4月24日 木曜日
【オーストラリア】 ムールーラバ
橋の下。
ゆうべ、運河を越えて運河を越えて、さらに恐ろしいトンネルをくぐり、ようやくたどり着いた静かなクリーク沿いの橋の下。
疲れ果てて眠りについたけど、夜中に人が来てライトで照らされたりして、魚がポチャリと跳ねる音にも怯えてしまいあまりよく眠れなかった。
頭上を車が通るたびに橋の継ぎ目がガタンと音を立てて、そのたびに寝返りをうつ。
それでも雨と夜露は防げる。
こんな場所なら警察も見回りに来ないだろう。
前回の教訓を活かし荷物を確実に隠せる場所を探す。
ていうか教訓を活かすなら全部持って歩けってところだけど、ゆうべかなり歩いたせいで街まで結構離れてしまっているんだよな。
もちろん、もう確実に貴重品は置かない。
さてー、どこに隠そうかなー、この橋の下の草むらはどうかなー、
ギャッ!!!!!!
スーパーでかい蛇。
マジで動物園とかでしか見たことないレベルの超でかいやつが草むらの中でうずくまっていた。
オシッコ漏らしながらゆっくりゆっくり後ずさりし、ダッシュで逃げた。
こんなやつの巣の真横で野宿してたのか俺(´Д` )
あぶなかったー…………
最悪盗られても痛手にならないものだけをバッグに詰め込み、近くの広い雑木林のかなり奥深いところまで入り込んでバッグを隠した。
落ち葉や木の枝をかぶせて…………
これなら大丈夫だろう。
さて、身軽になって街へ向かう。
今日も素晴らしい天気で、穏やかな陽気の中、迷路のように入り組んだ運河が雲をうつして輝いている。
水辺に面した家からはそれぞれに桟橋が伸び、クルーザーやボートに繋がっている。
庭からそのままクルージングに出発なんて贅沢にもほどがあるな。
ここもまた世界各国のお金持ちたちの別荘地ってとこなのかな。
でもヌーサやゴールドコーストみたいなケバケバしさはない。
あくまで落ち着いたローカルエリアという印象を保っているところがとてもリラックスできる。
この道の向こうに何があるかなって思える心はまだまだ消えていない。
街の中のフードコートで少し贅沢にピザを食べ、マジで半端じゃなく久しぶりのコーラを飲んだ。
コーラが大好きで毎日飲んでいたのに、オーストラリアではビールの倍くらいの値段がするのでこの国に来てからほとんど飲めていなかった。
麻薬的に美味え!!
でも4ドルは高すぎる!!!
フードコートの柱にあるコンセントで充電しながら日記を書き、それからビーチへ。
今日も平日だというのにたくさんの人で賑わうビーチ。
砂浜に寝転んでいる人たちの周りを小さな子供が駆け回っている。
ファミリー向けの穏やかな海なんだけど、沖の方ではサーファーが波間に現れては消え、またパドリングして沖へと向かっていく。
弧を描く海岸線の向こうには白い灯台が見える。
寂しげなその姿は遠いノスタルジーでもあり、夢の中の不思議な光景にも見える。
まるで空に白を塗る絵の具のチューブ。
トイレのシャワー室で水を浴び、体を隅々まで洗い、カフェ通りへ。
昨日のセブンイレブンの店員さんとはすっかり仲良くなっており、1ドルコーヒーを飲みながらお喋り。
「この通りでバスキングする人はみんなここのベンチでやるんだ。ここが1番のホットスポットなんだぜ。」
道の幅、音の響き、そして歩いて来た時の見た目もいい。
周りにたくさんベンチがあるので、座って聞くこともできる。
さらにセブンイレブンでお買い物をする人たちがお釣りのコインをガシャっと入れてくれる。
さらにさらに、このムールーラバ、あまり目立たない町なので同業者のバスカーがおらず、俺の独壇場。
完璧だ。
人の増え始める18時。
路上開始。
時々、自分が信じられなくなる時がある。
この命の使い道は、これで正しいのだろうか。
もっと有意義な使い道があるんじゃないだろうか。
俺はここに生きていて、やりたいことを精一杯やっている。
でもふと、これが本当に自分のやりたいことなのかもわからなくなる。
誰のための人生で、誰のためのやるべきことなのか。
わからないまま歩いていく。
戸惑いながら、一生懸命。
歌やギターや旅が俺の命の本当の使い道じゃないかもしれない。
でも俺は今この道の上。
これまでの無数の選択ののちにたどり着いた道。
大事なのは後悔しないこと。そして楽しむこと。
やると決めたからには最後までやり切る。
そして次に行けばいいはず。
限られたこの人生の時間を我慢ばかりして、退屈に過ごしてなんの意味がある。
人生たった1回。
そのゆるがない事実は、絶望でもあり背中を押す勇気でもある。
ふと自分を信じられなくなる時、 迷いがあるからこそ強くなれる。
今目の前にある笑顔は間違いなく本物。
今日のあがりは143ドル。