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映画のような3人

1月27日 月曜日
【エクアドル】 バニョス






シングルベッドがひとつ。

photo:01





角のすり減った小さな机が置いてあり、鏡が壁にかけられている。

2畳ほどの大きさの部屋には窓がなく、太陽の光りが差し込まないので朝が来たことに気づかない。


柔かいベッド、少し重い布団に包まり寝返りをうつ。








ゆうべ、バニョスに帰ってきてコンテナから飛び降りたのが22時半くらい。

運転手のご家族はアンバトという近くの町に帰るところだったみたいで、アンバトに来るならいつでもウチに泊まりに来てくれと言ってくれた。

南米でヒッチハイクなんて、って思っていたけど、ここは底抜けに陽気で優しいラテンアメリカ。
もしかしたら世界で1番ヒッチハイクをしやすい場所なのかもしれない。

もちろん危険は必ずついて回る。
1人では絶対できないな。






ヘロニモとマリアンナとご飯を食べて宿に帰るとケータ君のバイクはすでになくなっていた。

今頃はグアヤキルに向かう道の途中か、もう着いている頃か。



ケータ君はこれからずっと南下して行くんだけど、またどっかで会えたらバスバスキングで一緒に稼ごう。











ゆっくりと目を覚ましてベッドの中で日記を書いた。

久しぶりの1人になり、個室の宿もとても快適。

しかもこんな都会の喧騒からかけ離れた山奥の小さな町。


ああ……誰も俺のことを知らない。

程よい寂しさは酔いのよう。









さて、いつまでもここでゆったりしたいところだけど、俺も早く先に進まないといけない。

しかしこのバニョスに来た最大の目的は、ジャングルの奥地にある秘密の幻覚サボテン、サンペドロを体験しに行くこと。


ヘロニモたちの話では、そのジャングルの奥地に行く前に、サンペドロを作っているインディアンの女性にコンタクトをとって現在サンペドロがあるかどうかを確認しないといけないみたい。

連絡先を知ってるみたいなので聞いといてやると言っていたが、出来るだけ早く返事が欲しい。

もし無理ならば早く先に進まないとな。





というわけでヘロニモたちからの返事待ちとなり、さらに平日のバニョスは観光客がグンと減るのでバスキングもできない。

観光もある程度したので、この山の中で特にすることもなくなればもうやることはひとつですね。


そう、インターネットを駆使して、アプリに動画をダウンロードして、イヤホンを用意してやること。







そうです、ゴミ拾いです。

嘘です、そんなことしません。


エクアドルの山はなかなか綺麗です。

日本みたいに産業廃棄物とか、壊れた電化製品とか捨てられたりしてません。






ゴミ拾いの代わりにやるべきことがひとつだけあったので、ギターとパスポートを持って警察署へ向かう。

photo:02





そう、路上のライセンスを取りに行きました。


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どうせもう少しこの町にいなきゃいけないならライセンス取っといてもいいだろう。

photo:03





週末だったらキチンと歌うことが出来れば間違いなく100ドルはいく。

ここでしっかり稼いでおかないとな。

photo:04




沈没コースといってもやるべきことはしっかりやらな………







「明日来て。担当の人が今日いないから。」




はい、今日やること終了。



うわぁぁ……山きれいだなぁ…………


空気が美味しいなぁ…………


やることないなぁ…………


ラーメン食べたいなぁ…………

photo:06














マジでゴミ拾いでもしようかな、と思いながらご飯を食べて宿に帰りロビーで日記を書いていたら、あ、君この前そこでギター弾いて歌ってたね!!ってフランス人の兄ちゃんが話しかけてきて盛り上がってずーっとお喋り。


もうスペイン語とチキンとフライドポテトはウンザリだよ………とうなだれる彼の名前はセドリック。

photo:07





どこにでもいる男前でオシャレなヨーロピアン。

仕事は農家。

フランスの田舎の農家ってのがなんだかすごく好感が湧く。



やっぱりヨーロピアンはオシャレだよなぁ。
そのさりげなく着こなす少しサイズの小さめなシャツとか本当上手だよなぁ。

と思っていたらこのシャツ、日本を旅していたときに古着屋で200円くらいで買ったやつだそう。

そう見ると日本のおじさんとかが着てそうだね^_^




ああ、俺も服欲しいなぁ。
もういい加減このH&Mのニットもボロボロだしなぁ。

旅中はオシャレに気を遣うほど余裕ないけど、さりげなく200円のシャツを着こなしてはいたいなぁ。








話していると、今度はインド人の男の人がやってきて、みんな同世代なので仲良くなった。


「よし、フミ、飯食いに行こうぜ。」


「え、俺さっきスーパーで食材買ってきたんだよ。」


「あーあー、これだよ、日本人はいつも自分でご飯作って食べるんだよな。そりゃ自分で作ったほうが美味しいかもしれないけど、たまには外で食べてもうんたらかんたら。」


「はいはい、わかったよ。食べに行こう。で、何食べに行くの?またチキンとフライドポテト?」


「いいや、俺もいい加減フランス料理が恋しくてたまらないんだ。パンとチーズと魚と新鮮な野菜が食べたい。」


「それ高いし。」


「よし、ちょっと待って。ガイドブックを見てみよう。………こことかどうだい?東南アジアのご飯屋さんだよ。」



冷静でまともなことを言うインド人のソニー。
インド人がガイドブックとかなんか面白いな。



ソニーは今サンフランシスコに住んでるみたいで英語もペラペラだ。

クールで頭がいいやつだなと思っていたらコンピュータのエンジニアをやってるやつで、しかもなんとあのシリコンバレーにオフィスを構える会社で働いてるというメチャエリートだった。



フランスの女が世界一ホットだよ。
いやいや、日本の女の子はマジで最高だから。

とか下らない話をしてるフランス人と日本人をクールに見つめているインド人エリート。

なんかこんな映画ありそうだな^_^







photo:08




そんな3人で観光客向けのアジア料理屋さんに行き、ご飯食べながらなんかいろいろ喋ってたけどあんまり覚えてない。


「老化ってのは3つの理由があるんだ。ひとつがタバコとか不摂生とかの生活習慣、ひとつが太陽を浴びすぎること、もうひとつがストレス。これらを全て排除して時間による老いだけでうんたらかんたら………」


「この町は昼間は静かなのに夜になるとアメリカみたいなクラブ街になるよね。なんだかすごくビックリだようんたらかんたら………」


「やっぱりドラゴンボールはベジータだよ。」


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そんな3人でずーっと喋ってた。
居心地のいいメンバーだった。

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