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安息日とジャンキー

2月15日 金曜日
【イスラエル】 エルサレム






朝から大きな物音で目を覚ました。

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この林のすぐ横にゴミの集荷場があって、そこの作業が始まっていた。

作業員たちがこちらに手を振ってくる。



今夜もここに戻ってくるので食材や鍋をコンパクトにまとめて、いざ出発。









エルサレムは新市街のところまでしか行ってなかったんだけど、カオルさんの話ではそこからさらに歩いたところに市場があるということでそこまで歩いてみた。


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朝のオールドシティーはまだ静か。

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トラムストリートはどこまでも賑やかで、金曜日の午前はたくさんの人々が通りを埋め尽くしている。



そして市場に到着。

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こりゃいい。
野菜や肉、スパイス、服、なんでもかんでも。
テルアビブの市場を上回る大混雑で人々が買い物袋を抱えて歩いている。

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銃を抱えた兵隊さんも、超正統派のユダヤ教徒さんも、みんなお買い物。

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毎晩のキャンプクッキングが美味しすぎて、食材を買いこむのが楽しい!!

しかも色とりどりの野菜が格安で買えるんだもん。
テンションが上がる!!!











ひととおり食材を揃えたところで、さぁ仕事だ。

市場の入り口の横で路上開始。


紙コップをシャカシャカ鳴らして金をせびっている物乞いがそれぞれいいポジションに陣取っている。

まぁそんなのお構いなしにギターを鳴らす。



反応も上々。
たくさんの人が声をかけてくれるんだけど、やっぱり超正統派の人は止まってくれない。
話したい!!

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正統派の人はノリノリだけどね。

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いやー、このエルサレム。
どこでだって路上パフォーマンスしていいし、やる場所もいくらでもある。

キャンプしてても何も言われないし、むしろ、お!楽しそうだな!!ってウェルカムだし、火を焚くのもそこらじゅうでやってるので気にしなくていい。


テルアビブに比べるとエルサレムは少し寒いけど、それでも寝袋だけで充分眠れる気温。



なんて住みやすい街なんだ!!
しかも宗教の聖地っていう土地柄も魅力的すぎる!!

旅人には最高の街だよ。










2時間ほど歌い、そこから新市街に移動。

通りには人が溢れており、路上ミュージシャンもわんさか。

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しかし、みんな本気じゃないんだよな。
高校生たちがたむろして練習がてらやってるような感じ。
ギターを抱えてろくに弾かずにお金くれよー!!って言ってくる。

せびらないで歌えよ、って言うと、チッ!と他の奴に声をかけてる。


そんな場所で、カオルさんはパームウィービング開始。



俺も離れたところでギターを鳴らした。

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しかし、少しして不思議な現象が起きた。

さっきまであんなに人が溢れていた通りが、いきなりガラッガラになった。

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なんだ?
人がまったくいなくなった。
お店もすべて閉まってしまったぞ。



「あー、忘れてた。今日金曜日だ。シャバットだよ。安息日。ユダヤ教のホリデイなんだよ。」




こ、これがユダヤ教の安息日か。

マジで人が通りから消えてしまった。
ホントにゴーストタウン。


金曜日の午後から明日の夕方までがシャバットの時間で、この時間帯にはすべての仕事を休まないといけないという。


休まないとダメなのだ。


さらに一切の機械に触れることも許されないそうで、車の運転はもちろん、携帯電話、家の電気のスイッチ、料理もダメなんだという。


そうか、だからさっきの市場でみんな必死に買い物してたんだ。

ユダヤ教のお母さんたちはみんなシャバットまでに家族2日分の料理を作り置きしなければいけないんだ。


それにしてもすごい。

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カオルさんの話では、テルアビブではここまで完璧に街の機能は停止せず、カフェもレストランも開いてるお店は多かったそう。

さすが聖地エルサレム。
信仰の度合いが半端じゃないんだな。





もうこうなってしまったらお手上げ。
路上は終了。
あがりは177シェケル。










静まり返ったユダヤ地区を抜けてアラブ人地区に入ると、そこはいつもの汚い喧騒で賑わっていた。
もちろん彼らはユダヤ教じゃないのでシャバットなんて関係なし。

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むしろ、彼らにとっては商売のライバルが店を閉めるので今こそ稼ぎ時といった様相で、様々な露店がオールドシティー沿いに溢れていた。


なんて街だ。
わずか数分歩いただけで、こんなにも街の表情が様変わりするなんて!!


それが宗教の戒律によるものだなんて信じられない。

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これがエルサレム。
敵同士であるはずの人種が壁のない街でフラストレーションを胸に隠して同居している。

日本にあるチャイナタウン、どころの話じゃないよ。



そしてそんな街で2人の日本人がバスキングをしてるって状況もまたおかしい。










キャンプ場所に戻り、のんびりとご飯の準備をしていると、カオルさんが声をあげた。

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「あ!!鍋がない!!アルミの鍋もない!!やられたー!!」



朝、ここに置いていた鍋がなくなっていた。
カオルさんが愛用していたボロボロの鍋。

あれをとるか?あんな持ち手のグラついた黒ずんだ鍋を。
しかもアルミの鍋まで。


あれをとるってどんだけ貧乏なんだよ?


しかしジャガイモとかの野菜は手をつけられてなかった。


「やっぱりアラブ人地区だからいるんだよ、とる奴。荷物置いて動かなくてよかったね。まぁ仕方ないか。」



しょうがなく新しい鍋を買いに行き、アラブ人地区で20シェケルでフライパンをゲット。
4ユーロ。安い。

しかし4ユーロで新品が買えるのにあのボロいのを持っていくんだからなぁ。










気を取り直して、今日は俺がご飯を作った。

野菜炒め!!!

シンプルイズベスト!!


オリーブオイル、野菜と鳥胸肉を塩で味付け。

炎に木をくべて、ジュウジュウと炒める。

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火加減が難しい!!



手を燃やしそうになりながら完成!!!





「うおっ!!めちゃくちゃテイストグッドだよ!!すげえー!!日本の食堂の味がする!!!」


「うめえええええ!!!!!!なんだこれええ!!!」



カオルさんが作ったイモと豆の炊き込みご飯もマジ顎が砕けるくらい美味い。


キャンプって最高おおおおおお!!!!
この味を知ってしまったらもう病みつきだよ。
これから色んなところでやりたい!!







しかしこの後、ちょいとめんどくさいことが。


最高の気分で安ワインを飲んで2人話しているところに、おっさんがやってきた。

フラフラとした足取りで、目がとろーんと座っている。
どっからどう見てもジャンキー。


俺たちの間にどかっと座り、アラビア語でブツブツ何か言っている。


話しかけても的を得ない返事でヘラヘラ笑っている。


するとおっさんは口からガムみたいなのを出して見せてきた。


ハシシかな。
そいつを噛んでラリっているようだ。




焚き火の明かりがイかれたおっさんの顔と迷惑そうはカオルさんの顔を浮かびあがらせる。





早くどっか行ってくれねーかな、と思っていたら、ドンドンおっさんの態度がエスカレートしだし、俺のワインを飲んだり、食材をいじり始めた。


「ちょっと、やめてください。」


「シャラップ……ファッキンジャパニーズ………ファッキンジューイッシュ………ファッキンコラーン………」






もういい加減うんざりしていると、おっさん、今度はいきなり慌て始めた。

足元をライターで照らして一生懸命なにかを探している。


ひたすら。

ただひたすら。焦りながら。


枯れ草をかき分け、石をめくり、木の幹を動かして、地面に顔を近づけている。



完全にイかれてる。

もうこいつは気が済むまでここで何かを探し続けるだろう。







真っ暗な林の中、焚き火の明かりが浮かび上がらせる。

地面を這うように何かを探しているジャンキーのアラブ人と、2人のアジア人を。


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