8月28日 木曜日
【台湾】 台北
朝、トイレに行ったら固形物が出た。
酒持ってこいコラァああああああああああああああああああああああああああああぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
祭りじゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
こ!!こけっ!!!ここっこ、こけい!!こっ!!!
………ふぅ。
いいいいやったああああああああああああああああああ!!!!!!!
下痢地獄が終わったあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!
どうも、赤痢を自力で治した男、ポールニューマンです。
お昼ご飯は赤飯でした。
嘘です。吉野家です。
あへほ…………思えばラオスから始まったこの下痢地獄………
1ヶ月半。
1ヶ月半ずっと下痢だった。
チンチンが役割を放棄して、お尻は常に壊れた蛇口。
ひどい時には10分おきに襲いかかってきたあの洪水。
何度漏らしただろう………
パンツ何枚も死亡させて………
下痢で体がガリガリにやせ細り、体力が落ち込み、この1ヶ月半、本当に辛かった………
ちょっとの階段でさえうんざりするほどきつかった………
よりによってインドとかチベットとかハードな場所でずっとこんな体調とか本当に勘弁してほしかった。
香港に入ってから体が軽くなった。
食欲も戻っていて、トイレもそこまで何度も行かなくて済んでいた。
思えば吉野家とかコンビニの弁当とか、衛生面のしっかりした日本食を食べ始めてから良くなっていった気がする。
そこに加えて差し入れでいただいた正露丸の援護射撃。
今、俺のお腹は鬼の腹筋を取り戻しました。
括約筋も鬼のごとし。
おらぁ!!同性愛者どもかかってこい!!俺のガードは固いぞ!!
下品ですね。やめましょう。
思えばこの1ヶ月半、ずっと下痢の話ですみませんでした。
日記ですのでね、体調のことはキチンと書かないといけません。
もう下痢は終わりました。これからこのブログは以前のようなフレンチポップでコケティッシュなブログに戻ります。
コキのティッシュじゃないですよ。
いやー、本当下品な話はやめよう。
あと少しなんだもん。
健康な体を取り戻した今、これまでの旅の中で培ってきた旅のスキルを総動員していい物語を作りたい。
忘れられない日々を送りたい。
体ボロボロになってもいい。這いつくばって日本に帰るくらいでちょうどいい。
極限まで攻めまくってやりたい。
最後なんだ。とことん全力で駆け抜けるぞ。
あ、寝袋捨てました。
でかすぎるんですよこいつ。
もうこれからずっと暑いので要らないです。
カナダのホームレスシェルターで支給してもらったこの寝袋。
宿に置いてきたので誰かが使うでしょう。
今までありがとう!!
というわけでお昼前に台北駅の横にあるバスターミナルでノリさんと合流。
今夜、ノリさんと一緒に南下を開始する。
アイラは明日が日本に帰る飛行機なので今夜でバイバイだ。
俺とノリさんのバスカーコンビで目指すのは台北の南2時間くらいの距離にある街、台中。
台湾で3番目の都市らしい。
別にたいしたものはないみたいなので行く必要もなさそうだけど、なるべく色んな町に行ってみたい。
ノリさんも台中は初めてみたいだし。
台湾での移動はバスが主流みたいで、たくさんのバス会社が都市間をつないでおり、値段は会社のグレードによって様々。
今回はノリさんオススメのバス会社で行くことにした。
値段はよくわからないけど、俺たちには必殺技がある。
そう!!泣く子も黙る障害者手帳!!!
これによってバスの値段がかなり割引きされるのだ!!!
世界のどれだけで通用するかわからないけど、少なくともヨーロッパなどの先進国では様々な面でこのハンディキャップカードが活躍することだろう。
公共施設の値段の割引きやらなんやらかんやら。
普段めちゃくちゃ苦労して生活してる分、こうした優遇があるのはありがたいことだよな。
てなわけでバスの値段は200台湾ドル。600円くらい。普通なら千円くらい。
そしてありがたいことに障害者手帳での割引きは同行者1人まで適用されるようです。
ドレッドマジぱねぇ。
よっしゃチケットも買ったし、夜にターミナルで待ち合わせることにして今日は3人とも別行動!!
アイラは故宮博物院とかの観光!!
ノリさんはこの前反応が良かった淡水に路上!!
俺は夕方からもう1人の会う約束をしていた人、ヨシエさんとの待ち合わせがあるのでそっち方面で路上することに!!
うおおおおお!!!!体が軽いーーー!!!
お尻が健やかーーー!!!!
で、1日歩き回って汗ぼたぼたかきながら色んな場所で路上してみたけどことごとく警備員に止められて全く歌えず。
いいもんね!!下痢治って超機嫌いいからなんてことないよ!!
どうぞ、演奏止めておくんなまし。
止めろ止めろおおお!!!
今日は無礼講だあああああ!!!!
というわけでヨシエさんにお会いするためにお土産で台北の有名なお菓子を買い、ヨシエさんの働かれている会社のオフィスに向かいました。
「こんにちはー………」
「あー!!金丸君ー!!久しぶりー!!うわー全然変わってないね!!痩せた?ほら座って座って!!」
「ヨシエさんお久しぶりです!!お元気そうでなによりです!!これ、つまらないものですが………あれ?……あれ?ない。」
お菓子屋さんからオフィスまでの100mの間に買ったお土産をなくすという華麗なテクニック。忘れ物キングの真価を発揮。
ま、まぁいいもんね!!今日下痢が治って超機嫌いいし!!
お土産なくしたくらい、なんてことあるわコノヤロウ!!!
2年ぶりにお会いするのに手ぶらて………
いつ手の中から消滅したんだろう………
「気にしないで気にしないで!!いやー、本当懐かしいわぁ。よくここまでたどり着いたわねぇ。大変なことたくさんあったでしょう。」
2年前、チェコのチェスキークルムロフの古城の下で歌っているときに声をかけてくださった台湾人グループのみなさん。
その中の1人だったのがこのヨシエさん。
あの時Facebookを交換して、いつか台湾に来てね約束よ、とそんな話をしたのをはっきり覚えている。
台湾はご飯が美味しくてビールが美味しくて女の子が可愛くて最高の国よ!という話を聞いてから、俺の中で台湾はとても大きなイメージになっていた。
まだ旅が始まったばかりで、遠い遠い道のりの先に待ち構える台湾という国は俺にとって特別な存在だった。
ヨシエさん、俺ここまで来ました。
長かったけど、少しずつ少しずつ進んで、とうとうここまでたどり着きました。
テーブルの上には大きな段ボールの箱が置いてあった。
伝票にオーストラリアの文字が見える。
「金丸君、これがオーストラリアから送ってもらっていた荷物。何が入ってるかわからないけど、ここで開ける?」
オーストラリアのサンシャインコーストで出会ったお色気姉さん、アイさんが送ってくれていたこの荷物。
旅の途中に受け取って欲しいということで、今回ヨシエさんにお願いして受け取り人になっていただいていたんだが、一体何が入っているんだろう。
日本食品?
タバコ?
寝袋?
アイさんのブラジャー?
メールでは荷物の中身は教えてくれなかったアイさん。
なんだがドキドキするな。
なにが入ってるんだろう!!
ヨシエさんが見守る中、段ボールを開けた。
そこにはびっしりと緩衝材が詰め込まれており、中に何が埋れているのかわからない。
中に手を突っ込む。
ん?これは………
折り鶴だ。
すでに折った状態の鶴や手裏剣が出てきた。
ああ、ありがたい。これで旅の最後まで子供達に配れそうだ。
次にまた何か手に当たった。
大人のふりかけて^_^
やっぱりあの人エッチだな。
まだ何か大きなものが中に入っている。
かなり大きいぞ?
段ボールをひっくり返してその謎の物体を取り出した。
絶句した。
頭が混乱して、目の前のことが信じられなかった。
お、お前、何してんだよ………
え?
な、なにやってんだよ………
気が動転する。
ブログを読んでくれていたヨシエさんが、えええー!!と驚いている。
そ、そうだよ、お前はマレーシアのクアラルンプールでいなくなってしまった。
どこかへ行ってしまった。
あのお前がここにいるはずない。
きっとゴミ箱に入られられてもう戻って来られないところに旅だっちまった。
そうだよ。そうなんだよ。お前がここにいるなんてありえないんだよ。
し、尻尾がない。
なんで!!なんでだよ!!!!
見た目はまったく同じ。寸分の狂いもなく、重さもポーズもあいつそのもの。
ドイツのオクトーバーフェスではしゃぎすぎた次の日に気がついたらお前は尻尾が切れてしまっていた。
アラブのどこかで杖をなくしてしまった。
アメリカの入国の時に目が片方とれてしまっていた。
風雨と雪にさらされて髪の毛は少なくなり、体の色もほとんどとれていたのに、今俺の手の中にいるお前は健康そうに血色が良くなっている。
どういうことだよ!!!
「オーストラリアに遊びに行ってたんだよ!!それでアイさんに見つかって捕まっちゃったんだよ!!だからこんなに日焼けして………嘘ー!!すごい!!」
きっと、きっとアイさんが俺のブログを見て、俺があまりにも落ち込んでいたのを見兼ねてどこかから取り寄せてくれたんだろう。
こいつに同じ型のものが存在したなんて。
でも、ここにいるこいつは、俺の目には一緒にヨーロッパから世界中を旅した相棒そのままだった。
あの懐かしい日々が蘇って思わず泣きそうになった。
雨の日も雪の日も一緒に野宿して、美しい街並みをどこまでも歩き回り、厳しいカオスの国を危険にさらされながら旅した唯一無二の相棒。
信じられないまま、バッグの横の専用ベルトを腕に通す。
ブランとぶら下がる相棒。
信じられない。
戻ってきた。
またこいつと旅ができるのか。このタイミングで。日本を目の前にしたこの最後の時に。
泣きそうだ。
トロール、もうちょっと、一緒に旅しようぜ。
お前がいなくなってから、俺いろんなすごいとこに行ったんだぜ。
またあの頃みたいな旅しようぜ。
まだきっと何かすごいことが起きるはずだよ。
俺たち一緒なんだもん。
アイさん、感謝の言葉もないです。
もう……なんも言えないです。
なんも言えないよー………
ありがとうございます………
ブラジャーだったらどうしよう!とか言ってマジでごめんなさい………
興奮と感謝と混乱でよくわからないままヨシエさんとご飯を食べに行った。
有名な小龍包のレストランで、かなり高級なお店。
「ホラ食べて食べて!!2年ぶりに再会した日がこんなにおめでたい日なんだもん!!嬉しい!!」
ヨシエさんがご自分のことのように喜んでくださっているが、俺はまだ信じられないままでご飯の味もどこかあやふやだ。
本当、お前はどこほっつき歩いてたんだよ………
奇跡の立ち会い人になってくださったヨシエさんに何度もお礼を言い、またどこかでの再会を約束して別れ、俺は1人でバスターミナルへ。
「えええええー!!!なんでなんでなんでー!!なんでトロールがいるのー!!」
「ええ!!クアラルンプールでなくなったはずじゃなかったっけ!!?うわ!!鳥肌立ってる!!」
アイラとノリさんもずっと俺のブログを読んでくださっているので、俺にとってトロールがどれほど大切なものだったか、そしてなくした時の喪失感もよく分かってくれている。
2人もまた自分のことのように喜んでくれている。
アイラとハグをして日本でまたライブをやる約束をして別れ、俺とノリさんはバスに乗り込んだ。
両側1列シートで社長が座るような革張りのゴージャスな座席に体を沈める。
各席にテレビモニターがついており、客室乗務員さんがお菓子とお水とブランケットを配って回っている。
すげえ、こんな贅沢なバス今まで乗ったことないな。
今までのアジアが嘘みたいだ。
夜中の0時半。
時間通りにゆっくりと走り出したバス。
座席の足元にはトロールの頭が見える。
懐かしさがこみ上げてくる。
体は治った。
相棒が戻ってきた。
もう完璧だ。
この旅が、終わりに近づいて形を作ろうとしている。
応援してくれてる人たちがいなかったら、この旅はどんなに平凡なものになっていたのか。
それこそ、旅を最後まで続けられていたかどうか。
感謝しかない。
ありがとう。
ありがとうございます。
トロール、もう少し一緒に旅しようぜ。