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ラブワゴンとピザ

5月14日 水曜日
【ニュージーランド】 フォックスグレイシア ~ グレイマウス






営業していないホテルでも一応管理人さんはいるみたいで、そのおじさんに朝に起こされた。
こんなとこで寝たらダメだよって。


冬期の閉鎖ホテルの管理人。

ジャックニコルソンじゃなくてよかった(´Д` )


凍てつく朝の寒さの中、なんとか寝袋から出て荷物をまとめた。

photo:01













これ以上ない晴天。

ピシッと張り詰めた冷気に嫌でも目が覚める。

初冬なので日が登るのが遅く、8時だといってもまだ太陽は山の影に隠れたまま。

森の緑が朝の日陰の中で朝露に濡れている。
最高のハイキング日和だな。


近くの藪の中に荷物を全部隠したら、すぐに森の中に足を踏み入れた。









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photo:03




ゆうべの森は朝の光の中で見ても不気味な雰囲気があった。
苔に覆い尽くされ、瘴気のような森の息吹に満ちている。

今にも動き出しそうな老木や原型をとどめていない切り株。

屋久島を思い出させるこの雰囲気。
この国にも独特な妖精が住んでるのかな。






photo:04




道はそんなにきつものではなく、スムーズに歩いていく。

途中、石がゴロゴロ転がった川を越えたりしながらもスタスタ進むことができる。

さすがにローシーズンなだけあって、他のハイカーは1人もいない。

清々しい朝の木漏れ日の中、この森を独り占めしてるような気分だった。









展望台には2時間で着いた。

目の前にそびえる雪山のヒダが朝日に照らされてまぶしいほどに鮮やかだ。

その雪山から下ってきた尾根。
その谷間に巨大な雪の塊が固まっていた。
これがフォックス氷河か。

photo:05




photo:06






あまりのスケールのでかさに逆になんだか感動しない。

パッと見ではただの汚いスキー場みたいだ。

実は何万年も降り続けた雪が溶けずに固まり、何層にも何層にもその営みを繰り返し密度を増し、出来上がったもの。

その事実はすごい。

でもここからの見た目には別にそこまで大喜びするほどのものではないか。



するとそんな氷河の上空を、バタバタバタとヘリコプターが飛んでいた。
あれはヘリコプター氷河ツアーで、上空から氷河を眺めることができるという贅沢なアトラクション。

確かに上空から見る氷河と連なる雪山の景色は目を疑うような絶景だろうな。

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あの向こうの雪山、その向こうにも果てしない雪山の連なりがある。

あの手前の山の頂まで登ったら、一体どんなものが見られるんだろう。

あの向こうにはどんな景色が広がっているんだろう。

photo:08




一瞬、行ってやろうかな……と思ったけどやめといた。

昔だったら行ってたかな。

かもしれないけど、今は先に進もう。









photo:09




帰りは1時間半くらいで戻ってくることができ、隠していた荷物をとったら近くにあった公衆トイレで身だしなみを整える。

photo:10





トイレの前の道で1人の欧米人の女の子がヒッチハイクをしていたので、頑張ってねと声をかけると向こうもありがとうと笑った。

冷たい水で頭を洗って震えてしまうが、今日の素晴らしい天気ならすぐに乾かすことができる。






トイレから出ると、さっきまでいた女の子ヒッチハイカーがいなくなっていた。

わずか10分足らずの間に上手く車がつかまったみたいだ。

よーし、俺もスパッと乗り込むぞ!!










そして20分後。

止まった車。






photo:11




超イカす。



「ハーイ!俺はビンセント!ドイツのミュンヘンから来てるんだ。」


「いやっほう!ミュンヘンビール最高!!オクトーバーフェス行ったよ!ビンセントもあの伝統衣装を着てフェスに行くの?」


「あったり前だよ。あれはお爺ちゃん、お父さんから受け継がれる大事な衣装なんだ。」


車の通りに最高にフレンドリーで愛に溢れたこのビンセント。
行き先は今日の目的地のグレイマウス。

ドンピシャ一撃!



「なんでこんなにドイツ人はニュージーランドが好きなの?」


「さぁね、日本人はないの?好きな国。」


「うーん、オーストラリアかカナダかな。」


「そうなんだ。俺もニュージーランドの後はカナダに行こうと思ってるんだ。この車は持っていけないけどね。」



例によってバックシートをベッドに改造して旅してるビンセント。
でもこの車はビンセントがペイントしたものではないらしい。



「ローカル、フレッシュとかって横に書いてあるだろ?多分前のオーナーが野菜の販売で使ってたんじゃないかな?3000ドルで買ったんだ。最高にイカしてるだろ?!」






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photo:13




そんなビンセントと途中いろいろと観光地に立ち寄りながら楽しいドライブをして、2時間半であっという間にグレイマウスに到着した。


西海岸エリアでは1番大きな町であろうこのグレイマウス。

とにかく今日のノルマは達成したことだし、そろそろ一発バスキングやっとこうかな。


と、その前にビンセントと一緒にやってきたのは………







photo:14




ドミノピザ。


うっひょおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
ピザうめええええええええええ!!!!!!

ピザとペプシやべええええええええええええええ!!!!!!




ニュージーランド、なんでも高いけどファストフード店は安い。

そしてこのドミノピザもめちゃ安いのだ。

この1枚のペパロニピザがなんと5ドル。450円くらい。ペプシ1ドル。



「ビンセント!!ヤバい!!美味すぎる!!」


「だろ!?俺は1週間に10枚くらい食べてるぜ!!」




ふぅ………こんなに美味しいものでお腹いっぱいになれるなんて幸せすぎる……しかもペプシも飲めたし………

ああ、これでタバコを吸えたら言うことないんだが………

マルボロのメンソール、もうずっと吸ってないなぁ。




お金はクイーンズタウンでほどほどに稼いだし野宿とヒッチハイクなのでほとんど減ってはいない。

買ってもいいんだけど、ボックスが16ドルで巻きタバコが34ドルってのはいくらなんでも高すぎる。

おそらくアジアに行けばまたボックスが2ドルとかそれ以下の値段で買えるだろう。

あと数日我慢すればいいだけのこと。

1箱千円以上するようなタバコを買うほどまだ金銭感覚は崩壊していない。












photo:15




崩壊。



お、おほふ………う、うますぎる…………

なんて美味いんだ………ポールモールのメンソール………


タバコとお酒は人生の大きな喜びのひとつ。









お腹もいっぱいになり、ペプシで爽快になり、タバコがポケットにあるという安心感で、もはや今ほどいい歌が歌えるコンディションはない。

それに驚いたことに山から降りて来てだいぶ北上したことで、気温が2℃くらい違う。

全然寒くねぇ。
いや寒いけどギターを弾く指がちぎれそうになるほどではない。



ビンセントにグレイマウスの町の中心部まで送ってもらい、車を降りた。

ビンセント!!ありがとう!!
スキー好きのビンセントならきっと日本は大好きになれるはずだよ!!

日本に来たらまた会おう。
イカしたラブワゴンに乗せてくれてありがとう!!

photo:16












よおおおおおおおおおおし!!!!!!!

張り切って路上かますぞおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!
ゴーストタウンんんんんんんんんんんん!!!!!!!!!

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もう、ホント南島の町って活気がない……………

photo:18




人まったくいない。
延岡の山下商店街のほうがいる。



ぬおおお…………こんなとこで歌っても1人カラオケになるだけだ。
どうする………











photo:19




さっきのドミノピザがあるショッピングセンターに戻ってきた。

ドミノピザの裏手に大きなスーパーマーケットがある。
ニューワールドというこの国ではどこにでもあるマルショクみたいなスーパー。

え?マルショクを知らない?
宮崎県民の台所ナメんな!!






というわけでニューワールドの入り口の横でギターを構えた。

アメリカで覚えたスーパーマーケットバスキング。

このさびれた町でおそらく1番人通りの多いこの場所。
夕方になり真っ赤な太陽が駐車場の向こうに見える水平線に沈んでいく。

仕事帰りの人たちでお客さんはひっきりなしだ。

ピザ&ペプシ&タバコパワーで最高に心を込めて歌った。









ほぼ、ほぼ全員がお金を入れてくれる。

だいたいの人がまずお店に入る時に俺の前で足を止め、しばらく聞いて中に入っていく。

そして30分くらいして買い物を終えて出て来る時にお金を入れて帰っていくという流れ。


スーパーなので子供から学生、ヤンチャそうな若者、家族連れ、おじさん、ママ、そして爺ちゃん婆ちゃんまでありとあらゆる世代の人たちがみんなお金を入れてくれる。


アメリカでスーパーマーケットバスキングをやっていた時、まず8割りはお店から注意されてやめなければいけなかった。

なので止めないでくれ……と願いながら歌っていたら、お店の人が出てきて、10ドル札を入れてくれた。


聞けばこの場所でたまにオッさんがバスキングをしてるそうだが、ヒドいものらしく、明日もやってくれよと笑顔で肩を叩いてくれた。






photo:20




辺りが暗くなり夜になってもお客さんは絶えることなくやってきて、ようやく駐車場の車がまばらになってきたのが19時半。

寒くて震えてきたし、この辺でやめとこうとギターを置いた。

足元には確実にニュージーランドで1番のあがりがたまっていた。











20分ほど歩いたところにマクドナルドがあり、そこで少しインターネットをしてから寝床を探しに歩いた。

これだけ小さな町なので眠れそうな場所はすぐ見つかる。

マクドナルドから少し歩いたところにちょうどいい大きさの公園があり、その中に屋根のかかった綺麗な小屋を見つけた。

静まり返った夜の公園に入っていき、小屋の中に荷物をおろすとシドニーのイクゾウハウスを思い出した。



そして暗いベンチの上で目を凝らしながらゆっくりとあがりを数えた。


2時間の演奏で221ドルと2オーストラリアドル。

やべぇ………札だけでも100ドル近く入っていた。









充実感に包まれながら寝袋に入る。

寝袋が少し臭い。

最近寒すぎて靴を脱ぐっていったら寝袋に入る時だけなので、足をほとんど洗っておらず靴下が臭くなり、それと同時に寝袋にも臭いがうつってしまっている。

ヨーロッパを回ってる時もそうだったな。
ある程度汚れても臭くなるのだけは嫌なんだよなぁ。

アジアに入れば安宿に泊まれるし、サンダル履きで足も洗いやすいし…………








と、ふと気になった。

ここらでちゃんと飛行機の時間を調べておかないと。


確か18日の朝の出発だったはず………
何時だったっけ?


17日の夜までにオークランドに着いてそのまま空港泊して18日にフライトって流れ。これなら朝早くても乗り過ごすことは………






…………あれ?








フライト、5月20日て書いてる。








………………












逆の勘違いじゃなくてよかったー(´Д` )

実は明日だったとか、シャレになんねぇ。



さ、2日伸びたし明日もこの町で稼ぐかな。

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