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日系の方たちの教会へ

9月1日 日曜日
【アメリカ】 ロサンゼルス






朝8時半。
慌てて飛び起きて準備。

そう、今日は昨日声をかけてくださった日系人のケンジさんと、教会のミサにお邪魔することになっている。

日本人たちが集まる教会ってどんなとこだろう。

楽器を持ってマックスの家を出た。







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待ち合わせ場所に向かうと、すでにケンジさんとジャニスさんが待っていた。


「よう来てくれたね。それじゃ行こうか。」


優しい笑顔のケンジさんのドライブで、日本人街であるソウテル地区にやってきた。

これまで色んな都会で見てきたような外国人地区とは違い、なんの変哲もないアメリカの風景。

これみよがしな日本語の看板がひしめいてるといったような雰囲気ではなく、落ち着いた町並みに、ここがとてもアメリカに根付いた場所だということがうかがえる。


そんな町の一角に小ぢんまりとした教会があった。

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ケンジさんとジャニスに連れられて中に入ると、そこにはたくさんの日本人がいた。

みなさんお年を召された、とても上品な方々ばかり。

ケンジさんたちがにこやかに挨拶をしているが、言葉はもちろん英語だ。

日本人の顔をしたお婆さんが、とても流暢な英語をしゃべっている光景がとても不思議であり、同時にアメリカと日本の深いつながりを垣間見るようだ。

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教会の椅子に座り、日本人の聖歌隊による歌が歌われ、ミサは厳かに始まった。

とはいっても、これまでヨーロッパで見てきたようなミサに比べると、とても和やかだ。
所々にジョークが交えられ、笑い声が堂内に響く。
こんなところがアメリカっぽいな。

アメリカでは例えばバスの運転手でさえ車内アナウンスでジョークを連発して笑いをとり、さらに歌まで披露しはじめる人もいるくらいゆるい。


そんな和やかな空気の中、ミサは終わり、それから隣のコミュニティルームみたいなところへ。

軽い食事が用意されており、フルーツとケーキ、そして久しぶりの麦茶をご馳走になった。

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「それじゃあ、ここで披露しよう。みんな喜んでくれるけぇね。」


みなさんが談笑している中、カッピーたちと交代で2曲ずつ演奏した。

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なにやっていいかわからんので、日本を思い出してもらえればと、上を向いて歩こうを歌った。




ケンジさんたちがミサの途中で俺たちの紹介をしてくれたこともあり、たくさんの方々が声をかけてくださる。

みなさん長いこと日本語を喋ってないんだろう。
カタコトの日本語だ。

戦争が起きた時、在米の日本人たちは捕虜になったり差別を受けたり、きつい扱いをされたそう。
そりゃそうだ、戦争相手だもんな。

そんな在米の日本人たちはアメリカ人兵士として日本と戦ったそうだ。
日本人なのに日本人と戦う。一体どんな心境なのか、想像なんて出来ない。


想像以上に、きっと激動の人生だっただろう。
日本とアメリカの関係をずっと見てきたんだな。



「頑張ってね。」


「体に気をつけるのよ。」


そう言ってケンジさんが用意してくれたカゴにみなさんお金を入れて行ってくれる。
たった2曲ずつなのに180ドルにまでなってしまった。
1人60ドルずつ。


ありがたい。
心苦しくなる。


「みんな嬉しいんじゃ。最近の日本の若者は中にこもってばかりで外に出らんじゃろう。君たちみたいな若者に会えて喜んでる。ワシも君たちの旅に協力できて嬉しいよ。」


アメリカに住む日本人。
アメリカで生まれた日本人。

彼らは血と顔は日本人だけど、国籍や精神はきっとアメリカ人。
こういう場所に来ると、民族が混じるということの意味を深く考えさせられる。
その国の人間だから、その地域の人間だから、そこにしか暮らしてはいけないわけじゃない。

でもどこにいても、やっぱり日本人の優しさはなにか特別胸に染みるな。

みなさん、本当にありがとうございます。











帰りに俺たちのリクエストでラーメンをご馳走してくれたケンジさんとジャニスさん。

ハヤテマルというお店で北海道ミソを食べた。

そろそろラーメン切れで禁断症状が出そうだったところで、この濃い白みそのラーメンは麻薬並みに美味かった。

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「また来週も来ればいいけん。そしたらロサンゼルスの街も案内してあげるけぇ。」


感謝の言葉もない。
ロサンゼルスは人が暖かい、ということをラスベガスの人に聞いていた。

素晴らしい天候、穏やかな街並み、そして優しさに溢れたフレンドリーな人々。

もはやアメリカの好きな街、ニューオリンズと並んで1位。
いや、ニューオリンズ超えたかな。

ほんと、最高の街だ。

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ケンジさんにマックスの家に送ってもらった。
仕事に行ってるマックス。家の鍵の隠し場所を教えてもらっているので、勝手に出入りさせてもらっている。

とことん、みんないい人………











少し家で休憩してから、夕方に楽器を抱えて出発。

さーて、カリフォルニアは今日はどんなフレンドリーさを見せてくれるかな!?
どんな出会いでも楽しんでやるぞー!!








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家出て5秒でこの濃厚な絡み。
ユージン君はとことん絡まれやすい体質。
旅人向きだ。
そのユージン君とカリフォルニアがコラボしてしまったら、もはや道を歩くだけで面白いことが起こる。

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祝日前の日曜日。もはやとんでもない人ごみでごった返している。

天気は相変わらず最高すぎる。




早速路上を開始。

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したんだけど、声が全然出てくれない。
人通りはハンパじゃない。いい声を出さないといけないのに、気持ちばかりが焦って喉で歌ってしまう。

このところ毎日長時間歌っていたので完全に喉が潰れてしまってる。

そろそろ休ませないとまずいんだけど、明日は祝日。すごい混雑になるとマックスも言っている。

明日までなんとかやらないとな。




ラジカセおじさんは今日もマイペース。

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でもそんな不甲斐ない歌でも、声をかけてくれる人がいる。

今日はアマンという黒人のレゲエシンガーが話しかけてきた。

なにやら現在、自分のCDをレコーディングしているところらしく、それのサポートミュージシャンを探していたんだそう。


はい?それで?

まさか俺にサポートしてくれなんて言わないよね?そんなテクニカルなことできませんよ?やってくれだってマジか(´Д` )



「また連絡するよ。泊まるところはあるのかい?ご飯は食べてる?何かあったらいつでも連絡をくれ。じゃあなブロー。」


そう言って颯爽とジョギングを再開して去っていった。


こういう出会いが、これからどんな思いもよらない展開を見せるのか。

まだまだロサンゼルスには面白い出来事が山盛りで待っていそうだ。

今日のあがりは41ドル。

朝と合わせて100ドル!!!

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今日も素晴らしい夕日が空を染めている。
胸が締めつけられるほどの美しさ。

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黒い鳥が列をなして飛んで行く。
自由な鳥が空を駈けている。
まるで遠い日の残像のように。


レーナードスキナードのフリーバードって曲。
大好きな大好きな曲。
でも手をつけずにいた。
なんとなく、気が向かなかった。こんなに、俺のためにあるような曲なのに。

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ふとやってみようかなと思った。

自由な鳥を変えることはできない。
自由な鳥は、自由でしか生きられないんだ。

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マックスの家に帰り、ガレージに暗証番号を入力して鍵を取り、部屋の中へ。

まだ誰も帰ってきてなかった。




ポツリと俺だけ。







んー…………何を盗もうかな。






っていうのは冗談で、ロサンゼルスの豪邸に1人でいるこの状況がおかしすぎる。


ベランダでタバコを吸いながら日記を書いていたら、みんながゾロゾロと帰ってきた。


「ハーイ、ソレジャミナサン!!今カラパーティー!!パーティートイッテモソンナ大キクナイデス。リックノ音楽仲間ガアツマッテマス!!イキマショウ!!」



マックスの運転でサンタモニカの街へ。

サンタモニカは海沿いの街らしくゆるやかな空気が漂い、アメリカっぽいネオンが光り、いくつものバーが並ぶオシャレな街といった雰囲気。


ここはレッチリやポールマッカートニーとかがギターを作ったりリペアしに来る楽器屋さんです!!とマックスが色々と案内してくれる。
トゥルートーンミュージックってお店。かなり有名らしい。

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「ロサンゼルスはたくさんのミュージシャンがいます。レッチリだけじゃなくてドアーズとかもね。ライトマイファイアー!!イエーイ!!」


「マックスはテレビディレクターだから色んなミュージシャンと会うんですよね?マイケルジャクソンとか会ったことありますか?」


「あー、2回アリマスー。いつもミュージシャンやタレントと会ってるよ。それが仕事ダカラネー。」


この人いつもジョークばっかり言ってるお笑いキャラなんだけど、本当はただのすごい人なんだよな。









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バーに到着。
真ん中に木がはえてる雰囲気のいい店内へ。
一角のテーブルに、すごい美女に囲まれたリックがいた。
さすがは男前。


でもその美女たちもまた、ただの遊びの女の人なんかじゃなかった。




MTVのDJであるピリ?だったかな。
とベネズエラの有名な女優でありシンガーのナターシャ。

それと世界的に有名だというカメラマン。


「この日本人たち、マジヤバイんだぜ!!ゆうべうちでライブしてもらったんだけど、クソヤバイんだ!!だからこの後ウチに行って騒ごうぜ!!」


「あら、ギターだったら私のがあるわよ。」


また俺たちのことをハードル高く紹介するマックス。
せっかく楽器持ってこなかったのでリラックスして飲めるなと思ってたのに、車からギターを取ってきたナターシャ。


もうやるしかねぇ!!





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そっから夜中まで。


歌いまくり、ナターシャと絡みまくりのドンチャン騒ぎ。

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マックスの家に移動して、さらにワインを飲みまくって、カッピーたちもやりまくり。

リックもご機嫌でジャムりまくり。

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毎晩毎晩パーティー。
人との出会いがこんなにも楽しい時間で自然につながっていく。

それもまたマックスのユーモラスで暖かい人柄によるものだよな。



とにかく、今夜もこのお決まりのセリフで締めるに相応しい夜!!

あと何回言うかな、この魔法の言葉を。






だってカリフォルニアだから!!

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