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忘れ去られた田舎町のベンチ

12月17日 月曜日
【モンテネグロ】ポドゴリツァ
~ ウルツィニェ?








ううい………


顔が重い………



気持ち悪い………



飲みすぎたー………




ハグハグハグ





ううう………


なんだよおお………!!!



ハグハグハグ




顔の上でクレイジードッグが寝ていた。


てめー………(´Д` )



ハグハグハグ



ベッドから落とそうとしても重くて動かない。

気持ち悪いいいい………




二日酔いの上に、クレイジードッグに枕を奪われてろくに眠れないうちに朝が来た。

ここは社長の豪邸のベッド。




「ヘイ、フミ……ゆうべは飲みすぎたな………」


社長もきつそうだ。





子供達に見送られて豪邸を出た。

昨日の雨が嘘のように晴れた空で太陽が輝いている。

photo:01






社長に町まで送ってもらった。


「セルビア人はみんな素晴らしい人々だから困ったことがあったら話しかけることだよ。ただアルメニアとコソボは行ったらいけない。悪い人間ばかりだからな。オルトドクスの人々は信じられる人々さ。ほら、あそこにある教会はオルトドクスの古い教会だよ。」



そして彼はあるものを俺にくれた。


「フミは仏教徒だ、それは知っている。でもこれはきっとお前を守ってくれる。持っていってくれ。」


そう行って社長は、ポルシェを飛ばして仕事に向かった。



渡されたものは、額縁に入った小さな絵だった。
マリアと子供のキリストが描かれており、金の装飾が施してある。

うわー、あまりにも神聖すぎて手に持つのも怖いよ。


昔仏教のお坊さんに言われたことがある。
良い宗教は、他のすべての宗教を尊重しなければいけないと教えている。
他の宗教を排除しようとする宗教は邪教なのだよ、と。

社長は俺にこれをくれた。
俺はこの見慣れぬ絵を尊重することができる。
社長はそれをわかってくれたからこそ、これを俺にくれたのだ。
仏教を尊重してくれたから。

しかしだ、オルトドクスはイスラムを嫌っている。
ユダヤ教を嫌うのはまだ宗教的な理由があるから理解できる。
ユダヤ人がキリストを殺したんだ、っていう考え。

しかしイスラムとキリスト教になんの争う理由がある。
あるのは政治的権力闘争の歴史がもたらした断絶だけだ。


もうわかんないよ。



社長、俺はあくまで中立のアジア人です。
俺は俺の目で真実を見て来ます。
黄金の魂を探し求める旅はまだまだ続きます。







photo:02



社長に言われた教会へ行ってみた。
古くカビ臭い教会の中に入る。
オルトドクス、正教会はもちろんキリスト教の一派。
壁にはまるで遺跡の壁画のようなキリスト教の絵が描かれている。

photo:03




あ、まるで、じゃなくてリアルに遺跡の壁画か。

photo:04




1000年の歴史があるというこの教会。
数人の男性が椅子に座り話をしており、俺を見るとハイ、と笑顔で挨拶してくれた。

photo:05






それから中心部へ。
メインストリートにはたくさんの人たちが歩いていた。
窓を拭く店員さん。
イスを並べるカフェの女の子。
仕事に向かうビジネスマン。

路上しようかなと思ったけど、ゆうべのバーでも歌いまくったし、大騒ぎしたせいで治りかけていた喉がひどいことになっている。


まぁユーロは持ってるし、二日酔いもひどいから今日はやめとくか。
そして次の国に向かおう。







バスターミナルへ行き、次の国、アルバニアの首都であるティラナへのバスをたずねる。



しかし、なんと直通のバスがない。

隣国の、それもそんなに離れていない首都と首都なのに、それをつなぐバスがないのだ。

いったん国境近くの町まで行き、そこでまた探さないといけない。






アルバニアには行ったらいけない。
出会った人たちがみんなそう言っていた。
あまり明るい印象はなかったんだけど、いきなり嫌な雰囲気。


気になって前にアルバニアについて少し調べたんだけど、まぁかなり異質な国だということはわかった。

ヨーロッパで断トツ貧しい国と言われているらしく、政治的にも異端の存在で、ユーゴスラビアにも属さず、隣国との国交を完璧に断ち切った鎖国を貫き、さらに宗教禁止なんていう政策まであったという謎の国。


こいつは気を引き締めていかないとな。








というわけで現在、国境近くの町、ウルツィニェって町のボロボロのバスターミナルでベンチに寝転がってこの日記を書いています。

バスの本数が少なくて、次の便は明日の朝。
今夜はこの町で夜を越さないといけない。








6.5ユーロのバスでここまで来たんだけど、来るまでに大きな町はなかった。

沼が広がり、荒れた集落と廃墟だらけの道を走ってきた。

photo:06




そしてこの町もまた、黒澤明の映画に出てきそうな、泥水と沼だらけのインフラの整っていない貧しい町だ。

photo:07




photo:08






さっきバーでビール2杯とハンバーガーを食べたんだけど、全部でたったの3ユーロだった。300円。

なんて貧しい国なんだろう。
日本なら1500円はする。


photo:09




photo:10








小さな貧しい国。
その片隅の忘れ去られた田舎町。

本当の裕福さってなんだろうな。

雨が降ってきた。

今夜は寒くない。

寂しくもない。






それからターミナルに戻り、外のベンチに寝床を決めた。


ベンチにマットを広げていたらターミナルの中からおじさんが出てきた。

うわ、ここで寝るなって追っ払われるかな。

と思ったら、外は寒いから中で寝ればいいよと言ってきてくれた。
待合室は夜は閉めているのに。

ここで大丈夫ですよ、とニコッと笑うと、向こうもニコッと笑ってくれた。

モンテネグロ、最後に暖かい気持ちをありがとう。

photo:11












さて、ここである写真を載せたいと思います。


これは今日の出来事ではないです。
旧ユーゴスラビアを旅している間の写真、としか言えないです。


明日からいったんユーゴスラビアを出るので、そろそろ載せてもいいかなと思いました。


このブログにはたくさんの人との出会いを可能な限りギリギリまで書いていますが、中にはヤバすぎて書けない出会いもあります。

チョメチョメがああああ、とか可愛いもんです。



そんな出会いの中で僕はこれを見ました。





数々のガン。

photo:14





そして、さらにこれも。




photo:13



戦争の象徴、カラシニコフ。




自分の目が信じられなかった。
でも、実際構えさせてもらうと、これは人を殺す武器なんだと信じざるを得ない鉛の重みがズシリと腕に横たわった。
鈍く光る黒い塊の、人を殺す道具としての完成度は美しささえもたたえていた。



戦争は終わった。
しかし旧ユーゴスラビアの家にはたいてい銃が置いてあるとその人は話した。


もう一度。戦争は終わった。
しかし本当にそうなのか。

終わったのならなぜ武器があるのか。

武器のない世界は来ないのか。


なんのための宗教なんだろうな。

photo:15










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