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エルサレムやっぱすげえ

2月11日 月曜日
【イスラエル】 エルサレム







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悪夢から一夜。


明るくなってきたころに、ようやく睡魔が襲ってきて、ランニングをする人たちを横目にようやく眠りについた。

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しかし、すぐに清掃員の人たちのやかましい声で目を覚ました。


「おはよう!!寒くなかったない!?あ、紅茶飲む?」




え?トルコ?
紅茶は友好の印!!いただきます!!



「はい、2シュケルね。」








………てめー!!金とんのかコノヤロウ!!
仕方なく50円を払って朝の紅茶。

美味しい。悪夢を忘れさせてくれる砂糖の甘さ。

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さあ、気を取り直してイスラエル攻略開始だ。

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エルサレムの観光といえばなんと言っても、キリスト教、イスラム教、そしてユダヤ教という、地球上に覇権を争う大宗教3つの聖地が隣同士に存在するというオールドシティーだ。




幾多の映画や、本、史料でこの街のことを見てきたかわからない。


キリストが十字架を担がされて歩いて磔の刑に処された場所だよ?

キリストの汗をふいた人がいた街だよ?


映画で観た、あの紀元前の街。

レッツゴーだ。

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門をくぐると、石畳の街並みが広がった。
低い建物はどれも古く、色あせており、すべての石が肌色で、乾いた色調に歴史を感じさせられる。

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その建物の隙間を縫うように、無数の小径が蜘蛛の巣状に張り巡らされている。

どこまでも連なる土産物屋さんや、小さなカフェ、軽食屋さん。

こりゃあ雰囲気あるな。

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そんな小径のいたるところに教会やモスクが点在している。
こっちを見れば教会、その隣にモスクってな具合。

さすが宗教のデパート、エルサレム。

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もちろんこのオールドシティーは宗教施設と観光客のためだけの街ではない。

当たり前に人がたくさん住んでいて、学校もたくさんある。



そして面白いのが、この四角形をしたオールドシティーの内部は、完璧に4つのパートに分かれているということ。


アメリカンクオーター
イスラムクオーター
クリスチャンクオーター
ユダヤクオーター




クリスチャンクオーターには白人の上品そうな人々が歩いていて、そこからイスラムクオーターに入るといきなりみんなアラブ人に変わる。
アラブ地域はヨルダンと同じくとても汚い。

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さらに歩いてユダヤクオーターに入ると、また一気に様変わり。
街が綺麗になり、オシャレなファストフード屋さんが並び、学校帰りの子供たちが元気に駆け回っている。
服装はもちろんユダヤ教のもの。



子供も大人も頭にキッパを乗せており、みんなもみあげだけが異常に長い髪型。
あの全身黒ずくめのシルクハットをかぶったチャップリンもたくさん歩いている。

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この外壁に囲われた狭いエリアの中に、たくさんの宗教が肩を寄せている。

さらにそれを熱烈に信じるエリート信者さんたちが歩いて数分の場所に住んでいるってわけだ。


一見鍋の中のスープのようだが、実は水と油のように相入れない存在であることは歴史が証明しているところだけど、そんな相入れない宗教たちがこんな狭いエリアに固まっていることが不思議でしょうがない。


なんて凄まじい場所なんだ。










今日はそんな旧市街の中にある3つの宗教、それぞれの聖地に行ってみた。



まずはユダヤ教の聖地、嘆きの壁。



かつて古代、ユダヤ人たちがこのパレスチナの地にすんでいた時代、紀元前20年に彼らが作ったエルサレム神殿。

東ローマ帝国の侵攻により神殿は破壊されたのだが、その城壁の一部が現在も残っており、ユダヤ人たちの祈りの場となっている。




嘆きの壁への入り口には警察のゲートがあり、厳重な荷物チェックが行われている。
その警備の徹底ぶりに、敵の多い存在なんだと再認識。

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ゲートを抜けると広場に出る。
そこにはたくさんのユダヤ人たちがいた。
あの黒ずくめのチャップリンたちが無数に。

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そそり立つ石壁に向かい合い、体を揺らしながらブツブツと何かを唱え、そして壁に口づけをしている。

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たくさんの祈りを捧げるユダヤ人たちがいるが、それよりも観光客のほうが多い。


観光客たちは、みんな配られているキッパを頭に乗せて写真を撮っている。
ユダヤ人たちはそれに関心を示すことなく、一心に壁に何かを唱えていた。

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奥の建物の方に入ってみると、そこにはさらにたくさんの黒ずくめの人々がいた。

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さて、この黒ずくめのチャップリンたちは一体何者なのか。



ユダヤ教徒には3種類の信者がいるといわれている。


超正統派

正統派

世俗派



頭にキッパを乗せているが私服姿の人たちを正統派。
キッパも乗せず、比較的自由な信仰を持つ人たちを世俗派という。


そしてあの黒ずくめの人々が超正統派ってわけだ。



真っ黒なスーツにコート、シルクハット、もみあげを伸ばし、腰から紐をプラプラと垂らしている。



彼らは仕事をせず、祈りだけの日々に明け暮れており、生活は政府からの援助で賄われている。


熱烈な信者に対して政府が金を出して保護するというところにユダヤ人のコミュニティの強さを見るようだ。




そんな超正統派の人々は、他にも腕に革のベルトを巻きつけていたり、頭に小さな箱を乗せていたり、突っ込みどころ満載なんだけど、その辺りはこれから地元の人と話しながら勉強していくとしよう。



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壁に向かい、ひたすらに祈り続けるその姿。
一体何を祈っているのか。


神ヤハウェへの忠誠?
民族の悲劇?


宗教について深く考えずにはいられない空間だった。

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そして、その壁の中にあるのが金色の屋根を持つイスラムの聖地、ロックモスク。

ムハンマドが昇天した、という場所らしい。
彼が生前、15本の金の釘を打ち込んだといわれ、すべての釘がなくなった時、世界は元のカオスな状態に戻ってしまうと言われている。

現在は3本がモスクに残っているそうな。
こいつは見たい!!





モスクのある公園内に入るには、これまた厳重な荷物チェックのゲートをくぐらないといけない。

かなり厳しい。
バッグの中までグシャグシャに手を突っ込まれる。



そしてようやく、公園内へ。
これがロックモスク。

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美しいモザイクが日を浴びて光っていた。



しかし、モスクの中に入ることが出来るのはムスリムの人たちだけ。
さらに公園内も12時30分~13時30分という限られた時間しか見学することはできない。

ちょっとだけでも見せてもらえませんか?とお願いするが、ノー!!と門前払い&公園からつまみ出されてしまった。


この地域はオールドシティーの中でも、かなりセンシティブな場所のようだ。
実際に1929年にはアラブ人とユダヤ人が嘆きの壁をめぐって武力衝突を起こしている。











最後がキリスト教の聖地、聖墳墓教会。

十字架を背負わされたイエスが群衆の中を歩き、倒れこみ、鞭打たれながら坂を登らされる、そんな映像は映画なんかで何度も見てきた。


その同じ道を歩いた。

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うわー、なんて神聖な場所なんだ!!



そしてバッグがゲロ重い!!!



あぁ………めんどくさい………

なんでこんな狭くてガタガタした坂を大荷物かついで登らなきゃいけないんだ………



と思ったけど、イエスはここを十字架背負わされて登ったんだから、俺も登らなきゃと自分に言い聞かせました。



話が狭ぇ(´Д` )






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聖墳墓教会の中には、イエスの死んだ場所、そしてイエスの墓があった。


す、すげぇ。
あのイエスの墓だと………
神聖にもほどがあるぞ………

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ヨーロッパからの上品そうな白人観光客たちが、地面にひざまづき、何度も何度もキスをしていた。

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宗教心の薄い日本人にとってはあまりにも衝撃的な光景なのだが、この宗教のデパートの中では、この濃密な信心がとても自然に感じられるから不思議だ。



ただただ、人間の心の深淵さにまどろむばかり。











オールドシティーは1日で見て回るにはあまりにもったいないので、今日はこのくらいにして、新市街のほうに歌いに行った。



綺麗なトラムが走る新市街のメインストリートはたくさんの人々で溢れている。

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脇にはたくさんの路地が伸びおり、オシャレなお店がたくさん並んでいる。


うーん、イスラエル、先進国。





マクドナルドもあるショッピングストリートには、たくさんの路上パフォーマーが演奏をしていた。


ギターを数本持ってガチャガチャやってる高校生みたいなのもいれば、年季の入った竪琴とかを弾いてる人もいる。

そんな人たちが1本の通りにマジで10mおきくらいでやってるもんだから、音が混ざりあってわけわからんことになってる。



博多か?

一時期の博多駅か?

あの頃、本当博多駅すごかったなぁ。





あまりにもやかましいので、ちょっと離れた場所で路上開始。


やってる奴がたくさんいるということは、路上パフォーマンスが禁止されていないということ。

張り切って歌いまくった。



キッパを頭に乗せた人、クリスチャン、ムスリム、ユダヤ人の超正統派の人も、みんなお金を入れてくれる。


さらには巨大な銃を抱えた兵隊さんまでもがお金を入れてくれた。

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宗教は人の心を救うためのもの。

人生の苦しみを和らげるためのもの。

途方もない、たどり着くことが出来ない深淵な問いに光をさしてくれる存在。




しかし、たかがそんな教えのために人々は殺し合いをする。

それ程までに心の拠り所にしているわけだ。


日本人にはわからない。到底。


旅をしていると、仏教についての質問をよくされるので、自分の信心について考えるいい機会になるのだけど、そのたびに日本人は信心が薄いなぁと感じる。


制限があまりにも少ないからね。



ムスリムもユダヤもクリスチャンも、彼らの信仰は生活の一部であり、また生活の根幹をなしている。

信仰を否定されることは、人生を、そして家族を、民族を、国を否定されることになる。

そして争いの火種になる。


日本人が宗教を否定するか?
そこまでの関心さえない。
されたとしても怒ることもない。




でも今、こうして様々な宗教を見て、たくさんの人たちの信仰心を目の当たりにして、日本人との心のありようの違いを確認すると、やはり日本人の心には仏教の教えがしっかりと根付いていることも感じる。
国民性は宗教によって育まれている。


穏やかで、尊厳と尊敬と重んじながらも個人の魂を第一に考え、他の考えを受け入れられる。


そんな仏教、そんな日本人の国民性に改めて誇りを感じるエルサレム。

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今夜はそんなオールドシティーの外壁沿いにある林の中で、テント泊。

あがりは129シュケル。



明日はオールドシティーの中で歌うぞ。

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