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咲ログさんがいた家

12月14日 土曜日
【コロンビア】 メデジン






「カオリさん………カオリさん…………朝ですよー、カオリさーん。」


「ん………んん……はい……」


「朝ですよカオリさん、コーヒー出来てますよ。」


「ん……んんん………起こしてー………」



ベッドの上でもぞもぞしながら両手を上げてくるカオリさん。



お、おお………甘えん坊にも程があるぞ………


ケータ君が腕を引っ張って体を起こしてあげる。
寝癖ですごいことになってる頭のままぼーっと一点を見つめて動かないカオリさん。


「カオリさん、ホラ、コーヒー出来てますから、こっち来てください。」


「ああ………あうー……んあぁぁ………」


photo:01







のそのそと起きてきてテーブルの前にぺたんと座り、ほとんど閉じた目で甘いカフェラテをすする。



こ、この人、絶対1人で生きていけねぇ(´Д` )











ゆうべやっとの思いでたどり着いたメデジンのゴール、カオリさんの家。


一部のコアな旅人の間で知られる、ここホステルカオリ。

その実態は本当にただの1人暮らしのアパートの一室だった。


旅ブログが大好きだというカオリさん。

世界一周の旅人の力になれないかと、メデジンにやってくる日本人旅人をご自宅に招き、宿泊させるようになってから1年以上経ったそう。


今までたくさんのバッグパッカーたちがこのカオリさんの家にお世話になってきたそうなんだけど、その最初のお客さんだったのが、旅人の間でとっても有名なあの咲ログの咲子ちゃんだったらしい。

今やアイドルだね。





photo:02





宿泊費無料のカオリさんの家。

とっても優しいカオリさん。


カオリさんがいつでも誰にでも優しい笑顔を振りまく素敵な人だというのは、ほんの数時間一緒に過ごしただけでわかる。

どこまでも甘えてしまいそうになるし、それを受け止めてくれそうな可愛らしい人。


そんなカオリさんの家だけど、いくつかのルールがある。



まず1番大事なルール。


これが1番大事。




それは…………








朝、カオリさんを起こすこと。

そう、それが1番大事。



朝が死ぬほど苦手な人だそうです。

1人だと仕事に遅れ放題だそうです。

あ、仕事ってのは日本語クラスの先生です。

メデジンの大学に言語センターという世界の言葉や文化を教える場所があるそうで、そこで日本のことを教えているのがカオリさんです。


あまりにも授業に遅れるので、生徒が家に迎えに来てくれるそうです。


カオリさん、しっかり。





なのでバッグパッカーが泊まっていると起こしてもらえるのでカオリさんもワーイって感じだそう。

朝本当に弱いので、たまに寝起きが悪くて八つ当たりしてくる時があるそうだけど、厳しく言ったらビックリしながら素直に起きてきます。






次に大事なのが、ご飯。

泊めていただいてる俺たち。
みんなでシェア飯を作るわけだけど、カオリさんの分も作りましょうね、ということ。

カオリさんの好物を聞いて、なるべく喜ぶご飯を作りましょう。

たまに食べ過ぎる時があるので、そういう時は取り上げましょう。










それだけです。

ほんとこれだけ。

もちろん、ゴミを出したりキッチンを清潔に保ったり、調味料がなくなったら買い足すとか、そんな当たり前のルールは言うまでもない。


家主であるカオリさんに迷惑をかけないよう、俺たちは配慮しないといけない。






あ、めちゃくちゃ大事なことを忘れていた。


カオリさんは日本語の先生。

コロンビアのたくさんの生徒さんに、言語だけでなく日本の文化を広める活動もされている。

様々なイベントを催しながら、日本文化の啓蒙に孤軍奮闘してるわけだ。


俺たちが協力できるのは、そういったイベントに参加し、それぞれに日本文化を伝えること。
そして生徒さんと触れ合い、コミュニケーションをとること。


バッカスを探して、のエビさんはバーテンダーであることを活かし、カクテル教室や日本食教室を開催して、積極的に生徒さんたちと交流をしていたと彼のブログで読んでいた。


俺に出来る事はもちろん歌。
日本語の歌を歌うことが生徒さんたちに興味深いものであるならとても嬉しいことだ。


できる限りの協力をさせてもらいたいし、それが俺たち旅人にとっても地元の人と触れ合ういい機会になるのだから、それを理解しているカオリさんの人間力には感服だな。





これから数日カオリさんのお宅にお世話になる予定。


ルールを守りながら、楽しくみんなと過ごせるといいな。












よっしゃああああああ!!!!!

宿代かからない今、この大都会のメデジンでやることはああああああああ!!!!!!!


カオリさんのとこにいる旅人のサキちゃんを全力で口説くことおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!


photo:03




ただのアイドルみたいに可愛い女の子です。
髪の毛結ぶ時にコメカミのところを残してすーっと垂らしてます。
ミニスカートとかはいてます。
ヒラヒラのワンピースとか着てます。
こ、これが旅女子……!!


そんな女子とひとつ屋根の下で、一緒に寝起きしたり料理したりするので過ちが起きるかもしれないです。


嘘です、調子に乗りました。
サキちゃんは彼氏います。医者だそうです。よし、ごめん。






少し前に、ブログランキングで全ての男子から憎しみの対象となったブログがあったのわかりますか?

GO世界、るーさんのアメリカ横断キャンピングカーの旅ですよ。


男女4対4、しかも全員美男美女という憎しみとやるせなさしか湧いてこないあいのりをやっていましたよね。

サキちゃん、あのメンバーの1人です。

レベル高すぎです。

なのでリノちゃんの話とか聞いてます。
可愛いですよね。


チクショク!!全員可愛いじゃねえか!!
あいのりとかあいのりとかあいのりいいいいいいい!!!!!









はい、このメデジンでやるべきことはただひとつ。

お金を貯めることです。

宿代がかからないこの状況、南米でもトップクラスの経済国、

ここで稼げなかったらマジで南米絶望。


なんとしても5万以上は貯めて次のエクアドルに進むぞ。











「じゃあみなさんでセントロに行きましょう!!」


カオリさんとサキちゃん、みんなでタクシーに乗ってセントロへ向かう。

メデジンのタクシーはメーターでとても安い。
15分くらい走って4ドルくらい。
みんなで乗ればとても安い。






photo:04




そんでやってきたセントロ。
マジでものすごい大都会!!

近代的なビルが立ち並び、たくさんのモニュメントが洗練された雰囲気を醸し出している。

街を囲む山々には緑が輝き、その斜面にビックリするような高層マンションがズゴンズゴン乱立している。


こりゃ大都会だわ………









そしてそして、めちゃくちゃ良いショッピングストリート発見!!

photo:06




うおー!!これ間違いなく稼げるじゃなぇか!!

人通り尋常じゃない!!
活気が溢れかえってやがる。

これがメデジンかー!!

photo:07











そんな大混雑のショッピングストリートを歩いて行くと、綺麗な教会がそびえる広場に出た。

整備された広場には無数の銅像、というかモニュメントがいたるところにたっている。

photo:08







なんか変なやつだな。

なんだこの太っちょ。

photo:09




全部太っちょだな。


なにやらボテロっていうこの街出身の芸術家の作品らしく、造形だけでなく絵画もあるようで、有名なのはでっぷり太った可愛いモナリザの絵なんかもあるそう。


photo:10





面白いな。

面白いけど、俺がやるのは観光ではなく稼ぐこと。


歌うぞ。






人通りは多い。
これでもかってくらいたくさん歩いている。


でも今このセントロを見て回ってみたところ、お店から音楽が流れまくっており、物売りの人たちがわらわらとそこらじゅうで声を上げているし、おまけに警察とセキュリティがこれでもかってくらい歩き回っており、目を光らしている。


路上パフォーマンスしてるやつはいない。

こりゃマズイかなぁ…………



でもやってみなきゃ。

このメデジンで稼げなかったらマジで南米がヤバくなる。


ギラギラと太陽が照りつける広場、ボテロのボテっとした銅像の前でギターを出す。


なんだなんだ?とすでに足を止め始めている人波。



よーし、やってやるぞ!!




よーし!!2秒でセキュリティに取り囲まれたぞー!!

なになに!!?
やってはいけないと!!

ほう!?俺に南米で靴磨きになって一生を終えろと!!




ご、ご、ごご、ご勘弁をー………

泣きそうな顔で懇願すると、仕方ないから1時間だけ歌っていいよとの許可がおりる。



よおおおあおあおおおおおし!!!!!!

1時間で50ドルくらい稼いでやるぞこの野郎おおおおおお!!!!!!










1時間後……………






たくさんの人だかりが出来、足元にはかなりの金額のコロンビアペソが。

その金額、なんと12000ペソ。


やっべえ!!
これやっべえ!!



ドルに換算してみる。






6ドル。





やっべえ…………





金額がでかすぎてよくわからないけど、1900ペソで1ドルなのでまったく稼げていない。

ちなみにビールが1本1500ペソとかです。

ご飯が5000ペソとか。


んで12000ペソ。


そしてあえなくタイムリミットの1時間終了。




ひ…………く、靴磨き…………





photo:12





ま、まだだ。まだ諦めねぇぞ。

どこか、どこかに稼げる場所があるかもしれない。

こんなにでかい街だもん、きっとどこかにあるはず。


カオリさん情報ではこの12月は街の真ん中の川沿いにイルミネーションが点灯されるらしく、すごい人でごった返すとのこと。

さらにここから結構離れたポブラド地区というところにメデジンの飲み屋街があるらしく、そこは夜になると地元の人でお祭り騒ぎになるそう。



よ、よし、どっちも攻めてやるぞ!!











photo:13




まずは歩いて30分くらいのイルミネーションエリアへ向かった。





photo:14





はい、人っ子1人いない。

ハリボテの装飾が川沿いに並んでいるだけ。


そ、そうだよね!!イルミネーションだもんね!!
昼間に来たってクソつまらないもんね!!




チクショー………次だ次だ!!










それからさらに1時間歩いて、疲労困憊になりながらもうひとつのポブラド地区にやってきた。

うん、ただの閑静な住宅街。






なにこれ、終わりの合図?



い、いや、飲み屋街ってのがあるはず!!

どこだ!!どこ!!






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あ、あった!!

ここか!!

木々が生い茂る綺麗な公園を中心にたくさんのカフェやレストランがひしめいており、ある程度お金のある人たちだけが集まるエリアってとこだ。


ただまだ時間が早いので人はほとんど歩いていない。

日が暮れるまで待たないと。

ここに望みをかけるぞ。








photo:19




ついてきてくれたマユコちゃんと2人で公園の階段に座って話した。


マユコちゃんはあさってグアテマラに帰る。


楽しい楽しいパナマ旅行と思ってやってきてみれば、いきなりサメが泳ぐカリブ海を3日間も小舟で漂流。

毎日全身ずぶ濡れでぐちゃぐちゃになり、泊まるホテルはジャングルの中の僻地のブタ小屋。

せっかく買ったパナマハットも潮水と乱暴すぎる海の男たちのせいでボロボロになってる。


そんなに過酷な旅をしたことのない普通の女の子にとったら拷問以外のなにものでもない国境越えに付き合わされ、おまけに俺もケータ君もまったく観光意欲のない男なので、ほとんどどこにも行ってない。


か、可哀想すぎる(´Д` )

今こうして日記に書き出してみると可哀想すぎる&俺たちひどすぎる(´Д` )



「ううん、全然後悔なんかしてませんよ!!あんな経験もう一生出来ないですもん!!来て良かったです!!金丸さんの歌も聴けるし!!」



ああ、こんないい子にあんなレイプみたいな拷問を…………

ごめんね、マユコちゃん。




俺の歌でそんなに喜んでもらえるなら頑張って歌うよ。











photo:20




時間は18時を過ぎ、レストランやバーに明かりが灯り始めたころ、公園がいきなり色鮮やかにまたたいた。

木々に吊るされていたイルミネーションの電灯が点灯され、赤や青の幻想的な森が浮かび上がった。


若者のグループやカップルたちがベンチや階段に座り、ビールを飲みながら談笑している。

周りのレストランにも人が賑わい始めた。

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雰囲気、申し分なし。


よしメデジン、勝負だ。








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photo:24





それから4時間。

カオリさんやケータ君、ナオコちゃんもみんなやってきて、さらにこのメデジン在住でかぐや姫などのフォークソングを歌っている日本人のおじさん、金子さんという方やそのバンドのメンバーなど、たくさんの人たちが集まり、とても賑やかな路上になった。


周りのお店はさっきの雰囲気から一変して、爆音でサルサミュージックを流しており、このエリア一帯がものすごい熱気に包まれている。


人通りもすごいことになってきたんだけど、どこもかしこもサルサの陽気な音楽が鳴り響き、ギターの音がかき消され始めた。


コロンビアはサルサの国だとは聞いていたけどここまでとは。
メキシコのあの喧騒が蘇る。


結局22時にギターを置いた。

photo:25













その足でみんなで向かったのは、川沿いのイルミネーション。

さっきまでスッカラカンだったけど、一体どれほどのもんになってるかなー…………








photo:27





すげすぎ。

ルミナリエ超えてる。

もうぐっちゃぐちゃ。

屋台と人ゴミと爆音できぜわしいことこの上ねぇ!!!


みんなで行ったんだけど、あまりの混雑に一瞬ではぐれてしまう。

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でもやっぱりそれだけのことはあって、イルミネーションの規模は凄まじい。

世界トップ5に入るクリスマスイルミネーションというふれこみだったんだけど、見事期待に応えてくれる美しさ。

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誰もが楽しそうにキラキラ輝く明かりの中にいた。

夏のように暑い夜のイルミネーションも悪くなかった。

photo:30




photo:31











みんなでカオリさんの家に戻り、ビールで乾杯。

1日中歩き回って歌いまくった疲労にビールが染みる。




さぁ、気になるあがりだ。

これからの南米旅を左右するこのメデジンの路上初日。

これだけ歌ったんだ。それなりに稼げていないとシャレにならないぞ…………








58300ペソ。



やっべえ!!!
すげぇ!!これやっべえ!!!







えーっとドルに換算すると…………










30ドル。


うわぁ………めっちゃ微妙………

あれだけ頑張って30ドルかよ………

暗雲。

これからの南米、暗雲しか見えねぇ。








そっか………こりゃ腹くくらないといけないな。

これまでヨーロッパ、北米と稼げる場所が続いていた。
その気になればいくらでも稼げるという心の余裕があった。
アスファルトの綺麗な道だった。


しかし今、目の前に伸びるのは果てし無く長い途上国のイバラに満ちたオフロード。
さらに太平洋横断というデカすぎるミッション。

これまで感じたことのない暗雲が胸の中に立ち込めていく。

稼がないと帰れない。

金は減っていく。
時間は容赦なく過ぎて行く。


ああ、これが全て終わった後で回想しながら書いてる物語ならどれだけ気が楽なことか………
しかし現実なんだよなぁ…………


この先どうなるかまったくわからない。





でもやるべきことと進むべき道は分かっている。
分かっているだけマシだ。

不安はとてつもなくデカイけど、必ずやり遂げる。

必ず日本に帰ってみせる。

必ずだ。必ず。


胸の底からこみ上げる恐ろしさをビールと一緒に飲み干した。






と、その時彼女からメールが来た。

あ、昨日ブログで彼女のこと書いたからそのことかな。

俺がいかに彼女のことを大好きなのかわかってもらえたかな。

ああ、どんなラブリーなメールが送られてきたかな…………





「コラァァァ(○_○)!!わりぃはよぉぉぉ!!絶対遅れは許されません。マジで。帰ってきておばちゃんたちに結婚ゆるしてもらえなかったら、付き合ってた6年半、、いやっ7年を賠償してもらうからなぁぁぁ!!3年越えたらお金請求できるみたいだからなぁぁぁ(`□´)」










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うん、急ごう。

目標2月中の南米脱出!!!

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