7月17日 水曜日
【アメリカ】 ボストン ~ ニューポート
「ヘイ、ガーイズ!!カモン!!カモーン!!」
テントの外で大声が聞こえる。
なんだなんだ?とチャックを開けてのぞいてみると、目の前の川でボートクラブが練習をしていた。
みんな一糸乱れぬ動きでオールを漕いでいる。
テントの周りにもボートクラブのメンバーらしき若者たち。
まだ20代前半くらいの顔つきなのに、どことなく気品のある立ち居振る舞い。
そう、ここはハーバード大学の敷地内。
彼らは伝統あるハーバードボートクラブの紳士たちってわけだ。
そんなエリートたちのたくましい動きを見ながらノンビリとテントをたたむ俺たち。
さ、差が………
差がすごい………
あ、ちなみに大学の敷地内といっても、ハーバードはとてつもなく広大な面積を持っており、ひとつの町みたいになっているので、別に怒られることはないです。
さてそんなゴキブリたちもひとたび楽器を持てば、楽器を持ったゴキブリになります。
ちょっとは強いぞ!!
今日の路上場所はケンブリッジにあるハーバードスクエア!!
狙いはハーバード生!!
世界イチ古い大学で、世界イチ難しい大学で、世界イチ権威のある大学!!
とりあえず大学前のスターバックスがオシャレすぎ。
よーし、金持ちの子どもたちと仲良くなって、彼らが社会の重役になったときにコネクションでコネクションでコネコネええええええ!!!!
よし、普通にやろう。
コネとか意識したら人間関係、ちょっとつまらなくなる。
大事だけど、ちょっとつまらなくなる。
あまり意識しないように。
意識しないように可愛い箱入り娘と仲良くなって、世界一周の刺激的な話を聞かせて、彼女のおっぱいをコネコネ!!
あがりは56ドルでした。
普通です。
カッピーたちは57ドルってとこ。
このハーバード大学の入り口前にあるハーバードスクエアは、まあたくさんの大学生や観光客がいるんですが、それにともなって路上パフォーマーもハンパじゃない数います。
地下鉄は例によってライセンスがいります。
でもそんなにうるさくないので注意されるまで1時間はくれます。
まぁとにかく暑いです。
35℃の気温にくらくらしながら、しかも湿度がひどいのでべったべたで気持ち悪くて仕方ない。
去年の冬は東欧でマイナス20℃の雪の中で歌ってたなぁ。
路上はきつい仕事だ。
仕事を終えたてっちゃんと合流。
早めに路上を切り上げて車をかっ飛ばす。
向かった先は、
ニューポート。
先週BBキングと会ったあのニューポート。
なんでまた?
覚えてる人は覚えてる!!!
うわああああああああああああ!!!!!!!
ドゥービーブラザーズウウウウウウウウ!!!!!!
はぁぁぁぁぁぁぁあああああうううううううううう!!!!!!!
ポールマッカートニーの次にBBキングでその次がドゥービーとかアメリカやばすぎいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!
70年代から常に第一線で活躍し続けるサザンロックのスーパーバンド。
土臭さと洗練された音楽性と、西海岸のオシャレなムード。
何よりあのコーラスワーク!!
イーグルスよりも好きです。
てっちゃんの車を飛び降りて、前回BBを見た時と同じゲートへダッシュ!!
はあああああああああああ!!!!!!!!
ドゥービーだあああああああああ!!!!!!!
やっべえ!!やっべすぎる!!
ゲロかっけえ!!
ちょ、巨体が邪魔!!
レコーディングバンドかと思ってた。
あの作り込まれた完璧なCD。
ライブはそうでもないのかなって。
それくらいCDの音源が完璧だから。
違う。
うま過ぎ。
技術やばすぎ。
CDよりもはるかにイカしてる。
特にコーラスの技術は鳥肌もん。
彼らはすでに60歳を超えている。
なのにやっぱりめちゃくちゃパワフル!!!!
観客あおりまくり!!!
ニューポートのお金持ち上品マダムやジェントルマンが総立ちで踊りまくり。
ゴキゲン。
こういうのをゴキゲンな音楽っていうんだ。
高校生のころからずっと聴いてたドゥービー。
音楽の楽しさを知ったあの頃、一生懸命コピーした。
あの本物が今、目の前で最高のライブをやってる。
夢だ。夢だよ。
ポールより、BBより、俺にとったら1番思い入れがある。
最高だ。
その時、アコースティックギターの音色が響いた。
オシッコ漏らした。
サウスシティミッドナイトレディ。
1番好きな曲。
泣きそうになった。
柵越しに見えるトリプルギター。
何度も何度も歌ってきた曲をパトリック・シモンと一緒に歌った。
生ブラックウォーター、
生ドゥービーストリート、
そこからはもう柵にしがみついた手が汗ににじみまくった。
最後の曲がロングトレインランニング!!!
ああああああ!!!!!
なんてファンの心を理解してるんだ!!!!
もちろんかかるアンコール。
もちろん出てきてくれる、油のりまくりの60代のメンバー。
そして歪んだギターリフがテントに響いた。
観客、狂喜乱舞。
チャイナグローブで興奮は絶頂まで高まる。
そして最後の最後、
やってくれるよ………
リッスントゥザミュージック………
何このコーラスワーク…………
ライブが終わり、放心状態…………
はぁあ………もういい………
もう帰国してもいい…………
もうこれ以上ねぇ………
これ以上ねぇよ。
ガキの頃からの夢をどれだけ叶えてくれるんだよ、アメリカ。
帰国はもちろんしないけど、してもいいって思えるほどの出来事にこれだけ出会えてる俺たち。
旅の神様に音楽の神様に抱きつかれてるよ。
ん?
俺たち?
あれ?たちはどこだ?たちは?
会場の周りを探し回るがどこにもいない。
あれ?どこで見てたんだろう?
いくら探しても見つからない。
車から飛び降りてテントに走ったから駐車場の場所もわからない。
どこ行ったんだろなぁー。
「あ、いたいたー、どうだったー?」
その時、人ごみの向こうからカッピーたちが歩いてきた。
首にタオルをかけて。
「いやー、シャワー浴びに行ってたよー。気持ちよかったー。」
お、おま、お前ら(´Д` )
ドゥービーよりもシャワーて(´Д` )
まぁカッピーたちはそんなに好きなバンドでもなかったみたい。
それなのに遠くまで付き合ってくれてありがとね。
さあてーーーー!!!!!
ドゥービーも終わって、今度はカッピーたちの奇跡、ベティちゃんに会いに行くぞ!!
ベティちゃんが参加しているキャンプはここから5時間ほど北に走った、アメリカ最北の州、メイン州にある。
さ、最北!?
な、なんで最北(´Д` )
カッピーたちと合流して、さぁ南下の旅の始まりだ!!ってはずだったのに、どんどん北上して、ついに最北の州にまで行ってしまうってどういうことだよ(´Д` )
でもそんなこと、連日の奇跡に比べたらどうだっていいことだ。
これで南下が始まったらどうなっちまうんだよ。
てっちゃんの運転する車が高速をかっ飛ばす。
アメリカーー!!!!
楽しませてくれるぜーーーー!!!!
ジョン・マクフィーと。