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嵐を呼ぶ女、登場

9月25日 水曜日
【アメリカ】 ロサンゼルス ~ ラホエ






夜中、足に何かが当たる感覚がした。



それと同時に俺のバッグについてるベルがチリリンと音を立てた。







目を開ける。








そこは真っ暗な夜の中。






1人の男が俺の横に立って、俺のバッグを抱えて引っ張っていた。


飛び起きた。




「おわぁぁぁ!!!!てめー何してんだコラァァァアアア!!!!」


「やぁ、僕の名前はロバート。よろしくね。」



バッグから手を離して、握手を求めてきた。

意味わかんねぇ(´Д` )

しげちー並みにわかんねぇ(´Д` )


理解不能理解不能理解不能理解不能!!





「てめー俺のバッグ盗もうとしたな!!」


「ホラ、あそこを見てみて。向こうに1人ホームレスが寝てるだろ。気をつけたほうがいい。」



理解不能理解不能理解不能理解不能!!




盗みの犯行がばれてテンパった人間の取る行動。

紳士になる。


オノレは今まさに人のバッグを盗もうとしてた分際で、何が気をつけろだ。
向こうで寝てるオッさんは何度か話したことのある知り合いだ。



「うるせー!!どっか行きやがれ!!消えろボケ!!」


「いやー、気をつけなよ、ハブアグッドナイト。」




ハブアグッドナイトじゃねぇよ………

はぁはぁ…………
ビックリしたー…………




いつもめんどくさくて、やらなくてもいいかな、って思ってしまうバッグとバッグの固定。
ただの紐で結び合わせているだけなんだけど、結んでいたおかげでバッグが引っかかってベルが音を立てたわけだ。
もし結んでなかったら多分持っていかれてただろうな。



アメリカ最後の夜にこんなことが起きるなんてなんか意味があるよな。
メキシコはもっとヤベェから引き締めていけよってわけか。


それにしても、いきなり握手しようとしてくるあのテンパり方は面白かったな。

photo:02




時間はまだ早朝5時。
ふぅとひと息つき、横になってもうひと眠り。















photo:01




さてと、9時くらいに目を覚まし、荷物をたたんでトイレへ。
そしてシャワーで頭を洗う。

身綺麗にしないといけない。



ついに、あの怪文書の主、ジェニファーさんがやってくる。

自己紹介というメールは来たものの、余計に混乱を招いており、一体どういう人なのかまったく想像がつかない。


ジェニファーさんは10日間ほどの滞在を予定されているようで、そのうちの1週間を僕と行動していただけるみたい。

とてもありがたいことなのだが、もしこれが気難しいおじさんだったら…………
アッパラパーのギャルだったら…………


想像しただけで拷問レベルに気まずいことになる。
できることならカッピーたちみたいにまったく気を使わないでいい面白い人であってほしい。
ミユキさんみたいにほんわかした人であってほしい。


2人で行動するということは、ほぼ24時間一緒にいるということ。
ほんの少しのいざこざで仲が悪くなってしまったら、もう取り返しのつかないことになる。
それだけは避けたいなぁ………






photo:03




ビーチから歩いて20分くらい。
いつものサブウェイの前にやってきた。
ここでジェニファーさんと待ち合わせをしている。
緊張するな。


さて、Wi-Fiをつないでジェニファーさんからのメールチェックをしないとな…………






あれ?










iPhoneがない…………











……………………














ドン!!!!


猛ダッシュ!!!!


トイレだ!!ビーチのトイレだ!!!

さっきトイレに入ったときにトイレットペーパーの上に置いたのをはっきり覚えている!!!


あへえええええええ!!!!!
終わったあああああああああ!!!!!!




ビーチのトイレはめちゃくちゃたくさんの人が利用する!!
ホームレスもたくさんいる!!
1番目につくトイレットペーパーの上に放置してきた!!

100%もうない。





うがぁぁ!!荷物重ぃ!!
そこらのコンビニの前にバッグとギターを投げ捨てて、猛ダッシュ!!!





ああああああああああああ!!!!!!!
終わったーーーーー!!!!!!






スーパーダッシュでトイレに戻ってきた!!!

さっき入ったトイレのドアを開ける!!!!










……………ないですね。


そうですよね………ないですよね。


ないですよねえええええええええええ!?!?!?(´Д` )







お、俺ってやつは何をやってるんだ…………

これでiPhone2台なくした………

この前財布を忘れてきてあんなに気をつけなきゃって思ったところなのに…………



俺ってやつはホントどうしようもないよ………



もうこうなったら、アメリカに不法滞在してベニスビーチで変なおじさんたちの仲間入りしてアジア人観光客相手にサングラス売りながらスケボー乗ってチキン南蛮作ろうかな………









するとそこにトイレ掃除をしているメキシカンのおばちゃんがいた。


「おばちゃん…………iPhone見てませんよね?」


「あなたが落としたのはこのモロッコで買ったクソ偽物のiPhone?それともこの新品のiPhone 5S?」


「5Sです。」


「嘘つきにはなにもあげません。」






おばちゃんが持っててくれたあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!


うわあああああああ!!!!


「あ、あ、ああ、ありがとうございます!!サンキューサンキュー!!グラシアス!!!!」


「ふふふ、まぁ落ち着きなさい。」



ヘタヘタと地面にへたり込む俺。

おばちゃんはニッコリ笑いながら俺の頭をなでなでしてくれた。モップを持ってた手で。

あ、あれ?おばちゃんトイレ掃除してたよね(´Д` )





まぁ、それは置いといて、助かったあああぁぉぁぁ(´Д` )

おばちゃん、本当にありがとう。


こりゃもう、俺の忘れ物は治らんな………









iPhoneをゲットしてからまたダッシュ!!

さっきコンビニの駐車場にバッグをぶん投げてきたんだけども…………









よかった。そのまま置いてあった。


ハァハァ…………何を1人で走り回ってんだよ………朝っぱらから…………


早朝の泥棒ヤロウから始まり、まだ10時だというのにすでに疲労困憊。

さすがはジェニファーさん。
嵐を呼ぶ八尾の刺客。














そんなこんなで1人でアホみたいに暴れまわってなんとかサブウェイ前に戻ってきた。

メールをチェックすると、もうすぐ到着するとのジェニファーさんからのメール。

うー、緊張するな。













それから30分。
ついにその時が来た。


「あー!!おったおったー!!はじめましてー!!」


めちゃくちゃ元気いっぱいの声がして顔を上げると、向こうからニコニコした可愛らしい女の人が歩いてきた。

え!!これがジェニファーさん!?


「いやー!!ホンマに会えたなぁ!!飛行機乗り遅れた時はどないしようか思ーたわぁ!!ホナ行こか!!お腹空いてへんか!?はい!!アメちゃん!!カレーせんべいの方がええか!?後ろのバッグに入っとるでなぁ!!」


こ、こりゃすごい人来たな………
テンション高い^_^

でもそれが嫌じゃない自然な空気だということに、とても安堵。
ジェニファーさん、接しやすい人だ。





photo:04





「いきなり思いつきでメールしたんやけど会えるもんやなぁ!!もうなぁ、最近ブログにはまりまくっとってなぁ!!幕末と金丸にハマっとんねん。」


そんな面白すぎる会話をしながら車を飛ばす。
ジェニファーさんは学生のころにロサンゼルスに住んでおり、それからも毎年くらいの頻度でロサンゼルスやメキシコに遊びに来てるような方なので運転もすごく上手。


「宮崎にも4年くらい住んどってん。サーフィンしながらナレーターとかのお仕事しとってなぁ、その時はオカマと結婚しとったんやけどな、もう宮崎の食べ物が好きで好きでたまらんねやー!!」


「ちょちょちょ!!!お、オカマと結婚しとったってどういうことですか……?」


「あー、せやねん。でもチンチンついとるオカマやで。あ!!髪の毛切ったろか!!大丈夫大丈夫!!お兄ちゃん美容師やし!!」



な、謎が深まる一方なんですけど…………







photo:05




それからジェニファーさんが大好きというホールフーズマーケットへ行き、ウキウキのジェニファーさんとお買い物。


photo:06




このままかじるの好きやねんとパセリやらトマトやらを買うジェニファーさん。

トマトを選びながらちょいちょい口に放りこんでいる。


「ちょ、いいんですか?食べちゃって。」


「だって味見しやんと選ばれへんやろ?あ、おっちゃーん!!それも試食させてくれへん!!」


そんなにアグレッシブにいって嫌な顔されるんじゃないか?とオドオドしてしまうんだけど、ジェニファーさんと会話する人はみんな笑顔になっている。

不思議なオーラを持った人だな。









photo:07




「いやー、ベジータとブルマがどないしてエッチしとるか気になって映画の内容まったく頭に入ってこんねん。あれあかんでー。」


そんな意味不明な話をしながら、やってきたのは日本人街のトーランス。
ロサンゼルスを出る前に挨拶をしたい人がもう1人いる。





ある建物の前にやってきた。


photo:08





ここ覚えてますか?

そう、アンディーさんのお寿司学校だ。


「おー!!よく来てくれたね!!元気にしてたかい?」


数々の宝石のようなお寿司やお料理をご馳走してくださったアンディーさん。
奥さんのセツさんはいらっしゃらなかったけど、アンディーさんにだけでもお会いできてよかった。


「本当はねー、うちの学校でお寿司のこと勉強していけば、きっと収入も増えて楽に旅できるはずなんだけどね。まぁ金丸君には音楽があるか。また元気に遊びに来てね。」


どこまでも優しい笑顔のアンディーさん。
本当にお世話になりました!!

photo:09






って俺の髪が風でアンディーさんの肩に(´Д` )
し、失礼すぎる(´Д` )

すみませんでした!!!











それからもう1ヶ所。

トーランスの静かな住宅地の中に入っていく。



日本を出る前にある方から、ロサンゼルスに行ったらここを訪ねてみて、と住所の書かれた封筒をいただいていた。

あの頃はまだロサンゼルスなんて遠い遠い想像もつかない場所だったので行くかどうか分からなかったけど、今やこのロサンゼルスがアメリカのホームグラウンドになってるってのが面白い。



このトーランスにはなんと高野山の別院があるらしく、封筒にはそちらの住所が書かれている。

そのお寺の名誉主監である方を訪ねてくれと言われていたんだけど、そんな偉い人に会いに行っても何話していいかわかんない。


人生相談?有難いお説法?


まぁ俺はお遍路もやるくらい真言宗を大事に思っているので、お参りして般若心経をあげさせてもらえればそれでいいかなと思いながら、封筒に書かれた住所の場所にやってきた。







えーっと……………
これ寺じゃないね………
ただの自宅だね…………



自宅に押しかけるなんてできねぇ(´Д` )

世界一周してるんです、ってただの不審者でしかねぇ(´Д` )




それでもここまで来たんだ。
せめて挨拶だけでもさせてもらおうと、綺麗な庭を歩いてご自宅の玄関へ。ベルを鳴らす。


「あははははははー!!!アカンて!!その後ろ姿アカンて!!不審すぎる!!」


後ろのほうで車の中から爆笑してるジェニファーさん。






しかし何度かベルを鳴らしたが、誰も出てこず人の気配もなかった。


「まぁ、これも縁やで。会える人には会えるもんや。ホナ行くで!!」















海岸線を南に下っていく。
傾いた太陽が海を照らす。
ヨットハーバーやマリーナが並び、綺麗な別荘が散らばるお金持ちたちのエリアを走り抜けて行く。


アメリカ人たちからさんざん驚かされてきたメキシコの治安。
本当のとこはそこまで危険ではないと思う。
でも今はジェニファーさんと一緒だ。最善を尽くさないといけない。

今からメキシコ国境に向かったら、日が沈んで夜のドライブになってしまう。
車の中とはいえ、夜の移動は避けなければいけない。


「今夜はサンディエゴまでやな。あ、あと後ろに布があるから荷物にかぶせといてな。綺麗にかけたらアカンで。ぐちゃぐちゃってなっとんのがええねん。」


治安に関しては俺なんかよりジェニファーさんのほうがよっぽどしっかりしてるみたいだ。








photo:10




日がすっかり沈んだ頃、ジェニファーさんがよく来るというサンディエゴの海沿いの町、ラホヤに到着した。

ボストンのニューポートみたいに、年齢層の高いお金持ちたちの落ち着いたハーバーといった雰囲気だ。

photo:11











車を止めてノンビリ歩いた。
少し冷たい夜風が気持ちいい。
とうとう、この慣れ親しんだ明日アメリカ出国か。最初はあんなに拒絶していたのにな。




「あー!!宮崎行きたいわぁ!!地鶏ホンマ好きやねん!!あときっちょううどん!!」


「ジェニファーさん、八尾に住んでるんですよね?」


「せや、大阪のかっこ悪いとこや。」


「かっこ悪くはないでしょ。天童よしみの出身地なんでしょ?」


「それかっこ悪いのの象徴やんけ!!3頭身やで!!まぁ歌はホンマええけどな。」


「浪速恋しぐれはやっぱり好きなんですか?」


「そうやー!!あんた!!飲みなはれ!!テキーラ飲みなはれ!!」



photo:12




この面白すぎる嵐のようなジェニファーさんといると、明日とうとうアメリカを出るということの実感がわかない。
数々の思い出を振り返る余裕もない。

でもそれでいいのかな。
またいつか戻って来ようと思える。


いや戻ってこよう、とかそんな大袈裟に考えるのも不自然なくらいだな。
それくらいアメリカはとても身近な場所なんだ。

楽しかった。最高に楽しかったよ、アメリカ。
めちゃくちゃたくさんの友達ができた。何物にもかえがたい貴重なものをたくさんもらった。


新しい国。国自体がテーマパークのような軽薄な雰囲気。

そして銃社会。


先入観どおりのところはもちろんあった。
良い意味でも悪い意味でもそのイメージは色を強めたけど、そこに生きる人々の生活にはなんとも人間臭い愛らしさがあった。
エルビスだって、夢を描いてそれを実現させた、いちアメリカ人にほかならない。

人生を楽しむこと、これでアメリカ人に敵う国民はいないな。






「お酒飲もか!!でも私炭酸あかんねん!!ビールだめやねん!!甘いのがええわ!!」


この大阪人ジェニファーさんと陽気なメキシコ人たちの絡み、楽しみだ。


アメリカ最後の夜。明日ついにメキシコへ。

photo:13




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