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子供の頃から見てる夢の中の町

12月6日 木曜日
【クロアチア】
スプリット ~ ドブロブニク





チクショウ………

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ゆうべあんなに頑張って登ったのに………

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たいしたことねえ(´Д` )

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いや、綺麗だよ?!

でももっと遮るものひとつないすごい見晴らしを期待してたのに!!

まぁおかげで誰も来なくて静かに眠れたけどさ………


すごすごと山を降りると、中腹に展望台があった。


ここで充分(´Д` )(´Д` )

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山を降りて、旧市街のほうに行かずに、住宅地のほうに行ってみた。

観光地となっているのは海に面した旧市街の部分だけ。
山手はごく普通のどこにでもある街だった。

それがとても胸に迫る。

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若いお母さんがベビーカーを押している。
工事車両が横を通る時、その親子に配慮してスピードを落とした。

俺は何を探しているのかな。



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今日も旧市街の中で歌った。
優しい人たちの中で、俺も優しい人のふりをした。
みんな楽しそうだったから、俺も楽しんでるふりをした。

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俺は楽しんでるように見えるかな。
満足する人生ってなんだろうな。
少し早めに路上を切り上げた。
今日のあがりは200クーナ。

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さて、次の目的地は!!



クロアチアといったら!!!!




もうここしかないよね!!!!




クロアチア南端にあるヨーロッパを代表する超有名観光地!!!

ドブロブニク!!!!




いや、俺も知らなかったんだけどね。
この辺を旅してると、出会う人みんなが必ず行け、スーパーヤバいから!!マジチョベリグだから!!とオススメしてくるんだよ。

マジチョベリグなのか確かめるべく、バスターミナルへ。


ドブロブニクへ向かう道はアドリア海沿いをクネクネと走る海岸道路なので、きっと半端なく綺麗だろうから、ヒッチハイクで向かおうと思っていたんだけど、心配事が。

このドブロブニク。飛び地になってるのだ。
ボスニアヘルツェゴビナの国土がチョイと海岸に面しており、ドブロブニクをクロアチアと切り離している。

つまり一度ボスニアヘルツェゴビナに入らなければいけない。


ヒッチハイクじゃちょっと心配。

大人しくバスで行くことに。




やってきたバスターミナル。
暇そうにしてる切符売り場のおばさんにドブロブニク行きの値段を聞いた。
115クーナ。


高え!!!
くそー、観光客の人気ルートだから高め設定なのかな。



しょうがなくチケットを買うことに。
さっき路上で稼いだ小銭を数え、カウンターに積み上げていく。


すると売り場のおばさんが冷たく言った。


「あのねえ、私は仕事をしないといけないのよ!!バスの中で買って!!」


何怒ってんだ?このおばさん。


「いや、ほら、出来ましたよ。115クーナです。数えて下さい。」


チラリと小銭の山を見るだけで数える気ゼロのおばさん。手をプラプラ振ってる。
なんなんだよこいつー!!みたいな感じで隣のブースのおばさんに文句を言ってる。


「だからー!!私は仕事をしないといけないのよ!!早くどっか行って!!」


「いや、これがあなたの仕事でしょう。誰も並んでませんし、数えて下さいよ。」


ムカついたので食い下がるが、やっぱり取り合ってくれない。
仕事をしないといけないのよ!!とか言うくせに手に持った新聞を読んでやがる。


「同じお金じゃないですか?なんでチケット買えないんですか?」


「バスの運転手から買って。」



ダメだこりゃ。
さすが観光地。態度が半端なく悪い。
ザグレブのスーパーでは持ってるお金を広げたら、レジの人が数えてくれ、さらに小銭を紙幣に換金してあげようか?と向こうから言ってくれたのにな。

ああ、こんなことでイラついてたらやっていけないぞ。




怒りを抑えつつバスへ行き、優しいおじさん運転手さんからチケットを買った。
110クーナ。
あ?115クーナじゃないの?

あのババア、態度が悪いだけじゃなくてボッてやがったのか。

ムカムカ………



あー、こんな時はネドルコの神のような笑顔を思い出して………



ダメだ、胸毛しか浮かばない。




嘘。ちょっと落ち着いたよ。
そうだよ、笑顔だよ笑顔。キープスマイルだ。
胸毛ネタでどこまで引っ張れるかな。



最高に綺麗だったよ、スプリット。
海沿いの町ランキング1位です。
内陸はいまだチェスキークルムロフが不動の1位!!






バスは高速に乗り、クネクネの峠を越え、簡単なパスポートチェックをし、いくつもの海岸沿いの小さな町を通り過ぎ、5時間後の夜21時にドブロブニクに到着した。




人に聞きながら中心部に向かって歩く。夜風が気持ちいい。

途中にあったファストフード屋さんでハンバーガーを食べた。
20クーナ。うお、さすが超有名観光地。スプリットよりもさらに高くなりやがった。




腹ごしらえしてからさらに歩き続け、坂を登っていく。

1時間近く歩いたかな。
いきなりすっげえのが現れた。




うおー………

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そそり立つ高い壁が夜空に白く浮かび上がっている。


これが旧市街の城壁ってわけかい。
この中に古い町並みが広がってるのね。

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巨大な壁が海まで伸びており、城門を通らないと完全に中に入れないようになっている。
こりゃ威圧的だな。


バッグを引きずりながら門に飛びこんだ。





なんだこりゃー………

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夢の中か?

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そうだよ。
子供のころからこんな夢見てた。
不思議な、掴みどころのない、迷宮をさまよう夢。
あっちに行けばあの建物がある、あっちに行けばあの通りに出る。

知らない町なんだけど、昔から知ってるような気がする町を彷徨う夢。
みんなはそんな夢って見ないかな。

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怖いんだけど、うなされるほどでもなく、嫌なんだけど、どこか気持ちよい、そんな夢。


まさにその夢の中の光景だった。

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そして夢の中、裏路地のバーに入ってビールを飲み、橋の下の暗がりに潜り込んで眠った。

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