10月29日 火曜日
【メキシコ】 メキシコシティー
話し声が聞こえてソファーの上で目を覚ました。
横を見ると向かいのソファーでサミュエルが寝ている。
足元ではケータ君が寝ている。
ノソノソと起きて、トイレに行こうと隣の部屋に入るとベッドのところでフミちゃんがマーサママとカロラインとおしゃべりしていた。
時間はすでに11時。
ヤバイ、今日はメキシコシティーで過ごす最後の日。
お世話になり通した松岡さんと、最後の食事に行こうと約束しているのが12時。
「よーし、俺が朝ごはんを作ってあげるよ。ちょっと待っててな。」
サミュエルが張り切ってキッチンに向かう。
すぐに出発するのが申し訳なく、そしてこのファミリーと離れがたく、少しだけ朝食をいただくことに。
「今夜もメキシコシティーに泊まるんなら、是非ここに泊まっていって。私たちはいつでもウェルカムよ。」
そうマーサママは言っている。
カロラインもフミちゃんとすっかり仲良しになっていて、行かないでと言っている。
今夜もここでみんなと過ごしたい。
でももう先に進まないといけない。
サミュエルが作ってくれたご飯は、メキシコの家庭的な朝ごはんだった。
ニンニクのきいた卵と、トルティージャの炒め物。
美味しい。
「そうか、寂しくなるよ。また連絡をくれ。いつでも飛んで行くからね。」
そう言ってフミちゃんにケータイ電話を渡すサミュエル。
今日、またサミュエルに会う用事が出来た。
本当に彼は伊達男だ。
「フミ、昨日の夜の話、とても刺激的だったよ。流されずに生きていくこと、メキシコではとても難しい。でもしっかりメキシコの人々に伝えていくよ。」
「サミュエル、俺たちはみんな川の中にいる。流されていくのは簡単だよね。でも面白そうな岩があったら、それにしがみついて、この人生を楽しみつくそう。流されていくだけの人生なんてまっぴらさ。」
固く固くハグした。
荷物をかついで、部屋を出る。
3人で急いで歩き、向かったのはレフォルマの駅。
えーっと………松岡さん、松岡さんは………
あ、
「遅いよー、もう帰ろうかと思ったよー。」
そこには待ちくたびれた松岡さんがいた。
ごめんなさい!!!
グルメの松岡さんが最後にご飯を食べに行こうと言ってチョイスしてくれたのは………
メトロバスで南に結構下った場所から、さらに歩いて10分ほど。
外国人の姿などまずないローカルエリアのゴチャゴチャした雑踏の中にある小さなレストランという食堂のような場所だった。
絶対地元の人でもほとんど知らねぇ。
「ここのシーフードがすごく美味しくてよく来るんだよ。じゃあ注文していくね。」
メキシコでのシーフードは結構避けて通ってきたんだけど、ここの料理は間違いないからと自信満々の松岡さん。
まずはこんな巨大グラスのミチャラダで乾杯。
ああ!!昼からビールを飲んでしまうなんて重罪以外のなにものでもない!!
うまい!!うまいよ!!なんだこれ!!
こんな美味いビール初めてだ!!
俺はもう感動して涙まで出てきたよ!!
あ、ああ~、ああうあ~、涙が~、止まらないよ~~~~、
ケータ
「か、金丸さ~んん!!おかしいですよ!!その涙の量!!!眼球がふにゃふにゃになっちょりやっですよーーー!!!」
バーン!!
睡眠不足解消。
「こちらが前菜になりまス。」
牡蠣のオリーブオイル、エビとアボカド乗せ。
「えー、美味しそうですねー。ふーん、でもこういうのってだいたい見かけばっかりで味はたいしたことなかったりするんですよねー。………パクリ。…………うーん、ほら、いや、美味しいですよ。うん、かなり美味しいよ。でもね、やっぱこう………」
「………チガいます。牡蠣とエビとアボカドを一緒に食べてくださイ………」
「ふーん、まぁメキシコ料理なんてオシャレなばっかりでだいたいこんなもんなんだ…うっめえええええええええええええええええええええええええええ!!アヒイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!」
首なしメキシコ人
「ニコリ。」
「エビが牡蠣を引き立てる!!牡蠣がアボカドを引き立てる!!ハーモニーっつーんですかあ~~~~!!味の調和っつーんですかあ~っ!!くうう~~っ、ンまいっ!!クッ!クッ!生まれて来てよかった~~!!」
ケータ君
「か、金丸さん!!アゴがえれこつになっちょって!!奥歯が!!奥歯が抜けて行くううううう!!でいじゃあああああ!!!」
虫歯だった奥歯が抜けて新しいのに生え変わりました。
虫歯解消。
「娼婦風シュリンプカクテルになりまス…………」
「いやー、俺って辛いのダメなんだよなぁ。ほんと、辛いのダメ………あ!!ダメ!!これ辛い!!俺ダメ!!いやー、本当メキシコ料理ってなんでも辛くすればいいと思ってるからなぁ、ほんと困ったもんだよ………あ!!辛い!!ダメ!!これダメ!!」
「そんげ辛いなら食べるとをやめればいいっちゃー。」
「いやー、なんつーかさー、これ、なんつーか、止められないんだよ……あ!!辛い!!ダメ!!でも、止められないいいいいいい!!!!!」
ケータ君
「か、金丸さんーー!!!肩からてげな垢が出ちょるうう!!肩をかくのをやるっちゃああああ!!!!」
僕は肩こりはないので、これはただの旅の汚れの垢です。
「こ、この店なんかおかしいっちゃー。どう考えても変やとよー………」
「なに言ってんだよー!!首なしさんはすごい料理人だぜ!!俺あの人の料理ならなんでも信用するぜ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
「………こちらがメインになりまス…………焼き魚でス………」
「うんまああああああああいいいいいいい!!!!!!」
ケータ君
「やめろーー!!食べるとをやめるっちゃあああ!!金丸さーん!!」
ドッバァァァアアアア!!!
チンチンが膨張して爆発して性欲が解消され………
もうこの辺にしときましょう。
とにかく美味しかったです。
松岡さん、グルメにも程があります。
「まぁ俺もオアハカにお祭り見に行くから、向こうでまた会おうか。」
最初お会いした時は、キッチリしたすごく真面目な方で冗談とか通じなかったらどうしようなんて思っていたけど、全然そんなことない。
オンラインの英会話学校を経営し、世界中を飛び回り、人種・国籍関係なく、あらゆる人々と交流するこの人の懐はとにかく深い。
ある時は鷹の目のビジネスマン。
ある時は厳しい起業家。
でも普段一緒に遊んでる時は、地元の先輩みたいに腹を割った面白いことを言ってくれるアニキ的存在。
すごい魅力的な人だったなぁ。
やっぱり自分で道を切り拓いてる人ってのは人間的な魅力に溢れてるわ。
英会話に興味のあるみなさん!!
是非是非、「One’s word online」で検索して松岡さんの学校を覗いてみてくださいね!!
松岡さん、またオアハカで会いましょう!!
昼間っからビールを飲んでしまったので、今日の夜にバスに乗ってオアハカに向かう予定だったけど、もうそんな元気がなくなってしまった。
それにまだ会わなきゃいけない人がいる。
イバン。
この街最初の友達。
うちに泊まりなよって言ってくれてたイバン。
結局泊りには行かなかったけど、最後にもう一度会いたい。
夜に会おうとメールを送った。
インスルヘンテスのマクドナルドでサミュエルに会い、フミちゃんに渡していたケータイを返す。
可愛らしい男の子を連れてきたと思ったらもう1人の息子だった。
一緒には暮らしていないが、こうしていつでも会えるみたいだ。
伊達男のサミュエル。子供が2人いてちょっと複雑。
でもフミちゃんを一生懸命口説いていた。
サミュエルはイカしたオトコだ。
でもやっぱりフミちゃんはオチなかった。
こう考えると、日本を出て旅中に現地の人と結婚する女性の決断と勇気には、旅人なんか到底かなわないものがあるよな。
女性の勇気はすごい。
サミュエル、ありがとう。
大きな愛をもらったよ。
ベイビーに手のひらをかざしたら、力いっぱいハイタッチをしてきた。
宿に帰ってメールをチェックしたが、イバンからの返事はなかった。
んー、こりゃ無理かなぁ。
昨日の今日ではいきなりすぎたかな。
結局夜遅くまで待っていたけど連絡がないので、ケータ君とフミちゃんと3人でご飯を食べに出かけた。
「浜勝のトンカツううううう!!!!」
「ジョイフルのハンバーグーーーー!!!!」
「浜虎の塩ラーメンーーーー!!!!」
みんなで好きなことを叫びながら夜の街を歩くが、遅くなりすぎてしまい、全てのお店が閉まっていた。
チックショウ!!!
結局、屋台。
でも美味い。
んでオカマの立ちんぼに絡むケータ君。
さて、この刺激的な街とも、明日でオサラバ。