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久しぶりの休み

9月3日 火曜日
【アメリカ】 ロサンゼルス





カーペットの上、今日もブラインドカーテンの隙間から漏れこむ光で目を覚ます。

マックスの家で起きるのもこれで最後だ。
今日から別のビーチを攻めるぞ。






起きてきたマックスと一緒に荷物を抱えて家を出た。


「またロサンゼルスにいる間に会いましょう。元気で!!アディオス!!」


車に乗り込んで颯爽と走り去って行った。
スペイン語も堪能なマックス。
アディオスとは、神と共に行け、という意味らしい。

マックス、あなたにこそ神の加護がありますように。
そして出発までにまた挨拶に来ます。












さて、そのまま俺たちが向かったのは市バスのバス停。
1ドルの料金でやってきたのは、ベニスから15分ほどの距離にあるサンタモニカという地区だ。
ベニスの隣町で、ビーチがそのままつながっている。

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ここはベニスよりも都会で、ビルやバーなどたくさんの建物がひしめいており、オシャレで洗練された街並みだ。

ビーチにも遊園地のある綺麗な桟橋がのびており、観光地的要素が強い。
ベニスがヒッピーの自由なビーチなら、サンタモニカは整備された観光客向けのビーチだ。

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とりあえずあんまり寝ていなくて頭がボーッとするので、海を見下ろす高台の公園の芝生の上でもうひと眠りすることに。

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周りにはたくさんのホームレスが年季の入ったブランケットで寝ている。

でもそれよりもタオルを敷いて、そこに寝転がって本を読んだり体を焼いたりしている一般人の姿のほうが多い。

俺たちがどっちに見られるかなんて、どうでもいいことだ。

木陰の木漏れ日のなかですぐに眠りに落ちた。










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目を覚ますと、お昼前だった。
あまりにも気持ちいい空の色。優しい風にパームツリーの葉が揺れる。
連休も終わったことだし、そろそろ俺も休みを入れよう。

今日はなーーーんにもしないぞ。

路上も観光も練習もなーーーんにもしないで日記書いたり映画観たりしよう。



しかしカッピーとユージン君はちゃんとバスキングしに行くと言う。

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じゃあここに荷物置いて行けばいいよぉぉぉぉ、ずっとここにいるからあああぁぁぁ



芝生に敷いたマットの上でゴロゴロ転がりながらカッピーたちに言う。
いやー、休みって嬉しいよー!!






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最高の天気。木漏れ日の下でユージン君に貸してもらったiPad片手に菊次郎の夏を観る。

周りを歩いて行く薄着の女の子たち。陽気なおばちゃん。みんな笑顔で楽しそう。
ああ、いいなぁ、カリフォルニア。

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と思っていたら、突如、ドガンドガーン!!というすごい音が道路から響いた。
なんだ?!と思って顔を上げたら、すぐ俺の目の前の車道を走っていたトラックの荷台からサーフボードが転げ落ちて道路に落下したところだった。

気づかずに走り去って行くトラック。

車道にあんなでかいサーフボードなんてものが転がったもんだから後続の車は立ち往生してしまって渋滞になってしまった。


あらまぁ、サーフボード轢かれたら割れて可哀想なことになるぞ、と取りに行ってやろうと立ち上がろうとした。


すると俺と道路の間にいたバス待ちのおじさんが迷いなくスタスタと歩いて行き、車を止め、サーフボードを抱えて歩道に運んだ。



その光景を公園でくつろいでた人たち全員が注目していた。

あらー、いい人だなぁ、と思っていると、公園のホームレスたちが、


「ヘーイ!!お人好しさんよー!!ちゃんと持ち主からチップもらうんだぜー!!10ドルは固いぜー!!お前ラッキーだぜー!!」


と叫んだ。

大したことじゃあないぜ、とクールに手を上げるおじさんはすでに公園にいる観衆たちのヒーロー。


観衆たちはみんな、本を読む手を止め、昼寝する身体を起こして、菊次郎の夏を一時停止して、ヒーローを眺める。


みんなが次に期待しているのは、ヒーローがどういう対応をするのか。

このまま立ち去るのか、ドライバーが戻ってくるまで待つのか。
チップを受け取るのか、受け取らないのか。
偉そうにするのか、あくまでクールに攻めるのか。


昼下がりの穏やかな公園に起きたほんの小さなドラマが、みんなの心を踊らせる。





あ、向こうから上半身裸の若いサーファー風の兄ちゃんが走ってきた。
彼がドライバーだ。



「ハァハァ………あんたがサーフボードを運んでくれたのかい?ハァハァ……」


「ああ、そうだよ。気をつけなよ。」


「そ、そうか。本当にありがとう。マジで助かったよ。本当にありがとう。」


「ああ、いいってことよ。」


サーフボードを抱え上げ、車に戻ろうとする兄ちゃん。
しかし何かお礼をしたそうだ。でもなにをすればいいのかがわからなくてマゴマゴしている。

こういう時に現金を渡すのって下品だもんな。
それをよくわかっている。


「ああー、そうだ!何か飲むかい?買ってくるけど。」


「大丈夫だよ。気にしなくていいよ。」


「本当に?ビールでも買ってこようか?」


「本当に大丈夫だよ。」


ありがとう!!と車に戻って行ったサーファーの兄ちゃん。

ヒーローおじさんは何も受け取らなかった。
そして公園に背を向けたまま、何事もないかのように立っている。

その背中に公園の観衆からの視線と尊敬をビンビン感じているだろう。

彼はいいことをした。
そして紳士的に対応した。
それが人間の自尊心であり、自尊心は己自身の背筋をただす。

自己満足でいい。
優越感でもいい。
何かいいことをして、心を満たすことは人間の芯を強くする。
とても大事なことだ。



観衆はそれぞれのやっていたことの続きを再開した。

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それにしても日本人観光客の多いこと。
ここに寝転がってるだけで、すでに10人以上日本人が前を歩いて行った。

しかもみんな可愛い女子だけ3~4人のグループ!!
どういうことだサンタモニカー!!
そんなに日本人に人気があるのか!?しかも女子に!!


あはぁ………可愛いなぁ。
みんなチビだなぁ。
みんな短パンなんか履いちゃって。
丸い顔にサングラスが似合わないなぁ。
チューさせてくれ!!


でも可愛い観光客は芝生に寝っ転がってる髪の長いアジア人になんか見向きもしませんよね。

いいんです、分かってます。
今日はオフだからね。歌ってる時に声かけてつかまえて、そのサングラスをかけたまま全裸にしてやる!!







ということをいつも書いてますけど、冗談ですからね。本気でそんなことするわけないっていうか考えてもいないですからね。

だから皆さん気軽に声をかけてください。タビジュンさん羨ましい。可愛いブロガーとクラブとか行きたい。





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その後もずーっとゴロゴロしながらiPadに入ってるジョジョを読む。スティールボールラン。
目の前を歩く水着の女の子のオッパイが黄金率にしか見えない。

黄金の回転でち、ち、ち、ちく、ちくびを


タビジュンさん羨ましい。









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楽園の空が赤く染まり、夕闇が訪れたころにカッピーたちが帰ってきた。

すごく笑顔で。こりゃ儲けやがったな。


「いやー、ほんと全然稼げなかったよー。」


「いやー、日本人の女の子たちとたくさんお喋りして楽しい時間とか全然過ごせてないよー、マジ悔しいっていうかー。」



チクショウ!!サンタモニカそんなにいいのか!!
俺も行けばよかった!!

まぁ今日は明日からまた休まず歌うための大事な喉休めだ。
可愛い日本人観光客の女の子をサングラスかけさせたままサングラスにかけ…………


全然たまってませんからね。
ホント。









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「よっしゃ!!もういっちょ行ってみようか!!」


夜21時を過ぎ、晩ご飯を食べてからもう一度路上に出るという2人。
おいおい、気合い入ってるな。



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やってきたのはサンタモニカのダウンタウン。
アメリカではほとんどなかった歩行者天国の綺麗なショッピングストリートがビル街の中にあるこのサンタモニカ。
まさに路上におあつらえ向きなんだけど、もちろんそんな場所なので他のバスカーも多い。

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みんなアンプを使って大音量でエレキギターを弾いたり、マイクを使って弾き語りをしている。



そんな一角で演奏を開始するカッピーたち。

どうやらこの歩行者天国の道でやるにはライセンスが要るみたいだけど、道の角でやる分には問題ないとのこと。

わずか30分で30ドルほど稼いでしまった。

今日の2人のあがりは120ドル。

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俺も明日は頑張るぞ。











高台の公園に戻り、芝生の上にマットを敷いた。
今夜はここで寝てしまおう。
昼間あんなにたくさんいたホームレスたちはどこかに行っている。

どうしてかな?と思ったけど、今から探すのも面倒なのでここで眠ることに。


カッピーを置いてユージン君と寝酒のビールを買いにコンビニへ。
あとはこいつを飲んで横になるだけだ。
あー、サンタモニカいいなぁ。






しかし、公園に戻るとカッピーが寝袋を片付けていた。


「あれ?どうしたの?怒られた?」


「いや、さっき向こうでスプリンクラーが水をまいてたんだわ。もしかしたらここも水が出るかも。」


うー、めんどくせえ。
でも寝ていて夜中にスプリンクラーでびしょ濡れにさせられたこともある。
ここは大人しく安全な場所に行くか、と荷物を片付け始めたところで…………









プシャーーーーーーー



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あ、危なかったー(´Д` )
間一髪。

もう少し遅かったらとんでもない目に遭うところだった。


「殺人兵器だ!!」


「そうだそうだ!!非人道的だ!!」


またみんなで荷物を抱え上げ、長い階段を降り、寝場所を探して歩く。












そして砂浜にやってきた。

広大な夜の砂浜は何もなく、真っ暗な海から波音が聞こえてくる。

そんな砂の上にマットを敷いて寝転がった。

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星空がどこまでも広がっている。
昼間は熱くて裸足で歩けないくらい熱を持つ砂だけど、夜はヒヤリと気持ちがいい。

天井も壁もない。

遮るもの何ひとつない空間に体がとけていく。




流れ星が光る。
俺も流れ星。
みんな流れ星。
消えてしまうなら、綺麗にいっそ流れよう。

明日からまた稼ぐぞ。

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