3月30日 土曜日
【スペイン】 アルヘシラス ~ べヘール・デ・ラ・フロンテーラ
スペインでは、こんちはー、ってのを、オラ、と言います。
「オラー。」
「オラー。ニコリ。」
みたいな感じです。
なので承太郎がスペインに来たら、ものすごく挨拶する人みたいになります。
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!!!!!
どうでもいいけど、よっしゃ行くぞおおおお!!!!!
5ユーロのケバブのプレートをかきこんで、町外れに向けて歩く。
今日の目的地はここから80kmほど西に走ったところにある田舎町。
べヘール・デ・ラ・フロンテーラ。
長え!!
iPhoneで打つのメンドクセエ!!!
スペインってこんな名前の町がいっぱいあるんだよね。
なんちゃら・デ・ラ・なんちゃら、とかって。
デ・ラってなんだよ。
宮崎・デ・ラ・えびの、みたいな感じか?
このべヘール・デ・ラ・フロンテーラ。
この数日、地元の人々にオススメの町アンケートをとっていたんだけど、かなりの高確率でみんなが素晴らしい場所だ!!と言っていた。
世界遺産がありすぎるせいで、逆に的が絞れないので、西欧は地元の人のオススメ情報に重きを置いて行こう。
青い空の下、汗をかきながら歩き、郊外の幹線道路まで出てきた。
張り切ってヒッチハイク開始!!
20分でゲット!!!
めちゃフレンドリーなカップルにタリファまで。
2台目 悪そうな兄ちゃん
袋パンパンのマリファナをすすめられる。
3台目 ファンキーな家族
ダンスミュージックをガンガンにかけながら、ジョイントを家族で回し吸い。
高校生くらいの息子とも(´Д` )
さすがヨーロッパ!!
海が見えなくなり、山の中を走っていく車。
するとファンキー家族のお父さんがハシシをくゆらせながら山の上を指差した。
山の頂上付近に真っ白な町が見えた。
なんだ?!あの真っ白いの!!
ほんの小さな集落といった外観。
建物のすべてが真っ白く、山の中に浮かび上がっていた。
モロッコのシャウエンが青い町なら、あれは白い町だ。
クネクネと急な坂道を登っていく。
ホントに山の上にあるんだな。
「バルログバルログ。」
お母さんが俺の顔をくしゃくしゃになで、手に3ユーロを握らせてくれた。
ママ、ありがとう。大事に使わせてもらいます。
ファンキー家族の車を降りる。
うおー、なんだすげー。
もう真っ白!!
砂糖で出来てるんじゃないかってくらい全ての建物が白!!
天気が悪いってのもあって、曇り空と同化して天空の城といった雰囲気。
んー、とりあえずお腹空いたな。
何か食べようかなと歩きはじめた瞬間。
「バルログバルログ!!コーヒーー!!バルログ!!」
小さなバーの前にたむろしていたオッさんに呼び止められる。
田舎の、地元の人たちのためのバー。
オッさんに肩を抱かれながら中に入ると、地元の人たちがチラッと俺を見て、またすぐに会話を再開する。
観光客なんてまず来ないような小さなバー。
でも別にみんな興味なさげ。
「バルログバルログ、シマコ、バルログ。」
このオッさん。コーヒーをおごってくれ、同じテーブルに座り、ひたすらスペイン語で何かを言っている。
ちょっと酔ってるな。
「バルログ、シマコ~、シマコトウキョー!!シマコ………シマコー!!!」
シマコて誰(´Д` )
話の流れから推察するに、昔シマコさんという日本女性と結婚してたみたいだが、シマコさん子供連れて東京に帰ってしまった、的な感じ。
マジか?
でも俺が東京の地図を見せてやると、ものすごく悲しげにシマコ~……とつぶやいている。
「シマコ~……シマコ………バルログ!!バルログ!!」
ビールを一気飲みして立ち上がるオッさん。
俺の荷物を担いで店を出て行った。
急いで追いかける。
「カムヒア!!!バルログ!!」
「カムヒアだってよー!!ヒャヒャヒャー!!」
英語のまったく出来ないオッさん。
でもかろうじて知ってるカムヒアを使うと、周りのおっちゃんたちが、何気取ってやがんだー!!みたいな感じで茶化している。
英語を使って得意げなオッさん。
田舎だなぁ(^-^)/
白い町の中を歩くオッさん。
追いかける俺。
なんだこれ?
ここらへんには小さなバーがたくさんあって、それぞれの常連客がウダウダたむろしている。
そんなバーを4軒ハシゴ。
ひたすら歌わされる。
お金は俺が出したりオッさんが出したり。
半々だな。
「シマコ~……シマコ!!!トウキョー!!!アアアアアア!!!!」
だいぶ壊れてきたオッさん。
テーブルをガンガン叩いている。
ハシゴをしてみてわかったけど、このオッさん、どこに行っても煙たがられている。
ついにオッさん暴れはじめてしまう。
俺にスペイン語で大声を出しはじめ、なんでわかんねーんだよ!!みたいに苛立ち、俺のギターを蹴っ飛ばした。
悪いオッさんではないが、さすがギターへの攻撃は我慢ならん。
「あんた何してんだ!!これはギターだぞ!!!」
ちょっと大きい声を出して怒ると、周りのおっちゃんたちが止めに入ってきた。
そしてオッさんを追っ払ってくれた。
「まぁ落ち着きなよ、兄ちゃん。ほら、これ食べな。」
気をつかってくれたバーのママとマスターが料理を出してくれた。
着いていきなり映画のワンシーンみたいな展開。
バーの皆さんにお礼を言い、フラフラと店を出た。
結構飲んじゃったな。
町の中心部に向かって歩くと、ドンドン道が狭まり、細い路地が入り組んだ迷路になった。
全ての建物が白く、古めかしく、歴史をたたえた路地に心が踊る。
土曜の夜だからか、たくさんの人々が繰り出しており、細い路地にあるバーはどこも活気に溢れている。
暖色の街灯に浮かぶ石畳の路地。
グラス片手に笑う人々。
お城と教会が見え、保存状態のよい城壁が迷路の中にのびている。
うわー、ここもまたおとぎの町だなぁ。
山の上の小さな古城。
それに寄り添う白い町。
きっと中世から変わっていないであろうこの風景。
ヨーロッパの歴史にまどろみながら、路地をさまよった。