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バイバイ、シェルター

6月13日 木曜日
【カナダ】 トロント





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朝、ナオトさんがシェルターにやって来た。


俺の航空券を予約するためにわざわざ自転車をこいで来てくれた。


何か出来ることあったら手伝いますよ、とは言ってくれたが、ここまでとことん付き合ってくれるなんて、どこまで男気のある人だ。









2人でセカンドカップでパソコンを叩いてチケットの予約。


なのだが、どうしてもナオトさんのカードを受け付けてくれない。

やはり搭乗者の名義じゃないとカードが使えないのかなぁ。


もうひとつ、トロントからニューヨークに行くグレイハウンドのバスもネットで予約できないかやってみた。



ネットで買えば84カナダドルが40カナダドルになる。


確実にネットで買った方がいい。






なのだが………








これもだ。

これも注意事項のところに、そのカードの保持者でなければ搭乗できません、とある。





無理か………

そんなもんなんだな。






国境も絡んでることだし、ここは大事を期して窓口で確実に買ったほうがいいかな。


ここまで俺のために一生懸命お手伝いしてくれたナオトさんには申し訳ないが、いつものやり方で行くしかないようだ。








「ていうか家主のリックが金丸さんはトロントに帰ってきてるのか、って聞いてくるんですよ。ベッドも用意するから呼べって言ってるんですけど、どうします?」







チケットのことから何から何までお世話になりっぱなしで、気が引ける。


どうしよう…………




でもシェルターにもこれ以上お世話になり続けるわけにはいかない。










んーーーーーーー、行くよー!!!

行かせてくれーーー!!!



そんなこと言ってくれてるなら断る理由なし!!


てぃちゃんもカナコちゃんもいるし、リックはゲイだけど息子を顔面の至近距離で見せつけてきたりしないし、とっても落ち着ける場所。


シェルターに比べると、街に来るのにトラムの6カナダドルがかかるし、ナオトさんたちは払わないでいいですって言ってくれるけど食費もやっぱりちゃんと払えばそれなりに出費する。


これまで以上に気合い入れて稼がないといけないが、そんなことはこの大好きなメンバーと過ごせる時間に比べたらちっぽけなもんさ。







20時に行きますと約束し、ナオトさんと別れた。


さ、今日も休まず路上行きましょうか。









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昨日行ったユニオン駅の中にある寂しげな通路にやってきた。


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工事をしており、ガラーンとしたこの通路。



駅の構内なのでやっちゃいけなさそうだけど、多少強引にやってみよう。





ギターとハーモニカを鳴らすと、ホールのように音が伸びる。


薄暗い通路。

電灯がポツリと俺を浮かび上がらせる。


とてもいい雰囲気。







音響にあわせて渋めの曲を静かに歌うと、通る人々がみんなお金を置いてくれる。


音の響きとシチュエーションのおかげで、たった3曲で10カナダドルも入ってしまった。


こりゃいいぞ!!




と思っていたら、やっぱり警備の人がやってきた。


「申し訳ないけど、ここでは歌ったらダメなんだ。」




うーん、ここのシチュエーション、完璧なのになぁ。




荷物をまとめて地下街を歩く。



やれそうな場所はないかなぁ………






と、ビルとビルの間にいい感じの連絡通路を発見。


これまた少し強引に、ギターを鳴らす。

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入る。

かなりいい勢いでみんなが聴いてくれる。

やかましい曲はやらずに静かにBGMを演奏する。




だがここでも警備員さんがやってきた。

やっぱり建物の中はきついか。





しかしトロントの警備員さんはみんなとても紳士だ。

どっか行きやがれボケ、みたいなことは決して言わない。




「ミスター。申し訳ないけどここでは演奏したらいけないんだ。君はサウンズグッドだよ。でも決まりなんだ。わかってくれ。」




地上だったら大丈夫だからと丁寧に教えてくれる。


この辺りはライバルがいないので稼げる。

わずかな時間で20カナダドルになった。


でもこうして丁寧に注意してくれると、すんなり諦められるな。
















おとなしくいつものクイーン地下鉄前の定位置へ。

夕方まで頑張ってさらに20カナダドル。

今日のあがりの合計は40カナダドル。


うーん、悪くはないけどこのペースではまずいんだよな………












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夜までやりたいところだけど、やらなければいけないことがある。




シェルターに戻って、1人のおじさんに話しかける。



「おじさん、掃除したいんですけど、どうやればいいですか?」


「あ?なんでだ?ボランティアでやりたいのか?どうしてだ?」



キョトンとしてるこのおじさん。

彼はシェルターのスタッフではない。

入居者なんだけど、いつもこのおじさんが1人でお掃除をしている。


シェルターを出る前にキチンと掃除くらいしよう。



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モップを使って床を拭いていると、スタッフのトニーが訝しげに話しかけてくる。



「ヘイ、フミ。どうしたんだ?誰かにやれと言われたのか?もしそうならちゃんと教えてくれ。俺たちが守ってやるから。」





いじめられてるように見えたのか(´Д` )




今日で出て行くから掃除してるんだと言うと、思いっきりニッコリしてマイプレジャーと言った。


床掃除と表の掃き掃除をして、もう大丈夫だよとみんなに止められたのでこの辺にしといた。


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そして受け付けカウンターの隅にコッソリこいつを置いといた。


どうせ誰かに盗られるか捨てられるかするだろうけど、まぁいいさ。
ここにいた証として置いておこう。

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いつもタバコくれと言ってきた黒人の兄ちゃん、
タバコ屋のマーティン、
スリーコードのアル、
壊れた人のおじさん、
コンニチハといつも言ってたおじさん、



みんなに挨拶し、1番仲のよかったスティーブを探す。



スティーブどこかなー………







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これ。







あまりにも気持ち良さそうに寝てるので気がひけるが、何も言わないで出ていくのもな。


手をちょいちょい触ってスティーブ、と呼びかけるが、寝ぼけて手を振るだけなのでそっとしておいた。

スティーブとは日曜日にバーに行こうと約束してるので、また後日来るとしよう。












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ああ、物盗まれたり、イかれたオッさんだらけの場所だったけど、こうして離れるとなると寂しいな。


最初はこの臨時病院みたいな陰鬱なシチュエーションにおどおどしていたけど、ここで暮らす人々の穏やかな表情を見れば、物凄く愛に満ち溢れた場所だったことがわかる。


スタッフの人たちも、彼らをぞんざいに扱うことなく、彼らの意見や意思を尊重し、一緒にアイスホッケーのテレビに熱中したり、カードゲームをしたり、まるで友人のように接していた。



トロントだけでもこういったシェルターや、無料で食事や衣類を提供する場所、団体がたくさん存在している。


社会的弱者への保護がこんなにも充実していること、共に生きるというすべての命への尊敬。


道ばたの物乞いへたくさんの人が日常的にお金をあげるという純粋な優しさ。



資本主義は格差を生むだろうが、人々の心には確実に困ってる者に手を差し伸べる優しさがある。


なんて美しいんだろうな。


ここに飛びこんだからこそ、それを身をもって感じさせてもらったシェルターでの日々だった。


こんな経験、なかなか出来ない。



ありがとう、ゲートウェイ!!

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土砂降り雨の中、ずぶ濡れになりながら走ってストリートカーに飛び乗った。



そして酒屋さんに寄ってビールとワインを購入。

ナオトさんとこの家主のリックはワインが好き。

安いので申し訳ないが、みんなで飲んでくれたらいいな。













ナオトさんの家に着いた。

中に入ると、リックが物置きみたいになってた部屋を片付けて俺のためのベッドルームを作ってくれていた。


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「ハ~イ、フミ。ちょっと狭くて申し訳ないが、ここで寝てくれな。」


「あ、フミさん、おかえりなさい。よし、じゃあカレー作ってもらっていいですか?」



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嬉しくて泣いてるわけじゃなくて、玉ねぎのみじん切りが下手くそすぎて泣ける(´Д` )

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そこに、マッサージの仕事を終えたてぃちゃんも帰ってきた。


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「よし!!私もつぐるがら!!このチンチン、洗ったほうがいいのが?皮向いて洗うが?」


「ち!!チンチンの皮むいて、あ、あ、洗う?!?!あ、なんだニンジンか………」




俺たちが大笑いしながら賑やかに料理しているのを嬉しそうに見ているリック。


そして居酒屋さんの仕事を終えたカナコちゃんも帰ってきた。




みんなで食べたカレーと唐揚げは…………

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もう言うことなしだよ。



ホントにブログやっててよかった。

こんなにイカしたみんなに会えるんだもん。


ね、ちょっと男性読者サービス行きますか。

てぃちゃんファン必見!!



「このニンジン、皮むいで洗うがら。」

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シェルターで飲めなかったお酒。

最高のメンバーと、そしてシェルターの大事な思い出に乾杯。

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