12月28日 金曜日
【ブルガリア】カザンラク
~ 【トルコ】 エディルネ
ご想像の通り、二日酔いです。
でもゆうべのことを思うと気持ち良い二日酔いですね。
嘘です。二日酔いが気持ち良いわけありません。
最悪の気分です。
おはようございまぼおおおげえええええ!!!!!!
昨日と同じホステルの部屋で目を覚ましました。
やっぱりお金は払っていません。
ホステルを出てカフェに行くと、すでにたくさんの人たちがテラスでコーヒーやビールを飲みながら憩っていた。
「おはようフミ、体調はどう?」
疲れた様子のママ。俺は途中で抜けたんだけど、ゆうべあれから3時まで飲んでいたそうだ。
暖かいチキンスープがしみる。
ついに今夜トルコに入国する。
長かったヨーロッパ前編が終わり、アジア中東編に突入する。
長かった………
フィンランドに入った時はまだ7月だったんだよな………
あれからサンタさんに会い、北極圏を最果てまで旅し、フィヨルドの谷を巡り、東欧。
貧しい、危険、なんて言われながら、ほぼトラブルもなく野宿でやってこれた。
あ、オーバーステイなんかはあったけどね。
白人はみんな優しかったなぁ。
冷たい人ももちろんいたけど、基本は紳士で上品で、知的な人たちだったと思う。
半端ない数の出会いがあって、Facebookの友達もめちゃくちゃ増えた。
今や訪れた全ての国に友達がいる。
アルバニア以外!!
アジア中東。
これからはイスラム教圏。
貧しい貧しいと言っていた東欧とは比べものにならない貧しい地域に入って行く。
旅人の情報としては、白人よりもはるかに親切な人種だということなので、そんなに心配はしていないのだが、ただ、現在も紛争をしている地域であるということは頭に叩き込まないといけない。
流れ弾や流れ砲弾がいつ飛んでくるかわからない、とかマジキモい!!
さて、そんなヨーロッパとアジアの文化が合流する境にあるのがトルコという国。
聞くところに寄ると、入国の際に何かしらの税金を払わなければいけないという話を聞いている。
50ユーロという声もあれば、トランジット(経由)と言いはって20ユーロで入れる、なんて声もある。
いずれにせよ、今までの国々の入国とはわけが違うようだ。
というわけで、その入国税を稼ぐべく、今日も路上へ。
同じ場所でギターを鳴らす。
今日もやはりたくさんの人々が通りを埋め尽くしている。
歌っていると、いつもの少年がやってきた。
カザンラク初日の夜にレストランを教えてくれたあの少年だ。
あれから毎日、フミはまるで本の中のヒーローだ!!メールをくれていた彼。
こんな田舎の町で生きてきた16歳の少年には、世界を放浪して歩いているという旅人がとてつもない物語の中にいるように思えるんだろうな。
俺が16歳の時に、日向市でそんな旅をしてる白人に出会ったりしたらドキドキして色んな妄想を膨らましたことだろうな。
君も、君の物語を紡いでいくんだよ。
どんな人生にするかは、全て君の選択と情熱次第だ。
あがりは45レフ。
3日目ともなるとたくさんの人が声をかけてくれる。
ゆうべカフェにいたお客さんが、フミ!!と手を振っている。
そんな中で日本人にも出会った。
可愛い白人の女の子と一緒だった。
ブルガリア人の彼女を射止めたサムライ!!マナブ君!!
旅人ではなく、彼女に会うためにブルガリアに来ているところで、今年の年越しはこっちで、彼女のご家族と過ごすという。
おじいちゃんと一緒に豚を掻っ捌いたり、ヨーグルト作ったり、ラキア(蒸留酒)を作ったりと、毎日が新鮮な驚きの連続だという。
たいていの旅人は観光をして終わり。
俺は地元の人々の生活を体感しないと旅とは言えないと思っていないので、なるべく交流するようにしているんだけど、やっぱりここまで現地の暮らしを経験しなければ、その国を知ったことにはならないよな。
そんなマナブ君の着ていたセーターはおばあちゃんが編んでくれた手編みだった。
羨ましいなと思った。
でも俺だって負けてないもんね。
カフェに戻れば、ママとパパとイザベラが待ってくれていた。
今夜も一緒に晩ご飯。
豚の耳の炒め物。美味いいいい!!!
あ、ブルガリア語で耳ってウシ、っていうみたい。
豚のウシ、だって。
ぶーーー!!!ウケる。
え?そうでもない?
すみません。
ちなみに、おいくらですか?は、チンコという。
このチンコ、チンコ?
ぶーーーー!!!!
「これ着てみて。きっと似合うわ。」
ママが渡してきたものは、なんと、
手編みのセーターだった………
お婆さんが編んでくれた天然の羊の毛で編んだセーター。
マジかよ………
さっきいいなぁって思ったところだよ………
他にも風邪薬やサンドイッチ、水、大量のヨーグルト、花火、色んな物を持たせてくれる。
カザンラクは薔薇の谷と呼ばれている町で、6月には郊外一面に薔薇畑が広がる美しい町なんだけど、それにちなんだ薔薇の石鹸や香水ももらった。
「これはフミにではなく彼女にあげるんだからね、だからいつか彼女と戻ってくるのよ。」
とうとう時間が来てしまった。
パパの車に乗ってバスステーションへ。
もうこの頃には、彼らが俺にお金を要求するんじゃないかという猜疑心は霧散していた。
バス停の周りにはチラホラと人々がバスを待っていた。
荷物を降ろし、ハグをした。
元気でね、と笑顔を残し、ママたちはお店に戻って行った。
すごいあっさりだった。
もっと感動的な別れになるもんじゃないか?もっとドラマチックな。
しかし、このあっさりさが彼女たちの自然体の優しさを象徴しているようで、とても気持ちよかった。
でもやっぱり離れ難い感情は抑えられない。
こんな異国の地で、見ず知らずの違う人種の男をここまでお世話してくれる人がこの世にいることに、暖かな驚きを感じる。
やはり人間は同じだとじんわりと実感するよ。
ユイマールを次に回せる日はいつになるかな。
今年という1年が終わっていく。
この12月の終わりの深い夜に、トルコ行きのバスがやってきたよ。
ブルガリア
ヴァゴダリヤ ヴァゴダリヤ