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ラオス、好き

7月2日 水曜日
【ラオス】 ルアンパバーン





朝、部屋をノックする音で目を覚ました。

宿のスタッフが、日本人の友達が来てるぜと伝えにきてくれた。


眠い目をこすって玄関に行くと、そこには旅人感丸出しの男の姿。

コータ君だ。



「いやー、中国から時差があったの気づいてなかったよ。1時間早かったね、ゴメンゴメン。」



爽やかに笑うコータ君。
伸びた髪の毛は後ろのところがナチュラルドレッドになっており、足には日本で入れたタトゥーがある。

世界の色んな地域の服をランダムに身にまとっており、まさに旅人といったオーラ。





彼に会ったのは1年3ヶ月前のモロッコ。

青の町として有名なシャウエンはヒッピーたちの集う山の中の小さな町で、その安宿に彼はいた。

俺はといえばiPhoneをなくしたばかりで凹んでいた時で、必死に歌っていた。

彼もまたエジプトで全財産をカバンごと盗まれて、それでも日本には帰らずモロッコに来たところ、ベルベル人というモロッコの砂漠の民族と仲良くなり、彼らとラクダ引きの生活をしていたところだった。

コータ君と過ごしたのは実質1日くらいのもん。
記憶が薄れてもいい月日なのに、あの時わざわざバスターミナルまで送ってくれたコータ君のことをはっきりと覚えていた。






別れて何ヶ月かして、コータ君から送られてきた1通のメールも、彼を覚え続けさせた原因だった。



フミ君、久しぶり。
今ベルギーのブリュッセルなんだけど、野宿してたら地元の兄ちゃんに、数週間前にもここで日本人のギター持ったやつが寝てたぜって言われてすぐにピンと来たよ。お互いいい旅しよう。


そんな内容だった。
添付されていた写真にはブリュッセルで寝床が見つけられず、必死こいて彷徨い歩いてようやく見つけた団地の横の使われていないスロープが写っていた。

こんなとこで寝るアホが俺の他にいたかとニヤリと笑いながら、ああ、いい旅しようぜ、と返信をした。






あれから俺は北アメリカから南アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドを回ってきた。

コータ君はジャンベを持って西アフリカを半年以上単独で彷徨い、オーストラリアでワーホリで金を作り、中国の僻地を回ってきたという。


ブログなんかやっておらず、あくまで現地に溶け込みながらゆっくりと世界を旅しているコータ君。

まだまだこの先も旅は続けるという。

こういうやつこそ旅人って名にふさわしい。








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今日はそんなコータ君とカンちゃんの3人でゆっくりと町歩きをすることに。

世界遺産にも登録されているルアンパバーンの町はほんの小ぢんまりとしたもので、メコン川とその支流に囲まれた狭いエリアに古い寺院が集まっており、安宿もしこたまそこらじゅうにある。

昨日見たように、ラオスの土産物はどれもオシャレでセンスがよく、特に銀細工はなんとも異国情緒に溢れており、つい欲しくなってしまう。

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はっ……!!
ベヘリット………!!

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町の中とはいっても、どこを見ても視界に山が入るような自然の中にあるルアンパバーン。

この町でやるべき観光は実は結構いろいろあるみたいで、まず1番有名なのがクアンシーの滝。

町からトゥクトゥクで1時間ほどの山の中に大きな滝があるらしく、そこで泳ぐってのが外せないとのこと。



次が象乗り体験。
俺はタイのチェンマイでやったけれど、ここルアンパバーンでも象の乗り方を学んでライセンスが取れるんだそうだ。

値段は驚きの30ドル。
チェンマイでは80ドルだった。

さらにラオスで取得できる象使いのライセンスは国家資格というからなんのこっちゃだけどちょっと羨ましい。




そしてもうひとつがルアンパバーンの町の中心部にある丘。
ここからの景色はとても素晴らしいとのこと。

今日の夕方に行ってみるか。









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古めかしい寺院を散策しながら町のメインの交差点に行くと、サンドイッチとフルーツシェイクの屋台が並ぶ広場でドイツ人のバーントが友達と一緒にサンドイッチを食べてた。

というわけで俺たちも一緒に混ざってお昼ご飯。

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ちなみにコータ君は旅の中で覚えたであろう独学英語とまったく物怖じしない性格なのでコミュニケーションは完璧。すぐ友達を作る。


なんにも出来なさそうなペコちゃんみたいなカンちゃんは大学をアメリカで過ごし、その後2年間バリ島でカメラマンの仕事をしていたという意外すぎる経歴を持つ女の子なので英語完璧。歩きかた変。


というわけでみんなすぐに仲良くなったので、そこにイングランド人とブラジル人を加えた6人で明日、1番の名所と言われる滝へトゥクトゥクをシェアして行くことに。


ここの広場にいるとトゥクトゥクの運転手がウォーターフォールー、ウォーターフォールーと言いながら寄ってくる。

トゥクトゥクの値段は滝までの往復で相場1人50000キップ。
これを値切って30000キップにすることができた。

ゼロ多すぎ高え!!と思うけど、片道1時間を往復で400円しない。
ラオス好き。


photo:10




ていうかやっぱりサンドイッチ美味い。
これで10000キップ。120円。
ラオス好き。


ていうかフルーツシェイクがマジやべえ。
マンゴーやらバナナやらドラゴンフルーツやらいろんな種類の果物をシェイクにしてくれるんだけど、この暑いアジアにとても良く合う。
たったの10000キップ。120円。
ラオス好き。










こうして物価の安い国にいるとふと自分の財布の中身を忘れてしまいそうになる。

バンコクで金の半分を失ってから旅のルートが大幅に狂ってしまい、予定していた国をいくつか削らなければいけなくなってしまった。


本当だったらここラオスからベトナムに抜け、縦断してからカンボジアに入り、バンコクに戻り、ミャンマー、バングラデシュ、インド、ネパール、という感じでアジアを周りきりたいと漠然とイメージしていた。


しかしこれは日数の問題で不可能。
特にミャンマーはビザの申請が必要なので無理。
これらを全部回っていたら2ヶ月はかかる。


ミャンマーとバングラデシュは削るとしても、ベトナムは行きたかった。
子供の頃から見ていたベトナム戦争の映画、そして60~70年代のヒッピーミュージックの核となった舞台。
ベトナムには当時やってきたアメリカ兵たちからもたらされたロックが今も根づいているという。

俺がやってる音楽はその時代に生まれたものばかり。








そしてつい最近、とある人からメールをもらっていた。

かつて世界一周ブログランキングの中であまりにも異色な存在として一部の熱烈な読者から神としてあがめられている旅人だったのだが、ある時期からパタリとブログがストップしてしまい、アジアで消息不明になってしまった。

死んだとかどっかに住みついたとか色んな噂を耳にしていた。



なのでこの人からメールが来たときはさすがにビビった。

俺もこの人は飛び抜けてるなと思ってた旅人だったので、別次元で生きてるような感じだった。

伝説の旅人と言ってもいいと思う。


あの人がベトナムにいるということがわかり、必ず行こうと決めていた。




金がなくなり、移動時間を金で削ることが出来なくなった今、ベトナムに行くか、インドに行くか、これはもう二者択一の絶対条件。

両方は選べない。

そして今俺はインドを見ている。


会いたかったな、イケダメンさん。
せっかくメールを下さったのに本当に申し訳ないです。










というわけで早く先に進まなければいけない。
ゆっくりしている時間も金もない。

やるべきことも腐る程ある。
時間が足りん。


インドに行くためにはここからカンボジアに南下し、タイのバンコクに戻らないといけない。
バンコクからインドの首都、ニューデリーまでの飛行機が最安だからだ。
1万5千円くらいで飛べる。



ここでひとつ問題がある。
今現在アジアを旅してる人たちにとってのっぴきならない事態がタイで起こっているのだ。


この前までやっていた軍事クーデターによるものかはわからないが、つい先日、タイの国境事情が大きく変わったという噂を聞いていた。

その内容は、タイを旅行していた人がラオスやカンボジアに出国した後、すぐにまたタイに戻ることが出来なくなった、というもの。


アジアに滞在する旅人がとても多い理由のひとつとして、国境の行き来がとても簡単というものがあると思う。
30日間、無料の観光ビザでタイで過ごしたとしても、近隣の国に出てまたすぐ戻ってくればまた新しい30日間をゲットすることができる。もちろん無料で。

新しい滞在日数をゲットするために出入国をするこの行為をビザランというのはタイに来て知ったんだけど、今回の改正により、ビザランができなくなったわけだ。

旅人界震撼じゃないかな。

多分もっともビザランが多く行われていた国でのこの改正だもん。
沈没してた人たちも重い腰を上げないわけにはいかない。


近隣諸国からの不法就労者を排除する狙いが大きいんだろうけど、観光客たちからしたらオオゴト。

俺にとってもオオゴト。

これでバンコクに戻れなかったら、どこか他の都市からインドに飛ぶ飛行機を探さないといけない。
飛行機代が高くなる。




しかしこの情報はどうも信憑性がない。ただの噂かもしれない。
実際最近にタイに戻った旅行者もいる。
おそらく大丈夫のはず。

しかしもしチケットを取ってから国境で追い返されてしまったらそれこそ終了。






というわけで町の中にある旅行代理店、ツーリストインフォメーションに行って話を聞いてみた。

しかしみんなキョトンとした顔で、は?入れるわよ?何言ってるの?旅初心者なのね、と言ってくる。

そんな事実まったく知らないって感じ。

最近施工された情報なのでどうやらこんな田舎町までは入ってきてないんだろうな。

こうなったら確実なところに聞いてやろうと、インターネットカフェに行きタイにある日本大使館に電話をかけてみた。

するとさすがに大使館の人は詳しく事情を知っていた。



これからアジアを回る人のために注意点を書いときます。




★同じ日の出入国はよろしくない

★1回目なら問題なし。でも2回、3回と繰り返すと入国拒否される可能性高し

★現金で1万バーツ、3万5千円以上保持していることを確認されることがある



こんな感じ。
采配はあくまで検査官のさじ加減次第。
まだ始まったばかりの規定だし、めちゃくちゃ厳しいってわけではないみたい。

うーん、タイに戻るまで3万5千円切らないかなぁ………心配だ………





俺だけではなくカンちゃんにも心配事がある。

インターネットカフェで日本への国際電話をかけているカンちゃん。

この前バンコクで盗まれたクレジットカードの件で、使われた26万円をカード会社が補償してくれるかどうかの電話だ。

カード会社の人が言うには慎重な調査をしないと補償できるかはわからないとのこと。
そりゃそうだ。
盗まれて使い込まれたって外国から嘘をついてるかもしれない。実際そんな手を使って金を引き出してる人もたくさんいる。

肝となるのは、このカードを盗んだ犯人がカードの暗証番号を使っていないかどうかというところらしい。
暗証番号を使っていたら本人の可能性があるので補償は厳しいとのこと。


うーん、微妙なラインだなぁ。

犯人がプロならば暗証番号なんて頼りなさそうだけど…………



これらの調査には1ヶ月ほどの期間がかかるとのこと。

しかしもしカード会社が補償してくれないならば、今度は海外保険を使って26万の補填をしなければいけない。
海外保険を使うには現地警察のポリスレポートが必要になる。

1ヶ月も前の事件のポリスレポートなんて書いてくれるのだろうか。


難しいところだ…………












悩みは尽きないが、なんにせよお互い先へと進まないといけない。

次の町へと向かうチケットを買うべくルアンパバーンのバスターミナルへ。

誰もがこのルアンパバーンの次に向かうのはバンビエンなのだが、もう他の場所に寄っている時間はない。

一気にカンボジアへ進みたい。

のだが、直行のバスはないとのことなので、ひとまず首都であるビエンチャンまで行き、そこからさらに南下のバスを探すことに。

ビエンチャンまでは10時間のドライブで110000キップ。
クソ高え!!!と見せかけて1300円。
ラオス好き。







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町に戻ると夕方になっており、すでにメインストリートにはナイトマーケットのテントがビッシリと通りを埋め尽くしていた。

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賑わう露店の中をすり抜けて、やってきたのは町の真ん中にある丘の登り口。

木々の間にどこまでも階段がのびている。

入場料で20000キップ、250円を払わないといけなくて少し悩んだけど、せっかくだから登ることにした。











200段以上の石段を登りきると、そこには予想以上の、いや予想をはるかに超える絶景が広がっていた。

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広大な森が広がり、その森の中に埋れるように赤い屋根の家が散らばっている。

雄大な山々が壁のように周りを囲い、霧がかすみながら薄く麓にかぶっている。

遠くの森の中にポツリと見える金色の寺院の塔があまりに孤独な美しさを放っている。

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そんな大自然と人間のはるかな営みの真ん中を、雄大なメコン川が夕日に照らされてたゆたっていた。


そのコントラストがたまらなかった。

すべてがバランスよく共存していて、飾らない人間の姿があった。
これこそアジアだと思えた。


ドントクライムと書いてある仏塔に登ってガヤガヤ騒いでる欧米人たちはうるさいけど、それさえ気にならないほどの絶景だった。

岩場に座り込んでぼーっと感動にひたっていた。

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「最高だ。ここ最高だよ。」


「やっぱ旅はいいね。俺たちはこんな景色を見ている。最高にリッチな人生だよ。」



太陽が沈み、夕焼けが色を失い、まばらな町明かりが光りはじめる。

空に引かれた山の稜線のくっきりした迷いのなさを見ていると、俺という存在の輪郭もこんなふうに明確なのかなと思う。

夜が訪れる瞬間のトワイライトに風の声が聞こえそうだった。

ラオスもう大好き。

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