12月20日 金曜日
【コロンビア】 メデジン
なんだか、メデジンで稼がないと!!っていう気持ちが連日のダメダメっぷりで萎みきってしまった。
歌いに行く気が起きず、部屋で日記を書いたり半沢直樹の続きを見たりしていた。
腐ってしまいそうだ。
このままじゃいけないのに、やる気が出ない。
街に行こうにも結構遠いのでバスに乗らないのいけないので、金がかかる。
行っても稼げる気がしない。
次の街に行こうにも今エクアドルに向かうのは危険すぎる。
だめだ………どうすればいいだろう。
夜、ケータ君と一緒に料理。
カオリさんのリクエストだった、チキン南蛮。
言わずと知れた宮崎の郷土料理。
なかなか美味しくできた。
爛漫のチキン南蛮が食べたい。
ご飯を食べたら少しやる気も出てきた。
気持ちを振り絞ってギターを持って家を出た。
カオリさんの家の向かいにファストフード店やバーが入っている雑居ビルがある。
人通りはまばらだけど、その一角でギターを鳴らした。
ポツポツと足を止めてくれる人たち。
ポツポツと入るお金。
でも雀の涙ほどしかない。
時間が23時を過ぎると、金曜日の夜でも人はいなくなってしまった。
虚しくなってギターをしまう。
あがりは20000ペソ。千円ちょい。
頑張って地道に歌えば稼げる街ではある。
諦めたらいけない、諦めたらいけないのに………
チクショウ………どうしたらいいんだー…………
トボトボと家に帰った。
シャワーを浴びてマットに横になって日記を書いていると、なにやらカオリさんが落ち着きなくウロウロしている。
「どうしたんですか?」
「あー、もう、サナギが羽化しそうー。なんか羽の形とかが見えてきてるー、かえっちゃうよー、どうしようどうしよう。」
この前パーティーに行った時にサンチアゴ君に作ってもらった蝶々のサナギ付きブーケ。
願い事をかけて、無事蝶々になって窓から外に羽ばたいていったら願いが叶うというロマンチックなプレゼント。
実はこれ、カオリさんが他の友達にプレゼントするために買ったもの。
あさってに渡す予定なのに、すでにサナギが羽化しそうになっている。
サナギの殻がぶら下がっただけのブーケなんて残念すぎる。
「ああああ………どうしよう…………そうだ、冷蔵庫にいれておけば羽化するのが遅れるかもしれない。よし、そうしよう。」
「カオリさん、死にますよ。2度と羽化しなくなりますよ。」
「えー、だってもうどうしたらいいのー!!よし、もうせっかくだか
願い事かけてしまおう。お金持ちになりますように、お金持ちになりますように………」
「それカオリさんの願いじゃないですか。」
「ほら、フミくんもかけときなさい。」
「んー、じゃあ、無事日本に帰れますように。」
こんな毎日じゃいけない。
1日も無駄にできないのに、何も出来ない自分が歯がゆくて仕方ない。
ちゃんと日本に帰るためにやらないといけないことは分かっている。
ぐちぐち文句言ってるだけじゃ帰れないんだ。