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モアイ巡りに行ってみよう

3月16日 日曜日
【チリ】 イースター島





イースター島ではキリスト教が信仰されている。


イースター島は絶海の孤島ではあるけども、ここもまたスペインの支配を受けた場所。

本当宗教のない場所なんて地球上どこにもないな。



そして今日は日曜日。島唯一の教会でミサがあるということで朝9時にメインストリートの端にある教会に向かった。






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静かな日曜の朝。

通りは静まっているが、教会に行くために正装をした地元の人たちが歩いている。





photo:02




教会はなんとも簡素なものだった。
こんな小さな島だもんな。これまで見てきたラテンアメリカの大きなカテドラルなんてものではなく、田舎の集会場みたいな感じ。

でもキリスト像の横に島の彫刻が彫られていたりと、ラパヌイの文化が色濃く混ざり合っている。


そんな特殊な教会なので観光客の姿も多い。
なにやら島独特の聖歌が聞けるんだそうだ。





教会の中は島の人たち全員集合といった感じで満席になっていた。

神父さんのお話が響き、そして間に挟まれるのはラパヌイ語の歌。

南国らしいリズムとメロディで、なんとウクレレが楽隊の中にいる。
こいつは面白いな。


ミサも後半になり、最後に全員が立ち上がり横の人と手をつないだ。
教会内の人々がみんな手と手をつなぎ、一緒に歌を歌った。

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地元の人も観光客も、オッさんも子供もお婆ちゃんも、白人も黒人もアジア人もみーんなで手を繋いでいた。



あー、なんて愛に溢れているんだろう。
こんなミサを毎週ずっとやってきているんだ。
この閉ざされた島で人々は助け合いながら生きてきた。みんな友人だし、家族なんだな。

朝からすごく暖かい気持ちになった。









「あーフミ君ー、会えたねー。」


ミサが終わり人々が教会の周りでお喋りしてる中で誰かに声をかけられる。


だ、誰だこのスケベな人は……?



「ほらほら、AV女優だよー。サンチアゴで会った。」


うん、もちろん覚えてますよ^_^
サンチアゴのホステルで会ったスケベ姉さんのエッちゃん。
話がとても面白くて下ネタで大笑いさせてもらったな。



「いやー、今日から撮影なんだよねー。モアイをバックに15体の男性のモアイをモアイ倒し戦争でうんたらかんたら……あ、この人が監督。」


相変わらず下ネタが冴えまくりのエッちゃん。
他に5人日本人がいて、今からみんなでモアイ巡りに行くみたい。


監督、マジでAVの監督にしか見えないし(´Д` )

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もちろんAVってのは冗談です。
冗談で言ってるのに、だから世界一周とか贅沢なこと出来るんですねって本気にとる人がいるんだと笑ってるエッちゃん。

日本ではレースクイーンとかバドガールとかイベントに花を添える仕事をしているそうで、スタイル半端なくいいですね。

顔隠すとマジみたいだから^_^

photo:05







「今からレンタカーで島を周るんで金丸君も行きましょうよー、グヘヘー。そして僕と同性愛者物を撮りましょうよー、グヘヘー。」


同性愛者物は嫌だけど監督が面白すぎるし、みんなウェルカムです!!って言ってくれるのでお言葉に甘えてご一緒させてもらうことにした。


ていうかアイネちゃんが可愛すぎる。

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レンタカーにみんなで乗り込んで周るんだけど、気になるのはレンタカーの値段。

イースター島だし1日300ドルくらいするんだろうなぁ………
7人で割っても43ドルくらいか………

俺ももうあと島の反対側にあるところ3ヶ所を回れば全部行ったことになるので、ヒッチハイクでも楽勝で行ける。

この面白すぎるメンバーで行けるのは嬉しいけど大きな出費は避けたい。


なんかみんなの好意で乗せてもらったのに値段とか聞きにくいよなぁ。
でもちゃんと確認しておかないとマジでヤバいからなぁ………




「エッちゃん……レンタカーの値段っていくら……?」


「1日4万だよー。」






高っ!!!
たかたかたかたかたかたかたかたかたか!!!!!

えええ!?みんなそんな大金払って借りてるのかよ!?
やっぱりイースター島に来る人ってそれほど潤沢な資金を持って旅してる人ばっかりなのか。

1人57ドルとか無理すぎる!!!



「ま、ま、ままま、マジですか……?う、うんそうだよね、イースター島だもんね!!それくらいするよね!!57ドルあったら辛ラーメンが20個以上買え………」


「うん、だから1人11ドルくらいだよ。」


「金丸くーん、僕が女役でいいかなー、グヘヘー。」


「キショ!!本当キショいわー。」




はい、4万チリペソでした。
1日8千円以下。
安いじゃん!!

てなわけでみんなで車に乗り込みモアイ巡りに出発!!!









photo:07




どこまでもただひたすらに草原が広がるイースター島。
荒れた岩地と荒野があるのみ。

キャンプ場のある村以外に集落はなく、放牧された馬や牛が道路に立ちふさがっていたりして結構危ない。

穏やかな海がどこまでも広がっている。








かつて信仰のためにモアイを作っていたラパヌイの人々。
この巨大な石像を運搬するために大量の丸太が必要となるのだが、あまりにもモアイを作ったので島中の木々を伐採したことにより土地が枯れ、作物が穫れなくなった。

食料不足が起き、島で集落同士の争いへと発展。

そしてモアイは倒され、さらにスペイン人に占領され、奴隷として南米に連れて行かれたりして人口は激減。

そのため島独特の言語であったロンゴロンゴを読める人間もいなくなってしまった。






時は流れて今、イースター島は世界中から人々が訪れる一大観光地になった。

とはいってもこの島は過剰な観光客向けの整備なんかをしておらず、本当に手つかずの島の姿をとどめている。

荒廃の歴史が風に乗って草原を吹き渡っている。






こんな小さな島。イースターの歴史は人間社会の縮図という人もいる。

俺たちの文明もいつか終焉して、風の中の記憶の1部になるのかな。

空と海の青がとても濃くて、悲しいほどに美しい。

photo:08











監督の運転でまず最初にやってきたのは、島の反対側にあるビーチ。

まさに南国といった感じの白砂とパームツリーの美しすぎるビーチなんだけど、ここもまた余計な建物がなく静かに波が寄せては引いている。

photo:09




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忘れ去られたような、この世の果てのような、そんな不思議な光景の中にモアイが立っていた。





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5体のモアイ。
赤い帽子をかぶったモアイはところどころにいるが、複数体見られるのはここだけみたい。

ただでさえ巨大なモアイなのに、その上にこんな何十トンもありそうな帽子を載せるなんて余程の大仕事だっただろうな。



砂浜側からモアイの後ろをよく見てみると、うっすらとフンドシらしきものを履いているのがわかる。
なんだかその人間らしい姿にとても親近感が湧く。
かつてのラパヌイの人々もこうした服装で生活していたのかな。



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あー、たまらん。
ひとつひとつ表情や形が全然違うモアイたち。
どれも個性的で、モデルがいたのかと思えるほど。

胸が震えて仕方ない。

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幻想的なビーチを後にし次に向かったのはすぐ近くにある15体のモアイ。
この島のメインと言ってもいい場所だ。

そんな有名な場所なんだけど、なにやらこの15体のモアイたちは日本企業がクレーン車を寄贈し立てたものらしい。

作業は大変なものだったみたいで、1台目のクレーンが潮風で錆びて動かなくなってしまったところ、さらにもう1台のクレーン車を島に運んでモアイ立てを続行したという。

輸送費も含めたら半端じゃない莫大な費用がかかるはず。

その心意気があまりにもカッコイイ日本企業ってのは、重機会社で有名なあのタダノらしい。







そんなタダノさんによって立てられたモアイたちは島の端っこの荒涼とした波打ち際に並んでいた。

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これまで見たモアイたちよりもはるかに巨大なものばかりで、それがズラリと並んでる姿は壮観の一言。

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なんだろう、迫力ももちろんあるんだけど、それじゃないんだよな、この胸に迫る締めつけるような感動は。

photo:16







ついに俺は本物のモアイを目の前にしている。

一体どんなところに、どんな風に立っているんだろうとずっと思い描き続けてきた。

きっととても神秘的で、地球の息吹を感じられるような大自然の中にいるんだろうなって想像していた。

ずっと、子供の頃からそんな果てしない夢を描いてきた。




そんな憧れを、こんなに超えてくれるんだもん。

モアイだよ、モアイ。

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モアイだよ………





モアイなんだよ………





ああ、モアイだーーー…………





なんかもう、モアイを表現する言葉なんてないよ。

モアイ大好きだよ………

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「ねぇねぇ、モアイってチンチンに見えるよね。先っぽのほうとかさ。」


感動してる横でニコニコしながら嬉しそうに言ってくるエッちゃん。

ちょ、黙って!!

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この15体のモアイからのぞむことができるポコンと飛び出した岩山。


ここがどうやらモアイの切り出し場だったようで、車で10分もかからずに行くことができる。

何体ものモアイが土に埋れ、手つかずの状態で放置されているという1番楽しみにしていた場所。

よっしゃー、ドキドキするぞーーー。


photo:21




ちっちゃくぽこぽこ見えるの全部モアイ。







入場ゲートにやってきた。
ここはチケットが必要な2つの国立公園のひとつ。
ここのために60ドルものチケットを買ったと言っていい。

隅から隅まで満喫してやるぞ。






と思ったら俺たちのメンバーの中の2人がチケットをまだ買っていないと言う。

このゲートで買えればいいんだけど、と期待して来たらしい。

まぁ問題ないだろう。
チケットが要るところなんだからここで売ってるだろう。




って考えるのが普通だけど、残念ながらこの国立公園のチケットは空港か村のチケットオフィスでしか販売してないとレンジャーのおばちゃんに冷たく言い放たれる。

しかも今日は日曜日なので明日じゃないと買えないとのこと。





そうですか、じゃあ僕はチケット持ってるのでみんな少し待ってて下さい。




なんてこと言えるわけない。
俺も協調性を重んじる日本人の端くれだ。団体行動してるんだからみんなに合わせないといけない。


とは言っても、あとこのモアイ切り出し場に行けばイースター島の行きたかったモアイは制覇になる。
今日行けなければまた明日来ないといけない。


目の前に来ててチケットも持ってるのに、みんなで一緒にじゃないと入れない。


おお、団体行動難しい………

仕方ない……また別の日に来るか。
乗せてくれたみんなには感謝しかないしな。







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それからも村に戻りながら小さな見所を回っていくが、もう俺はこの辺は制覇しているので写真も撮らずに芝生に寝っ転がったりしていた。

それだけでたまらなく気持ちがいい。




ガタガタのオフロードを抜けてようやく村に戻ってきたけど、まだ時間は16時くらい。

イースター島は端から端まで車で1時間もかからないくらい。
朝に出れば余裕で1日で全て見て回れるな。

でも1回こっきりってのは勿体無いとも思う。何度でも見たい。ずっと見ていたくなる。それくらいモアイは不思議な魅力を持っている。





「フミ君、明日朝日を見にいくけど一緒行こうー。」


「アイネちゃんがいるから行く!!」


「じゃあみんなで今から飲みましょー!!」



いやー、モアイもいいけどアイネちゃん可愛いなぁ。

肌が日本で3本指に入るくらい綺麗ですね。
これで1年近く世界中を旅してるってんだからすごい。やっぱり男は肌の綺麗な女性が好き………



「なに?3本しか指入らないのー?一升瓶くらいいけるでしょー。」


ニコニコしながら言ってくるエッちゃん。
スケベは黙ってて!!











てなわけで一旦宿でそれぞれご飯を食べ、エッちゃんたちが泊まっているミヒノアキャンプ場に集合。


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へー、ここいいな。

俺が泊まってるキャンプ場は村の畑の奥にあるんだけど、ここは完全に海沿いの波の音が聞こえる場所にある。

広い敷地にテントがたくさん張ってあり、寝起きで水平線という最高の立地。

Wi-Fiもキッチンもあってさらに洗濯物の手洗いOK。
ほとんどの宿が洗濯物の手洗いをしてはダメで、500~600円くらい払ってランドリーサービスを利用しなかればいけないので、ここはかなりありがたい。

そして他の宿みたいにあまり厳しく立ち入り禁止とかもしてないみたいだ。



値段は5500チリペソ。11ドル。
俺のとこが5000チリペソ、10ドル。
大差ないのでキャンプするなら断然こっちのほうがオススメだな。

まぁ俺はもうあと数日なので移動しないけど。

ちなみに日本人宿のハレカポネはドミトリーで7000チリペソ。1400円くらい。






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「本当に僕男か女子中学生にしか興奮しないんですよ。だから……お前たちなんてこの髪の毛をむしってかけてやるううう!!ぐへへええええ!!!!」


「キッショ!!キッショいわオッさん!!」


「ああー!!そんなに言われると興奮する!!ぐへえええ。」



お酒が入り、もはや暴走する監督を誰も止めることはできない。

驚きの変態ぶりです。
これほどの変態は久しぶりに見ました。

AV女優と変態さんと日本で3本指に入る美肌の美女。

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iPhoneもパソコンもなにも持たずに旅してるカツオ君、
小さくて可愛い花ちゃん。
そして日本代表サッカーのユニフォームを着てる謎のクールな男性。

あまりこのクールな男性と会話していないのでどういう人かまだ分からないんだけど、この彼だけが暴走する監督をコントロールできている様子。




「あ、向こうで野良犬が交尾してるわー。もうーお盛んねー。」


イースター島は野良犬が多くていつもそこら辺にいるんだけど、そんな犬たちがすごい勢いで交尾している。
するとガバッと立ち上がって地面に四つん這いになる監督。


「あああ!!ぼ、僕にして下さい!!犬でもいいので僕にお願いします!!」


「よし、監督、ちゃんとしよう。1回ちゃんとしよう。」


「はい。すみません。あ、金丸さんビールないですね。持ってきますね、あ、座ってて下さい。」



謎のサッカーユニフォームの彼。
いい味だしている。

そして監督はこんな変態ですが普段は超がつく優しい人で、実は多分ノーマルです。楽しい人というだけです。
多分。










夕日を眺め、そして輝く月を見上げながらみんなで飲んだ。


今も島に散らばるモアイたちは物言わず月に照らされているんだな。
潮騒に包まれて。

たまらないな。

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