2月1日金曜日
【ヨルダン】 アンマーン
「金丸さんですか?今ブログ村1位の金丸さんですよね?すごい!!いやー、ギターとブーツが部屋にあったからまさかと思ったんですよ!!」
だいたい旅人なんてのは孤独が好きなくせに自己顕示欲の塊みたいなやつで、自分のやってる旅が1番すごい、自分の旅が1番苦労してる、って思ってるもん。
旅人に会うとそんな苦労自慢や、どれだけすごいことをしてきたかっていう話を聞かされます。
ブログなんてその顕著な例ですね。
僕はそんな奴にはなりたくないので、気持ちいいいいいいいいい!!!!!1位の金丸さんって響きが勃起レベルううううううううう!!!!!!!!
さて、下品な話はやめましょう。
品行方正のイスラム国、ヨルダンですからね。
ここは日本人宿です。
今までさんざん日本人同志でたむろするのを冷めた目で見てきましたが、ついに来てしまいました。
ライクアローリングストーンを発表したディランみたいですね。
この裏切り者!!って声が聞こえて来そうです。
なので僕もディランを見習ってアンプの音量を最大にしてブーイングを煽りたいと思います。
嘘です。
そんなことしません。
まぁ、安いですもん。
金の節約のために野宿していますからね。
420円で泊まれるならわざわざ野宿する必要はない。
まぁせっかく日本人宿に来ましたからね。
女の子バックパッカーを酔わせて俺のカッパドキアをぶち込んでやろうかと思………
うげ!!酒高え!!!
なに?!
スーパーの500mlのビールが4.1ユーロ!?
バカじゃないの!?
日本よりはるかに高え!!
さすがは本気のイスラム国………
こりゃ大きな楽しみのひとつであるビールもしばらくオアズケだな………
あぁ、俺のカッパドキアを女の子バックパッカーの地下都市にインディージョーンズさせる計画が………
下品な話はやめましょうね。
禁欲の国、ヨルダンですから。
じゃ、じゃあ!!酒がダメなら!?
よし!!楽しいトークで!!楽しいトークで落としてしまえばいいじゃんか!!
ユーモラスなトークからの巧みな導入で王様ゲームに持ちこんで最初は腕立て伏せとかマジでどうでもいい命令から始めてカッパドキアを………
「えー?地元どこっすか?」
「あ、僕横浜なんすよー。東京どこですか?」
ハォハァハァ
怖え………
日本語の会話が怖え………
こんなネイティブな日本語聞くの久しぶりすぎてなに話していいか全然わからねぇ………
「いやー、でも実際、花山薫の握撃ってマジやばくね?」
って誰にでもわかるバキネタでスムーズに馴染もうと思いましたが、やっぱりここはジョジョかな……と考える間に悲しくなってきたので歌いに行きました。
歌おうよ、文武。
外は相変わらずけたたましいクラクションの嵐なのだが、通りのお店はほとんど閉まっている。
そういえば金曜日ってイスラムの休日だ、って聞いたことあったな。
それにしても汚ねぇなぁ………
これ朝昼ごはん。
2.5ジュディー。2.6ユーロ。
かろうじて雨は止んでおり、閉まっているお店の軒下に陣取ってギターを構える。
構えるだけですでに人だかり。
頭の悪そうなやつらが横から手を伸ばしてギターをポロンポロン鳴らしてくる。
勝手に譜面をめくりやがる。
ひたすらアラビア語で話しかけてくる。
頼むからおとなしく聞いてくれ!!
そんな中、気合いで歌う。
宿で少し話して仲良くなった日本人たちも見にきてくれた。
数十人の人だかりなのだが、お金を入れてくれるのはまばら。
チャラチャラと小銭が地面に置いた帽子の中に入るが、あまりにも少額すぎる。
ヨルダンの目玉、ペトラ遺跡の入場料は50ジュディー以上するという話。
これじゃ稼ぐまでに何日かかるかなぁ。
それでも少しずつでも稼げてることには変わりない。
なんとかなるさ。
紛争だらけのこの中東の、貧しい人たちの中で、イマジンを歌った。
すると人だかりの中から汚いおっさんが出てきて、帽子にお金を入れてくれた。
こんな貧しいおじさんにイマジンのメッセージが響いたんだ。
ありがとう、と言った瞬間、おっさんは金を入れるのではなく、俺の帽子の中に手を突っ込んで小銭をガバッと握って歩いて行った。
うおっ!!
ちょ!!お、おい!!!
呆然とする俺。
振り向きもせず歩いていく汚いおっさん。
観衆はといえば、止めるのではなく大爆笑。
よし、イマジンしよう。
国境も宗教も、貧しさも怒りもない世の中を。
って出来るかコラァァァァァ!!!!!!!
イマジン歌ってる最中に金を盗まれるって、そんなよく出来たネタいらねぇぇぇぇ!!!!!
なめてんじゃねぇぞコラァァァァァ!!!!!!
そして観衆もみんな大爆笑してるだけで誰も止めない。
え?ムスリム?
結局雨が降ってきて終了。
あがりは11ジュディー。
あがり泥棒に遭ったのノルウエーぶりだな。
こりゃヨルダン稼げないぞ。
早いとこ物価の高いイスラエルに行って向こうで稼いだほうが賢明だな。
そんなモヤモヤしてる時に、宿から聴きにきてくれてた日本人旅人のシオさんが面白いところに連れてってくれた。
大学生で卒業前の旅に来ているユウキ君と3人で向かう。
あ、つるんじゃってる。
やってきたのは露店の市場。
毎週火曜と金曜だったかな?
中心部から15分くらい歩いた広場に市が立ち、たくさんの人で賑わっていた。
衣料品から野菜からオモチャとか、ガラクタみたいな物がもうごっちゃごちゃに売られている。
このスタイルのいいシオさんが履いてるカッコいいスウェードの皮パン。
これいくらだと思う?
2ジュディー。
たったの2ユーロ。
信じランねぇ!!!!
新しいカッコいいズボンが欲しかった俺。
そんなに安いなら欲しい!!
かなり広い敷地にグチャグチャに入り乱れて露店が連なっているこのマーケット。
屋根なんかなくて、ビニールをかけてはいるんだけど、まぁほぼ役に立ってないです。
びしょ濡れ放置の服とかたくさんあります。
でも一見汚そうには見えるけど、売られている服はそこそこのクオリティ。
日本の古着屋でも見るようなものが、どれも2ジュディーや10ジュディーで売られている。
高くて1200円くらい。
ユウキ君が買った10ジュディーの革ジャン。
あー、こういうの買いつけて日本で高く売ったりするんだなぁ。
なかなか良いのがない中、めちゃ優しいシオさんがフミに似合うの見つけてあげるから!!と一生懸命探してくれて、すみずみまで見て回りついに発見。
これ。
スウェードの皮パン。
人がわんさかいる中でズボンを脱いで試着。
サイズ完璧。
シルエット完璧。
値段完璧。2ジュディー。2ユーロ。
即購入。
やったぜええええ!!!!!!
カッコいい!!!!!
シオさん、ありがとう!!!
よーし、皮パンなんてキメてワイルドになったところで宿に戻ってクールなトークから巧みに王様ゲームに持ち込んで肩を揉むなんてどうでもいいところから始めて俺のカッパドキアを…………
カッパドキアは虚しく雪に埋れたままでした。
いいもんね!!だって俺彼女いるし!!
日本人は旅先でそんな軽くチョメチョメとかしないよね!!
「みんな日本人宿で旅人同志ヤリまくってますよ。個室とかトイレとか。」
へー、ふーん、そうなんだー、みんなたむろして一緒に観光地回っておまけにチョメチョメまでしちゃうんだー。
ふーん。
羨ましい!!!
夜はシオさんがビールとウィスキーをおごってくれ、さらにもう1人の人がウォッカを買ってきてみんなで酒盛りしました。
この時期は大学生の卒業前旅行が多いようで、1~2ヶ月でババっと世界を飛び回る旅をしているバックパッカーがたくさん宿にきていた。
なので大学生4年生が多く、彼らは同年代同志で盛り上がっている。
俺たちは1年2年の長期バックパッカーグループ。
会社を辞めて出てきた彼らは、大学生の人たちに比べるとやはり考え方がしっかりしていて面白い。
そしてみんな地球の歩き方とかでしっかり予習をしているので、有益な情報がバンバン飛び交う。
こんなんでタバコは体に悪いですよって読ませようなんてそうはいかねぇぞ!!
ちなみにバイスロイが0.9ジュディーです。1ユーロ。
そしてこれ!!
これを目の当たりにした!!
「えー、明日ペトラですか?僕もなんですよー。一緒行きません?」
「あ、その後が死海なんですけど、行きましょうよ!!」
こうやって一緒に行動するのね。
確かに一緒に行ったほうがタクシーを頼んでも割り勘できるし、お互いの写真も撮りあえる。
強盗も狙いづらくなるだろうしね。
旅に出て日本人同志がつるむことは、海外出てまで結局寂しくてそうなっちゃうんだね、クソだね、みたいに思われてしまうけど、こうして日本人宿に滞在してみて横でそれを見ていると、まぁその気持ちもわからんではないかなと思った。
メリット大きいしね。
俺は絶対しないけどね。
まずタクシーに乗る意味がわからん。
バスあるのに。
あ、でもシオさん、ズボン見つけてくれてありがとう!!!
まぁでもそれなりに溶け込んでいます。
シオさんたち長期バックパッカーのみんなのしっかりした考え方や人生観は、同じ世界を旅する者として誇らしいものでした。
あぁ、酔っ払ったな。
こんなに日本語喋ってたら旅してること忘れてしまいそうになるよ。
まぁたまにはいいのかな。
んー………安くなきゃ来こないかな。
おやすみなさい。