8月26日 月曜日
【アメリカ】 ラスベガス ~ モニュメントバレー
よっしゃグランドキャニオン行くぞオオオラァァァァァァァァァァぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁああああ雨が土砂降りりりりぁぁぁいいいいい!!!!!
な、なんでだよ………西部って砂漠だから雨はほとんど降りませんって言ってたじゃないですか………
やっぱり俺たちが優しすぎるから、全ての乾いた動植物に恵みの水を与えてしまうんだね。
みんな喜んでるよね。
こういう時もあるさ。
やっぱり全ての状況を楽しめるようにならないといけないからね。
嘘ですけどね。
せっかくレンタカー借りてまで見にいくのに、クソもったいないです。晴れろ。
あ、グランドキャニオン巡りはレンタカーで行くのが1番安いです。
ラスベガスで安いところで借りたら結構いい車が保険込みで1日50ドルで借りられます。
ラスベガスからグランドキャニオンのツアーバスに参加したら100ドルくらいです。
僕らは4人。
2日間走り回ってレンタカーとガソリン代、それから国定公園の入場料などを合わせて、諸々でだいたい70~80ドルくらいかな。
グランドキャニオン周辺はグランドキャニオンだけでなく、話題のウェーブとかヨセミテ公園とか、セドナとか、荒野の各所に有名な景勝地が散らばっています。
グランドキャニオンツアーはグランドキャニオンだけで100ドル。
レンタカーならいろいろ回っても70ドルくらい。
もちろん自由にあちこち立ち寄れるし、いい景色があったら写真タイムも取れる。
断然レンタカーで回った方がお得だし楽しいってわけです。
雄大な自然、ナバホの聖域、それをこの気の合うメンバーで楽しく回れるなんてウキウキしてたまらない!!っていうのにこの土砂降りですかやりますねクソ。雨男だれだコノヤロウ!!
それでももうレンタカーは予約してます。
日程的にも今日しかない。
行くしかない。
というわけでカッピーとユージン君がレンタカーを取りに行きました。
運転はカッピーです。
か、カッピーが運転!?運転なんてできるの!?
カッピー、どペーパーです。
日本でもほとんど運転したことないそうです。
でもこのメンバーで国際免許証を持ってるのカッピーだけなんです。
日本でもどペーパーなのに、いきなり左ハンドル右車線でグランドキャニオン。
交通法規もまったく知らない。
なのにこのクソ土砂降り。
なんなら雷雨。
グランドキャニオンにダイブしてエルクの角に突き刺さってコンドルの餌になる可能性大。
無謀すぎる。
「だいじょーぶだってー。もはやドリフトとかかましちゃうよ?ぎゅるぎゅるぎゅるー!!」
そう言いながらハンドルを回す真似をする手つきがすでに初心者丸出しのカッピー。
………コンドルのエサになる可能性大。
まぁカッピーは頭がいい。
読みや勘がいいから飲み込みも早いので、信用できる。
ボチボチ行くとしよう。
カッピーたちが車を取りに行ってる間に、俺とネコ娘ちゃんでチェックアウト。そしてみんなの荷物をホテルのベルに預ける。
また明日の夜にはラスベガスに戻ってきてこのホテルに泊まるのでいらない荷物を置いていくというわけ。
ガソリン代の節約にもなるしね。
待ってる間に暇なので1ドルだけポーカーをしてみた。
5ドルになった。
楽しい。
ていうか車を取りに行ってすでに2時間以上経ってるのにカッピーたちが帰って来ない。
だんだん心配になってきた。
この雨で事故って大変なことになってるんじゃないだろうか?
とにかく海外での運転だなんて、日本のありとあらゆる道を走ってきた俺でさえビビってしまうのに、マニュアル車でエンストしまくってクラッチ焼くような初心者ドライバーが運転なんて怖すぎる。
だんだん心配になってきた。
マジで何かあったんじゃねぇか?とレンタカー屋さんに連絡をとろうとしたくらいに、ようやくカッピーがメールが入った。
「マックにいるよー。」
人の心配も知らないでのんきなメールだ。
でもちゃんとここまで来れたみたい。
とりあえず運転はできるみたいだ。
さてー!!
それじゃあ雨の中、出発!!
目指すはもちろんグランドキャニオン!!!
レッツゴー!!
当たり前のように左車線に入るカッピー。
「カッピー!!こっち左!!右だよ右!!」
「あ、おっとっと、ゴメンゴメン。」
ギュワオン!!!
急アクセルで右車線に飛び込み、車内が揉みくちゃになる。
「はぁはぁ………か、カッピー、よろしく頼むね………」
「任せときなってええぇ!!いっくぜええええ!!!」
「よーし!!1曲メールはこれだ!!!」
ゆうべ、色んな曲をiPhoneにダウンロードしていたユージンDJの選曲は、ゲットワイルド。
「イェェェェェェイイイ!!!宇都宮隆マジかっけええええええ!!!!」
「Bメロがやべえ!!!」
そんなおかしなテンションでラスベガスの街をすぎると、すぐに何もない荒野になり、荒々しい岩場が見えはじめた。
雨は降ったり止んだりなんだけど、広い空のどこかに必ず黒い雲が立ち込めている。
綺麗さっぱり晴れてくれないかな。
ていうかカッピー!!もうちょっと真っ直ぐ走ってくれ!!
さっきからカーブのたびに外に膨らんだり、中に入り込みすぎたりして、白線を踏んでブウウウウンって音が鳴りまくり(´Д` )
車道から飛び出る!!
そんなカッピーに少しでも安全な走りをしてもらいたいのだけど、願い虚しく、遠くにあった真っ黒な雲が流れてきて、その下に入った瞬間、凄まじい雨が叩きつけてきた。
「あへえぇぇぇぇええ!!!何も見えねえええええ!!!」
滝のような雨にワイパーが追いつかず、前が全然見えない!!
ただでさえ恐ろしいのに、これ以上カッピーにプレッシャーかけないでくれえええーー!!!
前が見えずに走っていたら、突然現れたカーブに反応しきれずに、外に膨らんで道を飛び出して岩山に突進しそうになる。
「ひぎゃああああああ!!!!」
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬーーーーーーー!!!!」
ドギュン!!!
急ハンドルで車線に戻る!!!
ハァハァハァ………怖えすぎる(´Д` )
ジェットコースターよりはるかに怖え(´Д` )
何もない荒野。
滝のような雨。
雲から地面に突き立てられる雷の柱。
ペーパードライバーにどんなハードなことさせるんですか(´Д` )
そんな恐ろしすぎるドライブの末、ようやく車はグランドキャニオンのゲートにたどり着いた。
グランドキャニオンの公園入場料は7日間パスが車1台につき、25ドル。
ラスベガスからグランドキャニオンまでは4時間半ってとこかな。
よーし、ついに来ちゃったぞー、あのグランドキャニオンだ。
コロラド川の流れが数万年かけて大地を削り出来上がった断崖絶壁、刻まれた地層のライン、いびつさ、そして何より広大さ。
詳しくは知らなくても、その壮大な自然のイメージだけは誰でも持ってるはず。
知らない人なんていないよな。
どんな凄まじい地形を見せてくれるんだろう!!!
はい、豪雨。
車の外に出られない。
終わり。グランドキャニオン終わり。
あ、少しずつ雨が弱まってきたぞ。
よし、まだ降ってるけどこれくらいなら外に出られる。
さぁぁー!!!
グランドキャニオンその姿を見せろおおおおおおお!!!!!!
濃霧。
ウケる(´Д` )
ただの白い展望台です。
何ひとつ見えないとかバカじゃないですか?
ただの真っ白な霧を雨に濡れながら眺める4人。
雨バカアアアアア。
わーい
必死に楽しんでる感を出そうとしてくれる姫の健気さに泣けてくる。
とりあえず明日もグランドキャニオンは帰り道で通るので、その時にもう一度来るとしよう。
どうせ観光できないなら、少しでも明日のために移動しておこうということで、さらに荒野の奥地にあるモニュメントバレーを目指すことに。
夕闇がドンドンと谷を包みはじめた。
ゴツゴツした岩場、森の中をクネクネとのびる一本道。
雨は小降りのままなんだけど、今度は濃霧が視界を奪いはじめた。
「あへええぇぇぇぇぇ、な、なにも見えないいいいい!!明日も見えないいいいい!!!」
濃霧の森、
ズゴンズゴン落ちる雷、
ガードレールがないすぐ横は崖の道。
死ぬかもしれない………
そんな車内でユージンDJの選曲。
トゥモローネバーノーズ、エンドレスリピート。
「果てしない闇の向こうが何も見えねえええええ!!!!」
「ちょ!!ちょ!!右寄りすぎ!!木にぶつかる!!」
ギャン!!
急ハンドル!!
「きゃああああああああ!!危ないっちゃこのダラズ!!」
ネコ娘ちゃん、叫びまくり。
ヘッドライトをつけるの忘れて走行。
無灯火で反対車道逆走。
ガソリンスタンドの入り口でハンドル切り間違え入りきれずに車道で横向きになって通せんぼ。
そんな地獄のドライブが続くことさらに5時間。
やっと落ち着いた………と思ったら………
なぜか未舗装のオフロードをガタガタと進む俺たち。
あ、あれ?ここどこ……?
外灯なんてまったくなし。
ヘッドライトに浮かび上がるのは、砂地のガタガタ道。
さっきまでの豪雨で小川ができており、亀裂が道を分断していますね。ウケる。
あ、道の真ん中にでかい水たまり。ウケる。
「ていうか本当にモニュメントバレーってこの先なの?」
「のはずなんだけど………」
「こんな過酷すぎる道なんかなわけないよ………」
「今ここでタイヤがはまったらお終いだね。」
「きゃああああああ!!!!怖い!!怖いよおおお!!!このダラズ!!」
車を降りた。
足をおろすと、水をたっぷり含んだ砂の地面がぐじゅっと沈む。
こりゃまずいな。
とりあえず今夜はここで動かないほうが良いだろう。
はい?遭難?
何バカなこと言ってるんですかー。間違いなくここがモニュメントバレーのあたりではあるんだから。
遭難なんかするわけないよ、この犬並みの方向感覚を持った俺なんだからね!!
静寂………
ていうかここどこ(´Д` )
周りは一面の暗闇。
遮るもの何もない大自然の中にポツリと俺たち。
イバラのついた植物が地面からはえている。
虫の鳴き声が遠くから聞こえる。
遠雷が光る。音もなく。
はるか遠くの山の稜線がぱっと夜の中に姿を見せる。
空を見上げる。
雲の隙間から星が見える。
これなら明日は晴れるかもしれない。
孤独な星と、厳しい自然。
とにかく、あああ、カッピーの運転が1番怖かったーーー。