ご心配おかけしました!!生きてます!!
パナマ~コロンビア間の船による国境越えはマジで地獄です!!
マジで拷問&この世の果てみたいなところなのでWi-Fiなんてなかったです!!
落ち着きましたので、中米南下の続きいきます!!!
12月2日 月曜日
【コスタリカ】 シクサオーラ
朝5時半。
目を覚ますと、鉄格子の窓から白い光が漏れ混んでいた。
何もない部屋の中に伸びる影。
静寂。
キビキビと体を起こして寝袋をたたむ。
マットを丸めてバッグの中に詰めた。
意識が冴えている。
こんな時間なのに、朝の弱い俺がどうしたことだ。
それは緊張によるもの。
これから勝負のパナマ国境越え。
すでに滞在日数をオーバーしているコスタリカ。
まずそれがコスタリカの出国でどうでるか。
さらにそれから中米一の難関、パナマの入国。
フライトアウトの航空券はダミーチケットだ。
もし突っ込まれたら…………
手汗と足汗が尋常じゃないほどにじむ。
動悸で胸がバクバクと高鳴る。
アメリカぶりだな、こんなに緊張してるの。
国境恐怖症、再発だ。
ローラお婆さんの空き家を出て、その足で歩いていく。
まだ朝6時の村は静まり返っており、野良犬がトボトボと歩いている。
ガリガリとバッグを引きずり、土手に上がる。
国境はすぐ目の前だった。
この村から隣の村の間には川が流れており、ボロボロの鉄橋がかかっている。
かつてトロッコかなんかが走っていたのか、レールが敷かれた錆びついた鉄橋。
山奥の鉄橋というシチュエーションが冒険心をかきたてる。
この鉄橋が国境だ。
橋のたもとに小さなオフィスがある。
ここがイミグレーション。
やってきたはいいものの、まだ建物は閉まっていた。
ローラお婆さんがイミグレーションは7時からよと言っていたな。
入り口の前に座り込んでバッグの中から残りひとつのパンとポテトチップスを取り出した。
ふぅと一息ついてかじりつく。
しかしあまりにも飯を食べていないせいか、喉が食事を受け付けてくれない。
食欲がわかない。
パンを野良犬に投げたらすぐにくわえて走って行った。
疲れた………
蚊に刺された首をかくと、伸びた爪に黒い垢がたまった。
身体中がベトベトと湿っている。
もう1週間シャワーを浴びていない。
もう少し、これから国境を越えて、バスを乗り継いで15時間も走ればパナマシティーへ行ける。
多分朝イチで国境を越えられれば、今夜には着けるはず。
パナマシティーに行けばサンホセで別れたユウコちゃんがいる。
一緒にご飯を食べてビールを飲んで、大変だった道のりをたくさん聞いてもらいたい。
もう少し、もう少しだ。
アスファルトに座り込んでいる俺の前をポツポツと人が歩いてくる。
鉄橋を渡って行き来する人たち。
きっと地元の人たちは、ここらだけの移動ならば国境のチェックもないんだろうな。
するとようやくイミグレーションの職員がやってきた。
お掃除おばさんがブエノスディアスと笑顔で声をかけてくる。
俺も笑顔で挨拶をする。
するとおばさんが俺に何か言ってきた。
何を言ってるかよくわからない。
コレクシオン、コレクシオンと言ってる。
何だ?
するとおばさんはポケットからコインを出してきて、それを見せてコレクシオンコレクシオンと言っている。
ああ、なんだ、旅行者たちからそれぞれの国の硬貨をもらってコレクションしてるのか。
いっぱい余っていたイスラエルの硬貨、それと日本の1円玉をあげると、グラシアスとニコリと笑った。
予想通りゆるそうな国境だぞ。
7時ピタリに玄関が開いた。
勇んでイミグレーション窓口へ。
もちろん俺が今日最初のお客さんだ。
よーし!!さっさとスタンプもらって、パナマ入国かまして、今夜中にパナマシティーに行ってユウコちゃんのパナマ運河に俺の大型貨物船を…………
「はい、出国税払って。」
「え?………あ、え?出国税?そんなのあるんですか?」
「あるよ。5ドルだよ。」
「ええ?そんなのないはずですけど………」
「いや、あるんだよ。5ドルだ。」
うぬぬ………パナマに出国税なんてないはず………
またもや嘘出国税か………
でもこれが田舎のボーダーの慣習でもある。
幸い1日滞在をオーバーしていることには一切触れてこないし。
「わかりました、5ドルですね。はい、5ドル。」
「ここじゃ払えない。銀行に行くんだ。」
「わかりました、どのへんにありますか?」
「リモンだ。」
「…………はい?リモン?」
「そうだ。リモンだ。」
「またまたー………リモンってここから3時間くらい戻ったところの町じゃないですかー。冗談やめてくださいよ。」
「ここからリモン行きのバスが出てる。それに乗ってリモンに行って銀行で出国税を払ってまた戻ってこい。」
「……………………」
い、いや、嘘だよね、そんなバカなことがあるもんか。
出国税払えって言うのはわかるよ。
そりゃ払いますよ。必要なものでしょうからね。
でもここじゃなくて3時間かけて戻ったところの町じゃないと払えないってどういうことですか?
リモンってゆうべ通り過ぎた町ですよ?
そ、そんなバカなことあるはずないじゃないですか。
すると警察が横の壁をペンでさした。
見てみると1枚の紙が貼ってあった。
「このシステム、12月2日開始だぴょん。」
キョウ。
凶。
キョウカイシ。
ぬわあああああああああああああああああああああいあああ!!!!!!!!!!!
見切り発車しずぎいいいいいいいいいいいい!!!!!!!
まだ全然やり方整ってないのに施行しちゃったパターンの被害者俺1人目ええええええええええええ!!!!!!!!
目ん玉ひんむいて放心してる俺に、肩をくいと上げるおじさん。
なんなんだよチックショオオオオ!!!
と、とにかくリモンに行かないと!!
急いでバス乗り場に向かう!!
「すみません!!リモンに行きたいです!!リモン行きは何時にでられられっちゃられりられれるり!!!」
「あー、1時間後だよ。」
ひいいいいいいいいいい!!!!!
「片道7ドルね。え?また戻ってくる?ふーん、荷物置いていきたい?2ドルね。」
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ(´Д` )
地元のおばちゃんがのんびり座ってるベンチで究極に焦りながらバスを待つ。
な、な、な、なんでこんなことに………
ユウコちゃんのパナマ運河に大型貨物船をうんたらとかなめたことを考えてしまった天罰なのか?
も、もうもしかしたら今日中にコスタリカを抜けることも不可能かもしれない。
そしたらもはやユウコちゃんに会えないし、ていうか今夜もまたこの村で夜を過ごさないといけなくてああああああ!!!!
すると国境の方から、大きなバッグパックを背負った白人の旅人たちがゾロゾロとやってくる。
みんな焦りながらリモン行きのチケットを買っている。
「君も同じトラブルかい!?ふざけてる!!なんなんだこれは!!」
イタリア人、アメリカ人、みんな怒り狂いながらやっとこさやってきたバスに乗りこんだ。
3時間。
どこまでも広がる広大なバナナ農園の中を突っ走り、昼前の11時にバスはリモンに到着!!
リモンはカリブ海側の地方都市。
銀行で金を払ってこいと言っていたが、出国税の手続きができるのは1ヶ所のみ。
バンクレジットという銀行。
慌てふためく外国人バッグパッカーたちにすぐにタクシーの客引きが群がってくる。
「バンクレジットか!!よし!!5ドルで行ってやる!!」
高え!!どうせ町の中なんだからその辺だろ!?
しかし賢い白人旅人たちはタクシーをチョイス!!
俺はクソ重たい荷物を背中に担いで歩く!!
暑い。
暑すぎる。
日差しがハンパじゃない。
汗が全身から吹き出て、バッグの肩紐が肩に食い込む。
すでに皮がむけており、赤くアザになっている。
ぬおお……銀行どこだあ………
道行く人に聞くと、ああ!!あっちだぜ!!と教えてくれ、急いで向かってみると、シティーバンクという大きな銀行です。
その目の前で、バンクレジットはどこですか!!と尋ねる。
「バンクレジット!?ここさ!!」
と自信満々でシティーバンクを指差すおじさん。
「違います!!バンクレジットっていう他の銀行です!!バンクレジット!!」
「そうか!!それならあっちだ!!」
根性で15分かけて言われた通り歩いて行くが、見事なにもない。
うわあああああ!!!
「あ!!あの!!この辺にバンクレジットって銀行があるはずなんですけど!!」
「バンクレジットか!!それはあっちだ!!」
さっきのシティーバンクの場所を説明してくるおじさん。
あああ!!!狂いそうだああああああああ!!!!!
一体どこなんだよおおお!!
こんな小さな町なのに、なんで銀行の場所知らねぇんだよー!!
日向の人は太陽銀行と宮崎銀行の違いちゃんと知ってるぞおおおおお!!!
その後なんとかたどり着いたんだけど、結果バスターミナルから歩いて5分くらいでした。
30分以上さまよいましたけどね。
汗ダラダラで中に飛び込むと、中でさっきの白人バッグパッカーたちが待っていた。
ものすごくたくさんの地元の人たちで混雑している。
受け付け番号を渡される。はるか先の番号。
ここで1時間以上待たされる。
番号になった瞬間、窓口でスーパーダッシュ。
「パナマに行きまくります!!」
「7ドルね。」
「はぁ!?5ドルじゃないんですか!?」
「2ドルは手数料よ。」
なんだそれ!!
分かりました!!とお金を払い、レシートみたいな紙切れを受け取ってダッシュでバスターミナルへ!!
ああ、荷物重い、肩痛い、もう少し!!もう少し!!
はい、バス、俺を残して出発。
2分遅かった。
のおおおおおおおおお!!!!!!
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