3月4日 月曜日
【エジプト】 ダハブ
ダハブは風が強い。
なので紙幣が飛んでいかないようにしないといけないので、深い容器をお金入れに選んだ。
中に石をいくつか入れて、これでバッチリ。
ギターを持ってサンレストランを降りた。
久しぶりの路上。
気づけば10日も歌ってなかった。
こんなに長いこと路上を休んだの初めてだな。
風邪ってのもあったけど、もう充分すぎるほど休んだ。
いつもの戦いの中に戻らないと。
しかしダハブってあんまりいい場所がないんだよな。
海岸通りはどこまでもカフェやレストランが軒を連ねており、客引きやコジキの物売りがウロついておりやりにくい。
お店から音楽が流れ出ているから音が混ざる。
さらにうるさいのが、波の音。
ザバーン、ザバーン、と風が強いダハブは波も強い。
しかし何より問題なのは、人が歩いていないということ。
通りがガラガラ。
みんなが口を揃えて、政変のせい、政変がなかったら、と言う。
エジプトの政変についてはカイロに着いてから現地を見て書くことにしよう。
そんなダハブ、夕方になれば人出も増えるだろうと、通りに腰かけて海を見ながら曲作りをした。
17時をすぎても人通りは変わらない。
しょうがなくギターを構えた。
誰もいない。
たまにエジプト人の子供が驚いた顔で近づいてくるだけ。
波の崩れる音にあわせてギターを鳴らした。
風邪でぶっ潰れていた喉は………
よし、なんとか歌えるレベルまでは回復してるようだ。
しかし………
人が通らない(´Д` )
土産物屋の兄ちゃんたちが遠巻きに見ているだけ。
あいつは何を海に向かって一生懸命歌ってるんだ?アホか?みたいな状態。
アホでもいいさ。
久しぶりに歌えて気持ちいいんだから。
数人が座って聴いてくれ、お金もちょくちょく入ってきた。
この調子なら100ポンドくらいいけるかな?というところに、ディープブルーに泊まっているマサヤ君とナナコちゃんが、それぞれの楽器を持ってやってきた。
「楽しそー!!一緒にやろー!!」
海岸の前、地面に3人で座り込み、音を鳴らした。
優しくロマンチックなマサヤ君のサックス、
ツボを押さえながらも奔放で遊び心たっぷりなナナコちゃんのバイオリン、
そして俺のギターと歌。
波の音と夜風に乗って、とても優しく通りに響いた。
めちゃくちゃ気持ちいい。
さすがは百戦錬磨のパフォーマー。
気持ちよく歌わせてくれるなぁ。
すでに日は落ち、通りに夜がおとずれたころ、1人のエジプト人が声をかけてきた。
マサヤ君とナナコちゃんは顔見知りのよう。
「こんなとこでやってないでウチでやればいいじゃないか。いつでもウェルカムだぜ。」
どうやらこの人が、この間俺が風邪でライブしに行けなかったクラブ、ラッシュのオーナーみたい。
思わぬ展開になったぞ。
いったん宿に戻り準備をし、20時にラッシュへ向かった。
お店のゲートをくぐると、そこは中庭になっており、解放的な空間にバーカウンターとテーブルが並んでおり、その中央に小さなステージがあった。
早速セッティング。
3人でやればいいのかな、と思っていたら、次から次へと新しいミュージシャンがやってきて、結局6人編成。
赤や青のサイケな照明が光るステージで、DJと、レゲエ好きのギター弾きが音を刻んでいきそれを追いかけるジャムが始まった。
サックスとバイオリンでついていく2人。
しかし俺のアコギはピックアップがついていないので音が聞こえず何も出来ず。
ステージを降りてビールを飲みながら観にきてくれた日本人たちとお喋り。
しかし指加えて見てるだけなんてわけにはいかない。
ジャムの合間にしっかり歌わせてもらった。
やっぱりボブマーリーはウケるな。
いい曲だし。
もちろん日本語の歌も!!
ダハブで思いっきり上を向いて歩こうを歌った。
ここはアフリカ。
常夏のリゾート地、怪しげなナイトクラブ、ビール、煙をくゆらせる人々。
誰もを虜にする麻薬のような町、ダハブ。