人気投票、カオルさんが独走かな!?
お母さんとミユキさんが追っかけてる!!
ショウゴが意外と人気ない(´Д` )
他のみんなもそれぞれ奮闘してる!!
そして番外多すぎ(´Д` )
集計大変だから(´Д` )
明日か明後日に締め切ります!!
コメント100件いくかな?
6月27日 木曜日
【カナダ】 ハミルトン ~ トロント
部屋の中、荷物をまとめる。
ここはマーシャルの家。
いつまでもここにいたい。
でもそういうわけにはいかない。
トロントに戻らなければ。
バッグをかついでリビングに行くと、マーシャルがギターを構えて待っていた。
「ヘイ、フミ、まだホワイトスカイを全て翻訳してないぜ。俺たちにはやるべきことがある。さぁ、とりかかろう。」
売れない絵描き。
英名はホワイトスカイ。
まだあと8行だけ残っている。
この曲のとてもとても大事な8行。
もちろんさ、マーシャル、最後までやってしまおう。
「オパァァァァァア!!!!!ふ、フミ!!これはどうだ!!どうですか?僕の瞳が白に見えますか?ホラ!!これだよ!!聴衆に投げかけるんだよ!!クエスチョンさ!!ホァァアア!!すげえ………!!」
「あ、いや、マーシャル、違うんだよ。絵描きはこの時に初めて気づくんだよ。いつの間にか失ってしまったことを。」
「ん、んん………なるほど、クソウ、わかってる、ここはとても大事な部分だよな。アアアアアアハハハアアアア!!!!シット!!これはどうだ!!」
「うおお!!ジーニアス!!マーシャル、ジーニアスだよ!!」
「そうさ!!俺はジーニアスさ!!2人のジーニアスが協力してやってるんだ!!ケミストリーがスパークしてやがる!!!」
そうして3時間後。
ついにホワイトスカイの翻訳が終わった。
世界に出たら必ずやりたかったこと。
売れない絵描きを英語に訳すこと。
それをこの愛に溢れた、それも優れたソングライターであるマーシャルとやれたなんて。
静かな部屋の中、完成したホワイトスカイを2人で演奏した。
レコーディングする時間はもうない。
もう行かなければいけない。
絵描きは自分のためだけに絵を描いた
白い空の絵を
彼のその目には白い空がうつっていた
でも誰もが彼の前を通り過ぎた
歌い終わるとマーシャルが肩を震わせていた。
ボロボロと泣いていた。
あの熊みたいに大きな体のマーシャルが顔を赤くして涙をこぼしていた。
「フミ………もうダメだ…………はぁああ!!ふううぅぅぅぅ……………も、もう行ってくれ……早く………夢を見させてもらったよ。これを持って行ってくれ………」
そう言ってマーシャルは俺に何かを押しつけて、自分の部屋の中に入って行った。
それはネックレスだった。
泣きそうになるのをこらえる。
行かなきゃ。
次に進まないと。
静かな部屋の中、荷物をかついだ。
ネックレスを首にかけ、玄関を出て、歩く。
マーシャル、楽しかった。
バディ、っていつも言ってくれた。
俺も本当のバディだって思えるよ。
音楽やってたらまた必ず会えるよな。
またセッションしような。
俺たちの夢は終わってなんかいない。
世界中の人たちが同時に30秒間、喋るのをやめるんだよね。
ビリーブだよな。
振り向きたくなかったけど、曲がり角の手前で振り向いてしまった。
玄関のところでマーシャルが手を振っていた。
手を振ってすぐに前を向いた。
ここで足を止めたらダメだ。
路線バスでダウンタウンに向かい、そこから10カナダドルのチケットを買ってトロント行きのバスに乗りこんだ。
トロントに戻ってきた。
首が痛くなるような高層ビルが白い空を削っている。
そしてそのままコンクリートの路上に座り込んでギターを鳴らした。
3時間歌って21時になりフィニッシュ。
あがりは38カナダドル。
腹ペコのペコペコでストリートカーに乗りこんでやってきたのは…………
「ぴょおぉぉぉぉぉおおお!!!金丸さんお帰りなさいいいいいいいぃぃぃぃぃ!!!!」
リックの家。
てぃちゃんがご飯を作ってくれていた。
「あ、金丸さん、お帰りなさい。ハミルトンはどうでした?」
「こ、こ、これどうやって焼けばいいんですか!!?フライパンにこうやればいいんですか!?」
ナオトさんも帰ってきて、てぃちゃんが作ってくれたお好み焼きを食べた。
はぁ………落ち着く。
でも、このみんなとも同じようにもうすぐ別れがやってくる。
大好きですあればあるほど、別れが辛くて仕方ない。
嫌だなぁ。
ずっとみんなと一緒にいたい。
じゃあ旅なんかしなければいいんだよな。
出会わなければいいんだよ。
人と出会わない人生なんてクソつまらないけどね。
気づけばアメリカ入国は、もう4日後。
もう待ったはきかない。
全力を尽くすのみだ。