10月28日 月曜日
【メキシコ】 メキシコシティー
龍馬が死んだ。
終わったもうだめだ!!!もうダメだっ!!!もうダメだぁぁぁああああああ!!!!!
龍馬あああーー!!!
龍馬があああああああああああ!!!!!!!!!!!!
もうだめだ………
日本は宝を失った。
日本の行く先を示す、大事な男を失った。
頭を割られて何度も切られて、血まみれになって死んでしまった。中岡慎太郎と。
龍馬は教えてくれた。
やりたいことがあるなら、やるんだ。
そしてそれを命をかけてでもやり通すんだ。
絶対に途中で投げ出さない。
あああ!!!なんであそこでいつものように北辰一刀流の剣でもってかわすことができなかったのか!!
重太郎先生がいたらきっと全員やっつけてくれたはずなのにーーー!!!
あああああああ!!!!!龍馬あああああああああああ!!!!!!!!
メキシコシティーのマクドナルドの中で龍馬伝を見終わって放心しています。
ちくしょう、龍馬、何で死んでしまったんだ。
歴史は知っているけど、まさかこの龍馬が殺されるなんてあり得ない、みたいな心境になっていて、最終話の惨殺シーンでは、ああ!!あうあ!!ってなりました。
みんなも龍馬伝見ましょう。
マクドナルドの中で体が熱くなっているのは龍馬のせいだけじゃなくて風邪をひいているからですね。
宿で風邪が流行っていたんだけど、見事おこぼれにあずかったようです。
先週ずっと路上頑張ったので、少し体を休めないとな。
さて、今日は宿を出る。
いつの間にか15日も泊まっていたんだな。マジか?時の流れ早え。
今夜はこの前一緒に飲んだサミュエルの家にお泊まりして日本料理を作ってあげようという予定だ。
フミちゃんとケータ君と買い出しへ行き、それからフミちゃんは下ごしらえ。
ケータ君はミカサまでお米や米酢を買いに行ってくれ、俺はそう、
何もしていない。
最年長にあぐらをかいて何もせずに日記を書いていました。
ケータ君、フミちゃん、風邪引いてる俺を休ませてくれてありがとう。
ペンションあみーごは、外泊してまた戻ってくるなら荷物を預けておくのは無料。
大きい荷物をトランクルームに預け、宿を出た。
サミュエルの家に行く前に俺はちょっと会う人がいる。
フミちゃんとケータ君には先に行っててもらって、俺は待ち合わせ場所に向かった。
ラッシュアワーのインスルヘンテス駅前、人混みでごった返す通りに1人で立っている女の子を見つけた。
近づいていくと、俺を見つけて弾けるように笑った。
カミナリちゃんだ。
「フミちゃーん、ちゃんと来たねー!!」
いきなり腕にしがみついてきてドキッとしてしまう。
メキシカンらしく背が小さく、目がクリクリしていてとっても可愛らしい。
久しぶりの女の子の髪の毛の甘い匂い。
死者の日が近づき、あちこちにガイコツの装飾が見られる街を歩く。
そして2人でご飯を食べに行った。
本当はサミュエルの家で作らないといけないから、カミナリちゃんとはお茶だけにして早めに切り上げるつもりだったんだけど、こんなに可愛い子とのデートを楽しまないのは罪だ。
カミナリちゃんが連れて行ってくれてのは、地元の人たちに人気のレストラン。
伝統的なメキシカン料理が食べられる。
ビールで乾杯して、色んな話をした。
俺の話にたくさん笑い、恥ずかしそうにうつむき、上目遣いでいたずらっぽく見てくる。
メキシカンの女の子って、みんなこんなに男心をくすぐるのが上手なのかな。
日本だったら恋の達人レベルだよ。
それから2人で散歩した。
ジェノバストリートを抜け、ビル街の中を歩く。
可愛いメキシカンの女の子とアジア人の男が歩いてるところを周りの人たちはどう見てるんだろう。
でも今はそんなことどうでもいい。
今横で恥ずかしそうにこっちを見ているこのメキシコ人の女の子をこんなに可愛いと思えるなんてな。
道路沿いの緑地帯のベンチに座った。
外灯に照らされたカミナリちゃんの顔を見る。
近くで顔を見てみると、大きな目や長いまつげがとても面白かった。
日本人ならたくさんあるけど、外国人の顔をこんなにマジマジ見たことなんてなかったな。
目尻の形や、眉毛の生え方が今まで見たことのない創りをしていた。
これが人種の違いなんだな。
でもおでこのうぶ毛は当たり前に日本人と一緒。
それがとても愛おしく感じた。
恥かしがりながらあれは日本大使館ですよー、と教えてくれるカミナリちゃん。
へー、日本大使館ってこんなとこにあるのか。
「フミちゃん、ハグよー。」
手を広げた彼女の顔を、通りすぎるヘッドライトが照らした。
「金丸さーん、どこのホテル行っとったとー?」
「ヘイ、フミー、一体何ラウンドやったんだい?」
サミュエルの家に到着。
ごめんごめん、とリビングに行くと、すでにフミちゃんが作った手巻き寿司がテーブルに並んでおり、サミュエルのお母さんと娘さんがニコニコして迎えてくれた。
「ハーイ!よく来たわねー、ゆっくりして行ってね。」
どんなご家族かなーと少し緊張していたんだけど、暖かい笑顔のマーサママに頭をナデナデされると一気に和んでしまった。
娘のカロラインもとっても明るくて素直な美人さんだ。
すっかり遅くなってしまったけど、俺も急いで料理を作る。
と言ってもすでにケータ君が材料を切ってくれていたので、炒めて味つけするだけなんだけど。
俺が作る料理といったら、もうあれしかないです。
肉じゃが^_^
宮崎県民が2人も揃っちかいなんじチキン南蛮作らんとかよぉ!!
という声が聞こえてきそうですね。
ごめんなさい!!作り方わかんない!!
フミちゃんの手巻き寿司はとっても美味しくて、さすがは女子というところ。
俺の肉じゃがもまぁまぁの出来で、サミュエルもママもみんな喜んでくれた。
「よーし!!夜はまだまだこれからだからね!!まーだこんなにあるから心配いらない!!」
別の部屋から何かの甕を持ってきたサミュエル。
なんと、これ全部メスカル(´Д` )
メスカルってのはメキシコ独特のスピリットで40度ほどのアルコール度数がある危険なお酒だ。
「マジで!?サミュエルはまだ全然酔っ払ってないの?!」
「あったり前だろう!!俺はメキシカンだぜぃ!!」
そっから先はあんまり覚えてない。
サミュエルも、マーサママも、カロラインちゃんも、みんなすごくあったかくて、まるで古い友達の家に遊びに来たみたいだった。
夢うつつに酔っ払って、サミュエルのパソコンでYouTubeを開いたのを覚えている。
トムウェイツのクロージングタイムを流した。
久しぶりにトムウェイツは、なんだかとても身近に思えた。
ジャケットのニヒルで、寂しそうなトムがすごく親近感を持って感じられた。
夜中のピアノ、ウィスキーのグラス、青い電灯。
アコースティックギターとピアノとウッドベース。
あの頃とまた違う感情が優しく胸を撫でてくれる。
マーサママはもう眠っている。
そして曲のマーサが流れた。
そうだよな、あんなに好きな曲だったのに、どうしてすぐに思い出せなかったんだろう。
どんどん埋れて、降り積もる灰に埋れていってしまうのかな。
でも今も、あの頃の日々は埋み火として消えることなく燃えている。
酒と音楽は、まずいよなぁ………