6月14日 土曜日
【タイ】 ピピ島
朝、いつものドミトリーのベッドで目を覚ます。
タイの安宿は一応エアコンはついてるが、夜の寝ている間しかオンにしてくれないので朝になると暑くて目を覚まさなければいけない。
まぁ夜だけでもかけてくれるだけマシだし、おかげで強引にでも起きないといけないので朝が苦手な俺には助かる。
ルームメイトで宿のスタッフのバングラデシュ人の兄ちゃんに挨拶して玄関先のソファーに上半身裸で腰かけた。
ピピ島は島なだけあって雨がたくさん降ったり、何かのトラブルがあるとすぐに島の電源が落ちて停電状態になる。
するとWi-Fiが完全に停止してしまう。
これがタイミング悪くこの前出会った女の子、カンちゃんが島にやってくる時になってしまったもんだから困った。
連絡のとりようがなく、桟橋で待っていたとしても何時の船でやってくるのかがわからない。
まぁ小さな島なのでそのうち会えるかと町の中を散歩した。
しばらくしてから電源が回復し、すぐにWi-Fiをつないでみるとカンちゃんからメールが来ていた。
桟橋の近くのパイレーツというカフェにいるとのこと。
行ってみると、クアラルンプールで会ったあの大阪出身のカンちゃんが1人で待っていた。
「あー、ちゃんと来れたねー。」
「久しぶりー!」
マレーシアのクアラルンプールで会ってあれからタイのバンコクに行っていたカンちゃん。
次の目的地がミャンマーなのでバンコクでミャンマービザを申請しているのだが、発行までに時間がかかるのでその間にどこか島に行こうと思ってたところに俺からメールが来たって流れみたい。
河内長野出身ののんびりしたマイペースな女の子、カンちゃん。
でも気がついて優しい。
カンちゃんもワールドカップを楽しみにしていたみたいなので、一緒に日本戦を見られる。
日本の初戦は明日の早朝8時。
楽しみすぎる。
ピピ島で可愛い女の子と一緒にビール飲みながらワールドカップとか何このチンチン3本ついてても足りないような状況。
なんで俺のチンチン1本しかないんだ!!それに小さい!!
「河内長野ってなにがあるの?」
「河内長野はねー、爪楊枝工場があるでー、日本の爪楊枝ほとんどそこで作ってるねん。」
ほぅ?俺のチンへのあてつけですか?
爪楊枝くらいしかねぇんだろ?っていうやつですか?
違う!!俺のチンはPL学園のあのわけわからん変な塔くらいすごいことになってるんだぞ!!
「金丸さん彼女おんねんもんなー。浮気はアカンで。」
はい拷問。
俺のPLどうしよう。
ブログ読んでくれてるカンちゃんなので全部わかってますからね………
恋人気分の雰囲気だけでも楽しませてもらおう。
カンちゃんの荷物を貸し切りドミトリーに置いて、のんびりと散歩にでかけた。
まだ町の中しか見ていないので、今日は他のビーチに行ってみることに。
このピピ島は人の住んでいる町はひとつしかないが、島のいたるところに静かなビーチが存在している。
お金のある人はボートタクシーで海からそれらのビーチに遊びに行くが、南国の植物が生い茂る森の中を抜けて行くのもアドベンチャー気分というかザ・ビーチの映画のようで楽しい。
ほとんど獣道みたいな土と木々の根が張る道を歩いていく。
森に同化するようなバンガローがひっそりと佇んでおり、このあたりに泊まってみるのも良さそうだけど、値段は町の安宿の3~4倍はしてしまう。
子供の頃に友達と冒険気分で山の中を探検したような懐かさが蘇る。
ロープにつかまりながら坂を下り、しばらくすると森を抜けた。
そこには緑色の海と真っ白な砂浜が広がる静かなビーチがあった。
何人かの白人たちが寝そべって日光浴をし、泳いでる人もまばらに見えた。
まるで夢の中のような、忘れられた砂浜。
潮騒がザーン、ザーンと眠りにいざなうように記憶をなでる。
生ぬるい海水に身を任せて波に揺られた。翻弄される小さな体。
ああ、やっぱり海はいいなぁ。
すでに旅という非現実の中にいるというのに、プーケットやバンコクのような都会が現実世界のように思えてくるほど、ピピ島のビーチは非現実的なまどろみをくれるようだ。
波打ち際に座って砂にまみれると、それをやわらかい波が綺麗に洗ってくれた。
濡れた体のまま裸で町に戻り、そのままの格好でコンビニや商店に入っても誰も気に留めたりしない。
島中が自由の空気に満ちており、誰もが楽しそうに笑っている。
地元の人たちもそんな観光客に必要以上にかまうことなく生活しており、自然な距離感がとても心地いい。
暇そうな土産物屋さんの姉ちゃんがにゃーにゃー言いながら猫と遊んでおり、その様子を見ている俺と目が合うとニコリと微笑んでくれる。
マッサージ屋さんのおばちゃんたちもみんな可愛らしかった。
色んな人が今日はギターは弾かないのかい?と笑顔で声をかけてくれた。
タイの屋台にはたくさんのオカズが並んでおり、それとご飯を一緒食べるのが一般的だけど、値段はプーケットで50バーツくらい。160円くらい。
ピピ島では70バーツくらい。
最安のご飯でこれくらいだ。
オカズを何品か買って宿に戻り食べながらビールを飲んだ。
相変わらずドミトリーには他のお客さんはいないが宿の兄ちゃんが端っこのベッドに住んでいるのでカンちゃんと2人きりになれない。
おい、兄ちゃん。自分の部屋はないのかい?
表からお祭り騒ぎのクラブミュージックと叫び声が聞こえてくる。
今日もドイツ対スペインという面白すぎる試合がある。
少しゆっくりしてからいつものアイリッシュバーにサッカーを見に行った。
島の夜はいつまでも盛り上がり続けた。