからないけど、生きていく。

いや、そもそも変わることが大前提なのが人生。



変化を恐れるなかれ、漂流を恐れるなかれ。
どこまでも広がる凪に漂えば
まだ何も始まっていないことを知るんだ

ここから、まだまだここから。







































ていうか天領うどん食べすぎ。




よし、もうこれで思い残すことはないぞ。
































土砂降り雨の中、別府に到着した。














今夜歌わせてもらうことになっているライブバーの博堂村の前に到着して電話をかけると、店の中からアツシ君が出てきた。




ひとまず実家から積んできた音楽の録音機材であるMTRをアツシ君に渡した。


前にCDを作るために買ったこのKORGのMTR。
なかなかデカいやつなので、これがあればある程度のバンドサウンドでも録音することができる。



俺は今から海外に行く。

どうせ実家の押入れに眠らせとくんだったら有意義に使ってくれるやつに貸しといたほうがいい。



アツシ君は信頼できる旅人でありミュージシャン。

これでアツシ君が音源を作ってくれたらバッチリだ。

























雨が降りしきる中、博堂村に入るとすでにたくさんの人が集まっており、ライブが始まっていた。












今夜は博堂村の常連さんである男性の結婚パーティーが行われている。

みんな音楽仲間なので、ここで全員でライブして盛り上がって2人の結婚を祝おうっていうわけだ。



そんなところになんで俺が来たかというと、アツシ君が話を持ちかけてくれママからのお呼びがかかったから。



もうすぐ日本を出るので、その前に博堂村で歌いたかったんだけど、今夜のパーティーの中で俺の枠を設けてくれたのだ。






うーん、恐縮。

お仲間たちのパーティーに見ず知らずの俺が入っていってライブなんてなかなか気がひける。



でもそれを言ったらアツシ君も別府の新参者だし、ママがセッティングしてくれたんだから俺は俺の精一杯の演奏でパーティーを盛り上げよう。














というわけでアツシ君もライブ!!

サムクックのワンダフルワールドから、さだまさしの頂戴ませませとか選曲が渋い!!

さすがアツシ君やなー。










それからもお仲間たちが順番にお祝いの歌を歌っていき、俺の番に。

数少ないお祝いソングレパートリーの中から30分ほどやらせてもらい、それからアツシ君や常連さんのメンバーに演奏に加わってもらい、ワンダフルトゥナイトなんてベタな曲をやってステージを降りた。


うん、やっぱりベタな曲はいい曲だよな。



















「いやー、やっぱり金丸さんすごいです。普通に感動してましたよ。台湾の時みたいに、また悔しくなりました。」



アツシ君がそう言ってくれる。


みんな頑張って日々技術を磨いて経験を積んで、どんどん自分を高め、活躍の場を広げていってる。

音楽仲間も、旅仲間も、それ以外の友達たちもみんな頑張ってる。



そんな仲間たちの成長を見るたびに焦りが生まれてしまうけど、俺だってそこそこ場数を踏んできてるんだから成長してなきゃバカ野郎だよな。



























パーティーは大盛り上がりで終わり、それからママやアツシ君たちと居酒屋に飲みに行ったんだけど、ゆうべからの二日酔いと体調の悪さで体力が落ち込んでいてちゃんと話ができなかった。


せっかく場を作ってくれたママに申し訳ないと思いつつも、緑茶しか飲んでないのにトイレで吐いてしまった。


ああ、しんどい……………




明日も長い移動がまってる。
明後日にはライブ。

ちゃんと体調管理しないとな。


















「ねぇ、金丸さん本当に車でいいんですか?うちのアパートで寝ていいですよ?」



「いいの、金丸さんが車でいいって言ってるんだから。俺だったとしてもそのほうがいいもん。旅してる側の気持ちはわかるから。」






アツシ君、そういうこと。ありがとうね( ^ω^ )

雨が降りしきる中、車まで送ってくれたアツシ君たちと別れ、すぐに後部座席で横になった。




あー、明日も頑張るぞ。





















1月25日(月曜日)に、旅出発前の飲み会したいと思います!!

誰でも参加オーケーです!!

場所は東京三軒茶屋のバー、四軒茶屋です。

20時から飲み放題、軽食付きで3000円です。

東京で遊んだみんな、しばらく日本離れるので飲もう!!!




岩国ライブ、詳細発表!

最後が山口県岩国市。大好きな町で、かなり渋い場所で歌います。2日後には飛行機です!!

日本最後のライブ、共演も豪華なのでぜひ遊びにきてください!

★日にち………2016年2月7日(日曜)
★場所…………山口県岩国市 『水西書院』
★オープン……13時
★スタート……14時
★チケット……1500円(ワンドリンク付き)
★共演…………原田侑子、高瀬裕充

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