2月2日 土曜日
【ヨルダン】 アンマーン
今日も早速路上へ。
イスラムの国ではお祈りの時間になると町中にあるモスクからお知らせの歌が流れる。
これをアザーンといいます。
呪文のような不思議な歌に町が包まれます。
これが鳴ってる間はレストランのカフェも、すべてのお店が音楽を切ります。
もちろん路上でもアザーンが流れたら歌を止めます。
トルコでは8時、12時、15時、17時、18時半に流れていたんだけど、ヨルダンに入って時間が変わった。
かなりランダムに流れるので気をつけていないと気付かないで怒られてしまう。
今日もアザーンに注意しながら歌う。
今日はなかなか調子が良かった。
人だかりは相変わらずバカみたいに目の前まで近寄って来るけど、お金もそこそこ入る。
久しぶりに太陽が出て天気もいいし、こりゃ30ジュディーまで持っていけるかな?と思っていたら………
お決まりの警察ですね。
どこの国でも、荒稼ぎの様子になってくると止めが入ります。
やっぱり外国人が路上で荒稼ぎをするのは風紀上よくないんだろうな?
ここでは、ほとんどの警察が見て見ぬふりをしてくれてたんだけど、今日のシークレットエージェンシーの人には違法だからと止められてしまった。
まぁ少しはお金も溜まったから良しとするかなと思っていたら、ここではダメだけど近くにレインボーストリートという通りがあるから、そこでやるといいよと教えてくれた。
あがりは15ジュディー。
早速、そのレインボーストリートとやらに向かう。
道はもちろんわからないけど、そこら辺の人に道を聞きまくりながら、坂をのぼっていく。
きつい坂の途中、建物の間の散乱するゴミを見る。
ものすごい汚い。
すべての建物の間がこんな感じ。
ゴミは投げ捨てていいものだと思っているようだね。
ちょいと写真を撮って、さぁレインボーストリートに行くか、と振り返ったその時、
目を疑った。
あれ?
ギターここに置いたよな………?
ひと気のない通りには車も走っていない。
あ、あれ?
10秒前に足元に置いていたギターがない………
あれ?宿に置いて来たっけ?
んなわけないよな………?
え??!!!
えええええええええええええええ?!!!!?!
ない!!!ない!!!
今ここに置いてたギターがない!!!
嘘!?やられた!?
足音どころか人の気配もまったくなかった!!
足から1mくらいしか離れてないところに置いてたのに!!!!
あああああああ!!!!!!??
嘘!?嘘だろ!!??
ギターが!!ハーモニカが!!譜面が!!!
全部やられた!!!
うわああああ!!!!
と無様に声をあげながら周りを見渡すが誰もいない。
建物のお店の人もなんだ?みたいな顔で焦りまくってる俺を見ている。
終わった………
死んだ………
どうしよう。ギターなくなっちまった。どうやって生きていこう!!
ああああああああ!!!!!!
すると車の影からオッさんがニヤニヤしながらギター抱えて出てきた。
…………………
…………てめえええええええ!!!マジでそのターバン引き破るぞおらあああ!!!
洒落になってねぇんだよボケ!!!
「ヨルダンは安全な国だから盗みなんて起きないから大丈夫。ニヤリ。」
なにがニヤリだ?
その鼻ヒゲむしりとってデコに移植するぞ?
しかし、まったく気づかなかった………
足元に置いていたのに、10秒で消えてしまうなんて。
これが人ごみの中ならまだわかるけど、ほとんど誰も歩いていない静かな通りでやられてんだもん。
このクオリティでやられたらマジで気づかない。
いたずらで済んでよかった。
ホント気をつけよう。いい勉強させてもらった。
ターバン破り捨てるぞ!!?
焦りまくりのひと騒動を終えて、さらに坂を登っていくと、レインボーストリートに到着。
このゴミだめみたいな街の中に、いきなり小綺麗な通りが現れた。
ゴミが少なく、道も綺麗。
並んでるお店はオシャレなカフェやレストラン、ブティックなど。
そして歩いてる人もイスラム教徒!!って感じではなく、ヨーロッパ的なモダンなファッションだ。
へー、こんなとこもあるんだ。
坂の上だから景色も綺麗。
早速路上開始。
うん、みんな上品。
山の手のお金持ちの地区って雰囲気で、ダウンタウンの下品な連中みたいに近寄ってこず、ちゃんと距離をとって歌を聴いてくれ、演奏が終わってから話しかけてくれる。
そしてダウンタウンと違ってみんな英語が喋れる!!
きちんと教育を受けられてるってことなんだろなぁ。
もちろんお金の入りもいい。
そこにおじさんが話しかけてきた。
向こうでファストフード屋をやってるんだけど、店の前で歌ってくれとのこと。
もちろんいいですよと、移動。
彼のお店はオシャレなサンドイッチ屋さん。
隣にはホットドッグ屋さんがあり、姉妹店みたい。
オシャレな雰囲気で、地元の若者たちのたまり場みたいな感じだ。
そんなお店の前で歌う。
やってくる人たちが注文を待つ間歌を聴いてくれ、お金を入れてくれる。
周りにはサンドイッチを食べながら聴いてくれる若者たちや家族連れたち。
そして歌につられてやってくる人たちが、食べて行こうかとお店に入る。
いい相乗効果。
持ちつ持たれつ!!
たくさんの地元の人たちと話し、色んな情報をゲットした。
エジプトに入ってすぐのところに、世界中から音楽をやってるやつが集まる面白い場所があるみたい。
よし、必ず行こう。
「ガイドブックに書いてる通りに旅して何が面白いんだよ!!俺たちはここに住んでいる。俺たちから聞かないとダメさ!!」
ナイスな情報ありがとうラムジー。
このファストフード屋さん、Wi-Fiもあるし、食べ物も飲み物も無料にしてもらったし、最後にギャラまでいただいた。
土曜の夜ということで通りにはたくさんの人が歩いていて、あがりも上々だったので、あわせて30.7ジュディーにもなった。
お昼と合計で45ジュディー。
よし!!!
お店の人たちにも喜んでもらえ、ここは君専用の場所だからいつでも来ていいからね、と言ってくれた。
またあさってに戻ってきますと約束して宿に戻った。
宿に戻る道。
綺麗な通りから、坂を下るにつれドンドン汚くなっていく。
お土産屋通りは今夜もきらびやかだ。
宿には今日も新しい顔ぶれ。
もちろんみんな日本人。
毎日毎日、宿の下にタクシーを乗りつけてやってくる日本人たち。
複数で。
彼らももともとは1人で出てきてるバッグパッカーなんだけど、こうやって宿に到着しては新しい友達を作って一緒に動いている。
もちろん片手に世界の歩き方を持って。
ガイドブックが悪いとは言わない。
それがあればどれだけ無駄を省けることか。
航空券とかをすでに取ってしまっている予定の決まった旅では遅れることが出来ないので必需品といえるだろうけど、そうじゃないのであればガイドブックに頼るなんてつまらないだけ。
現地の情報なんて現地でいくらでも簡単に手に入るんだから。
そしてそうやって見つけたものや出会ったものは、感動の大きさが違う。
見知らぬ国の、見知らぬ人々。そんな彼らの生活を垣間見て、そこに自分の人生を重ねる。
これこそが旅の大きな楽しみのひとつ。
ガイドブックはそんな地元の人々との間にそそり立つ壁。
改めてそう思う日本人宿での夜。