10月24日 木曜日
【メキシコ】 メキシコシティー
毎日夜中まで起きているので、10時くらいに目を覚ますと部屋にはいつも誰もいない。
このペンションあみーごには一応、朝ごはんがついているらしいんだけど、一度も食べたことがないです。
そんで目を覚ましてからも日記を書いたり、ブログに来ているコメントの返事を書いたり、毎日路上で出会う新しい友達からのメールの返信をしたりしていると、いつも余裕で12時を過ぎてしまう。
キッチンでワイワイとお昼ご飯を作る声が聞こえてきて、吹き抜けの宿の中に美味しそうな匂いが立ち込める頃にベッドを出て、シャワーを浴びる。
そしてそのままギターを持って宿を出て行くので、他の宿泊客とはほとんど会うこともない。
1日中なんにもしないで宿の中をウロウロしている60歳くらいのおじさん旅人たちと軽く挨拶をするくらいかな。
植村直己世代のおじさんたちだろうから、若い頃から冒険に憧れてましたって感じなのかな。
「お、今日も歌いに行くんですか?」
「はい、それから夜はパーティーに行ってきます。」
「え?パーティー?それは日本人の?」
「いや、ここの地元の人たちのパーティーです。」
「へー!メキシコ人に友達がいるんだー。すごいねー。」
ふとビックリする。
日本人宿を渡り歩いてる人って本当にこんなんなんだろうか?
外国に友達がいることがそんなにすごいことって思えるってどんな旅をしてるんだろう。
外国にいるのに、外国人との接点をシャットダウンして日本人とばかり一緒にいるって、不思議なことだな。
宿の玄関を開けると今日もぐずついた天気。
でも俺の路上場所は地下道だ。
雨が降っても関係ない。
いつものブエナビスタの地下鉄駅にやってきた。
たくさんの物売りたちが床に布を広げ、その上にオモチャを並べている。
「5ペソだよー!!5ペソー!!」
「この楽しい楽しいオモチャがたったの10ペソだよー!!」
彼らのかけ声で賑やかな通路を抜け、地下道へ。
さて、今日も稼ぐぞ。
「あー、こんにちはー。日本から来てるのー?」
流暢な日本語で話しかけてきたのは、可愛らしいメキシコ人の女の子だった。
背が小さくて大きなメガネをかけていて、日本男児の心のくすぐり方を心得ていやがる。
名前は覚えられなかったけど、カミナリっていう意味なので、日本人からはカミナリちゃんって呼ばれてるらしい。
「日本に住んでたんだよねー。横浜と埼玉とかー、日光とかヤバイよねー。」
ラテンのエキゾチックな顔立ちでこんなネイティブな日本語を使われると可愛くてしょうがなくなるという新たな発見。
「いやー、可愛いね。すっごい可愛いよ。」
「あははー、ありがとうー!彼女はいるの?」
「いるよ。でもカミナリちゃんは可愛いね。」
「あー、悪い男だなぁー。でもイケメンだねー。」
「えへ!!えへへ!!えっへへぇ!!」
ご飯食べ行こうよぉーって言われたので、ついに俺もラテン美女のチェチェンイツァにデスペラードする時が来たかと思ったんだけど、歌って稼がないといけないのでお断りしました。
真面目。
「えぇー、仕方ないなぁー。じゃあ明日ここにご飯持ってきてあげるからねぇー。ちゃんといるんだよー。」
「えへ!!えへへ!!えっへぇぇえ!!」
それからもたくさんの人たちが声をかけてくれ、今日だけで5人くらいとFacebookを交換した。
今Facebookの友達、何人になっただろ。
日本人の友達超えてるだろうな。
途中若いカップルと話しているところに警察がやってきて、何かスペイン語で言われた。
やば、止められるかな………と思ったんどけど、警察は俺の足元のお金をジロジロ見ながらそのまま通り過ぎて行った。
男の子が顔をしかめている。
「どうしたの?なんて言ってたの?」
「………お金を払えってさ。賄賂だよ。メキシコの警察は何からでもお金を取ろうとするのさ。」
なるほど、メキシコの警察は腐敗しているとは聞いていたけどこういうことか。
今のところいい警察にしか会ってないし、今回はメキシコ人の彼らがいたから見逃してもらえたけど、もしかしたら袖の下を払わないといけない時が来るかもしれない。
覚悟しとかないとな。
それでも子供はとことん可愛い。
今日のあがりは3時間やって442ペソ。33ドルってとこかな。
ラッシュ時間の地下鉄半端じゃねぇ。
いったん宿に戻り荷物を置く。
キッチンには宿の人たちと仲良く話してるケータ君の姿。俺がまだ全然打ち解けてない人たちとも、もうすっかりタメ口で喋っている。
同じ宮崎県民なのに、やつのコミュニケーション能力は高い。
かなり高いと思う。
さすがにヒッチハイクを駆使して地元の人たちと濃厚に旅してる男だ。
でも誰にでもいい顔をする八方美人ではなくて好き嫌いがはっきりしてるところもいい。
「あ、金丸さん、おかえりなさい!!そろそろパーティー行きますか?」
ケータ君となら一緒に旅できそうだな。
つっても彼は、超危険地帯の中米をヒッチハイクと野宿で南下し、南米はバイクを買って縦断するという。
あ、頭のネジがはずれてやがる………
そんな無茶な旅はゴメンなので、一緒にいるのは宿にいる間だけかな。
みんなが盛り上がってるホステルを21時を過ぎてから出発。
ケータ君と一緒に出かけたのは、インスルヘンテスの裏路地にあるオスロラウンジ。
「大丈夫やと?俺が行っても。なんか緊張してきたっちゃー。」
「大丈夫大丈夫、みんなめちゃくちゃいい人ばっかりだから楽しめるよ。さーて行こうか。」
音楽が鳴り響く店内は赤い照明に染められて、その中でたくさんの人たちが踊りまくっていた。
みんなビール片手にそれぞれに喋っている。
「おー、フミ君、来たね。」
メキシコ人の中にあって頭ひとつ飛び出してるのは、松岡さんだ。
今日のパーティーは先週も行ったカウチサーフィンの集まりだ。
先週はあまりの楽しさに調子に乗ってスーパー大はしゃぎしてしまったけど、今日は必ずほどほどにしよう。
「オーウ!!フミ!!調子はどうだいー!?」
「フミ!!私のこと覚えてる!?どうしてFacebookに写真送ってくれないの?」
「フミ!!今日も踊りましょう!!」
たくさんの人が笑顔で声をかけてくれるんだけど、8割覚えてねぇ………(´Д` )
お、俺は前回どんな弾け方をしてたんだろう………
うん、でも今回はおとなしくしよう。
なにがなんでも二日酔いは避けないと。
「ヘーイ!!ビールが空じゃないかー!!フミー!!チアーズできないじゃないかー!!」
「なんだとコノヤロウ!!!日本人ナメんなよ!!!」
はい、そこからメキシコ人と飲み比べをして酔っ払って、かわい子ちゃんとサルサを踊ってからトイレに連れ込んでチリソースをデスペラードしてやりました。
というのは冗談で、この日はおとなしくしてました。
ゆっくりたくさんの方とお話ししてました。
チリソースをデスペラードとかそんなエロいことしません。
あれ?ところでケータ君は大丈夫かな。さっきから見かけないけど。
1人で隅っこにいたりしないかな。
どこだろ?
えーっと…………
あ、いたいた。
日南のお母さん。彼は元気です。
今夜はこのバーだけで終わりにして、パタネグラにも行かず、程よく酔っ払って宿に歩いた。
毎回これくらいにしとかないとな。
明日から週末。
間違いなく稼いでいくぞ!!!