3月14日 木曜日
【エジプト】 カイロ
ピラミッドですよ。
思い出しながら書きます。
ああああああああぁぁぁぁ、写真……(´Д` )
ピラミッドの写真がない世界一周だなんてええええええ(´Д` )
iPhoneよおおおおおおあお!!!!!!!
はい、まずは宿から最寄りの地下鉄に乗って1本乗り換えして合計7駅くらい行ったギザの駅で降ります。1ポンドだったかな。15円くらいです。
ピラミッドにはそこからさらにミニバスに乗ってしばらく走ってやっとたどり着けるます。
電車の中ではたくさんのエジプト人が話しかけてくる。みんな英語喋れないけど親切に駅を教えてくれる。
そんな中で1人の兄ちゃんが話しかけてきた。
「ピラミッド行くのかい?俺の家、ピラミッドの近くだから一緒に行くかい?」
別に1人でも行けるけど、地元の人と仲良くなるのはいいこと。
一緒に行くことに。
電車を降りて、彼は手慣れた感じでミニバスをつかまえる。
学生で、敬虔なイスラム教徒である彼。
エジプト人にしては上手な英語でイスラム教の素晴らしさを熱弁してくる。
「この太陽も空気も木も、僕と君も、誰が作ったんだと思う?」
「はいはい、アッラーでしょ。」
「そう!!アッラーが唯一の創造主なんだ!!知ってるんだね。君はすぐにムスリムになれる。東京にイスラム教徒のオフィスがあるはずだから、そこで改宗するんだよ。そしたらパラダイスに行けるから。」
そんな話をしてるうちにバスは終点に到着。
叫びながら群がってくるたくさんの客引きたちの頭の向こうにアレが見えた。
ぴ、ぴ、ぴ、ピラミッド(´Д` )
でけえ!!!
建物の向こうにズドーンとそびえており、白くかすんでいる。
よーし!!行くぞ!!!
「あ、そっちは金持ち観光客たちのゲートなんだ。チケットは500ポンドするんだよ。あっちにエジプト人のためのゲートがあって、そこからだと安く入れるからそっちに行こう。」
あれ、ちょっと怪しいな。
そう思いつつも一緒にバスに乗り、彼の言うゲートへ向かう。
バスを降りて観光客がまったくいないフェンス沿いを歩く。
「Facebookはやってる?君とはずっと友達でいたいな。」
「やってるよ。」
「よし!ちょっとペンを借りよう。あそこのオフィスで借りようか。」
そう言って入った建物は、
偶然!!
ピラミッドの周りを馬やラクダで周遊するサービスをやっているオフィスだった。
「ハロー、マイフレンド。ピラミッドの周りはガバメントルートになっていて歩きでは入れないんだ。乗り物に乗らないといけないんだ。」
「マイフレンド、中を見て回ろうと思ったら15kmは歩かないといけないんだ。砂漠だから歩けないしね。」
1人ぼっち、エジプト人に取り囲まれて矢継ぎ早にまくしたてられる。
俺をここに連れてきた兄ちゃんもニコニコとオススメしてくる。
「どうする?フミ。ここはすごく安い会社だから安心できるけど。向こうのゲートからだと500ポンドだからこっちから入ったほうがいいよ。とりあえずゲートまで行ってそこで値段を聞けるからそれから決めればいいよ。」
そしてエジプト人のオッさんは困惑する俺を尻目にさっさと馬を連れてきて、俺に乗り方を説明してくる。
俺の意思なんて完全無視。
大丈夫大丈夫!!と話を進める。
え?え?わかないですぅ………とオドオドと馬にまたがる俺。
いやー、俺たちは日本人の観光客をたくさん案内しててねー、と陽気に話しているオッさんとニコニコついてくる兄ちゃん。
楽しくてしょうがないよね。
もう、この観光客を引っかける手順が教科書通りすぎてウケる。
さぁーて、そろそろ潮時かな。
馬に揺られながらゲートの前に着いた。
こうやってまず馬に乗せることによって断りにくい空気を作り出すんだね。良心につけこんだいい作戦ですね。
「さ、入ろうか。」
「え……?で、で、で、でもゲートで料金が確認できるって言いませんでしたっけ………?」
「大丈夫だよ。すごく安いから。心配しなくていい。さ、レッツゴー!!」
「あ、あ、あ、あの、僕160ポンドしか持ってないんです………」
「は?」
突如困惑した顔をするオッさん。
兄ちゃんの方を見て、話が違うじゃねえか、みたいな目線を送っている。
とたんに焦る兄ちゃん。
ついにさっきまでの友達的な雰囲気を崩してきた。
「わかったよフミ。向こうに銀行があるからそこでおろせるよ。ノープロブレム!!」
「僕クレジットカードとか持ってないんです。」
「じゃあ、ユーロでもドルでもチャイナマネーでも大丈夫だよ。」
「ホントに持ってないんです。」
ドンドンと口調が荒くなる兄ちゃん。
「じゃあどうやってご飯を食べているんだ!?どうやって宿に泊まってるんだ!?」
「路上で歌を歌って稼いでいるんです。このお金も1週間かけて作ったんです。」
「うぐっ………よし、わかった。今じゃなくていいよ。宿に戻ってからでもいいから。明日でもいいよ。僕らは紳士だからそれくらい待てるからね。」
すでに逃げられないような空気がただよう。
まぁんなこと関係ないけどね。
「それにたったの160ポンドじゃピラミッドの中には入れないよ。スフィンクスまでだね。よし、160ポンドで構わないよ!!スフィンクスを回って帰ってこよう!!」
「え………で、でも入場料が60ポンドでピラミッド内部が100ポンドだって聞いたんですけど………」
「それは間違った情報だよ。ピラミッドに入るには600ポンドいるんだ。さぁ、行こうか。」
「で、でもガイドブックとかにもそう書いてるし、昨日ピラミッドに来た友達もそう言ってたし、だからちょうどのお金を持ってきたんですぅ…………」
「でもそれじゃあ、どうやって馬の代金を払うんだい?全部使ったら馬に餌が食べさせられない。」
ひたすら下手に出て、気弱なアジア人を演じ続ける。
さっきまでイスラム教の素晴らしさを語っていたにこやかな兄ちゃんは、もはや化けの皮がはがれた、ただの金の亡者だった。
「頼むよ、明日でもいい。俺たち友達だろう?すごく安いんだ。こうやって話してる時間ももったいないよ。早く行かないと全部回れないよ。」
「だから僕はお金を持ってないんです。これを使ったらまたすぐに路上で歌わないといけない。今も24時間以上なにも食べてないんです。でもあなたたちはムスリムで素晴らしい人たちだから嘘なんてつきませんもんね。さぁ、行きましょう。こんな優しい人たちに出会えて僕ホントにラッキーだな。やったー。アッラーに感謝します。よし、レッツゴー。」
「馬から降りろ。」
馬から引きずり降ろされて、ポツンととり残される。
トボトボ歩いていると、さっきの兄ちゃんがやってきた。
「ほんとにダメなのかい?銀行に行けば済むことじゃないか。ここのツアーは本当に安いんだよ。」
最後まで値段を言わない彼ら。
会話の中で上限を探るんだろうな。
「だからカードを持ってないって言ってるだろ?もう君を信用できないよ。友達だと思ってたのに。」
「………僕はガイドなんだ。」
お、白状を始めた。
「これが僕の仕事なんだ。観光客をここに連れてきてマージンをもらってる。君の言うとおり、ゲートの値段は60ポンド。ピラミッドの内部は100ポンド。歩いて回れるよ。」
「なんで今更白状するんだい?嘘なら最後まで嘘を突き通しなよ。」
「だって僕はいいムスリムだから。嘘つきのままで別れたくないから。」
このボケ(´Д` )
白状すれば嘘の罪は消えると思ってやがる。
なんて都合のいいヤロウたちだよ、エジプト人。
というわけで無事ゲートにたどり着く。
ここか?みたいなボロい窓口で60ポンド払って入場。
しかし、ここで新たな敵、出現。
もぎりにチケットを渡すと、そのチケットをオッさんが横からパッと奪い取った。
「よし、行こうか。」
勝手に先導して歩き出す。
ガイドだな。
「何するんですか。チケット返してください。」
「違うよ、墳墓とスフィンクスでは別のスタンプを捺してもらわないといけないから、そこまで連れて行かないといけないんだ。僕はウォッチマンだからね。」
うぜぇ!!!!
すでに目の前にはピラミッドとスフィンクスの姿。
俺のチケットを持ってドンドン歩いて行くガイド。
ゆっくり見たいのに、いきなりそんな絡みがあるから、最初の感動がマジで薄れる。
世界三大ウザい国の名に恥じない馬鹿さですね。
自分とこの観光の魅力をごっとり落としてます。
「ほら、ここで写真撮るといい。ここが1番のシャッターポイントだよ。」
そう言って俺が写真を撮るのを横で見ている。
すでにガイドが始まっている。
「よし、カメラかして。スフィンクスの上に立ってるように見える写真を撮ってあげるよ。」
「もういいから、チケット返してください。ガイド。」
「何言ってるんだ?俺はガイドじゃないって言っただろ?ウォッチマンなんだ。ここは保護地域だから観光客が1人で歩いたらいけないんだよ。」
そう話しながら俺のチケットを人質にドンドン歩いて行く。
だからゆっくり見たいのに!!!
「おい、もう嘘はいいからチケット返せ。ガイドなんだろ?おいガイド。チケット返せ。おい。」
「だからぁぁぁあ!!俺はガイドじゃねえって言ってるだろう!!なんで信じないんだ!!」
「信じるわけねえだろうが?そんなしょうもない嘘。観光客全員にくっついてたら何人ウォッチマン必要なんだよ、バカ。早く返せ。ガイド。おい、ガイド。」
「俺はお前がわからない!!これは親切でやってるんだぞ!!俺がいなかったらお前はスフィンクスでプラス30ポンド払わないといけない!!日本人はリスペクトを持った国民だろう!?」
「あれ?スタンプを捺すから歩いてるんだろ?これが仕事ならなんで親切とか言うんだよ。スフィンクスは無料だぞ?なぁ?なぁ?ガイド、なぁ?」
「あ!!!ほら!!あれを見ろ!!あそこの日本人!!エジプト人と一緒に歩いてるだろ!!ああやって一緒に回らないといけないんだよ!!」
「あんな大学生みたいなガキを騙して、後から法外なチップを請求するんだろ。言っとくけどお前にやるチップなんてないからな。」
「ほんの少しでよいのです。」
態度の変わり方(´Д` )
「ほんの少し、それでいいです。」
「だから金ねーって。お前、仕事なんだろ?早く仕事しろよ。」
「チャイナチャイナ~~!!ベロベロベロベロ~~~!!アチョ~!!カンナムスタイル~~!!!」
ベロを出して、バカにするだけして逃げて行った。
知能低すぎ(´Д` )
さすがは世界三大ウザい国。
その称号に恥じないウザさっぷりだ。
やっと1人になって、ゆっくり見て回った。
3つのピラミッドとスフィンクス。
たくさんの観光客。
あのピラミッドだ。
世界一の遺跡。
4500年前に作られた奇跡の建造物。
詳しく調べて書きたいけど………
もういいや。
人ごみを離れ、奥の砂漠に行き、石に座ってぼんやりピラミッドを眺めた。
広大な砂漠。
吹き付ける風が砂を舞わせる。
ピラミッドを目の前にしてるという事実が、ふと頭を打つ。信じられないよな。
ピラミッドって架空のものじゃなくて、この地球上に本当にあるものなんだぜ。
4500年の間にどれほどの人間が生まれては死んでいったことか。
人間なんてすぐに死ぬ。
思想も記憶も跡形もなく消える。
やりたいことやんなきゃ。
ピラミッドの内部は、ひたすら階段がのびていて、中心部分にある小部屋に行くことができます。
100ポンドの価値があるかどうかは怪しいけど。
まぁトゥームレイダー的な冒険心は味わえます。
まぁピラミッドはこんなとこ。
ウザいのも含めて楽しめたら最高やね。
宿に戻ると、沈没組の長老がシェア飯を作っていた。
忙しそうに玉ねぎを切ってる。
他のみんなは談話室で漫画読んだりインターネットしたり。
おいおい、これでいいのかな。
この長老は1人で食材を買い出しして、1人で料理している。
なのにいつも食材代しか請求していない。
こんなに大変なことしてるのに。
シェア飯って言うんなら、金だけじゃなく労力もシェアしないとな。
「なんか手伝えることありますか?」
「お、ちょうどよかった。ご飯ついでもらえる?」
長老の旅の知識はハンパじゃない。
なので彼が会話に割り込んできたら、もうすごいですね、と言うしかなくなる。
でも彼はもちろん悪い人ではない。
こうやって無償でみんなにご飯作ったり、会話を広げようと努力するのは、彼が昔ながらの旅人だからなのかもしれない。
どこの宿に行っても聞く話だけど、昔の安宿ってやつは24時間笑い声が絶えず、歌を歌い、様々な情報が飛び交っていたそう。
しかし現在はといえば、インターネットの普及で、談話室ではみんなパソコンや携帯を触っていて、会話がほとんどない。
旅情報だって、昔は宿にある情報ノートが大活躍だったのに、今はインターネットとガイドブックがあるから、もはや誰もそんなアナログなものに書き込みなんかしない。
長老や沈没組の、え?そんなことも知らないの?的な自慢げな話し方は、今のインターネット旅をしている世代には煙たいものがあるかもしれない。
しかし、その垣根を越えて、突っ込んだコミュニケーションをすることが、世界一周っていうジャンルを、日本人宿ってやつを、目一杯体感する方法なのかもな。
長老、親子丼サイコーでした!!