8月5日 月曜日
【アメリカ】 ナッシュビル
目を覚ます。
カッピーたちはすでに荷物を片付けはじめていた。
田舎の小さな空港のチケットフロアーは、それなりに人が歩いている。
ここはカントリーの聖地、ナッシュビル。
荷物をまとめ、空港の外からダウンタウン行きのバスに乗り込む。
1.7ドル。
乗り換えのバス乗り場に歩いていると、なんと!!なんと!!
奇跡が起きた!!
ギターの神様!!
チェットアトキンスと偶然会いました!!!
すっげえええええ!!!!
なのでチェットさんとセッションしました。
チェットアトキンスにCコードを教えるユージン君。
はい、お遊びはここまでにして、さらに町中から違うバスに乗り換え、西側の郊外へとやってきた。
次の目的地はメンフィス。
もう少しナッシュビルを味わいたいところだけど、音楽の聖地はまだまだこれからも続く。
俺たちのことだからほっといても何か面白いことは起きるだろう。
それにアメリカ地図を見ると、この数日の慌ただしいヒッチハイクの毎日で進んだ距離、わずかに10分の1くらい。
アメリカは改めてデカイ。
そしてこんなんじゃ観光ビザが切れる3ヶ月以内に出られるかどうかも怪しい。
先に進まないと。
高速道路のインター付近でバスを降りた。
ここからメンフィスまでは高速で4時間といったところ。
うまくいけば夜には着けるはず。
さぁ、ヒッチハイク開始しようか!!
と思ったらすぐ目の前に大きなショッピングモールを発見。
移動する前にちょっくら稼いで行こうかと、2手に別れてモールへ乗りこんだ。
俺はいつものようにスーパーマーケットの前で演奏開始。
ナッシュビルらしく、モールの看板もギターをモチーフにしてあって、まるでライブハウスみたいだ。
そんな音楽好きの町。
わずか1曲で10ドル入った。
こりゃとんでもないことになるんじゃねぇか!!
と思ったら、やっぱり店員さんからストップがかかった。
店員さんもとても申し訳なさそうに、いい歌だけどすまないがここではダメなんだ、と言ってくれる。
ささっと荷物をまとめて、2人を探す。
2人もこの短時間で20ドル稼いでいた。
よし!!飯代も出たところで、ヒッチハイクいってみよう!!
プロの腕見せちゃおうかなー!!
と俺が先陣に立って親指をかざす!!
3分で終わらせる!!
ほう?君もそのつもりか。
が、烈海皇のようにはいかず、いつまでたっても車は止まらず、無情にも通りすぎていくのみ。
バキ終わったなぁ。
その時カッピーが叫んだ。
「あひゃああああああ!!」
なんだ!?どうした!?
iPhoneのメールを見せてくるカッピー。
どうやらこの月末にアメリカに来ると言っていた女子大生からだ。
なになに?
「金丸さんのブログを読み、皆さんがどれほど大変な旅をしているのかを初めて知りました。それなのに私は軽い気持ちで会いに行こうとしていました。私が行くことでみなさんの邪魔になってしまうと思いました。なのでやっぱり行けません。」
イヤッホオオォォォォォォイイイ!!!!
チョメチョメ阻止成功おおおおおおおおおおおお!!!!!
「もうー、マジかよー。せっかくずっと前から楽しみにしてたのにー。」
「抜けがけなんてさせない!!一緒にコスメルで恋しよう!!楽しみだね!!恋するコスメル!!」
まぁこんなこと書いてますけど、本当は来てもらっても一向に構わないです。
というか大歓迎です。
カッピーがこのヒッチハイク旅から離脱することも、もちろん彼の自由です。
とても仲のいい友人ですから、彼が楽しいと思うことをやってくれれば僕も嬉しいです。
そしてカッピーは軽々しく女に手を出すような輩ではないことも一応付け加えておきます。
僕もユージン君も、その子が来てる間はなるべくカッピーと別行動をとるようにするつもりだし。
なぜこんなことをわざわざ書くのかと言うと、その女子大生のおばさんにあたる方も僕のブログを読んで下さっているんですが、その方が女子大生さんにこう忠告したらしいです。
「行ったらハイエナの餌食になるよ!!」
は、ハイエナ(´Д` )
ウケる(´Д` )
おばさま、僕もユージン君も彼女のいる身です。
ご心配はごもっともですが、カッピーはいい男です。
きっとテント泊はさせないでしょう。
キチンとエスコートすることと思います。
まぁ、もう来なくなったんだから関係ないけどねええええええ!!!!!
イエエエエエエイイイイイ!!
と思ったら後日思い直したらしく、来ることが決定しました。
くそ。
さぁヒッチハイクヒッチハイク!!
今夜中にメンフィスまで行くぞー!!
と親指を立て続けるが、まったく止まらず、3時間経ってついに集中力の糸が切れてしまった。
時間はすでに20時。
今日はもう無理か。
ヒッチハイクは諦めて、近くにもうひとつあったショッピングモールでバスキング。
お互いまた10ドルずつ稼いで今日はこれで終了。
モールの裏にあった公園の端っこに寝床を決めてテントを張った。
今日はなんにもできなかった。
移動もできず、稼ぎも悪く、出会いもなかった。
いつだって、貪欲に何かを求めていたい。
だからこそ何も収穫のない日ってのは気分が暗くなるもんだ。
そしてここからが本当にひどい日々の始まりだった。
マクドナルドの1ドルサラダをかじり、スーパーで買ってきたビールを飲んで、テントに潜り込んだ。