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日本人宿での発見

10月15日 火曜日
【メキシコ】 メキシコシティー






毎日毎日予定があるのはいいこと!!


今夜はようやくあのリックと会うことができる。

リックのイベントに飛び入りで出演させてもらえることになったのだ。


メールで送られてきたチラシでは、どうやら3対バンのブッキングライブみたい。
こんなライブなんてめちゃくちゃ久しぶり!!!

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しかも演者はプエルトリコ、コロンビア、そしてアメリカと、各国からやってきてるツワモノばかり。


怖ええええええ(´Д` )



でもチャレンジ!!
やるかい?って言ってくれてることが面白そうなら、やらなきゃ!!









というわけで、日記を書いて宿のキッチンへ!!

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松岡さんからいただいた差し入れのカップラーメンを食べながら、居合わせた他の旅人さんに話しかけてみる!!




「さ、さ、さ、さささ、サメの話しようぜ?」




嘘です。こんなこと言いません。
もっとポップな話題を振りました。





「いやー、やっぱり第4部では岸部露伴のヘブンズドアーが最高ですよね。」




嘘です。普通にどれくらい旅してらっしゃるんですか?と聞きました。

そしたら8年半旅してますって言われたので、それ以上深入りはせずに歌いに出かけました。
うん、怖い、あの人たち。

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昨日松岡さんと散歩した、インスルヘンテスのジェノバストリートへ。

歩行者天国の通りにはマクドナルドやスターバックス、カールズJr、ウェンディーズなど、たくさんの外資のお店がひしめき、オシャレなレストランでは小奇麗な格好をした人たちが談話している。

人通りもハンパじゃない!!!


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よっしゃ、かましてやる!!!












メキシコ人はノリはいいものの最初はとてもシャイ。

俺のことが気になりつつもなかなか足を止めないが、1人が立ち止まるとワラワラと集まってきて、結構な人だかりになる。

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ジェニファーさんと勉強したものの、まだまだ全然スペイン語を聞き取ることはできない。
わからないのだが、みんなお構いなしにスペイン語でまくしたててくる。

そんな状況になっていると、見かねた綺麗な身なりの人がやってきて英語に通訳をしてくれる。
英語が話せるキチンと学歴を積んだ人はやはりそれなりの仕事に就ているという分かりやすい構図だ。






途中、同じ宿にいた日本人旅人さんが通りかかったが、あ、どうも………と会釈しただけで通りすぎてしまった。

せめて足くらい止めてくれても(´Д` )

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リックのライブがあるので今日の路上は2時間。

たくさんの方とお話しして、あがりは422ペソ!!35ドル!!

うん!!まぁまぁいけるぞメキシコシティー!!















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インスルヘンテスからぼちぼち歩くこと20分ほど。
昨日松岡さんと歩いた閑静なエリア、アムステルダム通りにライブ会場となるレストランがあった。


街路樹がしげる高級エリアにある、お金持ちしか入れないようなハイソなレストラン。

だ、大丈夫!!髪も切って爽やかになったし、ヒゲも綺麗にそってきた!!


今の俺ならどこにでも行ける!!





「あ、出演者の方ですね。こちらへどうぞ。」


富裕層の人たちがオホホホと食事しているレストランホールの2階へ上がる。

貴族がパーティーをするようなテラスを抜けて奥に入って行くと、一角に小さなライブスペースがあった。

古き良き見世物舞台といった雰囲気で、白黒映画に出てきそうな感じ。



そこでリックたちがサウンドチェックをやっていた。

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中に入ると、俺に気づいたリックがニッコリ笑って手を振った。


「フミ、カモン、君のサウンドチェックをしよう。ギターは僕のを使っていいからね。イコライザーも変えていいから。緊張しなくていいよ。フミはいいシンガーだからいつも通りやってくれればいい。」



うわー、懐かしい。
もう1年半くらいこんなライブしてなかったから、なんだかマイクの前に立つとソワソワしてくる。


目の前には今日の出演者の方たちが興味深そうに俺を眺めている。

飛び入りだと?日本人の弾き語り?
ほおーう、いい度胸してるじゃねぇか?

ってな視線がビシビシ伝わってくる。








日本を回ってる時もそうだった。

全国のライブハウスで、その地元のミュージシャンの方達と共演させてもらうわけなんだけど、リハーサルの時に、旅して回ってる?ふーん、どれほどのもんかのぉ?みたいに、まぁみなさん品定めするような視線です。

俺らの本拠地に乗り込んでくるんだから、下手な演奏はしないでくれよ?みたいな。


そのバチバチするような探り合いの時間がとても好きだった。


へん!お前なんかにゃ負けねぇぜ!!

俺はあんなステージ認めねぇ。




ってな感じで全員とは仲良くなれないのが当然。俺ももちろんそうしてきたし。

でもカッコいいと思ったら、誰がなんと言おうとお近づきになっていた。

そうして日本中に音楽仲間を作ってきた。

そんな、カッコいいと思う人たちを宮崎に呼んで企画ライブもやってきた。


新しいライブをするたびに、いつも出会いがお互いを磨きあうとワクワクしてたな。




その感覚が今、メキシコシティーのレストランで蘇っている。

1曲歌ったらただのサウンドチェックだというのにみんな拍手してくれた。













緊張で頭蓋骨が口からはみ出そうになりながら端っこで震えていたら、そこに日本語の声が聞こえた。


「フミ君、来たよー。」


見ると、声の主は松岡さんだった。
もしよかったらどうぞとメールを送っていたんだけど、来てくれるとは。


「いやー、ロックは大好きだからね。この前の日曜日にあったロックフェスにも行ってたしね。」



リックからは、日本語のオリジナルを2曲、英語のカバーを1曲と言われている。

松岡さんが来てくれたおかけで日本語の曲も歌い甲斐がある。
俺の歌は詩が命だから。






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ビールを飲んで気分を落ち着かせる。
ゾクゾクと集まってくるお客さんたち。
当たり前だけどみんなメキシコ人。



ひ、ひ、久しぶりのライブ…………

ブルースブラザーズみたいにビール瓶投げられたらどうしよう!!!


ガヤガヤして誰も聞いてくれなかったらどうしよう!!!



「いやー、みんなお目当てのバンドを見に来てるからねー。早く彼らを出せー!!ってブーイングが来るかもね。」


そんな意地悪なことをニヤリと言う松岡さん。
やっぱりヤクザ!!

















「よし、フミ、準備はいいかい?俺が紹介するから合図したら出てきてくれ。」


舞台袖で頭蓋骨がもう半分くらい口からはみ出ながらリックの合図を待つ。


「フミ、カモン!」



赤いカーテンをめくってステージへ。
スポットがまぶしくて客席か見えない。

あー、懐かしいな、この感覚。


リックが降りて、ステージで1人ぼっちになる。

音が消えて、神経が研ぎ澄まされる。

ギターを構えるといつも通り、気持ちはすーっと落ち着いていった。





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1曲目……嘘
2曲目……ハートオブゴールド
3曲目……アンダルシアの風





歌い終わると、ブラボー!!と声が飛んだ。
よかった。

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それからメインの3組。

外国人だから全員が上手い?
もちろんそんなことはない。


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当たり前に下手な人がいれば、スター性に溢れた人も。

日本中でアングラの怪物たちと戦ってきた経験のおかげで、彼にもビビらずに自分の世界に入り込めた。

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みんな同じ人間。
日本のライブハウスシーンは全然外国に引けを取らないぞ。








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最後のアメリカからのお兄さんはさすがにめちゃくちゃかっこ良くて、会場を虜にして大盛り上がりでライブは終わった。


それからみんなで交流タイム。


「めちゃくちゃカッコ良かったです!!」


「フミって言ったね。君の声は素晴らしい。」


「これ、僕のCD。持って行ってくれ。」


「コロンビアに来たら連絡してくれ。」


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やっぱり色んな演者と共演できるブッキングライブは楽しい。
こうやって世界中に音楽仲間ができて、いつか彼らを宮崎に呼んで、言葉の違う国境のない音楽フェスが出来たら、こんなに素敵なことはないよな。



「リック、誘ってくれてありがとう!!」


「土曜日は俺たちの仲間でハロウィーンパーティーだ。来るだろ?楽しもうぜ。」


「ちゃんと仮装してきてね、フミ!!」


リックの彼女美人すぎる!!!
さすがは、パーフェクトマン、リック!!

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会場を後にして松岡さんと歩く。


「やっぱりカバーよりオリジナルがよかったよ。迫力が違うね。いいライブに誘ってくれてありがとうね。」


リックのはからいのおかげで、松岡さんは友人扱いとなってチケット代を払わないで済んだよう。

松岡さんには昨日あんなにご馳走になった。

俺がこの立派な社長さんにお返しできることなんて何にもないけど、少しでも今日のライブを楽しんでもらえたなら良かった。

一緒にメトロバスに乗り込み、宿に帰った。









宿に入ると、みんなパソコンをいじって次の国のことや観光地のことを黙々と調べている。

お酒を飲んで、大騒ぎしてるグループも。

もちろん全員日本人。




そんな盛り上がっているキッチンに入り、ゆうべ松岡さんからお土産でいただいた豚の角煮をレンジで温めて、席につく。


みんなチラと角煮を見てくる。
バックパッカーたちからしたら、こいつ良いもん食ってやがると言ったところだろう。


みんな旅の話をしている。

俺が知ってる人はさー、ずっとヒッチハイクで旅してるんだよ!!
アメリカで泊まった日本人宿が最悪でさー!!

そんな、なんてことのない旅の自慢話。






いやー!!それよりモグっていう日本食レストラン知ってます!?すごい人気店でこれはそこの角煮なんです!!
そして今は知り合いのライブに飛び入りして、色んなミュージシャンと仲良くなってきたとこなんですよー。いやー、楽しかったー。







なんてことは言わない。

でも心の中にそんな思いはある。
誰よりも面白い旅をしている自負がある。

観光地と日本人宿を繋いでるだけの旅で、エピソードといえば飛行機に乗り遅れたとかボッタクラれたとかそんなくらいのものでしょ?と。


そんなことを思いながら、1人で飯を食べていると、ふと気付いた。




日本人宿の旅人は、俺は旅人でございって感じで周りを寄せつけないようなオーラを放っている。
俺は他の旅人とは違うんだぜと思っているように見える。

とてもとっつきにくい。



そんな風に見えていたんだけと、実は、

実は、そのまんまそれは自分のことなんじゃないかと思った。


他人は自分をうつす鏡とは言うけれど、ふとギクリとしてしまった。
もしかしたら俺がそんな人間だから、周りをそうさせているのかもしれない。



人間に個性があるように、旅のスタイルは人それぞれだし、やりたいこともそれぞれ違う。

たくさんの国に行ったほどすごい旅人なのか。
危険な経験をしたほどすごい旅人なのか。


旅に優劣なんてもちろんない。
褒められるためにやるわけでもない。

でもこんなすごいことをしてるんだぜ!!って自慢したくなる気持ちがあるのは紛れもない事実。


そんな自己顕示欲が、周りの旅人たちとの間に自ら壁を作り出しているんじゃないかってビックリしてしまった。






きっと、そう。
周りがそう見えてしまうのはまさに自分の姿なんだと思った。


でも、そんな自分が好きなのもまた事実。
なんでも人と比べる性格があるからこそ、面白い人生に出来ると思う。


その性格を変えるつもりは毛頭ないけれど、新しいことに気づくことができたのはきっと意味があると思う。




「その角煮、美味しそうですねー。」


「あ、よかったら食べます?食べかけで申し訳ないですけど。」


「え、あ、じゃあ一口………」





これから南米ではたくさんの日本人宿に泊まるはず。
今夜の気づきが収穫でありますように。




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